「資産税」カテゴリーアーカイブ

会社規模の判定と総資産価額の計算

Q.会社規模の判定に当たって、評価会社が収用等により圧縮記帳を行っている場合には、課税時期の直前期末における「総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」はどのように計算するのでしょうか。

A.確定決算で積み立てた金額や確定決算における剰余金の処分を通じて積み立てられた積立金は、各資産の帳簿価額の合計額からは差し引きません。法人が収用や代替資産の取得、特定資産の買い換え等で圧縮記帳を行う場合、その結果貸借対照表上の数値は損金経理、積立金としての積み立て、剰余金の処分による積立金としての積み立てなど様々な方法で表記されます。しかし、会社規模の判定においては、これらの方法で計算された「総資産価額(帳簿価額によって計算された金額)」が直接使用されるわけではなく、これは会社規模を適切に評価するための基準とされています。そのため、税法上特に問題がなければ、簡便性を考慮することも認められており、原則として各資産の帳簿価額の合計額を用いて総資産価額を計算します。

取引相場のない株式が未分割遺産である場合の議決権割合について

Q.相続税の申告期限までに、遺産分割協議が整わないため、法定相続分で未分割遺産を取得したものとして相続税を申告する場合、非上場株式が含まれる際の株主判定(「同族株主等」「中心的な同族株主」「少数株式所有者」)は、株式の議決権の数をどのように計算するのですか。

A.各相続人は自身が保有する株式数に、未分割の遺産としての株式数全体を足した数で計算した議決権の数をもって判定されます。遺産が未分割の状態では、全相続人が将来的に法定相続分に従って具体的に株式を取得するとは限らず、こうした状態は暫定的なものです。しかし、税金の申告の際には特例的な評価方法を用いて、相続人がすべての株式を得ることを前提に、議決権の数を計算します。また、この計算は非上場株式の評価の際に重要で、未分割の株式数を0として記録し、その人が有する実際の株式数に未分割の株式数を加えた数を用います。この数に基づき「同族関係者グループ内の議決権の合計数」などの判定が行われ、後に遺産が分割されると、新たな株式取得に基づいて再判定されます。

中心的な同族株主

Q.取引相場のない株式を評価する場合の「中心的な同族株主」について説明してください。

A.「中心的な同族株主」とは、取引相場のない会社の株式を評価するときに、一定の株主とその周りの親族(配偶者、直系血族、兄弟姉妹、及び1親等の姻族)が持つ議決権の合計が会社の議決権全体の25%以上である場合、その株主を指します。この考え方は、同族株主がいる会社における課税時に重要です。具体的には、株主自身、その配偶者、両親や祖父母、子どもや孫、兄弟姉妹、そして彼らの配偶者も含まれ、これらの全員が持つ会社の議決権が25%を超えた場合、該当する株主は「中心的な同族株主」と見なされるのです。この判定に際しては、直系血族、配偶者、兄弟姉妹、そして1親等の姻族の議決権が計算に入ります。

取引相場のない株式の評価方式の判定

Q.取引相場のない株式の評価方式はどのように区分されていますか?

A.取引相場のない株式の評価には、原則的評価方式と配当還元方式の2種類が存在します。原則的評価方式は会社の規模に応じて使われる方法です。これには、類似業種比準方式、純資産価額方式、そしてこれらの併用方式が含まれます。一方、配当還元方式は、議決権の割合が少なく会社経営に大きく関与していない株主に対して適用されます。この方式に該当する株主には、同族株主以外の者や、議決権割合が非常に少ない株主などがあります。株主の種類やその権利割合によって評価方法が異なるため、各状況に応じて適切な評価方式を選択する必要があります。

会社規模の判定

Q.「従業員数」を計算する場合、出向中の者と人材派遣会社より派遣されている者は、どの会社の従業員としてカウントするのですか?

A.従業員数を計算する際、出向中の者および人材派遣会社から派遣されている者をどの会社の従業員としてカウントするかは、それぞれの雇用関係や勤務実態を確認した上で決定します。具体的には、以下のように判断します。

1. 出向中の者

通常、従業員は雇用契約によって雇用され、賃金が支払われる個人を指します。出向元との雇用関係が終了し、出向先で雇用されている場合、出向者は出向先の従業員としてカウントされます。

2. 人材派遣会社から派遣されている者

労働者派遣法に基づき、派遣元事業所と派遣労働者間の関係は主に二つのパターンがあります。

  a. 派遣される期間だけ、派遣元事業所と登録者間で雇用契約が結ばれ、賃金が支払われるケース。

  b. 派遣元事業所と常時雇用契約があり、派遣の有無に関わらず賃金が支払われるケース。

これらの基準に従い、派遣元事業所の「継続勤務従業員」以外の従業員として、もしくは「継続勤務従業員」として、どちらのケースでも派遣元事業所の従業員としてカウントされます。

3. 派遣先事業所における従業員数基準の適用

派遣労働者を受け入れる現代の企業は、正社員だけでなく、臨時やパートタイマーも含めた多様な雇用形態を採用しています。この観点から、派遣労働者も派遣先事業所における実質的な従業員と見なして差し支えないとされています。したがって、勤務実態に応じて派遣労働者を継続勤務従業員とその他の従業員に区分し、判断することが可能です。

会社規模の判定 (1)

Q.会社規模の判定を行う場合、会社の「従業員数」はどのように計算するのですか。

A.会社規模の判定における従業員数の計算は、課税時期の直前の期末を起点として一年間勤めた従業員(週30時間以上の勤務で、継続勤務従業員と呼ばれます)を基本数とします。この数字に、継続勤務従業員以外の従業員がその年間に働いた総労働時間を1,800時間(1人当たりの平均労働時間として設定されています)で割った結果を加えたものが、従業員数の計算結果となります。ここで、従業員とは、勤務時間や常時使用、臨時使用を問わず、評価対象の会社と雇用契約を結び給与を受け取る個人のことを指します。ただし、社長や理事長など特定の役員は従業員数には含まれません。この計算では、課税時期の直前の一年間における勤務状況をもとにして、従業員数を判定します。

取引相場のない株式の評価方法について

Q.取引相場のない株式の評価方法について説明してください。

A.取引相場がない株式を評価する際には、その株式を発行している企業の規模を基にして、適用される評価方法が変わります。企業規模の判定には、卸売業、小売・サービス業、その他の業種に分けて、総資産額や従業員数、取引金額などに基づいて行います。具体的に言うと、規模に応じて、大会社、中会社、小会社に分類され、それぞれの会社に対して異なる株式評価方法が適用されます。

大会社の株式は、類似業種比準価額によって評価することができ、代替として1株あたりの純資産価額による評価を選択することも可能です。中会社の株式は、類似業種比準価額と1株あたりの純資産価額を併用する方法で評価されますが、純資産価額のみでの評価を選択することもできます。小会社の株式は基本的に1株あたりの純資産価額で評価されますが、経営者の選択によって、中会社で用いている併用方式を適用することが可能です。

この評価方法は、企業が持つ資産の価値や業界内での相対的な状況、市場における収益性などを考慮して定められています。具体例として、類似業種比準方式では資産の帳簿価額に加えて、利益や配当などの収益要素を、事業内容が似ている上場企業の株価と比較して株式の価値を評価します。また、純資産価額方式では、企業が保有する資産の評価額と負債の合計額及び法人税額等を差し引いた金額をもとに、株式の価値を計算します。これらの方法により、市場で取引されていない株式の価値が算出されます。

株式の信用取引の相続税の課税の計算

Q.父は信用取引により株式の空売りをしましたが、その決済をする前に死亡しました。この場合の相続税の課税価格の計算に関し、財産及び債務は何で、どのように評価すればよいですか?

A.信用取引で株式を空売りした人が決済前に亡くなった場合、証券会社に供託されている売付代金相当の金額(借株担保金)とその利息(日歩)の合計が積極財産に数えられます。一方、借りた株式の価格は債務として計上されます。債務には逆日歩の未払金も含まれます。相続税の計算時には、「借株の価額」は相続開始日における株価(最終価格)で評価されます。さらに、証券会社に預けている「委託保証金」も積極財産として計上する必要があります。

株式の割当てにおける課税時期の月平均額の計算方法

Q.株式の割当て等の基準日の翌日以後が課税時期である場合、課税時期が属する月、その前月及び前々月の最終価格の月平均額はどのように計算されるのでしょうか。

A.課税時期が株式の割当て等の基準日の翌日以後の場合、以下の手順で計算します。

1. 課税時期が属する月の最終価格の月平均額は、その月の最終価格の平均で求められます。

2. 課税時期が属する月の前月と前々月の最終価格の月平均額は、特定の算式に従って計算されます。この算式では、その月の最終価格と株式の割当条件を考慮した金額を用います。

具体例として、株式1株あたり0.5株を割り当て、払い込むべき金額が50円の場合、課税時期が属する月、その前月、前々月の最終価格の月平均額を以下の通り計算します。

1. 課税時期が属する月の最終価格の月平均額は150円です。

2. 課税時期が属する月の前月の最終価格の月平均額は152円です。これは、(203円+50円×0.5)÷(1+0.5)の計算により求められます。

3. 課税時期が属する月の前々月の最終価格の月平均額は148円です。これは、(197円+50円×0.5)÷(1+0.5)の計算により求められます。

株式の評価方法と課税時期

Q.上場株式を評価する場合において、課税時期が株式の割当て等の基準日以前で、権利落ち等の日が課税時期の属する月の初日以前である場合、課税時期の属する月の最終価格の月平均額はどのように計算するのですか?

A.権利落ち等の日が課税時期に含まれる月の最初の日よりも前である場合、株式の最終価格の月平均額の計算方法が特定されます。この計算は、課税時期に属する月の最終日の価格を基にしています。具体的には、株式1株当たりの最終価格と割当てられた株式の数、そして株式1株に対して支払われるべき金額を用いた計算式によって行われます。この場合、権利落ちの後の価格が月平均額として用います。具体的な例で言えば、課税時期の属する月の最終価格の月平均額は350円で、この金額は下記の算式で算出されます:250円 × (1 + 0.5) – 50円 × 0.5 = 350円。これにより、権利落ちがあった場合の課税時期の属する月の最終価格の月平均額が決定されます。