「所得税」カテゴリーアーカイブ

株式等の譲渡による所得に対する課税

Q.株式等を譲渡したときの所得には、どのように課税されるのですか。

A.株式等の譲渡益を計算するとき、株式は上場株式等と一般株式等の2つに区分され、それぞれ申告分離課税という方法で税金が計算されます。これは、他の種類の所得とは別に計算し、税金を払う形式です。上場株式等の損失は一般株式等の所得から差し引くことができない、と同様に、一般株式等の損失も上場株式等の所得から差し引くことができません。また、具体的な状況によっては、異なる課税方法が適用されることがあります。これには、有価証券先物取引による譲渡、土地等の短期譲渡所得、ゴルフ会員権に似た株式の譲渡、源泉徴収口座での上場株式等の譲渡が含まれます。株式等には、株式や特別法によって設立された法人の出資者の持分など様々な形態があり、上場株式等には金融商品取引所に上場する株式等が含まれ、一般株式等はそれ以外の株式等を指します。譲渡所得等の金額の計算方法は、総収入金額から必要経費を引いて求めます。課税される税率は、上場株式等にも一般株式等にも、所得税15%と住民税5%を足した20%が適用されます。ただし、平成25年から令和19年までの間は、復興特別所得税も申告が必要です。株式等の譲渡に関する特例もあり、特定口座制度や損益通算、譲渡損失の繰越控除、特定管理株式等の価値がなくなった場合の特例、NISAやジュニアNISAを利用した非課税措置などが挙げられます。

金融類似商品の課税

Q.定期積金の給付補填金等は、支払の際、源泉徴収による分離課税とされると聞きましたが、その内容について説明してください。

A.定期積金や一部の金融商品に関連する給付金や利益など、特定の金融類似商品の給付や補填金に対して、昭和63年4月1日以降、日本国内で支払われる場合、源泉徴収を通じた分離課税が適用されます。具体的には、これらの支払いには15%の税率が適用され、さらに居住者の場合は地方税として5%が加算されます。この分離課税の対象となる金融類似商品には以下のようなものがあります:

1. 定期積金の給付補填金

2. 銀行法に基づく特定の契約から生じる給付補損金

3. 抵当証券に基づく契約から支払われる利息

4. 貴金属の売り戻し条件付き売買から生じる利益(これに類する物品を含む)

5. 外貨建て預貯金から生じる為替差益

6. 一時払いの養老保険や損害保険などから生じる差益。この差益は、保険期間が5年以下のもの、または5年以上でも初日から5年以内に解約された保険から生じる場合に該当します。

なお、平成25年から令和19年までの間は、これらの収入に対して、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)も課されます。

ゴルフ会員権の譲渡

Q.私は、本年10月にゴルフ会員権を売却しました。このゴルフ会員権の譲渡益については、どのように課税されるのでしょうか。

A.ゴルフ会員権を売却した際の譲渡益は原則、申告分離課税の方法で課税されます。しかし、ゴルフ会員権がゴルフ場の所有や経営に関わる法人の株式や出資を持つことで、一般の利用者より有利な条件でゴルフ場を使う権利を持つタイプの場合、その株式や出資の譲渡による所得は総合課税の対象となります。また、株式形態ではなく単なる利用形態のゴルフ会員権の譲渡所得も総合課税の対象です。したがって、あなたが売却したゴルフ会員権が株式形態のものであるか単なる利用形態のものであるかにかかわらず、その譲渡所得は総合課税の対象となります。さらに、2014年4月1日以降に譲渡して生じた損失については、他の所得と通算することができない点にも注意が必要です。

ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費及び譲渡費用

Q.ゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、控除することのできる取得費及び譲渡費用は、どのようなものがありますか。

A.ゴルフ会員権を譲渡した際に考慮される取得費には以下のものがあります。

1. 入会時に支払った入会金、預託金、株式払込金など。

2. 第三者から会員権を購入した場合は、その購入価格、名義変更手数料、会員権業者への手数料など。

3. 会員権取得のために借入れた資金の利息で、取得資金の借入れから使用開始日までの期間の利息が該当します。「使用開始日」は会員権を使えるようになった日で、オープン前に取得した場合はゴルフ場のオープン日、「オープン後」は会員権を得た日と定義されています。

譲渡費用としては、会員権を譲渡するために直接かかった費用、例えば会員権業者に支払う手数料などが挙げられます。ただし、年会費は持続的な維持管理費であるため、取得費や譲渡費用には含まれません。

金貯蓄や金地金累積投資に係る所得の課税

Q.サラリーマンであり、証券会社を通して純金の投資商品である金貯蓄口座と純金積立(金地金累積投資)に毎月2万円を積み立てていますが、純金積立による金地金が一定量になり、本年初めて売却しました。この場合、確定申告は必要ですか?

A.純金の投資商品には、金地金や金貨の現物売買、証書や通帳方式など多くの種類があります。純金積立で得られた金を一定量売却した場合、これは金の売買とみなされます。所得の種類には事業所得、雑所得、譲渡所得がありますが、サラリーマンであること、月々の積立金額、売却の回数等を考慮すると、一般的に譲渡所得とされる傾向があります。譲渡所得は、収入から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除額を引いた残りの金額として計算されます。買付手数料や売却手数料は取得費や譲渡費用として扱われますが、管理料はこれらには含まれず、控除できません。また、金の売却で損失が発生しても、金は生活に通常必要ない資産に位置付けられるため、損益通算の対象とはなりません。金貯蓄口座については現物価額と将来買取される価額の差から得られる利益は金融類似商品として扱われ、源泉分離課税の対象となり確定申告に含めることはできません。

抵当証券に係る利子及び売買益

Q.会社員である私は、このたびA抵当証券会社から抵当証券を購入しました。この場合の利子は、利子所得となるのでしょうか。また、抵当証券を譲渡した場合の所得は何所得となるのでしょうか。

A.抵当証券は、抵当証券会社が資金を集めるために発行するもので、法律による有価証券とは異なります。そのため、抵当証券から得られる利子は利子所得とはみなされず、抵当証券の売却から得られる利益も譲渡所得とはされません。これらの収入は雑所得として扱われ、15%の税率(居住者の場合は地方税5%が加わる)で源泉分離課税されます。ただし、平成25年から令和19年までの期間、復興特別所得税(基本所得税額の2.1%)が加算されます。抵当証券の発行と流通の仕組みについては、資金を必要とする人が抵当証券会社に融資を申し込み、不動産などに抵当権を設定した後、法務局に抵当証券の発行を申請しています。投資家はこれらの抵当証券を購入し、元本と利息を受け取ります。ただし、投資家はモーゲージ証書を直接売却することはできず、抵当証券会社への譲渡のみが可能です。

定期積金の給付補填金

Q.定期積金の給付補填金は、なぜ利子所得とならないのですか。

A.定期積金の給付補損金は、経済的には通常の預金の利息と似ていますが、法律上の契約の性質が異なります。通常の預金は金を預ける単純な契約ですが、返してもらう権利があります。これを「片務契約」と言います。しかし、定期積金契約とは、契約者が定められた期間ごとにお金を支払い、金融機関は定められた時期にお金を返す義務がある「双務契約」です。そのため、積金とその給付金の差、つまり給付補填金は、契約上の違いにより利子所得とは見なされず、雑所得として扱われます。昭和63年4月1日以降に受け取る給付補損金に関しては、所得税が源泉分離課税されます。

株式売買の委託が履行されなかったことに基づく損害賠償金

Q.株式売買の委託をしましたが、証券会社のミスで売買されず、翌日別の証券会社を通じて行った売買により当初の期待利益が得られませんでした。この際、最初の証券会社に対して損害賠償を請求し、支払いを受けましたが、この賠償金の課税関係はどうなりますか?

A.通常、心身の傷害に基づき受け取る損害賠償金や、不法行為や突発的な事故による資産の損害に対する損害賠償金は非課税ですが、物的損害に対する収益の補償は課税されます。あなたが受け取った損害賠償金は失われた利益を補うもので、非課税とはなりません。また、この損害賠償金は、株式の譲渡所得などに代わるものとは見なされず、適切に行われた株式の譲渡とは関係がないため、総合課税の雑所得として扱われます。

社債の割引発行による償還差益

Q.割引債の償還差益の課税関係を教えてください。

A.昭和63年4月1日以降に発行された割引債の償還差益は、一般に18%の源泉分離課税が適用されます。しかし、特定の社債や債券の場合には16%の税率が適用されます。特に、平成25年から令和19年までの間は、これに加え復興特別所得税(基準所得税率の2.1%)が課税されます。割引債を発行する際の源泉徴収義務は発行者にあり、償還時に差益に税率を乗じて計算された金額が源泉徴収されます。ただし、外貨債や特定の公的機関によって発行された債券など特定の割引債はこの規則の例外とされています。源泉分離課税の適用を受ける債券については確定申告の必要はなく、確定申告による還付も受けられません。なお、平成28年1月1日以降に償還される償還差損益については、15%の申告分離課税の対象となり、一定の条件を満たす公社債に関しては雑所得として総合課税の対象となります。また、平成27年12月31日までに一部の公社債を売却した所得は非課税ですが、特定の割引債の譲渡所得は非課税の例外とされ、確定申告が必要になる場合があります。

新株を引き受けたことによる所得

Q.知人が経営する上場法人が増資し、その際に新株の割当てを受けることになりました。私が払込みを予定している額面の約3倍の現在の株価でこの場合、課税の対象になるのでしょうか。

A.法人が増資のために新株を発行し、既存株主が所有する株数に比例してこれを受け取った場合、所有する株式の数は増えますが、株式が表す経済的価値の増加はないため、所得税の課税対象にはなりません。しかし、既存の株主が所有する株数を超えて新株を受けた場合や、新たに株主になった場合には、株の時価が実際に払い込んだ金額を超える部分に対する利益について所得税の課税対象となります。株式を取得する権利が与えられた場合、これが発行法人の役員や従業員(退職者も含む)に対して給与や賞与、退職金に相当する場合は給与所得や退職所得として、その他の場合は一時所得として課税されます。あなたの場合は一時所得として課税されます。株式を取得する権利に関連する所得の計算は、その権利に基づく払込みの期日における株価から、その権利を取得するために支払った金額とそれを行使する際に払うべき金額を差し引いた金額とします。所得の発生する時期は、基本的に株式の取得に申し込んだ日ですが、申込み日が不明な場合は申込期限で判断されます。ただし、株式の割当てを受けた後に申し込みをしなかったり、申し込みを取り消したり、払込みを行わなかったりして権利を失った場合には、税金は発生しません。