「消費税法」カテゴリーアーカイブ

サービス料等の事業区分

Q.当社は飲食店を経営しており、簡易課税制度の適用を受けています。料理代金とは別にサービス料を10%いただいていますが、このサービス料の事業区分はどうなりますか?また、部屋代やテーブルチャージ等についてはどうでしょうか?

A.サービス料は、料理代金とは別に請求される場合でも、飲食物の提供に対する対価の一部として認められ、第四種事業に該当します。部屋代やテーブルチャージ等の料金も、同じ理由で第四種事業に該当します。

飲食物を提供する場合の事業区分

Q.飲食店を経営しており、簡易課税制度の適用を受けています。ホテルでパーティが行われる際に、主催者の依頼で会場に材料、調理器具等を持参して会場内で飲食物の提供を行う場合や、自ら会場使用料を支払って会場で飲食物を提供する場合の事業区分はどうなるのでしょうか。

A.第四種事業に該当します。飲食店の定義は、飲食のための施設を設けて、主に注文によりその場で直接飲食させる事業所です。また、百貨店などの一室を借りて独立の一事業所として飲食店を営む場合も含まれます。したがって、パーティの主催者から依頼を受けて飲食物の提供を行う場合や、自ら会場使用料を支払って飲食物を提供する場合も、パーティ参加者の注文に基づきその場で飲食を提供することから、飲食店に該当し第四種事業となります。

参考:法37、令57⑤、基通13-2-8の2、基通13-2-8の3

自動車整備業者等によるタイヤ交換等の事業区分について

Q. 自動車のタイヤ交換やオイル交換などを行う事業者で、これらのサービスによる売上げはどのように事業区分されるのですか?

A. タイヤやオイルなどを交換する場合、これらは故障や老朽化した部品を新しいものに取り替える行為で、部品の販売を主とした取引です。販売した部品の代金と作業工賃が区分されているならば、販売代金は第一種事業または第二種事業に、工賃は第五種事業に該当します。ただし、請求金額が商品(タイヤやオイル等)代金のみであり、工賃が無償サービスとみなされる場合は、全体が商品の販売として第一種事業または第二種事業に該当します。

参考:法37、令57⑤

印刷業者が行う取引と事業区分

Q.簡易課税制度下で、我々印刷業者が行う以下の取引はそれぞれどの事業区分に該当しますか? (1)自己で紙を調達して行う印刷、(2)注文者から紙の無償提供を受けて行う印刷、(3)印刷物の提供を受けて行う製本の請負。

A.各取引は以下の事業区分に該当します。 (1)印刷業として「製造業」、第三種事業に該当します。 (2)印刷業として「製造業」に該当しますが、注文者が提供した紙に印刷を施すため、加工賃等の役務提供として第四種事業に該当します。 (3)製本業として「製造業」に該当しますが、こちらも加工賃等の役務提供として第四種事業に該当します。ただし、(2)及び(3)は「製造業」に属するため、サービス業など他の部門の第五種事業には該当しません。

参考:法37、令57⑤、基通13-2-4、13-2-7、13-2-8の3

旅館業者における売上げと事業区分

Q.旅館業を営む私たちの会社では、次の各売上げが簡易課税制度のどの事業区分に該当するか教えてください。

(1)1泊 2食付きで30,000円 の宿泊代

(2)宿泊代と区分して領収される特別料理代

(3)客室内の冷蔵庫で販売された酒やジュース類の売上げ(宿泊代と区分して領収)

(4)お土産コーナーでのお土産品の販売代金

(5)旅館内のレストラン利用による売上げ(旅館の宿泊代と区分して領収)

A.各売上げが以下の事業区分に該当します。

(1)サービス業として第五種事業に該当します。

(2)飲食店業として第四種事業に該当します。

(3)飲食店業として第四種事業に該当します。

(4)購入した商品をそのまま販売している場合は第二種事業、自社で製造または加工して販売している場合は製造業として第三種事業に該当します。

(5)飲食店業として第四種事業に該当します。

参考:法37、令57⑤⑥、基通13-2-8の2

不動産業者が行う取引と事業区分

Q. 当社は不動産業を営んでいますが、簡易課税制度において、以下の各取引がどの事業区分に該当するか教えてください。

1. 不動産売買の仲介

2. 別の業者が建築した建物を購入し、そのまま別の業者に販売する行為

3. 自社で施主となり、請負契約により建築させた建物をそのまま別の会社に販売する行為

4. 自社が所有する事務所を別の会社に賃貸する行為

A. 各取引は以下の事業区分に該当します。

1. 不動産業として第六種事業に該当します。

2. 他の業者から購入した建物をその性質及び形状を変更せずに販売した場合、第一種事業に該当します。ただし、購入した建物を自社が一時的に使用していた場合は、固定資産の譲渡とみなされ、第四種事業に該当します。

3. 建設業として第三種事業に該当します。外注でも自社が施主として建築した建物の販売なので、第二のケースとは異なります。

4. 不動産業として第六種事業に該当します。

参考:法37、 令57⑤⑥、基通13-2-4、 13-2-5(2) 

塗装工事業の事業区分について

Q.塗装工事業は簡易課税制度において第三種事業と第四種事業のどちらに該当しますか?

A.塗装工事業は、資材を自社で調達して建築物等に塗装を施す場合は「建設業」に当たり、第三種事業に該当します。しかし、他者が調達した塗料の塗装のみを行う場合は、加工賃その他これに類する料金を対価としているため、第三種事業から除かれ、第四種事業に該当します。

参考:法37、令57⑤、基通13-2-7

建設業者の事業区分

Q.建設業を営む私たちの場合、全ての取引が第二種事業に該当し、みなし仕入率70%で計算することになるのでしょうか。

A.事業者が行う事業の区分(第一種から第六種まで)は、各取引ごと(社会通念に基づく取引単位)に基づいて判断されます。一般的に、建設業は第三種事業に区分されますが、これは日本標準産業分類に従って判断されます。ただし、建設業の中でも「加工賃やその他類似の料金をもらって役務を提供する場合」は第四種事業(みなし仕入率60%)に該当します。具体的な例としては、ガス管の埋設工事など、他者の原材料を使用して他者の建設工事の一部を担うような人的役務の提供がこれに該当します。改造や修繕工事を行う場合も、原則として第三種事業に該当します。

参考:法37、令57⑤三、基通13-2-4、13-2-7

製造業者の事業区分

Q.製造業者が行う事業の事業区分はどのようになりますか。

A.事業者が行う事業をどの事業区分に分けるかは、課税対象となる資産を売るなどの行為ごとに(通常の取引として扱われる単位で)決めます。製造業の場合、主に日本標準産業分類に従って第三種事業に分類されます。しかし、原材料を無料で提供されて組み立てや加工を行う場合は「加工賃やその他の料金を受け取るサービスの提供」とみなされ、第四種事業(みなし仕入率60%)に該当します。こうしたサービスには、例として以下のような事業があります:

1. 食料品製造業者が原料を提供されての製粉や缶詰加工

2. 食品加工者が貝やエビを提供されてむき身製造

3. 繊維製品製造業者が糸や生地を提供されての巻取り、染色、裁断

4. 木製品製造業者が木材を提供されての製造や組立て

5. 紙加工業者が紙を提供されての紙製品製造

6. 印刷業者が紙を提供されての印刷

7. 製本業者が印刷物を提供されての製本

8. なめし革製造業者が革を提供されてのなめしや塗装

9. メッキ業者が金属を提供されてのメッキ

10. 金属製品製造業者が金属を提供されての加工

11. 機械製造業者が部品を提供されての組立

12. 指輪のサイズ直しや宝石の加工

参考:法37、令57⑤三、基通13-2-4、13-2-7

簡易課税制度における第二種事業の範囲

Q.簡易課税制度において、第二種事業に何が含まれますか?

A.簡易課税制度における第二種事業には、農業、林業、漁業(食料品の販売を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造した商品の小売りも含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業(これらを「製造業等」とします)が含まれます。これらの範囲は主に総務省の日本標準産業分類の大分類に基づいていますが、以下の点が異なるため注意が必要です。

1. 日本標準産業分類では付随する事業も含めて分類されますが、消費税では各課税資産の譲渡ごとに第一種事業や第二種事業に分類されます。

2. 製造した商品を直接消費者に販売する製造小売業は、日本標準産業分類では小売業に分類されますが、消費税では製造業として第三種事業に含まれます。

3. 情報通信業に分類されるサービス業であっても、新聞業や出版業は第二種事業に含まれます。

4. 日本標準産業分類で製造業等に分類されていても、加工賃その他これに類する料金の役務の提供は、消費税法では第四種事業に該当します。

参考:法37、 令57⑤ 三、基通13-2-4、 13-2-5(4)、 13-2-6、 13-2- 7