「所得税」カテゴリーアーカイブ

ふるさと納税

Q.社会人になって初めての給料で「ふるさと納税」をした場合、どのような税金の控除がありますか?

A.「ふるさと納税」は、2008年の法改正によって開始された制度で、2,000円を超える寄附金について、所得税と住民税から原則全額が控除されます。この制度では、寄附金が所得税法において「特定寄附金」と認められており、所得税では寄附金額から2,000円を差し引いた額か収入の40%のどちらか少ない額が控除できます。住民税においては、2,000円を超える部分の約2割(一部期間は1割)が、寄附をした翌年度の税金から控除されます。また、この制度はふるさとという名がついていますが、寄附はどの自治体にでも行え、特定の出身地に限られません。2015年の税制改正により、サラリーマンなど確定申告が不要な人も、ワンストップ特例制度を利用することで、所得税と住民税の控除を受けられるようになりました。この特例を受けるためには、寄附先の自治体が5団体以内であることと、寄附時に申請書を提出することが必要です。ただし、医療費控除など確定申告が必要な場合は、寄附金控除に関する情報も申告書に記載する必要があります。

国又は地方公共団体に対し土地を寄附した場合の寄附金の額

Q.土地を国又は地方公共団体に寄附した場合、寄附金控除を適用する際、昭和27年以前に取得し取得費が分からない土地については、寄附金の額はどのようにして計算されるのですか。

A.土地などの物品を寄附した場合、その寄附金の金額は一般的にその時の価値で計算されます。土地を国や地方公共団体に寄附する場合、税法上は譲渡とみなされず、寄附した土地の時価から譲渡所得を差し引いた金額が寄附金の額として扱われます。寄附にかかった費用も合わせて寄附金の計算に含まれます。特に、昭和27年12月31日以前に取得した土地に関しては、その価値の5%を取得費用と見なして計算されるため、資産価値の5%に寄附にかかった費用を加えた合計が寄附金額となります。

固定資産の寄附

Q.公益財団法人○○育英会に寄宿舎の敷地用として土地を寄附した場合、寄附金控除額はどのくらいになりますか。

A.公益財団法人○○育英会は公益を大きく促進する組織であり、あなたが寄附した土地は、その時価額3,600万円を基準に寄附金控除の対象となります。しかし、土地の売却による所得に対して非課税の特例が適用されるため、寄附金の計算は時価から土地の売却所得に相当する額を差し引いた金額で行います。その結果、寄附金控除額は399万8,000円になります。この計算は、まず3,600万円から売却所得の3,100万円(3,600万円 – 500万円)を引き、寄附金として500万円を算定します。寄附金控除額としては、あなたの所得金額合計1,000万円の40%である400万円、または寄附金額500万円から微小な調整を行い、最終的に399万8,000円が控除されます。

社会福祉法人への寄附金と寄附金控除

Q.社会福祉法人「○○福祉協会」に50万円の寄附をしたいと考えており、今年の所得は500万円程度ですが、この寄附は寄附金控除の対象となりますか?

A.はい、社会福祉法人への寄附金は寄附金控除の対象になります。この寄附金控除を受けるためには、その寄附金が社会福祉法人の主要な業務に関連する寄附であることが必要です。さらに、寄附金控除を選択する場合、寄附金控除額は次のように計算されます。所得金額の合計の40%または特定寄附金の合計額のいずれか少ない額から2,000円を引いた金額になります。例えば、所得金額が500万円で寄附金が50万円の場合、寄附金控除額は49万8,000円になります。

計算は次の通りです。500万円の40%は200万円ですが、寄附金が50万円の方が少ないため、50万円を選択し、そこから2,000円を引いて49万8,000円が寄附金控除額となります。

公益を促進する目的での寄附の場合、その事実を記載した受領証を確定申告の際に提出または提示する必要があります。

私立学校に対する寄附金

Q.私は母校の私立学校へ寄附したいと思っていますが、どのような場合に寄附金控除の対象になるのですか。

A.寄附金控除は、私たちの国で公共事業の運営などに民間からの資金援助が重要な役割を果たしている現状を踏まえ、教育や科学の発展、文化の向上などに資する民間資金の導入を促進する目的で、1962年に導入されました。寄附金控除の対象となるのは、私立学校法に基づく学校法人が設置する幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校、専修学校などの運営に資する寄附金です。ただし、入学に関する寄附金は除外されます。寄附金控除を受けるには、①寄附金が学校運営に関連していること、受領したこと、寄附金の額と受領した日を証明する書類と②学校設置を主たる目的としていることを示す所轄庁発行の証明書のコピーを確定申告書に添付、または提出時に提示する必要があります。

公益の増進に著しく寄与する法人を設立するための寄附金

Q.学生に奨学金を提供することを目的とした「育英会」の設立計画が文部科学省から許可されました。この設立に際し、基本財産として現金を寄附しました。この寄附金は確定申告時に寄附金控除の対象としてよいでしょうか。設立に当たって財務大臣の指定は受けていません。

A.特定寄附金として認められる寄附金には、国や地方公共団体への寄附、または財務大臣が指定した公益法人等への寄附金、さらには公益の増進に顕著に寄与する法人への寄附金などが含まれます。ただし、公益法人等を設立するための寄附金は、財務大臣の指定を受けた場合のみ特定寄附金と認められます。従って、ご質問のケースでは、設立後に公益の増進に顕著に寄与する法人であるとしても、寄附時には法人が存在せず、また財務大臣の指定も受けていないため、寄附金控除の対象にはなりません。

入学に際して行う寄附

Q.長女がA大学を受験して合格したので、寄附金を40万円支払っていましたが、B大学にも合格したため、B大学に入学することにしました。この場合、A大学に支払った40万円は、入学しない大学に対する寄附ですから、寄附金控除の対象になりませんか。

A.たとえ、支払った寄附金が一般的な寄附金控除の対象になる特定の寄附金であったとしても、その寄附金が入学と関連して支払われたものである場合は、寄附金控除の対象外です。具体的には、学校への入学を目的とした寄附金、つまり学生本人やその家族が入学を希望する学校に対して、その学校からの入学許可が寄附金の支払いを条件とされている場合、または入学願書の受付開始から入学が予定される年の終わりまでの間に支払われた寄附金は原則として寄附金控除対象外とされています。また、入学希望に伴い支払った寄附金が、後に入学を辞退するなどの理由で実際には入学しなかった場合でも、寄附金控除の対象とはなりません。そのため、質問の場合でも、A大学への40万円の寄附金は寄附金控除の対象外となります。

寺社に対する寄附と寄附金控除の適用

Q.先祖の菩提寺である「○○寺」の本堂改修のため30万円を寄附しましたが、この寄附は寄附金控除の対象となりますか。

A.寄附金控除が適用されるのは特定の条件を満たす寄附のみであり、特定寄附金と呼ばれます。これには主に8つの区分がありますが、「○○寺」への寄附はこれらの条件に当てはまるかどうか確認する必要があります。もし「○○寺」が宗教法人として公益法人の地位を持ち、寄附が公益の増進に貢献すると認められ、かつ財務大臣から特定寄附金として指定されている場合には寄附金控除の対象になる可能性があります。この指定があるかどうかは、官報に掲載されるほか、寺自体にも通知されるため、実際には「○○寺」に確認する必要があります。指定がなければ寄附金控除の対象外となります。

地震保険料控除の対象となる損害保険契約等

Q.地震保険に入ったのですが、所得控除の対象について教えてください。

A.地震保険料控除は、地震災害への備えとしての自助努力を支援するための制度です。地震や噴火、津波などによるダメージを補償する保険契約や共済に支払った保険料に対して、払い込んだ金額(上限は5万円)をその年の総所得から引くことができます。この控除を受けることができるのは、主に自宅や家族が住む家、並びに生活に必要な動産をカバーする保険契約が対象です。共済契約も含まれ、農業協同組合や漁業協同組合、さらには財務大臣が指定した消費生活協同組合などが提供する保険も対象となります。また平成19年からは、以前の損害保険料控除は廃止されたものの、一定条件を満たす長期損害保険契約については、最高15,000円が控除可能な経過措置が設けられています。控除額はその年に支払った保険料の金額に応じて計算されます。

店舗併用住宅に支払った地震保険料の控除額

Q.店舗併用住宅について、保険金額2,800万円、保険料年額30,000円の地震保険契約を本年3月1日に締結し、同日保険料1年分を全額支払ったとします。家屋の床面積は200㎡で、住宅部分の床面積は120㎡です。この場合の地震保険料控除額はいくらになりますか?

A.保険料を支払った場合、最高5万円までがその年の総所得金額から地震保険料控除として差し引けます。しかし、支払った保険料が自動的に全部控除の対象になるわけではありません。店舗併用住宅場合、居住用資産に対する保険料のみが控除対象になります。店舗併用住宅の場合の居住用と事業用とが混在する資産についての保険料は、保険金額や床面積の割合に基づき計算します。この計算により、あなたの住宅部分に関する保険料は15,000円となり、これが地震保険料控除額として認められます。なお、家屋の90%以上を居住用に使用している場合、支払った保険料の全額を控除対象として差し支えありません。