「所得税」カテゴリーアーカイブ

スキャナ保存制度

Q.「電子帳簿等保存制度」のうちスキャナ保存の制度について、その概要及び要件を説明してください。

A.スキャナ保存制度とは、国税関係書類の保管義務を持つ者が、ある書類を除いて、これらの国税関係書類をスキャナで電子的に記録し、その記録を保存することで紙の書類の保存を代替することができる制度です。この電子的な記録の保存には、真実性や可視性を保持するための特定の要件があります。具体的には、書類の読み取り時期、解像度、カラー画像での読み取り、タイムスタンプの付与、バージョン管理、スキャン文書と帳簿の関連性の維持、適切な表示装置の設置、整然とした出力、電子計算機処理システムの文書の保管、および検索機能などです。これらの要件には、一般書類や過去分の重要書類に対する特別な規定が含まれています。例えば、一般書類は色情報がなくてもグレースケールでの保存が認められていますし、過去に作成または受領された重要書類については、その保存に関する手続きを示す文書の保持や、適用を税務署に届け出ることが必要とされています。さらに、令和6年1月1日以前に保存する国税関係書類には、解像度や階調情報、大きさ情報の保存、入力者情報の確認といった追加の要件が課されます。

電子帳簿等保存制度

Q.「電子帳簿等保存制度」のうち電子帳簿等保存の制度について、その概要を説明してください。

A.電子帳簿等保存制度では、国税に関連する帳簿や書類をデジタル形式で保存することが認められています。この制度にはいくつかのポイントがあります。まず、国税に関する帳簿や書類を電子的に記録し、特定の要件を満たすことで、それらを電子的な形で保存しても、法的には紙で保存したのと同じとみなされます。これには、最初から一貫してコンピュータを使用して作成した帳簿や書類が含まれます。また、デジタル保存時にはシステムの概要書の提供や、データが読み取り可能な状態を保つなどの要件を満たさなければなりません。

特に、「優良な電子帳簿」と認められた場合、過少申告加算税の軽減措置の対象にもなります。この「優良な電子帳簿」とは、訂正や削除の履歴を残すなど、特定の要件を満たした帳簿のことを指し、適用を受けるためには事前に届出が必要です。電子帳簿保存制度における保存方法には、電磁的記録による保存以外にも、マイクロフィルムによる保存(COM保存)という方法もあります。どの方法を選択するにしても、国税関連の帳簿・書類の信頼性を保ちながら、紙の帳簿・書類の管理にかかる負担を軽減できるメリットがあります。

電子帳簿等保存制度の概要

Q.「電子帳簿等保存制度」とは、どのような制度ですか。その概要を説明してください。

A.電子帳簿等保存制度とは、税法で保存が必要とされる帳簿や国税関係書類(例えば、領収書、請求書、決算書など)を、紙の形でなく電子データで保存することを可能にする制度です。この制度には、以下の3つの部分があります。

1.**電子帳簿等保存**: 自分でパソコンなどを使い、最初から最後まで作成した帳簿や国税関係書類は、印刷して保存する代わりに電子データとして保存できます。例として、会計ソフトで作成した仕訳帳や、パソコンで作成した請求書のコピーなどがこれに当たります。電子で保存を始める際に特別な手続きはいらず、2022年1月1日以降いつでも開始できますが、通常、課税期間の途中から電子保存を適用することはできません。また、特定の条件を満たして「優良な電子帳簿」を保存している場合、後になって過少申告が発見されても過少申告加算税が5%軽減されるメリットがあります。この特典を受けるにはあらかじめ届出が必要です。

2.**スキヤナ保存**: 決算関係書類以外の国税関係書類(例えば、取引先からもらった紙の領収書や請求書など)は、紙の書類を直接保存する代わりに、スマートフォンやスキャナーで読み取った電子データとして保存することができます。スキヤナ保存も2022年1月1日以降いつからでも始められますが、スキャナ保存を始める日より前に作成された、または受け取った重要な書類をスキャナ保存したい場合は、あらかじめ税務署へ届出を出す必要があります。

3.**電子取引データ保存**: 保存義務が課されている個人や企業は、注文書や契約書、送り状、領収書、見積書、請求書などといった文書の電子データをやり取りした場合、その電子データを保存しなければなりません。

自色申告者の記帳内容

Q.白色申告者であっても不動産所得、事業所得または山林所得を生じる業務を行う者は記帳をしなければならないと聞きましたが、どのような事項を、どのように記帳すればよいか説明してください。

A.白色申告者で不動産所得、事業所得、山林所得を得る場合、記帳には次のような情報を含める必要があります。まず、売上に関する情報としては、取引の年月日、売上先やその他関係者、金額、それぞれの日における売上の合計額が必要です。加えて、加工やサービス提供による収入と家庭での消費も売上とみなします。売上以外の収入、例えば雑収入については、取引の年月日、事由、関係者、金額を記録します。仕入れについては、取引の日、仕入れ先、金額、日々の仕入れ合計額が必要です。最後に、仕入れ以外の費用に関しては、雇用費用、外注費、減価償却費、損失、地代や家賃、利息や割引料などを含むその他の経費を、取引の日、理由、支払先、金額に分けて記載します。帳簿の形式や種類は特に決まっていませんが、記載事項は法令や告示で指定されている基準を満たす必要があります。記録は一目で分かるように明確かつ整然とした形で科目ごとに分けて行い、正確な所得の計算ができるようにしてください。ただし、取引内容が納品書などで確認できる場合は、その日の合計をまとめて記録する簡易的な方法も認められていますが、請求書や領収書などの書類はきちんと整理し保存する必要があります。

自色申告者の記帳制度の概要

Q.白色申告者を対象とした記帳・帳簿等保存制度について、その概要を説明してください。

A.不動産所得、事業所得、または山林所得を得る業務を行っている人は、前年や前々年の確定申告があったか、また所得の額がどれくらいであったかに関係なく、取引記録の帳簿を準備しなければなりません。この帳簿には、年間を通じてこれらの所得に関連する総収入と必要経費を記録する必要があります。簡単な方法で記録することが許されています。さらに、これらの帳簿は7年間、そしてその他の関連する文書は5年間保存する必要があります。不動産所得、事業所得、または山林所得を得る業務に従事している居住者が確定申告を行う際には、その年の総収入と必要経費に関して記載された文書(収支内訳書など)の提出も必須です。ただし、帳簿記録がなく、所得に関連する収入が300万円を超える場合は除き、その所得が事業所得であることが認められる場合、その所得は雑所得とみなされる可能性があることに注意が必要です。

災害により帳簿等を消失した場合

Q.受託加工業を営んでおり、毎年確定申告していますが、失火により事業所に保管していた帳簿書類及び過去の申告書が消失してしまいました。この場合申告すべき所得金額が不明であることから申告の必要はありませんか。

A.帳簿書類や過去の申告書の控えなどが災害で失われた場合には、事業者や税理士は申告をするのが難しい状況になることがあります。このような時、可能な方法で帳簿書類を復元し(例えば、取引先や金融機関に取引内容を確認するなど)、合理的な方法に基づいて申告書を作成する必要があります。さらに、過去に提出した申告書の内容を確認する際は、税務署が提供する「申告書等閲覧サービス」を利用し、原則としてはコピー交付はされないものの、災害により重要書類が失われた場合は、災害を証明する書類を提出することで必要な部分のコピーを得ることができます。従って、帳簿などが災害で失われた場合でも、上記の方法で申告書を作成し、提出する必要があります。

復興特別所得税

Q.平成25年分の所得税から復興特別所得税が課税されると聞きましたが、何か特別な手続が必要ですか?

A.「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」が平成23年12月2日に公布され、復興特別所得税が設立されました。この制度により、所得税を納める義務がある方は、所得税と一緒に復興特別所得税も平成25年から令和19年まで納める必要があります。復興特別所得税の計算は所得税の基準所得税額に2.1%を乗じて求め、給与所得者は給与から源泉徴収されます。また、平成25年から令和19年までの各年の所得税の予定納税基準額及び予定納税基準額に2.1%を乗じた金額の合計が15万円以上の場合、予定納税と合わせて復興特別所得税も納付する必要があります。所得税と復興特別所得税は別々に申告・納付しますが、確定金額の合計に基づき申告書や納付書に記載し、合計額を納付しますので、特別な手続は必要ありません。予定納税に関しては、予定納税基準額とその基準額に2.1%を乗じた金額を合算し、合計が15万円以上になる場合に予定納税が必要です。

国外財産調書の提出制度

Q.海外に不動産や預貯金を保有している場合、確定申告の際にどのような書類を提出しなければならないのでしょうか?

A.居住者が年の最終日(12月31日)に5,000万円を超える価値の海外資産を持っている場合には、翌年の3月15日までに国外財産調書を所属する税務署に提出する必要があります。この国外財産調書には、資産の種類や量、価値などの詳細を記入する必要があります。海外財産とは、海外にある動産や不動産、預貯金、有価証券などを指し、それらの価値は12月31日時点の市場価値またはそれに準じる見積価値で計算されます。計算にはその日の外国為替レートも使用されます。もし、自分の海外財産の合計が5,000万円を超えるなら、指定された期間内に国外財産調書を提出してください。さらに、国外財産に関する所得が2,000万円を超える場合の他の報告義務は、この調書の提出で免除されます。また、提出が遅れたり、誤った情報で提出した場合には罰則が適用される場合があります。ただし、一定の条件下では罰則が軽減されたり、免除される場合もあります。令和4年度の税制改正により、令和5年分以後の提出期限はその年の翌年の6月30日に変更されています。

財産債務調書

Q.今年2,000万円を超える所得があるため、確定申告の際には財産債務調書を提出しなければならないと聞きましたが、どのようなものですか。

A.平成27年度の税制改正により始まった国外転出時課税制度を実施するため、所得税と相続税の正確な課税を確実にする目的で、「財産債務調書」という新しい制度が設けられました。この制度では、年間所得金額が2,000万円を超える人、総資産が3億円以上、または国外転出時課税の対象となる資産が1億円以上の人が対象となります。提出期限は翌年の3月15日までです。財産債務調書には、財産や負債の種類、数量、価額、不動産や有価証券の所在地や銘柄などを記載する必要があります。この書類を提出することで、所得税と相続税の申告加算税が5%軽減されますが、提出しないか記載が不備の場合は5%加重されます。ただし、財産債務調書自体には罰則が設けられていませんが、国外財産調書の不提出や虚偽記載には罰則があります。令和4年度の税制改正では、提出基準と期限がさらに見直され、総資産が10億円以上の人も対象になり、提出期限が翌年の6月30日に変更されました。

電子申告における第二者作成書類の添付省略

Q. e-Taxを利用して所得税の確定申告書を提出する場合、生命保険料控除の証明書など第三者作成書類の添付省略の制度について教えてください。

A. e-Taxを使用して所得税の確定申告書を提出する際、生命保険料控除の証明書などの第三者作成書類に関しては、その内容をe-Tax上で入力して送信することで、直接税務署にこれらの書類を提出または提示する手続きを省略できます。ただし、税務署は入力内容の確認のために、法定申告期限から5年間、これらの書類の提出または提示を要求することがあります。要求に応じなかった場合、確定申告書にこれらの書類が添付または提示されていないものとして扱われます。省略が可能な第三者作成書類には、給与所得者の特定支出の控除の特例に関する証明書、個人の外国税額控除に関する証明書、雑損控除の証明書、医療費通知や医療費に関する使用証明書(おむつ証明書など)、セルフメディケーション税制に関する書類、社会保険料控除の証明書、小規模企業共済等掛金控除の証明書、生命保険料控除の証明書、地震保険料控除の証明書、寄附金控除の証明書、勤労学生控除の証明書、住宅借入金等特別控除に係る書類、特定増改築等住宅借入金等特別控除に関する書類、政党等寄附金特別控除の証明書、認定NPO法人寄附金特別控除の証明書、公益社団法人等寄附金特別控除の証明書、特定震災指定寄附金特別控除の証明書が含まれます。令和3年分以降の所得税からは、医療費控除の明細書を入力して送信することで、税務署への提出または提示を省略できるようになりました。また、セルフメディケーション税制の明細書も平成29年分以降の所得税から同様の手続きが取れます。平成31年4月1日以降は、給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票、特定の証券投資信託などの書類の提出または提示も不要になりました。