「法人税」カテゴリーアーカイブ

震災等で被災した取引先に対する復旧支援

Q.震災、風水害等で被災した取引先への経済的援助が寄附金とされない条件について詳しく教えてください。

A.被災した取引先への経済的援助に関しては、特定の条件を満たす場合、寄附金とはみなされません。これには次のような状況が含まれます。まず、災害発生後の相当な期間内に、売掛金や未収請負金、貸付金などの債権を全部または一部免除する行為は、その免除による損失が寄附金には該当しないとされています。また、災害後にリース料や貸付利息など既に契約で定められていた金銭の全部または一部を免除した場合、さらには新規の取引においても既存の取引条件を変更した場合も寄附金にはあたりません。これは被災によって通常の営業活動を再開するまでの期間に限られ、店舗の復旧後は含まれません。被災した取引先とは、直接的な商取引関係にある様々な企業や店舗などが該当します。復旧支援の詳細は文書にて記録することが推奨されており、一律に適用する必要はなく、企業が個別に判断して行うべきです。さらに、こういった復旧支援の費用は、交際費などとは異なる扱いになります。また、災害発生後の相当な期間内に低利または無利息で融資を行った場合、その融資は正常な取引条件とみなされ、経済的利益の提供は寄附金とはされません。融資期間や融資額は、被災の程度や取引の状況を考慮して決定されるため、融資の規模は問題とはされません。被災した取引先への災害見舞金については、別の項目を参照する必要があります。

業務上の都合による債権放棄と税法上の寄附金

Q.業務上の都合によって下請先に対する債権の一部を放棄した場合、税法上その債権放棄額は寄附金の額とされますか?

A.法人税法では、寄附金とは、法人から金銭やその他の資産、経済的な利益を一方的に贈与することを言います。これは、贈与者と受贈者間で一方的な利益の提供が行われる状況を指します。このケースでは、下請先が納入先の事情により使用不可となった金型の廃棄による損失補償として債務免除を求めており、その債務免除は一方的な事情による損害補償の性質があります。結果として、その損失補償のために行われた債権の一部放棄は、違約損失補償の一環として認識され、税法上の寄附金とは見なされない場合があります。つまり、納入先の業務上の都合による債権放棄は、特定の条件下では寄附金に該当しない可能性があります。

経営不振の子会社を解散した場合の貸付金等の貸倒損失

Q.経営不振の子会社を解散して清算する場合、同社に対する貸付金や他の債権者に対する同社の債務の肩代わり額が回収不能になりますが、貸倒損失として損金算入が認められますか。

A.はい、認められます。貸金などに関して、その回収が不可能と確認された場合は、その事実が明らかになった事業年度において貸し倒れとして損金に計上できます。また、特別清算により損失が確定した部分についても、その情報が明らかになった日が属する事業年度で損金に含めることができます。子会社を解散させる際に親会社が他の債権者の債務を肩代わりすることはありますが、これは法的な義務ではなく道義的責任の範疇ですので、肩代わりした金額は寄付金とされます。しかし、経営不振の子会社の解散や経営権の譲渡を行わないと大きな損失を被る恐れがあるため、親会社が子会社の従業員への退職金の支給や累積損失の圧縮、企業イメージの保持のために債務を引き受けたり、債権を放棄したりすることがあります。これらの行為は相当な理由があるため、供与した経済的利益は寄付金にはなりません。投資的な意図を持って子会社に貸付けをしていた場合でも、その投資が失敗し貸倒れとなった場合、その損失額は寄付金にはならないとされています。

子会社を再建するに当たっての貸付金の利息免除又は切捨て

Q.子会社甲社に対する貸付金の利息免除や債権放棄が税法上で寄附金とされないためには、どのような要件が必要ですか。

A.子会社などに対し、通常より低い利率での貸し付けや債権放棄を行う場合にも、それがたとえば業績が悪化している子会社の倒産を防ぐためにやむを得ず実施され、合理的な再建計画に基づいているなど、行動に相当な理由がある場合は、その経済的利益は寄附金とはみなされません。子会社が倒産することで親会社に重大な損失が発生する可能性がある場合、親会社は自身の経営維持のために子会社に無利息の貸付け等をする必要がありますが、ただし、無計画な支援ではなく、子会社の合理的な再建計画に基づいている必要があります。「子会社等」には、資本関係だけでなく、取引、人的、資金関係などにおいて事業関係がある者も含まれます。再建計画が合理的かどうかは、支援額の妥当性、再建管理の実施、支援者の範囲や支援割合の合理性などを総合的に評価して判断されます。また、合理的な再建計画による経済的利益に関連して、税法上の特定の非課税規定が適用されないこともあります。

特定公益増進法人及び認定特定非営利活動法人の内容

Q.特定公益増進法人及び認定特定非営利活動法人とは、どのような法人ですか。

A.特定公益増進法人とは、主に公共の福祉や社会の利益を高める目的で設立された非営利型の法人です。具体的には、教育や科学の促進、文化向上、社会福祉への貢献などを行う法人で、以下の7種類が該当します。

1. 独立行政法人

2. 地方独立行政法人のうち、特定の業務を行うもの

3. 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、日本赤十字社、福島国際研究教育機構

4. 公益社団法人及び公益財団法人

5. 特定の学校法人

6. 社会福祉法人

7. 更生保護法人

ただし、出資業務に明確に充てられる金銭は、特定公益増進法人への寄附金からは除外されます。

認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)とは、以下の二つのカテゴリに分けられます。

1. 認定特定非営利活動法人:運営組織や事業活動が適正で公益を増進するための特定非営利活動促進法に基づいて認定を受けた法人。

2. 特例認定特定非営利活動法人:運営組織や事業活動が適正で、特定非営利活動の健全な発展を支えるとして、特例認定を受けた法人です。

寄附金の支出額 と損金算入限度額の関係の具体的事例

Q.会社がの①、②、③及び⑤の寄附金を支出した場合、それぞれの寄附金の額 と損金算入限度額 との関係を、具体的な事例で説明してください。

A.資本金と資本準備金の合計が20億円、寄附金を支出する前の所得が4億円の会社の例を考えます。この例では、事業年度が令和5年4月1日から令和6年3月31日までです。寄附金の種類には、一般寄附金、国や地方公共団体への寄附金及び指定寄附金、特定公益増進法人等への寄附金、そして国外関連者への寄附金があります。例として、三つの異なる支出パターン(例I、例II、例III)を見てみます。

損金算入限度額は一般寄附金に対しては375万円、特定公益増進法人等への寄附金については1625万円です。これを基に、各例の損金算入額と損金算入されない額(損金不算入額)を計算します。計算方法は以下の通りです:

– 一般寄附金の損金算入限度額の計算: \(12,000万円 \times \frac{1}{4} + 4,000万円 \times \frac{1}{4} = 375万円\)

– 特定公益増進法人等への寄附金の損金算入限度額の計算: \(12,000万円 \times \frac{1}{4} + 4,000万円 \times 25\% = 1625万円\)

各例の損金算入額と不算入額は次のようになります:

– 例Iでは、一般寄附金は375万円以下なので全額算入、特定公益増進法人等への寄附金は1625万円を超えるため、162.5万円が算入、残りは不算入です。

– 例IIでは、一般寄附金は375万円を超えるため37.5万円が算入、特定公益増進法人等への寄附金は1625万円以下なので全額算入されます。

– 例IIIでは、一般寄附金は375万円以下なので全額算入、特定公益増進法人等への寄附金は1625万円を超えるため162.5万円が算入されます。損金算入限度額の余裕分75は、超過額1075のうち75を充てることができます。

これらの詳細は、申告書別表十四(二)「寄附金の損金算入に関する明細書」に記載されます。特定公益増進法人等に関連する書類は、特例適用のために保存する必要があります。

寄附金の損金算入限度額 (公益法人等でない法人の場合)

Q.会社が、一般寄附金、国又は地方公共団体に対する寄附金、指定寄附金、特定公益増進法人及び認定特定非営利活動法人等に対する寄附金、国外関連者に対する寄附金を支出した場合、それぞれの損金算入限度額は、どのように規定されていますか。

A.公益法人等でない法人の寄附金の損金算入限度額は以下のように定められています。

1. 一般寄附金については、資本または出資を持つ普通法人、協同組合、人格のない社団等は「寄附金支出前の所得金額 × 0.025 + 資本金(または出資金)の額の0.375%」と定められています。資本や出資を持たない法人、一般社団法人、一般財団法人などは「寄附金支出前の所得金額」を限度とします。

2. 国や地方公共団体に対する寄附金及び指定寄附金は全額が損金算入されます。

3. 特定公益増進法人及び認定特定非営利活動法人に対する寄附金に関しては、資本金や出資金を持つ法人は「寄附金支出前の所得金額 × 0.375%」、持たない法人は「寄附金支出前の所得金額」が損金算入の限度額とされています。

4. 完全支配関係にある他の内国法人に対して支出された寄附金は、原則として損金算入されません。

5. 国外関連者に対する寄附金も、一部の例外を除き、損金算入の限度額に関係なく全額が損金として算入されません。

損金算入限度額を超える分は一般寄附金と合わせて計算し、限度量を超える分は損金に算入できません。

リバースチャージ方式での課税と会計処理

Q. リバースチャージ方式で消費税が課税される場合、会計処理はどのようにすればいいですか。また、法人税の取り扱いはどうなっていますか。なお、消費税の会計処理は税抜経理方式に基づいています。

A. リバースチャージ方式では、事業者が電気通信利用役務の提供を受けた時、受け取った役務の額に対して消費税の納税義務が発生します。このため、その額を特定課税仕入れとして消費税の課税標準額に加え、消費税額を仕入税額控除の対象とします。ただし、課税売上が95%以上の事業者の場合は一定期間、特定課税仕入れがないものとされ、納税義務が生じません。課税売上が95%未満の場合は、特定課税仕入れとして100万円を消費税の課税標準額に加算し、同額を控除対象仕入税額の計算対象とします。決算時には必要な会計処理を行い、未払消費税等を計上します。消費税関連の通達では、特定課税仕入れの取引では消費税等の受払いがないため、税抜経理方式でも特定課税仕入れの取引に対する消費税等の額は計上しません。しかし、法人が特定課税仕入れの取引に対する消費税等に相当する額を、例えば仮受金や仮払金として計上している場合は、これらの金額を仮受消費税等や仮払消費税等の額として法人税の課税所得金額の計算に利用します。

リバースチャージ方式による消費税の課税

Q.インターネット等を介して海外から役務の提供を受けた場合、その対価を役務の提供を受けた事業者の課税売上げに加算して消費税が課税されることについて、その概要について説明してください。

A.インターネットを通じた海外からの役務提供が増えており、消費税の課税対象となるかは役務供給者の所在地によります。国内事業者の場合は課税されますが、海外事業者から受けたサービスは原則課税されません。しかし、これによる課税の不均衡を解消するため、電気通信利用役務(電子書籍、音楽、ソフトウェアなどのインターネットを介したサービス)の提供に関しては、サービスを受ける者の国内所在を基に課税することとされています。そして、海外事業者からの役務提供の場合、その事業者に納税義務を負わせることが難しいため、リバースチャージ方式が採用されています。これは、電気通信利用役務の提供を受ける国内の事業者が納税義務を負う仕組みです。消費者向けサービスの場合は通常通り海外の提供者が納税義務を負います。リバースチャージ方式は、特定の条件を満たす事業者に限り適用され、特定課税仕入れに対して消費税を計算し、必要に応じて申告します。また、インボイス制度の導入により、令和5年10月1日からは適格請求書発行事業者からの仕入れに対しても仕入税額控除が適用されるようになり、登録国外事業者制度は廃止されます。国内で外国人タレント等による一定の役務提供にもリバースチャージ方式が適用されます。

税抜経理方式を適用しているときの資産に係る控除対象外消費税額等の処理方法

Q.税抜経理方式を適用している場合、仮払消費税等として残った控除対象外消費税額等は、一括して損金の額に算入することができますか。

A.課税売上高が5億円を超えるか、または課税売上割合が95%未満の企業は、課税対象外となる消費税(控除対象外消費税等)を資産の取得や経費に個別に配賦しなければなりません。この配賦により、経費に割り当てられた消費税は直接費用として計上可能ですが、棚卸資産や固定資産などに割り当てられた場合(資産に係る控除対象外消費税額等)は、売上原価や減価償却費へ振り替えられたときに費用として計上できます。ただし、交際費に配賦された場合はその金額を加えて計算しなければなりません。実際に個別に配賦する作業は複雑であるため、法律は特定条件の下で、これらの消費税をまとめて費用化する方法を認めています。課税売上割合が80%以上の場合は、事業年度内に損金に計上でき、80%未満の場合は特定の条件下で損金に計上可能です。また、繰り延べられた消費税額に関しては、一定の限度額まで事業年度内に損金算入することができます。適格組織再編成や特定の合併など特殊な場合も考慮されており、適用される条件が異なります。資産に係る控除対象外消費税額等にこの規定を適用するかは任意ですが、適用する場合は全ての資産に対して適用しなければなりません。