「所得税」カテゴリーアーカイブ

就職支度金

Q.新規採用に当たり、就職支度金50万円を支給する予定ですが、新規採用者に対する課税関係はどのようになりますか?

A.新規採用に伴って支給される就職支度金は、通常、転居などの費用を補填するためのものと考えられ、その範囲内であれば非課税です。しかし、支給される金額が就職に伴って発生する費用を超える場合、その超過部分は契約金とみなされ、税務上所得として扱われます。支度金は雇用契約を前提に支払われるもので、直接の雇用契約に基づくものではないため、給与所得ではなく、労務の対価として受ける性質があるため一時所得でもなく、事業所得としての性質もないため、雑所得として扱われます。支払う側は、支度金に対して源泉徴収税を徴収し、支払う必要があります。支払額が100万円を超える場合、超過部分には更に高い税率が適用されます。

代物弁済による利益

Q.友人に1,000万円を貸しておりましたが、金銭による返済に代え土地をもらいました。この土地は、不動産鑑定士の鑑定によれば時価1,500万円とのことですが、所得税の課税対象になりますか。

A.お問い合わせの内容について、金を貸しており、返済のために土地を受け取った場合、これは代物弁済と呼ばれるものとみなされます。また、この場合、契約で利息が設定されていたかどうかは明確ではありませんが、受け取った土地の価値が貸していた金額を超える部分は、特にその他の事情がない限り、利息として考えるのが適切です。収入の定義には金銭以外に物品を受け取った場合のその価値も含まれ、その価値は物を受け取った時の市場価値で評価されます。従って、消滅させた債権の額と受け取った土地の市場価値の差額、つまり500万円は受取利息として雑所得に含まれることになります。

就職支度金

Q.新規採用者に支給する就職支度金の課税関係について教えてください。

A.就職支度金は、基本的に新規採用者が就職に伴い転居するための費用に充てるもので、この限りでは非課税です。しかし、支給される就職支度金が、実際に就職に伴って支出する費用を超える場合、その超過分は就職者にとっての所得とみなされ、税金がかかる可能性があります。もっとも、この支度金は雇用契約を前提に支給されるもので、給与所得や一時所得、事業所得とは異なり、雑所得として扱われます。支給する企業は、支度金について所定の源泉徴収税額(1021%、100万円を超える場合の超過分には2042%)を源泉徴収しなければなりません。

厚生年金を過去にさかのぼって一括受給した場合の受給金の収入すべき時期

Q.厚生年金の受給資格があるにも関わらず、申請手続きを忘れていて、今年気づいたところ申請をしたところ、5年分の年金が一括で支給されました。この場合、支給された年金は全額本年度の所得として申告しなければならないのでしょうか?

A.公的年金等、例えば厚生年金や国民年金からの収入は、その支給の根拠となる法律や契約文書に記された支給日によって所得の時期が決まります。そうすると、5年分の年金が一度に支給された場合でも、各年分に割り当てられた支給日に基づいて各年ごとの収入として申告することになります。ですから、一括で受け取った年金を受給した年だけの所得として申告するのではなく、過去5年間の各年にわたって分けて申告する必要があります。

公的年金等の課税方法

Q.厚生年金や国民年金などの公的年金等については、雑所得とされた上、他の雑所得と区分して公的年金等控除が適用されるそうですが、その内容を説明してください。

A.公的年金等、例えば厚生年金や国民年金に対して適用される課税方法について説明します。これらの年金は、過去の勤務に基づいて受け取る年金や恩給(一時恩給を除く)、適格退職年金契約に基づく退職年金などは雑所得として扱われることになっています。この雑所得に対する税金の計算方法は、公的年金等を受け取る年間の総額から、公的年金等に対する特定の控除額を引いた残額に対して行います。

この控除額、すなわち公的年金等控除は、受給者の年齢に応じて変わります。65歳未満と65歳以上で控除の金額が異なります。具体的には、収入の額や他の所得の合計額によって、控除額が定められており、一定の範囲内で収入がある場合、収入に応じたパーセンテージと固定額の加算によって控除額が計算されます。

また、公的年金等を支払う際は、その年金額から決定された控除額を引いた後に一定の税率が適用され、これによって源泉徴収される税額が算出されます。このプロセスを通じて、公的年金等に対する効果的な課税が行われているわけです。

時効による土地の取得

Q.隣家が譲渡されることに関連し、自宅の敷地の一部が隣家のものであることが判明し、その返還を求められました。しかし、戦前から自分の土地として使用していたものであり、取得時効を援用し、正式に私の名義に登記しました。この所得は何所得となりますか?

A.所有する意思を持ち、誰からも異議を唱えられずに平然と他人の土地を使っていた人は、ある一定期間が経過した後、その土地を法的に自分のものとすることができます(民法145条)。この方法で土地を得た場合は、元の持ち主から所有権を引き継ぐのではなく、新たに所有権を獲得するということです。このように取得時効で得た土地は、何かの代わりに得たものではない一時的な所得として扱われ、通常は一時所得に分類されます(所得税法34条)。所得を計上する時期は、土地を取得時効で名義に登記した時点で、その価値はその時の市場価格に基づきます(所得税法36条)。

借入金の債務免除による利益

Q.借りていた借入金500万円の残金200万円が債務免除された場合、この債務免除益はどのような所得となりますか?

A.債務が免除されると、その債務の支出なしに消滅するため、債務免除益が発生し、これは利益とみなされます。この利益には、特定の業務に関連する事業所得、不動産所得、または雑所得、またはそれに付随するもの、従業員として受ける賃金や給料などの対価的性質を持つものを除外した、債権者から一方的に供与される利益として扱われます。このケースでは実際には、過去に役員を務めていた会社からマイホーム資金として借入れた金額の債務免除を受けたため、法人からの贈与として一時所得となります。個人から債務免除益を受けた場合は贈与税がかかり、所得税の対象外となります。

名義の無断使用に対する損害賠償金

Q.会社役員Aは、友人のBに名義と印鑑を盗用されていることに気づき、このほど、その事後処理として40万円の示談金を受け取りました。この示談金は、何所得となりますか。

A.Aさんは、友人によって名義が無断で使われたことで、自分の社会的な立場や名誉にダメージを受け、その補償として示談金を受け取りました。Aさんは会社の役員ですが、この示談金は、特許や著作権の無断使用による利益の補填とは異なり、また保険金のような性質のものでもありませんので、事業所得には当てはまりません。また、身体や精神への損害、突然の事故による財産損害の補償金や慰謝料にも該当しないため、非課税所得でもありません。結論として、この示談金は一時所得として扱われるべきです。

クイズの賞金

Q.クイズに当選し、その賞金を受け取りましたが、賞金の10%は老人施設に寄附する定めに従い、あらかじめ差し引かれています。この賞金はどの種類の所得として計算し、どのように申告すればよいですか?

A.クイズの賞金は、業務に関する収入や他の対価性のある収入とは異なり、一時的な収入として一時所得に分類されます。一時所得を計算するには、まず受け取った収入から、その収入を得るために直接支出した金額を引きます。その後、特別控除(50万円またはその残額のうち低い方の金額)を差し引いて計算します。クイズの賞金から老人施設への寄付分が差し引かれている場合、この寄付金は「収入を得るために支出した金額」と見なされ、一時所得の計算で支出として考慮されます。したがって、賞金から既に寄付分が差し引かれている場合は、その金額も一時所得を計算する際に考慮に入れます。

使用人等が受ける事務の合理化等による表彰金

Q.勤務先から事務の合理化に寄与する工夫をしたということで表彰金をもらいましたが、何所得となるのですか。

A.事務や作業をより良くするためのアイデアや改善策を考え、それが認められて勤務先から表彰金を受け取った場合、その表彰金がどのような所得に分類されるかは、その工夫や改善策がその人の普段の仕事内容に含まれているかによって決まります。具体的には、以下の2点に分かれます。

1. もし、そのアイデアや改善策が本人の日常業務として行われたものであれば、その報酬は給与所得と見なされます。

2. 日常業務以外で、偶然良いアイデアや改善策を思いついた場合は、その報酬を一度だけもらう場合は一時所得、そのアイデアや改善策により継続的に収益が得られる場合は雑所得となります。