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非事業用建物の譲渡における取得費計算

Q.平成22年1月に2,000万円で取得した居住用の木造建物を、土地と一緒に令和5年8月に売却しました。この場合、譲渡所得の計算で控除できる建物の取得費はいくらになりますか?

A.あなたが居住用の木造建物を売却した場合、譲渡所得の計算において建物の取得費から控除できる金額は12,188,000円になります。この計算は、建物の取得価額(20,000,000円)から、建物の減価償却相当額(7,812,000円)を引いたものです。ここでいう減価償却相当額は、建物の耐用年数(木造住宅の場合は22年)や経過年数(14年)などに基づいて計算されます。具体的には、耐用年数によって決まる償却率を使用し、建物の取得価額から建物が保有している残存価額を控除した額(この場合は10%が控除された後の金額)に適用します。これにより、譲渡時の取得費として12,188,000円が控除可能です。この計算には、建物取得時の付随費用(例:登録免許税、不動産取得税等)は含まれていません。

 譲渡所得

Q. 一括して購入した土地の一部を譲渡した場合の取得費はどのように計算したらいいのでしょうか? A. 一括で購入した土地の一部を売った時の取得費の計算方法には2通りあります。1つ目の方法は、土地全体の購入価格に譲渡した土地の面積が全体の何割かを乗じた金額です。この場合だと、3,000万円(全体の購入価格)×1/3(譲渡した土地の割合)で、取得費は1,000万円になります。2つ目の方法では、土地の時価を基に計算します。譲渡時に全土地の時価が4,000万円(隣接する商店街側100平米×20万円+残り200平米×10万円)だった場合、譲渡した土地100平米の取得費は、譲渡価額2,000万円が全時価の割合に基づいて計算され、1,500万円となります。どちらの計算方法を用いても差し支えありません。

土地の一部を寄附した後の残地の取得費

Q.12年前に自宅を建築するために3,000万円で取得した宅地の一部を公園用地として寄附した後、残っている土地を売却する場合、その残地の取得費は3,000万円で計算して良いのかどうか。

A.残地の譲渡所得を計算する際の取得費は3,000万円ではなく、2,500万円となります。譲渡所得の計算で考慮できる取得費は、所得税法に基づき、その資産の取得費用とその上で行われた設備投資や改良費用の合計です。あなたが売却した土地が250平方メートルなので、全体の取得費3,000万円の中から土地の比率に応じて、2,500万円が取得費として計算されます。また、寄附した土地については寄附金控除の対象になり、この控除の計算には寄附された土地の取得費などが基礎として使われます。寄附金控除額の詳しい計算方法については別の質問で説明されています。

第二次納税義務 と残余財産の取得費

Q.譲渡所得の金額を計算する上で、A会社の法人税や出資額を必要経費とすることはできるか?

A.譲渡所得の計算において、A会社の法人税やその会社に対する出資額を必要経費として差し引くことはできません。譲渡所得額の計算では、基本的に資産の取得費、設備や改良に関わる費用を合わせた合計額が控除される資産の取得費として扱われます。会社が解散して残余財産が分配される場合、金銭以外の財産を受け取った際は、その時の時価が基になります。したがって、3年前に取得した宅地の場合、その時の時価が取得費として認められます。一方で、A会社設立時の出資金や、法人税として負担した額は、資産取得の直接的な費用には当たらないため、控除することはできません。

代償分割に関する取得費の扱い

Q.相続により取得した宅地を譲渡する際、代償分割で共同相続人に支払った金額は譲渡所得の計算上の必要経費に算入できますか。また、代償分割で名義変更した宅地を共同相続人が譲渡した場合、その取得費の計算はどうなりますか。

A.あなたが共同相続人に支払った2,000万円は、宅地の譲渡所得を計算する際の必要経費には含まれません。この金額は相続で得た資産の取得費には算入されないためです。一方、共同相続人が宅地を売った場合、その取得費は宅地の名義変更時の時価で計算されます。つまり、代償分割であなたから共同相続人へその宅地の所有権が移った時の価値が取得費として考慮されます。代償分割により得た遺産で他の共同相続人に金銭や他の資産を渡した場合、その代わりの支払いは相続税の計算で控除できるものの、譲渡資産の取得費には含まれません。結果として、譲渡所得の計算で考慮できる取得費は、元の所有者がその資産を購入した際のコストとなります。

契約解除に伴い支出する違約金

Q.退職後、社宅から出て自宅を建てる予定で現在賃貸に住んでいますが、購入した土地を別の良い土地に変更したいと思い、先に契約した土地の契約を違約金を払って解除しました。この違約金はどう扱われるのでしょうか?

A.支払った違約金は、新しく購入する土地の取得費に加えることができます。土地購入契約を解除して別の土地を買った場合、違約金は原則として他の土地の取得費の一部として扱われます。

立退料等を支払って取得した資産の取得費

Q.30年前に購入した土地と建物(貸家)に対して、駐車場として利用するために立退料を支払い、建物を取り壊した場合、これらの費用は譲渡所得の計算にどのように影響しますか?

A.支払った立退料と建物の取り壊し費用(もし廃材を処分した場合は、その売却価格を差し引いた金額)は、土地の取得費に加えることができます。資産を購入した際にかかる費用や資産を使用するために直接かかる費用の合計額は、次のように取得費に含めることができます。1) 購入代金、購入に伴う手数料、登録免許税、購入に必要な登録費用、不動産取得税、運搬費、荷下ろし費用、運送保険料、関税、運搬費、設置費用などです。ただし、業務用に使用される資産にかかる登録免許税や不動産取得税は、その業務に関連する収入の計算において必要経費に算入されます。2) 土地を建物付きで購入し、その建物を取得後おおよそ1年以内に取り壊す場合、このような行動が土地利用の当初の目的であれば、建物の取得費と取り壊し費用の合計額(廃材があればその売却価価格を差し引いた金額)は土地の取得費に算入されます。3) 土地や建物などの購入時に、前の利用者に立退料を支払う場合、これらはその土地や建物の取得費または取得価額に算入されます。

短期譲渡所得の計算上控除する取得費と概算取得費控除

Q.4年前に先祖代々所有してきた農地が収用され、その代金の一部で建築したアパートを売却することになりました。このアパートの取得費は、収用等の代替資産の特例によりかなり少ない額になっていますが、長期譲渡所得の概算取得費控除(5%)を使用しても問題ないでしょうか?

A.はい、概算取得費控除(5%)を使用して譲渡所得の計算を行っても問題ありません。この規定は長期保有資産の所得計算で取得費の確定が難しい場合に設けられたもので、実際の取得費が概算取得費(5%)よりも低い場合でも利用可能です。また、短期譲渡所得に関しても、同じ理由から5%の概算取得費を使用できます。さらに、土地建物以外の資産を譲渡した場合も、収入金額の5%を取得費として計算に入れることができます。

代物弁済により取得した土地の取得費

Q.今年売却予定の土地を昭和48年に代物弁済で取得した場合、取得価額はどうなるのでしょうか?その時の債権は利息含め1,000万円でしたが、債務者の資力がなく、時価600万円の土地で債権を全て消滅させました。今回の売却における土地の取得価額は1,000万円で良いのでしょうか。

A.土地の取得価額は600万円となります。あなたが1,000万円の債権を時価600万円の土地で消滅させたため、実際に代物弁済で回収した土地の価値は600万円です。残る400万円に関しては、回収できなかった部分として損失、すなわち貸倒損と考えられます。

贈与等の際に支出した費用

Q.父から贈与されたゴルフ会員権の名義変更手数料100万円は、会員権を売却する際の取得費に算入できますか?

A.はい、贈与や相続などで資産を受け取る際に通常必要とされる費用を支払った場合、その費用は売却時の取得費として扱うことができます。したがって、あなたが支払った名義変更手数料100万円も取得費として考慮できます。これは、ゴルフ会員権だけでなく、土地や建物を贈与された時の登記費用や不動産取得税、株式の場合の名義書換手数料など、資産取得に通常必要とされる費用は原則として取得費に含めることができるためです。