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新しいNISA制度の概要

Q.新しいNISA制度は現行のNISA制度とどのような点が異なるのですか。また、新しいNISA制度が始まると、既に現行のNISA制度(一般・つみたて・ジュニアNISA)で保有している商品は、どうなるのでしょうか。

A.令和5年度の税制改正に伴い、現在の「一般NISA」と「つみたてNISA」が令和5年12月31日で終了となります。令和6年からは、新たなNISA制度が導入され、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の二つに分かれます。成長投資枠の年間投資上限額は240万円、つみたて投資枠の年間投資上限額は120万円と定められています。また、これらの新制度は併用が可能で、年間の投資上限額が360万円までとなります。これら二つの制度では、非課税保有期間に制限がなくなり、非課税保有限度額は1億円に設定されました。なお、現行の一般NISAやつみたてNISAで保有している商品は、新しいNISA制度に移管できず、別枠で管理され、非課税措置が適用されます。ジュニアNISAで保有している商品は、非課税期間終了後は継続管理勘定へ自動的に移管され、18歳になるまで非課税で保有することが可能です。

ジュニアNISA制度の概要

Q.ジュニアNISA制度とは、どのような制度ですか。

A.ジュニアNISA制度、正式には「未成年者少額投資非課税制度」と呼ばれるもので、2016年1月からスタートした制度です。この制度は、未成年者が投資を行う際に得られる配当金や譲渡益などを非課税にするものです。それぞれの未成年者は一人一口座のみ開設が可能で、年間の新規投資額の上限は80万円です。この非課税の恩恵を受けることができる期間は最長で5年間と定められていますが、投資を行えるのは2016年から2023年までです。口座の管理は、開設者である未成年者の二親等以内の親族(例えば両親や祖父母)が担います。18歳になるまでは原則として資金の引き出しが制限されていますが、例外的に災害などやむを得ない事由がある場合には非課税での引き出しが可能です。また、令和5年以降は新規に購入することはできませんが、令和6年以降でも、18歳になるまでの間は引き続き非課税で保有できます。そして、その期間が終わっても、新たな非課税投資枠に資産を移管することで、継続して非課税の状態で保有することが可能になります。令和6年以降には、年齢にかかわらず、災害等特別な事由がなくても全額を非課税で引き出すことができます。

つみたてNISA制度の概要

Q.つみたてNISA制度とは、どのような制度ですか。

A.つみたてNISAは、主に少額から開始できる長期的な積立投資を奨励するための税制優遇措置です。この制度では、長期的に投資しやすく設計された特定の投資信託やETF(上場投資信託)など、手数料が比較的低く分配金が少ない商品に投資することができます。つみたてNISAと一般NISAの利用は選択制であり、18歳以上の居住者であれば(令和4年までは20歳以上)、口座を開設して利用することが可能です。各人は1つの口座のみを持て、年間40万円までの新規投資がこの非課税枠の利用限度であり、20年間で最大800万円まで投資できます。この期間中、投資商品から発生した分配金や売却益は非課税です。ただし、非課税期間が終了すると、その資産はNISA以外の課税対象の口座に移されます。令和5年現在、つみたてNISAを利用しての投資は同年まで可能であり、同年に購入した投資信託は20年間非課税の状態で保有できます。

一般NISA制度の概要

Q.一般NISA制度とは、どのような制度ですか。

A.一般NISA制度では、金融機関に非課税口座を開設し、この口座を使い上場株式や株式投資信託に投資した際に得られる配当や譲渡益が非課税になります。ただし、他の口座で発生した損益との合算はできません。18歳以上の方が口座の対象者となり、一般NISA口座とつみたてNISA口座のどちらか一つを選べます。投資可能なものは株式や投資信託で、一人につき一つの非課税口座が許可されます。年間120万円までの投資が非課税対象となり、この枠は最大600万円までです。非課税期間は最長5年間で、その後、新たな非課税投資枠への移管(ロールオーバー)が可能です。非課税期間内に得られた配当や譲渡益は5年間非課税です。令和5年まで利用可能で、令和6年以降は制度が見直され新しいNISA制度に移行します。

NISA(少額投資非課税制度)の概要

Q. NISA(少額投資非課税制度)とは、どのような制度ですか。

A. NISA(少額投資非課税制度)は、投資者が「NISA口座」を使って毎年一定額の金融商品を購入した場合、その収益にかかる税金が免除される制度です。これには成年者向けの「一般NISA」と「つみたてNISA」、更に未成年者向けの「ジュニアNISA」があります。一般NISAでは年間最大120万円まで、つみたてNISAでは年間最大40万円まで、ジュニアNISAでは年間最大80万円までの投資が非課税枠で購入可能です。ただし、これらは一定期間内のみ非課税での保有が認められており、一般NISAとジュニアNISAは最大5年間、つみたてNISAは最大20年間の非課税保有が可能です。システム改正により、ジュニアNISAは令和5年までに新規開設が必要で、令和6年以降は新規購入ができなくなります。また、令和5年度の税制改正により、NISA制度は令和6年以降拡充・恒久化されることが決まっています。

スタートアップへの投資に係る優遇措置(エンジェル税制・投資段階)

Q.令和5年度の税制改正で、スタートアップへの投資についての課税上の優遇措置が拡充されたと聞いたのですが、どのような制度になっているのでしょうか。

A.エンジェル税制は、ベンチャー企業への投資を促進するための税制上の特例措置です。令和5年度の税制改正で、これまでの優遇措置を大幅に拡充しました。改正前は、特定中小会社への投資時や特定新規中小会社への投資時に、投資した金額を一定枠内で収益から控除できる制度がありました。令和5年度の改正では、自己資金での株式売却後に特定新規中小会社へ再投資した場合にその投資額を収益から控除できる措置や、プレシード・シード期のスタートアップへの再投資額を収益から控除できる措置が新しく加わりました。これらの措置により、再投資により得た株式を売却しても投資額の圧縮は行われず、課税が繰り延べられることなく実現します。また、再投資額が20億円を超える場合は特別な計算方法で取得価額等を圧縮します。さらに、対象となる株式の範囲拡大や確定申告時の書類提出要件の見直し、確認書類の削減などの改善も行われました。

特定中小会社の株式の譲渡損失に係る繰越控除等(エンジェル税制・譲渡段階)

Q.特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の特例により、株式の譲渡損失の繰越控除ができるとのことですが、それはどのような制度ですか。

A.特定中小会社が発行する株式にかかる譲渡損失の繰り越し控除などの特例とは、税制面で支援を行い、創業期のベンチャー企業への個人投資家からの資金提供を促進するために設けられています。この特例は主に以下の2つの部分から成り立っています。

1. 価値喪失の損失の特例: 特定の条件下で特定中小会社が発行する特定株式を取得した投資家が、その株式が価値を喪失し損失を受けた場合、その損失額をその年の株式等の譲渡所得の計算において、譲渡損失とみなすことができます。

2. 譲渡損失の繰り越し控除の特例: 特定株式の譲渡によって生じた損失が、その年の譲渡所得から全額控除できなかった場合、一定の要件を満たすことで、その控除できなかった金額を翌年以降3年間にわたって、一般株式や上場株式の譲渡所得から控除することができます。

この制度の適用を受けるためには、特定中小会社が設立時または設立後に発行した株式を金銭で直接購入する必要があります。相続や相対取引によって取得した株式や、ストックオプションの行使による経済的利益の非課税制度の適用を受ける株式は、この特例の対象外とされています。

税制適格ストックオプションの課税関係

Q.税制適格ストックオプションを取得した場合の課税関係について教えてください。

A.税制適格ストックオプションについては、特定の条件を満たす場合、ストックオプションを使って株式を得た日に対する所得税の課税を先延ばしにし、その株式を売却した日に課税する制度があります。この場合、所得は株式譲渡益として扱われ、給与所得よりも譲渡益の税率が低いため、税負担が軽減される可能性があります。税制適格ストックオプションには以下の主な条件があります。

1. 無償で取締役等に付与されること。

2. 付与決議の日から2年経過後から10年以内(特定の会社においては15年)の間に行使されること。

3. 行使時の権利行使価額の年間合計が1,200万円を超えないこと。

4. 行使に際しての1株あたりの権利行使価額が、その契約締結時の1株あたりの価額以上であること。

5. 取締役等によるストックオプションの譲渡が禁止されていること。

6. 株式の交付が会社法に違反しないこと。

7. 行使により取得した株式の保管を金融商品取引業者等に委託する取り決めがあること。

税制適格ストックオプションの付与時の経済的利益は、譲渡制限のため課税されません。行使時(株式取得時)の経済的利益については税の課税が繰り延べられます。行使して得た株式を売却した場合、その売却益が課税対象となります。令和5年度の税制改正では、特定のストックオプションについて行使期間が15年間に延長される等の変更がありました。

税制非適格ストックオプション (信託型)の課税関係

Q.勤務先から信託会社を通じてストックオプションを取得し、その権利を行使することにより取得した株式を売却しました。この場合の課税関係について教えてください。

A.あなたが取得し行使した税制非適格ストックオプション(信託型)の課税については以下の通りです。

1. 信託が設立された時点では受益者がいないため、信託に資金を投入した発行会社やその代表者に対して法人税が課されます。

2. 信託会社がストックオプションを正当な価値で購入した場合、経済的利益が生まれないので課税されません。

3. 役職員が信託からストックオプションを付与された時、直接の課税は生じませんが、役職員は購入時に信託が支払った金額を購入価額として引き継ぎます。

4. 役職員がストックオプションを行使して株式を取得すると、その経済的利益は給与所得として課税されます。経済的利益の計算は、行使時の株価から購入価額と権利行使価額の合計を差し引いた金額になります。この場合は550です。発行会社はこの利益に基づいて源泉所得税を徴収し納税する必要があります。

5. 役職員が取得した株式を売却すると、その譲渡益は株式譲渡益課税の対象となります。譲渡益は、譲渡時の株価から行使時の株価を差し引いた金額、ここでは200となります。

要するに、信託制度を使用してストックオプションを行使し株を売却する過程で生じる利益は、特定の条件下で給与所得および株式譲渡益として課税されると理解できます。

税制非適格ストックオプション(有償型)の課税関係

Q.勤務先から適正な時価で有償取得したス トックオプションの場合の課税関係について教えてください。

A.税制非適格ストックオプション(有償型)を適正な価格で購入した場合、経済的な利益が発生しないため、税金はかかりません。ここで、①ス トックオプションを購入した際には、経済的利益がないので税金の対象になりません。②ス トックオプションを使って株を手に入れた時も、その時点での経済的利益は税金の対象外です。③しかし、その株を売ったときは税金の対象となり、売却益は売価(1,000)からス トックオプション購入価格(50)と権利行使価格(200)を引いた金額(750)として計算されます。