「消費税法」カテゴリーアーカイブ

新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少

Q.新型コロナウイルス感染症等の影響による事業としての収入の減少とは、どのような場合ですか?

A.新型コロナウイルス感染症等の影響による事業収入の減少とは、事業から得られる収入が新型コロナウイルス感染症等のために大きく減少したことにあり、以下のような状況が原因で収入が減少した場合です。

– 事業者または親族、会社の従業員が新型コロナウイルスに感染し、または感染疑いがあるため事業を休止した。

– 国または自治体の要請によりイベント中止や営業自粛を行った。

– 外出自粛要請に従い、従業員を自宅待機させたり、営業時間や規模を縮小した。

– 外出自粛要請によって顧客が減少した。

– 入国制限により顧客が減少した。

– 国または自治体の要請で家賃の支払いを猶予した。

参考:新型コロナ税特法10①、新型コロナ税特法通達1

特例対象事業者

Q.どのような事業者が特例の適用を受けることができるのですか。

A.特例対象となる事業者は、新型コロナウイルス感染症等の影響で、一定の期間において事業収入が大きく減少した人です。具体的には、2020年2月1日から2021年1月31日までの間で、任意の連続する1ヶ月以上の期間(以下「調査期間」という)の事業収入が、その調査期間の直前1年間での同じ期間の収入と比べて、50%以上減少していることです。事業を始めて1年未満の場合や、調査期間に対応する期間の収入金額が不明な場合には、特定の計算方法で収入の減少を判断します。

参考:新型コロナ税特法10①、新型コロナ税特法通達2

特例の概要

Q.新型コロナ税特法により措置された消費税の特例について教えてください。

A.新型コロナウイルス感染症とその拡散防止策による影響を受ける事業者向けに、一定の条件を満たす場合に限り、消費税に関する特別措置が設けられました。これには以下のような特例が含まれます。

1. 事業者は税務署長の承認を経て、課税選択の変更が可能です。これは特定の課税期間の開始後でも、課税事業者として選択するか、またはその選択をやめることができるというものです。

2. 新規設立された企業等が、基準期間のない課税期間中に特定の固定資産を取得した場合、高価な特定資産を仕入れた場合、または高価な特定資産に関して棚卸し資産の調整措置を受ける必要がある場合における、納税義務の免除制限を解除する特例があります。

参考:新型コロナ税特法10①③、④~⑥

事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用制限の一部解除

Q.事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用制限が一部解除される特例について教えてください。

A.この特例は、以下の2点に関して説明されます。

1.新設された被災事業者の場合:新設法人や特定の新設法人が、開業初期(通常は開業から2年目まで)に固定資産を取得して一般課税で申告を行う場合、通常は取得後最初の3年間は簡易課税制度の選択ができず、納税義務が免除されません。しかし、被災を受けた新設法人や特定の新設法人については、被災した課税期間以降からこれらの制限が適用されなくなります。

2.被災事業者が高額な特定資産を仕入れた場合:事業者が高額な特定資産を仕入れ、一般課税で申告する場合、通常は仕入れた日から3年間簡易課税制度の選択ができず、免税されません。しかし、被災事業者の場合、被災日を含む課税期間以降から、これらの制限は適用されません。

参考:措法86の5④~⑦

届出の特例の概要

Q.被災事業者が消費税の課税事業者を選択する、または課税事業者の選択をやめる場合、また簡易課税制度を選択する、またはやめる届出をする場合の特例について教えてください。

A.被災事業者が災害に遭ってその影響で課税期間後の課税事業者の選択をする(またはやめる)、または簡易課税制度を選択する(またはやめる)場合には、指定された日までに税務署に届出書を提出することで、その制度の適用(または制度からの退出)が可能です。さらに、課税事業者として選択した後、2年以内の課税期間に固定資産を取得し、一般課税で申告した場合、通常は一定期間制度の変更ができませんが、災害の特例により、被災した事業者は被災日のある課税期間以後からこれらの届出ができるようになります。

参考:措法86の5①②③⑨⑩

特例の概要

Q.特定非常災害の被災者である事業者の方に対する、消費税法の特例について教えてください。

A.災害による税制上の措置として、住宅ローン控除の期間延長や、住宅取得時の贈与税特例などがありますが、消費税に関しても特例があります。これは「特定非常災害の被害者を保護するための特別措置法」に基づき、特定非常災害の被災事業者に対して、消費税の課税事業者選択の届出変更や、簡易課税制度の選択変更等に関する特例を設けています。また、新設法人などが調整対象固定資産を取得した場合や、高額特定資産の仕入れ等を行った場合に、事業者免税点制度や簡易課税制度の適用制限を解除する特例が設けられています。

参考:措法86の5

特定課税仕入れがある場合の経理処理

Q.税抜経理方式を適用している課税事業者が、国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受け、その対価を支払った場合の経理処理について教えてください。

A.この場合、以下の二つの仕訳例のいずれかで経理処理を行います。

仕訳例1では、特定課税仕入れ10,000円を支払対価(現金)として記録します。

仕訳例2では、特定課税仕入れ10,000円を支払対価(現金)として記録し、さらに仮払金1,000円/仮受金1,000円として消費税の額を扱います。

特定課税仕入れを行った事業者は、その取引に係る消費税の申告と納税の義務がありますが、国外事業者との取引では、対価の額と消費税等の額の区分けに関する金銭の受払いは行われません。つまり、税込み/税抜き経理方式に関わらず、経理処理は仕訳例1の通りです。ただし、決算処理等で必要に応じて、仕訳例2のように仮受金・仮払金を用いた経理処理をしても差し支えありません。

さらに、特定課税仕入れがある課税期間の課税売上割合が95%未満で一般課税を行う場合は、リバースチャージ方式による消費税の申告が必要になるので、他の課税仕入れとは区別して管理する必要があります。

参考:平成元年3月1日付直法2-1「消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて」(法令解釈通達)5の2

事業者向け電気通信利用役務の内外判定基準

Q.「事業者向け電気通信利用役務の提供」に係る内外判定基準について教えてください。

A.国内の事業者が国外事業所で受ける電気通信利用役務で、そのサービスが海外での資産譲渡等にのみ必要な場合、これは国外取引と見なされます。一方、国外の事業者が国内で恒久的施設を介して受ける電気通信利用役務で、そのサービスが国内での資産譲渡等に必要な場合、これは国内取引と見なされます。

参考:法4④

免税事業者からの特定課税仕入れに関する申告義務

Q.当社は、簡易課税制度を適用しておらず、課税売上割合が95%未満です。国外の免税事業者からインターネット広告配信のサービスを利用しましたが、このサービスについてリバースチャージ方式で申告する必要がありますか?

A.はい、必要があります。国外の事業者から事業者向けに提供される電気通信利用役務に関しては、特定課税仕入れとして納税義務が国内の事業者に課されており、リバースチャージ方式で消費税の申告を行う必要があります。特定課税仕入れとは、事業者が他の者から提供される事業者向け電気通信利用役務のことを指します。提供者が免税事業者であっても、提供されるサービスが事業者向け電気通信利用役務に該当する場合、特定課税仕入れとして納税義務があります。したがって、簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合が95%未満の場合はリバースチャージ方式による申告が必要です。

参考:法4①、5①、基通5-8-1

特定課税仕入れがある場合の納税義務の判定

Q.国内に本店を持つ法人が、国外事業者から「特定課税仕入れ」である「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受け、特定課税仕入れに関する支払対価の額を課税標準として申告した場合、翌々課税期間の納税義務の判定において、その支払対価の額は課税売上高に含まれるのでしょうか?

A.納税義務の判定は、事業者が行った課税資産の譲渡等の対価から計算した「課税売上高」によって判定されます。「特定課税仕入れ」は事業者の仕入れに該当し、課税資産の譲渡等ではないため、特定課税仕入れに関する支払対価の額は、消費税の申告・納税を行っていたとしても、納税義務の判定や簡易課税制度が適用されるか否かの判定における課税売上高には含まれません。

参考:法9①、基通1-4-2(注)4