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相手方の氏名等を仮装して会計帳簿に記載した場合の取扱い

Q.金銭の支出について相手方の氏名等を仮装して会計帳簿に記載した場合、使途秘匿金の支出として扱われますか?

A.法人が帳簿に記載する際は、相手方の真実の氏名等を書かなければなりません。仮装した氏名等を使って記載すると、その記載は無効とみなされ、当該金銭支出は使途秘匿金と扱われます。これにより、重加算税の対象となる可能性があり、青色申告の承認が取り消されることもあります。さらに、帳簿に相手方の氏名等が記載されていても、調査への協力を拒否すると、使途秘匿金の支出として扱われる場合があります。

相手方の氏名等を記載すべき帳簿書類 と記載の方法

Q.金銭の支出が使途秘匿金の支出とされないためには、相手方の氏名等を法人の帳簿書類に記載しなければなりませんが、会計帳簿に相手先の氏名又は名称、住所又は所在地、支出の事由を個々に記載しなければなりませんか。

A.法人の帳簿書類には、元帳や補助簿などの会計帳簿だけではなく、領収証や請求書などの書類も含まれています。これらの書類には普通、相手方の氏名や名称、住所や所在地が記載されていることが多いので、これらの文書を整理し保存しておき、会計帳簿での記載内容との関連性をはっきりさせておくことが大切です。支出の理由や詳細は、通常、経費伝票などに記載されますが、領収証や請求書に追記しても問題ありません。

追加課税の対象とならない使途秘匿金の支出

Q.法人の帳簿書類に相手方の氏名等の記載がなくても、使途秘匿金の支出に係る追加課税が行われない場合があるそうですが、どのような場合ですか。

A.使途秘匿金の支出に関しては、法人の帳簿書類に相手方の氏名等が記載されていない場合でも、次のようなケースでは追加課税の対象外となります。

1. 社会通念に照らし、相手方の氏名を記載しないことに妥当な理由がある場合。たとえば、多数の人へのカレンダーや手帳などのプレゼントや少額のチップなど、一般に帳簿に記載しないことが通例となっているものです。ただし、相手方の氏名を記載しないことで刑事訴追を避ける可能性がある場合や取引上の不利益を避けるための場合は、妥当な理由とはみなされません。

2. 取引の対価として支払われた資産や金銭である場合。これには商品の販売や原材料・商品の仕入れ、固定資産の購入など、取引の対価として相応の金額で行われる金銭の支払いや資産の移転が含まれます。通常の小売店や飲食店のように、日常の取引で売上の相手先を記載しない場合も含まれますが、明らかに不相当に高額な取引では使途秘匿金の支出と見なされます。

3. 税務署長が相手方の氏名等を記載しないことが秘匿目的でないと認めた場合。つまり、相手方の氏名を秘匿する目的でなければ、帳簿に記載されていなくても使途秘匿金とはみなされません。

使途秘匿金の使途に対する税務調査での追究について

Q.使途秘匿金の支出に対する追加課税制度は、企業の不明朗な支出に対する制裁課税であり、利益享受者に対する課税の代替であるとしますと、この制度があることによって、税務調査での使途秘匿金の使途とその享受者に対する課税の追究は、厳しく行われないことになると考えてよいのでしょうか。

A.利益享受者に対する課税は非常に重要な税務実施の一部であり、これは企業がどのように使途を隠していたとしても変わりません。法律では、企業が支出の詳細を隠していたとしても、税務当局はその企業から支出の詳細を求める権利を保持しています。たとえ使途秘匿金の支出に追加課税されたとしても、その使途の調査は積極的に行われ、実際に利益を得た人が特定されれば、その人に対する課税は適用されます。そのため、使途秘匿金への追加課税は、あくまで罰則的な性質を持ち、利益享受者への課税に代わるものではありません。

使途秘匿金の支出額に対する追加課税制度の概略と申告書での記載の方法

Q.使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の概略を説明してください。申告書ではどのように記載して、追加課税に係る税額を納付するのですか。

A.使途秘匿金の支出額に対する追加課税制度は、企業が支出の相手先を明らかにしないことで、不正や違法な支出を隠すのを防ぐ目的で設けられた制度です。この制度の下では、1994年4月1日以降に使途秘匿金を支出した法人は、その事業年度の所得に基づく法人税額に、その支出額の40%に相当する額を追加で課税されます。使途秘匿金の支出は、通常の交際費等としても費用や損失に計上されないため、実質的な法人税等の税率は805%になることがあります。

申告書への記載方法としては、別表一の「法人税額計□」の欄の上部に使途秘匿金に対する追加課税額を外書きし、「控除税額図」及び「差引所得に対する法人税額□」の欄では、この追加課税を含めた額を計算に入れます。使途秘匿金に関連する支出は、税務調査で費途が明らかになった場合を除き、通常は損金に算入されません。確定申告や中間申告の際には、別表四で加算調整を行い、使途秘匿金が資産に計上されている場合の記載方法は別の章で詳しく説明されています。特定同族会社に関しては、留保金額の計算に使途秘匿金に対する追加法人税額も含める必要があります。ただし、使途秘匿金の支出日や金額を記載する専用の別表は存在しません。

他の者を通じて行った使途秘匿金の支出

Q.使途秘匿金の支出を取引先を通じて行った場合、当社の帳簿に支出の相手方として取引先の名称、所在地が記載されるので、使途秘匿金に関する追加課税は取引先に行われると考えてもいいですか?

A.法人が金銭の支出先の情報を帳簿に記録していても、その金が実際には記録された取引先以外の誰かに渡されたと認められた場合、その支出は使途秘匿金として見なされます。つまり、取引先の名前を帳簿に書いていても、実際の支出が他の人に渡ったと分かれば、その支出は企業が行った秘匿支出として扱われます。これには裏金や政治献金などが隠れている場合も含まれ、その類の支出を取引先や仲介業者を介して行っていた場合、重加算税が課されることがあり、さらには青色申告の承認が取り消されることもあるので注意が必要です。

使途秘匿金と費途不明の交際費等の税務処理

Q.使途秘匿金には機密費等の費用として計上したものだけでなく、資産として計上したものも含まれるが、費途不明の交際費等は費用として計上したものに限られ、資産として計上したものには適用されないと考えてよいですか。

A.あなたの質問は、使途秘匿金と費途不明の交際費等の違いに関連しています。使途秘匿金は企業が支出したお金全体を指し、これには機密費や交際費などの費用として、または仮払金や貸付金などの資産として計上されたものが含まれます。一方、費途不明の交際費等については、主に費用として支出されたお金を指し、この定義はかなり広範にわたります。このため、仮払金などの資産として計上されたものも、その使途が不明な場合はこのカテゴリーに入ることがあります。

税務上の取り扱いについては、もし仮払金を資産として計上し、その後費用または損失として調整する場合、初めに仮払金として計上した金額は費途不明の交際費等として再分類され、法人税の追加課税の対象になります。もし支出した金額を固定資産の取得価額に含めた場合でも、これらの金額は費用として認識されず、後に特定の調整を必要とします。

要点としては、使途秘匿金や費途不明の交際費等として資産に計上されたものも税務上の注意が必要であるということです。

使途秘匿金と費途不明の交際費等の関係

Q. 租税特別措置法第62条の「使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例」の規定による使途秘匿金と、法人税基本通達9-7-20における「費途不明の交際費等」は内容が同じですか?

A. 租税特別措置法第62条に基づく「使途秘匿金の支出」は、法人が行った金銭の支出において、支出の詳細(相手先の氏名や住所など)を帳簿に記載していないものを指します。この使途秘匿金と法人税基本通達9-7-20の「費途不明の交際費等」は似ていますが、次のような違いがあります:

1. 判定時期について:使途秘匿金の場合は、事業年度終了の日または必要な申告書の提出期限時の状況に基づき決定されます。つまり、仮に税務調査後に帳簿に記載された場合でも、適用除外にはならず、追加課税の対象となります。一方、「費途不明の交際費等」についてはこのような制限がなく、税務調査で費途が明らかになれば損金不算入とはなりません。

2. 赤字法人の扱い:使途秘匿金は赤字であっても追加課税が適用されますが、費途不明の交際費等は所得の金額が発生しない場合、納付税額は生じません。

3. 設置目的の違い:使途秘匿金に対する追加課税制度は、違法や不正支出を防ぐために設けられました。一方、費途不明の交際費等の損金不算入は、税法上の損金として不正に計上されることを防止するためのものです。これらの制度や扱いは目的が異なります。

減価償却資産の取得価額における交際費等の扱い

Q.減価償却資産の取得価額に算入された交際費等がある場合の当該資産の税法上の取得価額はどのように計算されますか?

A.減価償却資産の取得価額を計算する際、交際費等の損金不算入額を考慮する必要があります。例えば、減価償却資産を1,000万円で購入し、その中に12万円の交際費等の損金不算入額が含まれている場合、税法上の取得価額は1,000万円から12万円を引いた988万円となります。その結果、償却限度額は49.4万円となり、50万円の減価償却費から49.4万円を差し引いた0.6万円の償却超過額が生じます。しかし、購入代価に交際費等の損金不算入額が含まれないとする解釈は誤りです。税法では、減価償却資産の取得価額には、購入代価に直接要した費用の合計が含まれますが、交際費等の損金不算入額は含まれないとされています。そのため、事業年度終了時の帳簿価額における損金不算入部分相当額を申告減算調整することになります。

減価償却資産の原価に算入された交際費等の申告調整後の処理

Q.減価償却資産に対する原価に算入した交際費等を申告で減算した場合、翌事業年度にその減価償却資産の帳簿価額を決算調整する際の仕訳はどうなりますか?また、二重課税の排除のために申告で調整することの意義について教えてください。

A.交際費等が減価償却資産の原価に含まれていた場合の具体的な例で説明します。1000万円の減価償却資産を取得し、そのうち交際費等が60万円だったとしましょう。この資産の減価償却費が50万円、交際費等の合計が1000万円(そのうち損金不算入額が200万円)でした。翌事業年度に11.4万円を加算する際には、帳簿価額を決算調整する仕訳は、損金不算入額に相当する金額12万円が取得価額に含まれないよう仕訳します。これは、税務上マイナスの利益積立金額として扱い、その金額の一部は翌事業年度の減価償却費に対応する金額だけ加算されますが、残りの金額は資産が処分されるまで残ります。この処理は、会計基準と税法の間の整合性を図るための調整として機能し、税務調査でも問題ない方法です。未来のなびドラの独自開発システムによる解説では、交際費等を減価償却資産の原価に含め、後で税法上調整する場合の仕訳や考え方について具体的に分かりやすく説明しています。