「所得税」カテゴリーアーカイブ

歯列矯正のための費用

Q.小学生の長女が虫歯治療のため歯科医を受診しました。歯並びが悪いため、今後胃への負担や虚弱体質になる可能性があると診断され、歯列矯正治療を受けることにしました。この治療に50万円支払いましたが、この費用は医療費控除の対象になりますか?

A.一般的に、人間ドックや健康診断の費用、また容姿を改善するための費用は医療費控除の対象にはなりません。成人が健康上の理由なく美容整形を行った場合も、医療費控除の対象外です。しかし、子どもが永久歯に生え替わる成長期に歯のかみ合わせを正すなどの目的で行う歯列矯正は、身体の構造や機能の矯正と考えられます。したがって、お子さんの歯列矯正のために支払った50万円は、歯科医師による治療費として、そして支払った金額が一般的に支出される範囲内であるとされ、医療費控除の対象とされます。

眼鏡の購入費用

Q.日常生活に必須とされる義手や義足、補聴器などは医療費控除の対象になると聞いたのですが、近視や遠視用の眼鏡も対象になるのでしょうか?

A.医療費控除において、義手や補聴器など日常最低限必要な用品の購入費用は医療費として認められます。これには医療器具の購入や使用も含まれますが、治療のために直接必要なものという条件があります。眼科医による診断と処方に基づく眼鏡は、日常生活に不可欠なものですが、治療の過程で直接必要なものとは見なされないため、医療費控除の対象外です。しかし、特定の眼疾患に対する治療用眼鏡、例えば眼病後の治療に必要な保護眼鏡や特殊眼鏡などは医療費控除の対象になります。確定申告時には、疾患名や治療が必要な症状が記載された処方箋を添付してください。

特定健康診査及び特定保健指導に関する自己負担額と医療費控除

Q. 特定健康診査及び特定保健指導に係る自己負担額は医療費控除の対象になると聞きましたが、その概要を教えてください。

A. 平成20年4月から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に該当する人やその予備軍を減らすこと、国民の健康を増進させること、医療の適正化を目的に、特定健康診査及び特定保健指導が始まりました。この制度の導入と実施の基準が定められました。この中で、特定の条件を満たす特定保健指導を受けた際の指導料自己負担額が医療費控除の対象となります。この条件とは、特定健康診査を受けた結果が高血圧症、脂質異常症、または糖尿病に相当すると認められ、それに基づいて医師の指示で特定保健指導が行われる場合です。その指導を受けた中で発生する自己負担額が医療費控除の対象になります。

その他、特定健康診査自体の費用は基本的に医療費控除の対象外ですが、その結果を受けて特定保健指導を受けた場合、その健診の費用も控除の対象と認められます。ただし、特定保健指導を受けたことによる運動実践の費用や食生活改善のための食品購入費は医療費控除の対象外です。

特定健康診査とは、主に糖尿病などの生活習慣病に関する健康診査を指し、40歳以上の医療保険加入者が対象です。特定保健指導は、この健診の結果から健康を維持する必要がある人に対して行われる保健指導を指します。特定保健指導の領収書には、特定健康診査の実施機関と医師名、診査結果、実施年度、自己負担額、実施機関と実施者の名前が記載されている必要があります。

防ダニ布団の購入費用

Q.アトピー性皮膚炎のため、医師の勧めにより購入した防ダニ布団の購入費は医療費控除の対象になりますか。

A.医療費控除の対象となる費用は、医師の治療を受けるために直接必要な費用、例えば通院や送迎費、入院時の部屋代や食事代、あるいは医療用器具を購入したり、レンタルしたりする費用が含まれます。ただし、防ダニ布団の購入費用は、治療のために直接かつ通常必要とは言えないため、医療費控除の対象にはなりません。

高額な差額ベッド料金

Q.病気で入院し、差額ベッド料金として、1日2万円を支払っていますが、医療費控除の対象として認められますか。

A.差額ベッド料金や医療器具の購入費など、治療を受けるために直接必要で通常必要とされるものは、医療費控除の対象になります。ただし、医療費控除に計上できるのは、一般的に要する費用を大きく超えることなく、病状などに応じた適切な範囲内での費用に限ります。そのため、例えば患者の病状により高額な個室を利用しなければならなかったり、他に部屋が空いておらずやむを得ず個室を利用したケースなど、客観的に見て避けられなかった理由がある場合は、その料金も医療費控除の対象として扱われる可能性があります。

医療費控除の対象となる入院費の範囲

Q.私は、4月に人間ドックで健康診断をしてもらったところ内臓に障害があり、直ちに絶対安静治療が必要とされ、治療上の都合から個室に入院し治療を受けています。この場合に人間ドックの診断費用や個室料金は、医療費控除の対象となるでしょうか。

A.医療費控除とは、個人が医療で支出した費用を一定額まで税額から控除できる制度です。この制度は、医療で発生した費用が税金の負担にどれだけ影響するかを考慮して設けられています。控除の対象となるのは、治療や診療、薬品の購入など医療に関わる通常必要とされる費用です。その中で、特に病状を考慮したケースや治療上避けられない場合の個室料金なども含まれます。従って、あなたが受けた人間ドックでの健康診断費用および個室使用料は、病状に必要とされる治療の一環として医療費控除の対象になります。

災害関連費用の控除年分

Q. 昨年の暮れに類焼により居宅の一部が焼失し、本年2月に居宅の原状回復のための焼失部分の除去や修繕も完了し、同時にその費用(災害関連費用)を支払いました。この場合の災害関連費用は災害のあった年分で控除することはできないのですか。

A. 災害で被害を受けた資産の除去や修繕にかかった費用は、一定の条件を満たす場合、税金の控除の対象になることがあります。災害が発生した翌日から1年以内(特別大規模な災害の場合は3年以内)に支出した修繕費用や、災害によって発生した障害物の除去費用は、雑損控除の対象として考えられます。通常、この控除額は、その年に発生した損失の金額から、その年の所得合計の10%以上の部分を引いたものが対象です。ただし、災害関連で支出した金額が5万円を超える場合は、災害関連支出から5万円、もしくは損失金額から所得金額の10%を引いた金額のどちらか多い方が控除されます。災害が起きた翌年に関連支出を行ってしまうと、所得金額の10%と5万円のどちらか少ない金額での控除となり、不利になる場合があります。

そういう時、災害が発生した年の翌年3月15日までに災害関連の支出があれば、その年の損失金額に含めて雑損控除を適用できるようになっており、これにより災害関連支出の限度額計算を一度で済ませることができます。これは選択制であり、適用を希望する場合は災害が発生した年分で雑損控除を求めることになり、そうしなければ翌年分での控除適用となります。

雑損控除の対象となる原状回復のための支出

Q.今年の集中豪雨により住宅が損害を受け、さらに災害復旧のために350万円を支出しました。この支出には住宅の改良等に充てた部分もありますが、明確に区分することはできません。この場合、雑損控除の対象となる損失額はいくらですか?

A.雑損控除の対象となる損失額は、特定の計算方法にしたがって求められます。まず、被災前の住宅の価値(300万円)から被災後の価値(50万円)と保険金(100万円)を差し引くことで、個人が被った損失額として150万円を算出します。次に、災害復旧費用から原状回復のための支出を計算しますが、このケースでは350万円の30%つまり105万円と定められています。しかし、この105万円はすでに計算された損失額150万円に含まれているため、別途加算する必要はありません。結果として、雑損控除の対象となる損失の金額は150万円となります。

債務保証による損失

Q.友人の債務の保証人となり、友人の事業倒産後、その債務を給与から弁済しています。友人が無財産のため、求償権を行使できません。この場合、雑損控除は適用されますか?

A.雑損控除は災害、盗難、または横領による資産の損失に限られているため、債務保証による損失は雑損控除の対象外です。しかし、保証債務のために自分の資産を売った場合や、保証債務の履行のために借りたお金で行い、その返済のために資産を売った場合に、その求償権を全くまたは部分的に行使できなくなった場合、その金額に相当する資産の譲渡については、「譲渡がなかった」と見なされる場合があります。これは所定の申告をすることで、譲渡所得の計算上考慮されます。

共有建物が焼失した場合の雑損控除

Q. 2年前に夫婦共有で建てた家が火事で全焼しました。この建物は夫婦それぞれが半分ずつ所有しており、私たちは共働きです。この火災による損失を夫名義で雑損控除として適用できますか?

A. 雑損控除は、災害や盗難などによって生じた損失に対する税務上の控除制度です。生計を共にする家族の中で、年収が基礎控除額を超える人が複数いる場合、損失はそれぞれの資産に対して適用され、共有資産の損失は共有者間で按分されることとなります。したがって、ご夫婦が共働きで共有していた家が火事で焼失した場合、その損失は夫婦の所有割合に応じて分けて、それぞれが雑損控除の対象とすることが必要です。全ての損失を夫名義で申請することはできません。