「消費税法」カテゴリーアーカイブ

税込経理方式の場合の消費税等の損金算入の時期

Q.税込経理方式を採用している法人が、当事業年度分の課税資産の譲渡等に係る納付すべき消費税等の額を当事業年度分の損金として経理することは可能ですか?

A.税込経理方式を採用している法人が納付すべき消費税等については、納税申告書に記載された税額は、その納税申告書が提出された日が属する事業年度の損金として算入できます。また、申告期限前に納税申告書に記載すべき消費税等を未払金として損金に計上した場合は、その計上を行った事業年度の損金として算入できます。従って、当事業年度の消費税額及び地方消費税額を当事業年度の決算で未払金として損金に計上した場合のみ、当事業年度の損金として算入することができます。

参考:平成3年1月直法2-1、法法2①二十五

貸倒れの場合の経理処理

Q.貸倒れになった場合と、過年度に貸倒れ処理をしていた売掛金を全額回収した場合の消費税等の経理処理を教えてください。

A.貸倒れとその回収に関する経理処理には、税込み処理と税抜き処理の二つの方法があります。

1. 貸倒れになった場合:

   税込み処理:

   – 貸倒損失 55,000円/売掛金 55,000円

   税抜き処理:

   – 貸倒損失 50,000円、仮受消費税等 5,000円/売掛金 55,000円

2. 過年度に貸倒れ処理をしていた売掛金を全額回収した場合:

   税込み処理:

   – 現金 1,100,000円/雑収入 1,100,000円

   税抜き処理:

   – 現金 1,100,000円/雑収入 1,000,000円、仮受消費税等 100,000円

貸倒損失 50,000円、仮受消費税等 5,000円

雑収入 1,000,000円、仮受消費税等 100,000円

仕入返品と売上返品の経理処理

Q.仕入返品と売上返品があった場合、消費税等の経理処理をどのように行えばよいですか?

A.消費税や地方消費税の経理処理には、2つの方法が存在します。1つは税込み額を売上や仕入れに含めて処理する税込処理、もう1つは税込み額を売上や仕入れから除外し、別で処理する税抜処理です。仕入返品と売上返品での具体的経理処理は以下の通りです:

仕入商品66,000円を返品した場合:

– 税込処理であれば、買掛金と仕入れをそれぞれ66,000円で記入します。

– 税抜処理であれば、買掛金を66,000円、仕入れを60,000円、仮払消費税等を6,000円で記入します。

商品330,000円の売上返品があった場合:

– 税込処理であれば、売上と売掛金をそれぞれ330,000円で記入します。

– 税抜処理であれば、売上を300,000円、仮受消費税等を30,000円、売掛金を330,000円で記入します。

仕入れと売上の返品の場合、経理処理は税込処理と税抜処理の2種類があります。

仕入返品時、税込処理では買掛金と仕入れが等しい金額で記入され、税抜処理では買掛金の金額から消費税を差し引いた仕入れと消費税が別途計上されます。

売上返品時、税込処理では売上と売掛金が等しい金額で記入され、税抜処理では売上から消費税を差し引いた金額と消費税が別途計上されます。

割賦販売と税抜処理

Q.割賦販売を行う場合、消費税等の金額の計算と経理処理(税抜経理方式)はどのように行いますか?

A.割賦販売の経理処理では、契約時と決算時に以下の処理を行います。

1. 商品引渡時(契約時)の経理処理

   – 割賦仮売掛金として5,000万円を借方に、割賦仮売上として5,000万円を貸方に記録します。

   – 割賦引渡商品として4,000万円を借方に、仕入として4,000万円を貸方に記録します。

2. 決算時の経理処理

   – 支払期日が到来した金額3,200万円を割賦仮売上から割賦仮売掛金へ移動します。

   – 実際に入金された金額2,970万円を現金預金に記録し、割賦売上として3,200万円を記録します。

   – 割賦売掛金として550万円、仮受消費税等として320万円を記録します。

   – 割賦売上原価として2,560万円を記録し、割賦引渡商品から同金額を移動します。

   – 仮受消費税等から仮払消費税等へ400万円を移動し、未収消費税等として80万円を記録します。

当期に計上すべき割賦利益の額は640万円です。

割賦売上原価は3,200万円から640万円を引いた2,560万円です。

割賦引渡商品は4,000万円のうち、割賦売上原価に相当する2,560万円になります。

仮受消費税等は3,200万円の10%、つまり320万円です。

仮払消費税等は4,000万円の10%、つまり400万円で、当期に全額控除が可能です。

利子(手数料)相当額は非課税として考慮していません。

消費税等が転嫁されていない場合の税抜経理処理

Q.消費税等に関して税抜経理方式を使用している場合、消費者や免税事業者から購入した場合の消費税込みの商品はどのように経理処理すればよいですか?

A.消費者や免税事業者から商品やサービスを受け取る際に、これが事業のための資産やサービスであり、課税対象である場合、輸出など特定の免税対象外の取引では、この購入は課税仕入れとなります。したがって、支払った価格の1.1倍(または、それに相当する額)が課税仕入れに対する消費税額および地方消費税額と見なされます。税抜経理方式を採用している場合、これらの消費税額は別途区分して経理処理する必要があります。

参考:法令資料 法2条12、基本通達11-1-3

期末における税抜処理

Q.当社は税込経理方式を採用していますが、決算の際に税抜処理をして消費税の経理を行ってもよいでしょうか?

A.事業者が取引に関する消費税の経理を行う場合、原則としてその取引が行われる都度に税抜経理を行う必要があります。しかし、課税所得金額の計算の観点から見れば、事業年度中は税込経理を行い、事業年度末に一括して税抜経理を行う方法にも問題はないとされています。そのため、原則は取引ごとの税抜経理ですが、事業年度の終了時に一括して税抜経理を実施することも許されています。また、月次決算や中間決算を実施している事業者の場合、月末や中間決算時に一括して税抜経理を行っても良いことになっています。

参考:平成3年1月直法2-1、平成3年29日直所3-8

税込経理と税抜経理の併用について

Q.税込経理方式と税抜経理方式の両方を使うことは許されますか?

A.所得税や法人税の課税所得金額を計算する際、事業者は消費税及び地方消費税の処理を税込経理方式でも税抜経理方式でも行うことができますが、選んだ方式はその事業者が行う全ての取引に適用しなければなりません。したがって、異なる取引ごとに方式を変えることはできません。しかし、売上等の収益に関する取引で税抜経理を行っている場合は、固定資産や経費に関する一部の取引で税込経理をすることが可能ですが、これには条件があります。一方、売上等の収益に税込経理をしている場合は、全ての取引に税込経理を適用しなければなりません。これは、税抜経理方式が売上の収益と固定資産や経費の支出にかかる消費税を相殺して納付または還付されるべき消費税額を計算する方法であるため、売上の収益に税抜経理を行わなければその原則に反するからです。

参考:平元 3.1直法2-1、 平元 329直所3-8

地方公共団体の中間申告期限

Q. 地方公共団体の特別会計の中間申告はどうなっていますか?

A. 地方公共団体の特別会計には、中間申告に関しても特例が適用されます。具体的には以下のようになります。

– 直前課税期間の消費税額が800万円超の場合、中間申告対象期間が課税期間開始後3ヶ月を経過した日の前日までに終了した場合、その課税期間開始日から6ヶ月を経過した日から3ヶ月以内に中間申告が必要です。その他、4ヶ月経過後や5ヶ月経過後に終了した場合はそれぞれ4ヶ月以内、5ヶ月以内に中間申告が必要です。これらに該当しない場合は、1ヶ月中間申告対象期間の末日の翌日から6ヶ月以内に申告する必要があります。

– 消費税額が48万円超4千万円以下の場合、6ヶ月中間申告対象期間がある場合、その期間の末日の翌日から6ヶ月以内に中間申告を行う必要があります。

参考:法42C)④⑥、令76③ 四、地法72の 87

地方公営企業の中間申告期限

Q. 地方公営企業法第30条第1項によると、地方公営企業特別会計の確定申告書は課税期間の終了翌日から3か月以内に提出する必要がありますが、中間申告はどのように行うのでしょうか?

A. 地方公営企業特別会計の中間申告には特別な期限が設けられています。直前課税期間の消費税額に応じて、中間申告の時期が異なります。直前課税期間の消費税額が4,800万円を超える場合、1か月の中間申告対象期間には以下のようなルールが適用されます。課税期間開始後3か月を経過した日から3か月以内に、

1. 課税期間開始日以後3か月を経過した日の前日までに確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を申告・納付する必要があります。

2. 1か月中間申告対象期間が前述に該当しない場合、その1か月中間申告対象期間の最終日の翌日から3か月以内に、該当期間の末日までに確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を申告・納付します。

消費税額が800万円を超え4,800万円以下または800万円以下の場合は、3か月または6か月ごとの中間申告対象期間の末日の翌日から3か月以内に、それぞれ確定した直前課税期間の消費税額と地方消費税額を計算して申告・納付します。これらは直前課税期間の月数に応じて計算されます。

参考:法42①④⑥、令76③ 一、地法72の 87

地方公共団体の申告期限

Q. 地方公共団体の消費税及び地方消費税の確定申告期限について、特例はありますか。

A. 地方公共団体の特別会計を利用して行う事業では、消費税法上、各特別会計毎に独立した事業体として扱われ、それぞれに確定申告が必要です。申告期限に関しては、地方公営企業法に基づく企業を運営する地方公共団体は、課税期間の終了から3か月以内が期限です。それ以外の場合は、課税期間終了から6か月以内が申告期限とされています。

参考:令76②二、三