「所得税」カテゴリーアーカイブ

おむつに係る費用

Q.寝たきりの母が入院している病院におむつ代も支払っていますが、このおむつ代も医療費控除の対象になりますか?

A.医療費控除の対象とは、医療のために直接必要な費用を指します。寝たきりの状態の人や病気で寝たきりとなった人のおむつ代は、その治療に直接必要と医師が認めた場合、医療費控除の対象に含まれます。具体的には、医師が下記の条件を全て満たすと認定し、「おむつ使用証明書」を発行した場合に限ります。

1. 病気やけがで6ヶ月以上寝たきり状態と認められる人

2. 当該病気やけがに対して医師の継続的な治療が必要であり、おむつの使用が必要と認められる人

従って、貴方の場合は医師から「おむつ使用証明書」が発行されており、その必要期間内に使用したおむつ代であれば、医療費控除の対象となるでしょう。また、証明書が発行される前でも、医療のため直接必要と認められた費用は、証明書発行後と同様に医療費控除の対象です。医療費控除を受けるには、この証明書を確定申告書に添付するか、確定申告時にこれを提示することが必要です。

注記:おむつ代の医療費控除の申請が2年目以降の場合は、より簡易な証明手続が認められています。また、平成29年分以降の確定申告を平成30年1月1日以降に提出する場合、特定の情報を「医療費控除の明細書」に記載することで証明書の添付が省略できますが、この際、証明書などは5年間保存が必要です。

ストマ用装具に係る費用

Q.私は、H病院で人工肛門のストマの造設手術を受け、退院後も継続してストマケアに係る治療を受けています。H病院へは、治療費とは別にストマ用装具代を支払っていますが、医療費控除の対象となるでしょうか。

A.医療費控除には、医師などが行う診療に直接必要な費用が含まれています。人工肛門のストマや尿路の切り替えが必要な方は、造設手術後だけでなく、退院後も継続してストマケアが必要なため、治療を行う医師が必要と認めた場合、ストマ用装具の費用も医療費控除の対象になると考えられます。特に、治療を行う医師から「ストマ用装具使用証明書」が発行された場合、その装具の購入費用は医療費控除の対象として取り扱われます。確定申告をする際には、この証明書を確定申告書に添付するか、提示する必要があります。

視力回復センターヘ支払った費用

Q.長男が生まれつき弱視であるため眼科医で治療を受けさせていましたが、いっこうに効果がないので、A視力回復センターヘ通わせています。この視力回復センターヘ支払った費用は、医療費控除の対象となりますか。

A.A視力回復センターは、公式な医療機関として登録されておらず、眼科医を含まない機関で、主に機器を使用して目のトレーニングを通じて視力を改善させることを目指しています。このため、A視力回復センターに支払った費用は、医師などに支払う医療費とは見なされず、従って医療費控除の対象外となります(所得税法第73条)。なお、医療機関で治療を行う場合は、必ず県知事への届出が求められています。

親族に支払う付添料の医療費控除について

Q. 妻が脳いっ血で倒れ、重症のため長期入院治療が必要となりました。そのため、長男の嫁が入院期間中付き添うことになりましたが、長男の嫁はパートタイマーとして勤めていますので、それに見合う金額を付添い料として支払うこととしています。この付添い料は、医療費控除の対象になるでしょうか。

A. 医療費控除の対象となるのは、保健師、看護師、または准看護師が提供する療養上の世話の費用です。しかし、病院で十分な看護を受けられない場合に、家政婦など専門でない人に特に依頼して療養上の世話を受ける場合も、医療費控除の対象となりえます。ただし、この特例は家政婦など業として人的サービスを提供する人に限られ、身内や親族など、元々労働の対価を前提としていない人に支払う付添い料は、医療費控除の対象外となります。そのため、あなたの場合では、長男の嫁に支払う付添い料は医療費控除の対象にはならないでしょう。

家政婦に支払った療養費

Q. 3月に胃の手術を受けて2か月間入院した際、出産で療養上の世話ができない妻の代わりに家政婦に世話を依頼し、その費用を支払いましたが、これは医療費控除の対象になりますか?また、家政婦紹介所に支払った紹介手数料は対象になりますか?

A. 医療費控除の対象となる費用には、医師や歯科医師の診療や治療費の他、保健師や看護師による療養上の世話の費用も含まれます。保健師や看護師に準ずる人から特別に療養上の世話を受けるために支払った費用も含まれるため、家政婦に支払った費用はすべて療養上の世話であると考えられ、医療費控除の対象と認められます。また、家政婦紹介所に支払った紹介手数料も、療養上の世話をする人を紹介してもらった対価として支払われたものであれば、医療費控除の対象として問題ありません。

朝鮮人参やビタミン剤等の購入費用

Q.生まれつきの虚弱体質でしばしば内臓を患い、仕事にも支障があるため、常時ビタミン剤やいろいろなホルモン剤を服用しています。また、友人の勧めで朝鮮人参等の高価な漢方薬も購入しています。これらは医師の処方に基づいたものではないのですが、医療費控除の対象に認められないでしょうか。

A.医療費控除の対象となる医療費とは、治療や療養に必要な医薬品の購入費用を含みます。しかし、医薬品であっても疾病の予防や健康増進のために用いられるものは、医療費控除の対象にはなりません。そのため、ビタミン剤や漢方薬を病気を予防するためや体調を整えるために用いている場合は、これらの購入費用は医療費控除の対象外となります。ただし、医師の処方に基づき病気の治療のために必要とされる漢方薬などは対象になることがあります。また、特定の条件下では、特定一般用医薬品等の購入費用が一部控除の対象となる場合がありますが、これは健康の保持増進や疾病の予防への取り組みとして一定の活動を行っていることが条件です。

禁煙治療に係る費用

Q.禁煙治療を受けた場合、その費用は医療費控除の対象になりますか?

A.はい、禁煙治療でかかった費用は医療費控除の対象となります。これは、医療費控除の対象となるのは、医師や歯科医師による治療や診療、それに必要な医薬品を購入する費用など、一般的に支出される範囲の金額であるからです。禁煙治療は、医師の指導下で行われる一酸化炭素の測定や禁煙補助薬の処方などを含み、ニコチン依存症を改善し禁煙を目指す治療です。平成18年4月以降、特定の条件を満たす人には保険適用が認められていますので、その場合にあなたが支払った自己負担分は医療費控除の対象になります。また、保険適用外でも実際に支払った禁煙治療費は自費診療分として医療費控除の対象です。

不妊症のための人工受精費用

Q.私たち夫婦が不妊症の治療で受けた人工受精の処置費用35万円は、医療費控除の対象になりますか?

A.医療費控除とは、医師などによる診療や治療のために支払った費用が対象となるものです。これには、費用がその病状に対する一般的な支出の範囲を大きく超えない限り、対象となります。不妊症の治療として受けた人工受精も、治療の一環として行われ、35万円という費用が一般の範囲内である場合、医療費控除の対象になります。また、不妊症治療費全般が、医師による診療の対価として認められれば、医療費控除の対象となります。

B型肝炎ワクチンの接種費用

Q. B型肝炎ワクチンの接種費用は医療費控除の対象となりますか?

A. 医療費控除は、直接必要な医療費をカバーしており、これにはB型肝炎ワクチンの接種費用も含まれます。特に、B型肝炎に罹患している家族を介護する場合、医者から推奨されたワクチン接種は患者の治療の一部と見なされ、実際に同居している近親者に接種された場合、その費用は医療費控除の対象になります。ただし、患者が医師によって連続する治療が必要であると診断され、その診断と接種費用が記載された正式な資料を提出する必要があります。これらの文書は、確定申告の際に提出するか、或いは確定申告書に記載の上で添付文書を省略する形で対応が可能です。省略した場合でも、これらの文書は領収書と共に5年間自宅での保存が必要とされます。

歯科医に支払った金冠等の装てん費用

Q.私は虫歯の治療を受けていますが、歯科医の勧めにより奥歯4本に金冠を装てんすることにしました。この金冠に要する費用は、健康保険の取扱いができないということで40万円を支払っています。この費用は、医療費控除の対象となりますか。

A.医療費控除の対象となるのは、医師や歯科医師による診療や治療、治療や療養に必要な医薬品の購入、その他医療またはこれに関連するサービスの費用で、その病状に応じて一般的に支出される金額を大きく超えないものです。そのため、健康保険の適用外の高額な材料を使用した歯の治療費が医療費控除の対象となるかは議論の余地があります。しかし、歯科治療で健康保険の適用外の材料(金、プラチナ、ポーセレン等)が使われることは一般的です。病状に応じて、通常支出される範囲内であれば問題ないと考えられます。質問のケースでは、虫歯治療のため奥歯に金冠を装てんすることは適切と認められ、支払った40万円も一般的な支出水準を大きく超えていないため、医療費控除の対象として差し支えないと考えられます。ただし、美容目的で健康な歯を抜いて義歯を入れる費用などは、医療費控除の対象外です。