「消費税法」カテゴリーアーカイブ

免税期間中の起債の償還元金に対する補助金の調整計算への影響

Q.免税期間における起債の償還元金に充てるための補助金を収入した場合、仕入控除税額の調整計算は必要ですか?

A.過去の免税事業者である期間に行った借入金の返済のために補助金を受領した場合、通常ではこれらは特定収入として仕入税額の調整計算の対象となります。しかし、免税事業者である期間に借入れた場合は、その期間には仕入控除税額の計算が行われていないため、課税事業者として補助金を収入しても、これらの補助金については特定収入に該当せず、調整計算の必要はありません。

参考:令和3年法律第60条4項、令和5年、基本通達16-2-2

過去に行われた起債等の返済に充てるために収入した他会計からの繰入金等の使途の特定方法

Q.過去の課税期間において行った起債等(借入金)の返済を行うための補助金、一般会計繰入金等を収入した場合の使途の特定はどのように行うのでしょうか。

A.使途の特定は以下の方法で行います。

1. 借入金等(起債時に、返済のための補助金等の交付が予定されていないもの)を財源として行った事業について、その借入金等の返済や償還のための補助金等が交付される場合、補助金等の交付要綱等にその旨が記載されている時は、その補助金等は該当事業に関する経費のみに使用される収入として使途を特定します。

2. 法令や交付要綱等、予算書、予算関係書類、決算書、決算関係書類において、借入金等の返済費や償還費のための補助金等とされているもの(1に該当するものを除く)については、補助金等の額に借入金等に関連する事業が行われた課税期間中の支出の中での課税仕入れ等の支出の額とその他の支出の額の割合を乗じて、課税仕入れ等の支出に対応する額とその他の支出に対応する額に按分する方法で使途を特定します。この場合、借入金等に関連する事業が行われた課税期間中の支出には、使途が特定された補助金等の使途としての支出及び借入金等の返済費や償還費は除外します。

参考:法60④ 、令75、 基通16-2-2

翌期に支出される負担金

Q. 公益社団法人で会館建設のために特別負担金を会員から徴収しましたが、会館の完成が翌課税期間になり、徴収した負担金を繰り越しました。この公益社団法人では収益事業として建物の賃貸を行っています。消費税法上、仕入控除税額の計算はどのようになるか、特別負担金が資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難で、資産の譲渡等の対価に該当しないとされる場合です。

A. 特別負担金は資産の譲渡等の対価に該当しないとされるもので、これによる収入は特定収入として取り扱われます。仕入控除税額の計算では、課税仕入れ等の税額の合計額から特定収入に係る課税仕入れ等の税額を控除することになります。会館の建設費用が翌課税期間に支出される場合でも、徴収した特別負担金については当課税期間における仕入控除税額の計算において調整されることになります。翌課税期間に会館完成時に建設費用を支払う場合でも、既に仕入控除税額の調整が行われているため、改めての調整は必要ありません。

参考:法60④、令75①

特定収入割合の計算における有価証券の譲渡

Q.学校法人で特定収入がある場合、特定収入割合が5%以下の時はその収入を考慮しなくても良いと聞きましたが、有価証券の譲渡の場合、特定収入割合の計算は、譲渡対価の5%相当額を対価として計算すれば良いのでしょうか?

A.いいえ、有価証券の譲渡においては、譲渡対価のうち5%相当額を使用するのは課税売上割合の計算上の例外規定であり、特定収入割合の計算ではそのような例外規定はありません。従って、有価証券の譲渡時には、譲渡対価全額をもとに特定収入割合の計算を行う必要があります。

参考:消費税法60条(4)、令48条(5)、75条(3)

借入金の利子に関する補助金の扱い

Q.公益財団法人で建物の建設資金を借りた際、地方公共団体から借入金の利子支払いと元本返済のための補助金が支給されます。借入金の元本返済に充てる補助金も含め、これらの補助金は特定収入として扱うべきでしょうか?

A.公益法人等が受け取る資産の譲渡以外の収入は、特定支出のためにのみ使用されるものであれば、特定収入には該当しません。補助金が非課税取引である借入金の利子支払い専用であると、地方公共団体が明確にしている場合、特定支出に該当し、従って特定収入には該当しないとされます。これは、借入金元本の返済のための補助金に関しても同様です。特定の寄附金が特定の活動に関連する支出のためだけに使われ、かつ期間を限定して募集され、他の資金とはっきりと区分して管理されている場合、これらの寄附金も特定収入には該当しません。

参考:法60④、令75①

公益法人における仕入税額控除

Q.公益財団法人が出版事業や宿泊施設経営を含む事業、補助金や寄附金の収入がある場合、消費税の取扱いはどうなりますか?

A.公益財団法人であっても、課税対象の仕入れを行った場合、その課税期間中に寄附金や補助金など商品やサービスの売上以外の特定の収入(特定収入)があれば、その収入に関連する消費税額を除いた額が仕入税額控除となります。特定収入の割合が全体の5%以下であれば、通常の計算方法で仕入控除税額を算出します。特定収入割合=特定収入÷(資産の譲渡等による収入+特定収入)。また、消費税簡易課税制度を選択して、基準期間の売上高が5000万円以下の公益法人は、特定収入に関わらず仕入控除税額の計算から特定収入に係る消費税額を控除する必要がありません。特定収入の割合が5%超の場合、仕入控除税額の計算方法は、仕入れに関わる消費税全額から特定収入に対応する額を差し引く方法や、特定収入に基づく個別の計算または調整割合による計算が含まれます。

参考:法37、 60④ 、令75③④ 

特定収入の意義

Q.公益社団法人の収入のうち、消費税法上、仕入控除税額を調整しなければならない特定収入とは何ですか?また、一般会費や会館建設特別積立金は特定収入に含まれますか?

A.特定収入とは、国や地方公共団体等の収入の中で、資産の譲渡などの対価以外で得た収入のことを指します。これには租税、補助金、寄附金、保険金、無償の負担金や会費、分担金などが含まれます。ただし、借入金や出資金、預貯金、貸付回収金など返済が前提の収入や、課税仕入れ以外の特定の支出に充てる収入は含まれません。この特定収入を得る場合、通常の仕入控除税額から特定収入に関連する仕入れ等の税額を差し引いた金額を課税仕入れ等の消費税額として仕入税額控除します。ただし、簡易課税制度の適用や特定収入の割合が5%以下の場合は、調整の必要はありません。公益社団法人の場合、一般会費は特定収入に該当します。また、会館建設特別積立金も、対価性が認められない共同的施設の利用に対する負担であるため、特定収入に該当します。 

参考:法60④、令75①

地方公営企業の出資の金額の範囲

Q.消費税法第12条の2の「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」において、設立当初の2年間について資本金または出資の金額が1,000万円以上である法人は納税義務から免除されないとされていますが、地方公営企業もこの規定に含まれますか?また、地方公営企業が対象となる場合、出資の金額にはどのような部分が含まれますか?

A.消費税法第12条の2の「基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」では、合名会社や合資会社、合同会社に限らず、様々な法人に対する出資の金額も対象となっています。そのため、地方公営企業であっても、出資の金額が1,000万円以上であればこの規定の適用対象となります。地方公営企業については、固有資本金、繰入資本金、組入資本金を合計した自己資本金が出資の金額に該当します。

参考:消費税法第12条の2、基通1-5-16

資産の譲渡等の時期の特例

Q.国や地方公共団体の会計と一般企業の会計は異なるが、消費税法上、資産の譲渡等の時期は同じように扱う必要があるのでしょうか?

A.国や地方公共団体における資産の譲渡や課税仕入れ等の時期は、対価を収納するべき会計年度末日、または費用を支出するべき会計年度末日として扱うことができます。一般の企業が企業会計原則に従って経理を行うのに対し、国や地方公共団体は予算決算及び会計令や地方自治法施行令の基準に従います。これにより、実際の資産譲渡の時間ではなく、通知書を発行した日が属する会計年度の末日に譲渡されたものと扱うことが可能です。

参考:法60②、令73

地方公共団体の特別会計の消費税法における取扱い

Q.地方公共団体の特別会計について、消費税法ではどのような特例的な扱いがあるのか教えてください。

A.国や地方公共団体が一般会計と特別会計を持っている場合、消費税法はこれらを別々の事業として扱います。一般会計で行われる事業については、その課税期間の課税標準額に当てはまる消費税額から、控除可能な消費税額の合計がその課税標準額に対する消費税額と同じとされ、申告義務が免除されます。ただし、特別会計で行われる事業でも、一般会計に資産の譲渡などを行う場合は、一般会計の業務とみなされます。

参考:法60①⑥、令72①、基通16-1-1