「所得税」カテゴリーアーカイブ

土地信託に基づく分配金の所得区分

Q.私は遊休土地を所有しており、A信託銀行と土地信託契約を結びました。A信託銀行は土地にビルを建てて賃貸し、その収益から手数料を差し引いた残額を私に分配します。この分配金の所得区分は何になりますか?

A.あなたがA信託銀行と結んだ土地信託契約に基づき、貸し出されたビルから得られる分配金は、不動産所得に分類されます。信託契約により、あなたは受益者として不動産の所有者とみなされ、賃貸料収入と手数料はあなたの収益と費用として認識され、税法上、不動産所得として課税されます。なお、通常の土地信託では、信託財産上の建物も信託財産に属するため、この不動産所得の計算において減価償却費や借入金利子、公租公課等を必要経費として算入できます。

参考:所得税法第13条第1項

返還を要しない敷金について

Q.敷金の返還条件について、契約が終了する時に返還を要しない部分の金額が確定すると考えて良いですか?

A.貴方が質問された約定では、貸主から契約解除がなされた場合は敷金全額が返還されますが、その他の場合では契約終了時に敷金の90%が返還されます。これにより、返還を要しない部分の金額は、貸主から契約解除がなされない限り、契約時点で敷金の10%に相当すると明確にされています。そのため、契約終了時に返還を要しない部分の金額が確定すると見なしてよいです。貸主から契約解除が生じた場合、敷金の未返還分(10%部分)は、その時点で損害賠償金として借家人に返還され、貸主の経費として扱うことになります。通常、貸主からの契約解除の場合、相応の立退料支払いも想定されるため、解除される10%の敷金は立退料として予約されていると考えられます。

参考:基通36-7

不動産貸付けの規模

Q.私はサラリーマンで、アパートの貸室が8件あり、青色申告をしています。相続で得た土地を青空駐車場として整備し、30件を貸し付けることにしました。このアパートや青空駐車場の管理と事務を妻が行っています。妻を青色事業専従者として届け出、その給与を必要経費に算入できますか?また、正規の簿記の原則に従い記帳しており、青色申告特別控除として55万円を差し引くことは認められますか?

A.あなたがアパートと青空駐車場を貸し付けている規模が事業として認められるかどうかによって、妻を青色事業専従者として届け出てその給与を必要経費に算入すること、及び青色申告特別控除55万円の適用が可能かが決まります。貸し付けている不動産の件数や管理状況を基に、事業としての認識がある場合、妻の給与を必要経費として算入し、青色申告特別控除の適用も認められると考えられます。

参考:

– 貸し付けることが可能な独立した室数がおおむね10以上の場合

– 独立家屋の貸し付けについては、おおむね5棟以上であること

– 1室の貸付けに相当する土地の貸付け件数を「おおむね5」として判定

不動産所得に関する質問

Q. 私はビルを5棟所有し、事務所や店舗として貸し付けています。この場合、大規模な不動産の貸付けによる所得は不動産所得になりますか?また、貸付けの規模によって所得の計算方法に違いはありますか?

A. はい、ビルを貸し付けることによる所得は不動産所得になります。不動産所得とは、不動産や不動産の上にある権利、または船舶や航空機の貸付けによる所得のことです。貸付けの規模がどれだけ大きくても、事業から得られる所得は不動産所得であり、事業所得には該当しません。しかしながら、貸付けがある程度の規模で事業として行われているかどうかによって、税法上の取り扱いに差異があります。事業として行われている場合、特定の損失金額を全額必要経費に算入できますが、そうでない場合は損失金額の必要経費算入に制限があります。また、青色申告特別控除は、事業としての規模で不動産貸付けが営まれる場合に限り適用されます。ビルを5棟貸し付けている場合は、事業として取り扱われ、例え建物を取壊した場合に発生した損失は全額必要経費に算入できます。

参考:

– 不動産所得とは、不動産や不動産の上にある権利、または船舶や航空機の貸付けによる所得。

– 事業として行われているかどうかで税法上の取り扱いに差があり、事業の場合は特定の損失金額を全額必要経費に算入可能。

– 青色申告特別控除は、事業としての規模で不動産貸付けが営まれる場合に限り適用される。

所得の帰属に関する質問

Q.自分が保有していたA電力会社の株式をB信託会社に信託し、配当金を孫に直接支払う場合、その配当所得は私の所得となりますか。

A.信託を利用してA電力会社の株式から得られる配当を孫に分配する場合、この配当は孫が所有しているとみなされ、孫に対して課税されます。信託手数料は配当所得の計算では控除できません。信託の受益者が適正な対価なしにその地位を得た場合、贈与税の対象となる可能性があります。

参考:

– 信託法2条

– 所得税法13条①

– 相続税法9の2条①

賃借人が受領した立退料の所得の帰属

Q.借家の立退料を夫婦が折半して各人の所得として申告することは認められますか?賃貸契約は家主と夫の間で結ばれています。

A.通常、立退料は賃貸契約の解除に伴う補償などとして支払われます。立退料はその資産の所有権者に帰属するため、この場合は賃貸契約の当事者である夫がその所有者とみなされ、立退料収入は夫の所得として申告する必要があります。ただし、賃貸契約の当事者が亡くなった場合、借家権は相続人が引き継ぎ、相続人が複数いる場合は、契約者の名義変更がない限り税務上の関係も相続分に応じて分割されます。

参考:

– 所得はその資産の所有権者に帰属する(所得税法第12条、基本通達12-1)

– 借家権が相続される場合、相続分に応じて税務上の関係も分割される(民法第896条、第899条)

未分割の遺産から生じる不動産所得の帰属

Q.相続人が争いの最中にもかかわらず、未分割の遺産から生じた不動産収入がある場合、この所得の申告はどのように行われ、どのように計算されるのでしょうか?また、協議分割が法定相続分と異なる場合、この処理はどのようになるのでしょうか?

A.未分割の遺産は、各相続人が共有していると見なされ、共有割合は法定相続分に基づくことになります。したがって、未分割遺産から生じる不動産所得は、各相続人の法定相続分に従って計算し、それに基づいて申告を行います。もし、後に判決や和解により相続分が変更された場合は、変更された相続分に基づいて、その時点から遡って修正申告や更正の請求を行うのではなく、変更があった日から新たな相続分で申告を行うべきです。

参考:民法898、899、900、901

医師とその妻である薬剤師の所得の帰属

Q.私は内科医で、私の妻が薬局の開業許可を得て、私の医院の敷地内の別棟で薬局を開業しました。私と妻は生計を一にしていますが、薬局に関する所得を妻の所得として申告することは可能でしょうか?

A.お問い合わせの状況では、薬局経営の事業主はあなたであると認められ、その結果、薬局経営から得られる所得はあなたの所得として申告する必要があります。この結論に至る主な理由は、事業の実質的な経営者を特定する際に考慮すべき二つの点、すなわち経営支配力が誰にあるかという点と、薬局経営が医院経営とは独立した経営かどうかという点に基づきます。質問内容にあるように、薬局は医院で作成された処方せんに基づいた調剤のみを行っており、市販薬品は扱っていないため、薬局経営は医院経営に従属しているとみなされます。従って、薬局の経営支配力は医院の経営者であるあなたにあると認められ、その事業主としての所得として申告する必要があります。

参考:

– 所得税法における実質所得者課税の原則、事業の経営者の判定基準

– 薬局の業務内容および医院との関係性

所得の帰属

Q.夫の所有する土地に妻が建物を建設し、これを夫が代表者である法人に貸し付けている場合、法人が妻に支払う賃借料の中で、地代は夫の所得とし、家賃は妻の所得として所得税の申告をすることが認められますか?

A.このケースでは、法人が妻から借りる建物に対する賃貸料には土地の使用料が含まれていると見なされ、故に敷地利用権の対価も含めた賃貸料全体が妻の不動産所得として申告すべきです。もし妻が夫に地代を支払っていても、その地代は妻の不動産所得の計算時に必要経費には算入されません。ただし、妻が敷地として利用している夫の土地に関わる税金や公的な費用は、妻の不動産所得の必要経費に算入できます。

参考:所法12、基通12-1、所法56

個人への助成金の税務処理について

Q.国や地方公共団体から個人に支給される助成金は所得税の課税対象になりますか?

A.国や地方公共団体からの助成金に関しては、その具体的な内容によって、課税されるか非課税かが異なります。非課税となる助成金の例としては、特定の法律に基づいて非課税所得とされるもの、学資や災害見舞金などがあります。一方、課税される助成金は、事業所得、一時所得、雑所得に区分され、それぞれの所得に応じた税務処理が必要になります。特定の条件下では、支給された助成金が全額課税対象外となる場合もあります。

参考:

・新型コロナウイルス感染症対応休業支援金、特別定額給付金などは非課税。

・事業復活支援金や持続化給付金は、受取者の状況により、事業所得、一時所得、雑所得のいずれかとして課税。

・雇用保険の失業等給付や生活保護金品は非課税。