Q.失火により借地上の建物が滅失しましたが、新築する資力もなく近隣との折り合いも悪化したので、借地権を放棄して立ち退いた場合、その借地権放棄による損失は、火災に起因して発生したものといえるでしょうか?雑損控除の対象となる災害損失に当たりますか?
A.借地権は、建物が火災で失われた後も、最初の契約期間が続いている限りはなくなることはありません。新しい建物を建てることや借地権者がお金がない場合でも、その借地権を他人に売ることでお金に変えることが可能です。ですから、お尋ねの借地権の放棄は、火災が間接的な原因とはなり得ますが、火災によって借地権そのものの価値が完全になくなったわけではありません。このように、災害による損失には該当しない借地権の放棄による損失は雑損控除の対象外です。さらに、火事の原因が借地権者にあったためにその土地に住めなくなり、他所へ移動することになった際の借地権の無償返還も、災害に関連するやむを得ない支出とは見なされません。したがって、ご質問のケースでは、どのような視点から見ても雑損控除の対象にはなりません。