「所得税」カテゴリーアーカイブ

修繕積立金

Q.サラリーマンである私は、転勤に伴い今まで住んでいた分譲マンションを賃貸に出すことにしました。このマンションでは毎月、管理費と一緒に修繕積立金も支払っていますが、この修繕積立金を不動産所得の計算で必要経費として扱えますか?修繕積立金は将来の修繕のために積み立てており、将来返還されないとされています。

A.マンションの区分所有者として管理組合に支払う修繕積立金は、通常そのマンションの将来の修繕に使用されるため積み立てられ、実際に修繕が必要になった時にはその費用として、または大きな修繕の場合には資本的支出として会計処理されます。しかし、支払った修繕積立金は通常返還されないため、特定の条件を満たす場合はマンションを賃貸に出す際の必要経費として計上できます。これは管理組合の運営が適切な管理規約に沿っていて、修繕積立金が返還されないことが明記されており、区分所有者は管理組合に対して修繕積立金を支払う義務があり、修繕積立金が将来の修繕のみに使用されること、そしてその額が長期修繕計画に基づき合理的に算出されている場合などです。

賃借人を立ち退かせるための弁護士費用

Q. 20世帯のマンションを建築し、昨年から賃貸していますが、賃借人の1人が無断で他人に転貸していることが判明しましたので、弁護士に依頼して明渡しを求めています。この弁護士費用は不動産所得の必要経費となりますか。

A. 不動産所得や事業所得などを生じる業務を遂行する上で生じた紛争を解決するために支払った弁護士報酬やその他の費用は、特定の例外を除き、その年の所得計算上、必要経費として計上できます。質問された場合の弁護士費用は、マンション賃貸に関連して生じた紛争の解決のためにかかったものであり、資産取得費に該当しないため、支払いが発生した年の不動産所得の必要経費に算入できることになります。

建物の建替えのため建物賃借人に支払う立退料と借地の更新料

Q.20年ほど前から権利金を支払って借りた土地に木造の貸家を建て、賃貸していました。この建物が古くなったため、鉄筋コンクリート製の5階建ての建物に建て替え、1階を店舗、2階以上をマンションとして賃貸する計画を立てました。この建替えに際して、入居者には立退料を、地主には建築に関する承諾と借地の更新料を支払います。その際、入居者へ支払う立退料は不動産所得の必要経費になるのか、それとも新しい建物の取得価額に含まれるのか。また、地主に支払う更新料は税務上どのように扱われるのか。

A.従来の貸家を取り壊して新しい建物を建築するために、賃借人に支払われる立退料は、その年の不動産所得の計算上、必要経費として扱われます。これは、建物や土地を譲渡する目的で支払われるものではないためです。一方、借地上の建物を建て替えるために土地の賃借契約を更新し、その際に支払われる更新料は借地権の取得価額に算入されます。しかし、不動産所得等を生じさせる業務の用途で借地権の存続期間を更新する場合、その更新料については、特定の計算式に基づいて算出された金額が必要経費として扱われます。これにより、更新料を支払った部分の金額が必要経費として認められることになります。

土地の返還に伴う借地人への立退料の扱い

Q.土地を賃貸しているところ、土地の返還に伴い借地人に1,500万円の立退料を支払うことになりました。この立退料は不動産所得の計算上、必要経費に算入できますか?

A.土地の賃貸において、借地人に立退料を支払い、土地を返還してもらう行為は、上地部分を買い戻して完全な土地所有権を取り戻すことに相当します。そのため、支払った立退料は借地権の買い戻しの費用とみなされ、資産の部分に計上されることになります。これは不動産所得の計算における必要経費として扱うことができないため、立退料を必要経費に算入することはできません。

建物を自己の事業の用に供するために支払った立退料

Q.今まで貸家としていた建物を、自分で衣料品店の店舗として使用するため、借家人に立ち退いてもらうことになりました。この場合、借家人に支払った立退料は、開業費に準ずるものとして、衣料品店の事業所得計算上の繰延資産に計上することになりますか。

A.貸家としていた建物を自己の事業である衣料品店のために使用する為、退去をお願いした借家人に支払う立退料についての処理方法が質問されています。このような立退料は、一般的に不動産所得の計算で必要な経費として計上することができます(基本通達37-23に規定)。ただし、建物を売るためや、建物を取り壊して土地を売るために支払った立退料はこの対象外です。貴方のケースでは、不動産の所得計算において、必要経費として処理できます。もし将来的に賃貸をやめて建物を自己の居住用や利益を生まない目的で使用したとしても、経費として計上できます。また、事業用の建物を賃借する際に旧借家人に支払う立退料は、繰り延べ資産として計上することも可能ですし(所得税令7条①三口、基本通達2-27)、土地や建物を購入する際に支払う立退料はその購入費に含めることができます(基本通達38-11)。

割賦購入代金に含まれている支払利息

Q.営業用トラックを450万円で、24か月の割賦購入をしましたが、これには総額48万円の利息が含まれています。この利息相当額は営業用トラックの取得価額に含めるべきでしょうか。それとも支払のつど必要経費とすべきでしょうか。

A.営業のために使用する固定資産を購入した際の借入金の利息は、原則としてその固定資産の取得価額には含めずに、経費として計上します。しかし、その固定資産を使用開始する日までの期間に発生した利息については、取得価額に含めることが可能です。割賦購入における利息や賦払金回収費用も、借入金の利息と同様に取り扱い、これらは直接的に資産の価値を増加させるものではないため、明確に区分されていれば取得価額に含めず、経費として計上することになります。ただし、資産使用開始日までの利息相当分に限り、取得価額に含めることができます。従って、ご質問の48万円の利息相当額は、支払の都度経費として計上することになります。

体業期間中の費用

Q.織物業を営んでおり、不況のため受注がなく2〜3カ月間休業することになりました。この間の織機の減価償却費、工場の維持補修費、固定資産税等の費用は、収入がなくても認められますか。

A.会社が正式に業務を廃止していない場合、つまり業務を続ける意志があり、受注があればいつでも対応できる状態であれば、収入がない期間中でも織機の減価償却費や工場の維持補修費、固定資産税などの費用は事業に関連する必要経費として認められることがあります。あなたの場合、市況が悪化しているために一時的に受注を受けない状態にしているだけで、業務を完全に廃止したわけではなく、状況が好転すればすぐに業務を再開できるよう織機や工場を維持しているという状況なので、休業期間中の費用もその年の必要経費として扱うことが適当とされています。ただし、実質的に業務を廃止してしまったような状況ではない限りです。

店舗の建築を変更した場合の設計費用

Q.店舗を建て替えるためにA設計事務所へ設計を依頼し、設計図と引換えに代金を支払いましたが、建築予定地が都市計画法の適用を受け、甲市の指導で建築することになり、その設計図は不要になりました。この場合、A設計事務所へ支払った設計費用はどのように処理すべきですか?

A.支払った設計費用は通常、建物の取得費用として取得価額に含まれます。しかし、この場合では設計図が使用されなかったため、直接取得価額に加えることはできません。設計図が他の用途で利用可能な状態であれば、資産とみなして資産勘定に入れます。もし設計図が全く価値を失い、利用不可能であれば、その費用は事業の実施に伴う費用として必要経費に算入します。

建物の売買契約を解約したため放棄した手付金

Q.食堂を開業するための建物を買う契約をして支払った手付金を、他に良い立地の建物が見つかったため契約を解消して放棄しました。この手付金の損失は、新たに取得した建物の価額に含めることは可能ですか。

A.手付金とは、契約を保証するために事前に支払うお金です。契約の履行前に契約を解約した場合、手付金は放棄され、買い手はその金額を失うことになります。企業がより良い取引条件を探求して手付金を放棄するのは、事業の進行上自然なことであり、この手付金は多くの場合必要経費として計上できます。ですが、質問されたケースでは、事業がまだ開始前の段階で、手付金の放棄に対応する収入がないため、これを直接必要経費にすることはできません。その放棄した手付金を新たな店舗の取得費用とみなして、それを建物の取得費用に加えるという考え方もありますが、これにより適正な市場価値を大幅に超える価格での資産計上が生じる恐れがあり、会計上必ずしも適切とはいえません。したがって、この手付金の損失は、開業費の一部とみなして開業後の必要経費に計上するのが妥当だと考えられます。開業費は、事業開始から5年間で償却が可能であり、償却に関しては柔軟な方法が認められていますが、その詳細は確定申告書に記載する必要があります。

前払家賃の必要経費算入時期

Q.私は外科医 (青色申告者)で、診療所を借地に建てています。毎年11月末日に翌年11月分までの1年分の地代を前払いしており、これまではこの地代を期間対応で計上してきました。この区分計算が面倒なので、今年から前払費用の経理をやめて、支払った都度必要経費に計上したいのですが、この方法は認められますか?

A.必要経費の計算では、その年に債務が確定しているものを算入するとされています。つまり、その年に前払いした費用で、その年の12月31日にまだ役務が提供されていない部分は、原則としてその年の必要経費には算入できません。しかしながら、支払った日から1年以内に役務を受ける分の前払費用に関しては、該当年の必要経費に算入する継続的な処理をしている場合に限り、税務上認められています。これには、必要経費の計上を厳密な発生基準に基づかずに、ある程度柔軟な基準に基づいて行っている場合、税務上の大きな問題はないとされています。従って、あなたが契約に基づき翌年11月分までの地代を前払いし、それを支払った日が属する年の必要経費に継続して算入する場合には、その会計処理は認められることになります。