「法人税」カテゴリーアーカイブ

親法人が有する子法人の株式等に寄附修正事由が生じた場合

Q.100%グループ内の法人間の寄附によって、子法人が益金不算入となる受贈益の額を受けた場合又は損金不算入となる寄附金の額を支出した場合、親法人の利益積立金額及びその有する当該子法人の株式等の帳簿価額に加算すべき金額が生じるとのことですが、その内容を説明してください。

A.親法人が完全支配する子法人との間で、子法人が他の法人から益金不算入の受贈益を受けるか、または他の法人に損金不算入の寄附金を支出する場合に寄附修正事由が発生します。この場合、親法人は特定の計算式に基づいて算出された金額を、その子法人の株式や出資の帳簿価額と利益積立金額に加算しなければならないことになります。この修正は、子法人の株式等の帳簿価額に対して行われるため、子法人に対する受贈益があった場合は株価が増加して利益積立額が増加し、逆に寄附金を支出した場合は株価が減少して利益積立額が減少するという税務上の取り扱いになります。たとえば、ある完全支配下の子会社に人件費として100万円を支払った場合、この子会社は受贈益を受けたとして扱われ、親会社と子会社の税務上の処理はそれぞれ特定の方法で行われます。別の例として、100%保有のグループ会社間で100万円の寄附金が行われた場合、影響を受ける各社はそれぞれ特定の処理を行い、最終的にグループ内の利益積立金額の増減が0となるように調整されます。

寄附金の損金不算入、受贈益の益金不算入をするための申告調整の方法とその会計処理

Q.100%グループ内の法人間の寄附によって、寄附を行った法人での寄附金の額の損金不算入、寄附を受けた法人での受贈益の益金不算入は、別表四にどのように記載をして申告調整をするのですか。また、この申告調整額を明らかにするための会計処理として、必要なものを教えてください。

A.寄附金の損金不算入や受贈益の益金不算入を申告する際の方法は以下の通りです。まず、完全支配関係にある法人間での寄附金について、その額を「完全支配関係がある法人に対する寄附金額」欄に記入し、別表四の「寄附金の損金不算入額」欄で損金不算入として申告します。受贈益に関しては、別表四の「受贈益の益金不算入額」欄に記入して益金不算入として申告します。

会計処理としては、例えば親会社が債権放棄による損失を完全子会社に対して寄附した場合、親会社では「債権放棄損失」、完全子会社では「債務免除益」を記録し、その金額が寄附金、受贈益として別表四で調整されます。これにより、親会社では損金不算入、完全子会社では益金不算入となります。一方、親会社が子会社の貸付金の利息を免除した場合など、実際の会計処理は生じない例もありますが、税務上は支払利息を損金算入し、同額を益金に算入する「両建て処理」が考慮されます。しかし、このような両建て処理は必ずしも要求されるものではなく、税務上は寄附金や受贈益の額の計算方法やその正当性が重視されます。したがって、損金不算入とする場合には関連する明細書を、益金不算入とする場合には算定方法等の明細書をそれぞれ申告書に添付することが推奨されます。

100%グループ内の法人間で授受される寄附の損金不算入及び益金不算入

Q.100%グループ内の法人間の寄附は、寄附を行った法人において全額損金不算入、寄附を受けた法人において全額益金不算入とされていますが、詳しく説明してください。

A.100%グループ内の法人間での寄附に関して、次の二つの重要な規定があります。

1. 完全支配関係にある法人間での寄附金は、寄附を行った法人では損金に算入されず、寄附を受けた法人では益金に算入されません。このルールは、内国法人が同じ内国法人と完全支配関係にある他の内国法人へ支出した寄附金について適用されます。寄附金の額は、受け取り側の法人において益金として計上されない限り、損金には算入されません。

2. 完全支配関係にある法人が受ける受贈益(寄附金などの形で受け取った経済的利益)は、益金に算入されません。この規定は、内国法人が完全支配関係にある他の内国法人から受けた資金や経済的利益に適用されますが、寄附を行った側の法人において損金として計上される場合に限ります。

これらの規定は全て、100%支配するグループ内の法人間での寄附に限定されています。例えば、一方の法人がもう一方を100%支配している状況での寄附は、上記の規定の対象となります。しかし、両法人が共に第三者法人によって100%支配されている間接的な関係である場合でも、これらの規定が適用されます。

ただし、以下の二つのケースでは、これらの規定の適用が除外されます。

1. 寄附金が法人税法に基づく寄附金に該当しない場合、寄附を行った側の法人において損金不算入、寄附を受けた側の法人において益金不算入とはされません。

2. 一方の法人が公益法人等である場合、寄附金または受贈益が非収益事業に関連するとき、これらの規定は適用されません。公益法人等から非収益事業に関連する財産から寄附が行われた場合、または公益法人等が非収益事業に属する受贈益を受け取った場合、対応する寄附金や受贈益はこれらの規定の対象外となります。

グループ法人税制における譲渡損益の取り扱い

Q.あるグループ内で土地が譲渡された場合、この土地に関する譲渡損益はどのように扱われますか?

A.グループ内で土地が譲渡された場合、その土地に関する譲渡損益は特定の条件下で益金や損金として計上され、税務上の取り扱いが発生します。具体的には、ある法人が持つ土地をグループ内の別の法人に譲渡した際、この土地に関する譲渡損益は繰延べられます。これは、譲渡法人が計上していた繰延べ譲渡損益を、特定の事由が生じた場合に益金や損金として戻し入れるためです。この処理は、譲受法人がその土地を再度グループ内の別法人へ譲渡する場合にも同様に適用されます。譲渡された土地の価値が変動した場合、その譲渡損益は新たな譲受法人の税務上の計算において損金または益金として計上されます。この制度の目的は、グループ内で資産の価値が低下したときにそれをグループ外に移すこと無く、グループ内でその損失を損金として算入するという税務上の節税対策を防止することにあります。ただし、グループ内での資産の価値が変動することによる税務上の取り扱いの現行制度には、改善の余地がある点に注意が必要です。

譲渡損益調整資産の処理

Q.譲受法人において減価償却費が計上された場合、譲渡法人はどのような申告調整を行いますか?

A.譲渡法人が繰延べている譲渡損益調整資産に関する譲渡損益は、譲受法人において償却費が発生した場合、法律に基づき決められた方式に従い益金または損金に計上します。譲受法人が計上した償却費の額と譲渡法人が確保している譲渡利益または譲渡損失の額を基に、益金または損金の額が調整されます。譲渡損益調整資産である建物に関して、譲渡法人A社が計上した譲渡損失額20百万円が別表五の「譲渡損益調整資産(建物)」として計上されているので、譲受法人B社で計上された償却費5百万円を損金に算入します。この処理により、譲渡法人A社では、別表四に譲渡損益調整額2百万円を減算保留し、別表五の該当欄に20百万円から2百万円を控除した18百万円を記入します。結果として、譲渡前の帳簿価額70百万円に対し、譲渡法人A社で減算調整した2百万円と譲受法人B社で計上した償却費5百万円の合計7百万円が減価償却費として損金算入され、残りの63百万円がそれぞれの会計帳簿に計上されます。また、計算を簡略化するための代替手段として、特定の計算式に基づいて益金算入額または損金算入額を出すことも可能ですが、その適用には確定申告書に計算の詳細を記載する必要があります。

譲渡損益調整資産の譲渡損益の申告調整方法と譲受法人での取得価額

Q.100%グループ内の法人で、譲渡損益調整資産を譲渡したときの譲渡損益の申告調整方法を教えてください。譲受法人での当該資産の取得価額は、譲渡法人の譲渡直前の帳簿価額を引き継ぐのですか?

A.譲渡損益調整資産を100%グループ内の法人間で譲渡する場合、通常は譲渡法人は譲渡価格を当該資産の譲渡原価と同じに設定することなく、譲渡による利益または損失を計上しません。しかし、法人税法では、譲渡法人がそのような資産を譲受法人に譲渡すると、その譲渡に関連する利益または損失の額をその年度の所得計算上、損金または益金に算入すると規定しています。これにより、譲渡利益または譲渡損失の額を譲渡法人は計上し、申告調整を行います。

譲受法人においては、譲受けた資産の取得価額は、譲渡時の実際の価額(時価)になります。事例を通して説明すると、A社が帳簿価格70百万円の建物を時価50百万円でB社に譲渡した場合、A社は建物譲渡損20百万円を益金として申告調整を行いますが、B社においては、特に申告調整する事項はありません。また、C社が帳簿価格25百万円の土地を時価40百万円としてD社に譲渡した例では、C社は寄附金15百万円を損金不算入とし、土地譲渡益15百万円を損金算入して申告調整を行います。D社では、受贈益15百万円を益金算入する申告調整を行いますが、完全支配関係があるため益金不算入となります。

これらの処理の結果、譲渡損益調整資産の取得価額は、実際に譲渡された価額(時価)として計上されることになります。

グループ法人税制、企業組織再編税制

Q.100%グループ内の法人間で譲渡損益調整資産の譲渡取引があった場合、その譲渡損益を繰延べるという規定が設けられていますが、その内容を説明してください。

A.100%グループ内の法人間で譲渡損益調整資産の譲渡がある場合、譲渡による利益や損失はすぐに計算に入れず、繰り延べることが可能です。この規定は、法人税法第61条の11に定められております。以下に詳細を説明します。

まず、「譲渡損益調整資産」とは、主に固定資産、土地、有価証券、金銭債権、そして繰延資産などを指しますが、売買目的の有価証券や一定の小額資産などは含まれません。

利益が出た場合、通常はその利益(譲渡利益額)は課税所得に加算されますが、100%グループ内の法人間での譲渡の場合には、この利益を損金として計上することができ、損失が出た場合にはその損失(譲渡損失額)を益金として計上できます。これによって、譲渡による損益は、すぐに税の計算に影響せず、繰り延べられます。

繰り延べられた譲渡損益は、譲受法人(資産を受け取った法人)がその資産を譲渡し、償却するなどした場合に、譲渡法人(資産を譲渡した法人)の課税所得の計算で考慮されます。具体的には、譲渡した資産が特定の事由で価値の変動があった時に、その変動分を課税所得に加えるか、または減らすことになります。

さらに、この制度では、譲渡法人と譲受法人が互いに、資産の譲渡や価値の変動などの特定の事項を通知しなければなりません。この通知は、法令で特定の方法が定められていないため、両法人が適切と考える方法で行います。

完全支配関係を有することとなった日の意義

Q.100%グループ税制において、完全支配関係の有無の判定に当たり、一の者が法人の株式を購入することにより当該法人に対する完全支配関係を有することとなる場合、完全支配関係を有することとなった日は、当該株式の購入に係る契約が成立した日、当該株式の引渡しの日等のうち、どの日をいうのでしょうか。

A.100%グループ税制では、法人間の支配関係が発生した日は非常に重要であり、その日によって税制の適用が決まります。質問で指摘されたケース、つまり一の者が法人の株式を購入し、その法人に対して完全支配関係を持つことになった場合、その「完全支配関係を有することとなった日」は、契約成立日ではなく、株主権が行使可能になった日、と言えます。これは、株式が全て引き渡され、実際に株主としての権利を行使できる状態になった日を指します。逆に、完全支配関係がなくなる場合は、その権利が行使不可能になる日が、支配関係がなくなった日とされます。法人税基本通達では、完全支配関係が発生する原因ごとにその日が定められており、例えば株式の購入の場合は株式が引き渡された日、新たに法人が設立された場合はその事業年度開始の日、組織再編の場合は通達で定める組織再編成の日がそれぞれ支配関係が発生した日とされます。株式を譲渡した法人の場合、その譲渡損益の計算日は、契約成立日とされています。

完全支配関係の判定で除外できるもの

Q.一定の従業員持株会などの株式保有割合が5%未満の場合、完全支配関係の判定に当たって除外することができると定められていますが、その内容を説明してください。

A.完全支配関係とは、ある者が企業発行の株式のすべてを直接または間接に保有している関係のことです。ここでいう株式には自己株式は含まれません。株式の総数から一定の株式を除外する規定があり、それによると発行済み株式の合計が5%未満の場合、その株式を判定から除外できます。この除外が可能な株式には、主に次の2つがあります。

1. 従業員持株会が保有する株式:これは、従業員が加入する組合が株式を取得することを主目的としている場合に限ります。従業員持株会であれば、一般的にはこの条件を満たすと見なされます。ただし、信託銀行方式の従業員持株会は除外されます。また、従業員持株会のメンバーである従業員には、役員を兼務している者は含まれません。

2. 新株予約権の行使による所有株式:これは、会社が役員や従業員(過去にそれらの立場にあった人やその相続人を含む)に新株予約権を与え、その権利を行使して得た株式です。これには過去に成立した特定の権利付与に関する条項が含まれます。

このように、特定の株式は完全支配関係の判定において5%未満という割合で考慮される場合、判定から除外することが可能です。

直接完全支配関係 とみな し直接完全支配関係

Q.法人税法施行令第4条の2第2項における「直接完全支配関係」と「みなし直接完全支配関係」の違いを教えてください。

A.法人税法施行令第4条の2第2項では、「直接完全支配関係」と「みなし直接完全支配関係」について次のように規定されています。「直接完全支配関係」とは、ある個人または法人が別の法人の発行した株式や権利の全てを所有している状況での両者の関係を指します。一方、「みなし直接完全支配関係」とは、ある個人または法人が直接完全支配関係にある一つ以上の法人を通じて、別の法人の発行した株式や権利の全てを間接的に所有している状況での関係を指します。具体例として、図1では、個人Aと直接完全支配関係にあるB法人が他の法人甲社の全ての株式を所有している場合、個人Aと甲社は「みなし直接完全支配関係」にあるとみなされます。同様に、図2では、個人Dと直接完全支配関係にあるE法人が他の法人丙社の全ての株式を所有している場合、個人Dと丙社も「みなし直接完全支配関係」にあるとみなされます。このように、直接と間接の保有を組み合わせて、完全支配関係が認定されることがあります。