「資産税」カテゴリーアーカイブ

譲渡費用

Q.10年前に広島県から大阪市内へ転居し、広島県の土地を3,000万円で売却した場合、①仲介手数料、②相続登記費用、③固定資産税(10年前からの代納分)、④土地管理料を譲渡費用として計上できますか?

A.売却に関わる支出の中で、仲介手数料(①)は譲渡費用に該当しますが、相続登記費用(②)、固定資産税(③)、土地管理料(④)などは譲渡費用には含まれません。ただし、相続登記費用は資産の取得に要した費用として計上が可能です。譲渡費用として認められるのは、資産を売却する際に直接かかった費用、たとえば仲介手数料や、資産の譲渡に必要な登記費用、立ち退き料、解体費用、売買契約の解除に伴う違約金など、資産の売却価格を高めるために必要な費用です。しかし、資産の修理費用や固定資産税などの維持・管理費用は、譲渡費用には含まれません。

使用貸借に係る建物を譲渡した場合の取得費の計算

Q. Aは、子のBに家屋を無償で貸し付けており、Bはその建物で青果業を営んでいます。A、Bは生計が別であり、Bは事業所得の計算上この建物の減価償却費を必要経費に算入していません。このような場合、譲渡所得の金額の計算上、建物の取得費の計算はどのようになるのでしょうか。

A. この場合、建物の取得費は、建物を取得するときに必要だった費用、設備費、改良費を合わせた額から、建物の減価償却費の合計を引いた金額です。AとBが生計が別で、建物の貸し付けが使用貸借の場合には、その減価償却費は特定の計算方法に従って算出します。譲渡所得を計算する際、財産の取得費としては、その財産を取得した際の費用と設備費、改良費を全て合わせた額が基本です。ただし、譲渡される資産が家屋のように使用や時間の経過で価値が減るものの場合、取得から譲渡までの期間において、特定の期間ごとに償却費を計算し、その合計を取得費から差し引きます。具体的には、資産が収益を生み出すために使われていた期間における償却費の合計、またはその他の期間については法定耐用年数に基づいて計算した償却費を合計し、これを取得費から引きます。AとBが一緒に生計を立てていた場合、Aの建物の減価償却費はBの事業所得の計算時に必要経費として算入しますが、生計が別の場合には、ここで説明した計算方法に基づいて減価償却費を算出します。

借地権者等が取得した底地の取得時期等

Q.昭和50年から地代を払って借りていた居宅の敷地をこの度地主から買い取ることにしました。この買い取った土地を売る場合に、この土地の取得時期は買い取った時である短期譲渡所得になると聞いていたのですが、長い間借りていて権利があったのですから長期譲渡所得とはならないでしょうか。

A.貴方がその土地を売る時に得た収益の計算には、土地の一部に関しては買い取った時点を取得日とし、もう一部に関しては昭和50年を取得日として考えます。具体的には、旧底地部分については買い取った時が取得日、旧借地権部分に関しては昭和50年が取得日として計算されます。これは、借地権などの権利を有している者がその権利が設定されている土地(底地)を買い取った際には、旧底地部分と旧借地権部分を別々に取得日として考慮するというルールに基づいています(所基通33-10)。

低額譲受資産の取得の日

Q.私は昭和63年に父から200万円で譲り受けた土地(当時の時価は600万円でした)を令和5年に800万円で売却しました。この土地は父が昭和59年に400万円で取得していたもので、私に売却した際に200万円の損失が生じましたが、その損失について他の所得と損益通算して所得税の申告をすることは認められていません。私はその時、時価より相当安い価額で譲り受けたことにより、贈与税の申告をしています。この場合、土地の取得の日及び取得価額はどのようになるのでしょうか。

A.取得の日はお父様がその土地を購入された昭和59年となります。さらに、取得費用もお父様がその土地にかかった金額、つまり400万円となります。これは、時価の半分未満で資産を譲り受けたケース(この場合は低額譲受資産)において、その資産の譲受価格が売り手(ここではお父様)の売却時における取得費用と売却費用の合計額よりも低い場合、売り手が保有していた期間も引き継がれると見なされるためです。その結果、資産を買った人が実際に資産を取得した日は、売り手がその資産を購入した日、つまり昭和59年とされます。

耕作権を消滅させた後の土地譲渡における譲渡所得金額の計算

Q.耕作権を消滅させた後、土地を譲渡した場合の譲渡所得金額及び譲渡所得の計算上控除される取得費はどのように計算するのですか?

A.耕作権を消滅させた後、土地を譲渡する際の譲渡所得金額とその計算で控除される取得費の計算は、旧耕作権部分と土地そのもの(底地部分)に関連した部分に分けて行います。ここでの所有期間は、耕作権を消滅させた時点を取得時期として扱います。

1. 旧耕作権部分において

   – 収入金額は、耕作権消滅時の旧耕作権の価額を収入として計算します。ここでの「旧耕作権の価額」は、耕作権消滅にあたり支払った金額(適正額)とされます。

   – 取得費は、耕作権の消滅に伴い支払った価額です。

2. 底地部分において

   – 収入金額は、土地の譲渡価格から、耕作権部分の収入金額を引いたものです。

   – 取得費は、譲渡した土地全体の取得費から、旧耕作権部分に関連する取得費を引いた金額です。

具体例で計算すると、

1. 耕作権部分では、収入金額として5,000万円で譲渡された価格の一部2,000万円が計上されます。取得費として支払われた1,600万円を差し引くことで、400万円の短期譲渡所得が得られます。

2. 底地部分では、全譲渡価格から耕作権部分の収入金額を差し引いた3,000万円が収入金額となります。これに対し、取得費として150万円(3,000万円の5%)を考慮することで、2,850万円の長期譲渡所得が計算されます。

土石等を譲渡した場合の取得費

Q.7年前に購入した山林の土石を宅地造成会社に譲渡した場合、譲渡所得の計算で控除できる取得費はどうなるか。

A.土地の土石などを譲渡する場合、譲渡所得の計算で控除できる取得費の計算方法は次のように定められています。土石を譲渡した後の土地の現価値が元々の土地の購入価格以上であれば、土石に関する取得費は認められません。逆に、土地の現価値が土地の購入価格を下回る場合には、譲渡後の土地の価値を超える分の額が土石等の取得費として認められます。したがって、質問のケースでは、山林を1,500万円で購入し、土石譲渡後の価値が2,500万円であるため、土石の譲渡に係る取得費は認められないことになります。

土地についてした防壁、石垣積み等の費用

Q.雑種地を購入し整地して宅地にした後、傾斜地のために石垣積みと土盛りをする場合、この費用は土地の取得価額に算入されるのでしょうか。

A.土地を整地するためにかかった費用は土地の取得費に算入されます。しかし、土地に関して行う防壁や石垣積みの費用は、それが土地とは別に構築物と見なされる場合、土地の取得費には算入せず、構築物の取得費として扱うことができます。もし業務用資産であれば、これらの構築物は減価償却の対象になります。

繰延資産の償却期間

Q.繰延資産の償却期間はどのように決定されるのですか?

A.繰延資産の償却期間は、資産を賃借するために発生した費用の種類によって異なります。具体的には、以下の3種類に分けられます。

1. 建物の新築時にその所有者に支払った権利金で、その金額が建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、実質的にその建物を存続期間中賃借できると認められる場合、償却期間はその建物の耐用年数の70%です。

2. 建物を賃借する際に支払った権利金で、(1)以外のもので、契約や慣習に基づき、その権利を転売できる場合、償却期間は賃借後の残存耐用年数の70%です。

3. (1)および(2)に該当しないその他の権利金の場合、償却期間は5年です。ただし、契約の賃借期間が5年未満であり、契約更新時に再度権利金の支払が必要な場合は、賃借期間の年数になります。

注意点として、償却期間の1年未満の端数は切り捨てることになります。

借家権の譲渡所得の計算上控除する取得費

Q. 20年前に200万円の権利金で家を借り、今年、1000万円の立退料を受け取りました。この場合、200万円を取得費として控除できるでしょうか?

A. 支払った権利金から、その権利金が家を借りるために使われた期間にわたって計算される償却費を引いた金額が、取得費として控除できます。あなたの場合では、20年前に賃借した家から立ち退くことになり、その対価として1000万円を受け取りましたから、立退料は譲渡所得として課税されます。償却費は、権利金を支払った日から家を離れるまでの期間を基に計算されます。

借地権の取得費

Q.15年前に150万円の権利金を支払って土地を借りて家を建てた場合、その借地権の取得費は150万円だけで良いですか。

A.あなたが15年前に支払った150万円の権利金だけでなく、土地の整地や借地契約に関わる手数料、さらに土地の所有者に対して支払った費用など、借地権を得るためにかかったその他の費用も含むことができます。これらは、借地権の取得費として計上可能です。また、建物等を買った時の金額の中で、借地権に関する費用と認められる部分も取得費に含めることができます。ただし、この金額が建物等の総購入代金の約10%未満の場合は、建物の取得費に一緒に含めても問題ありません。あなたが家を売る際には、これらの追加費用も借地権の取得費に計算し、譲渡所得の計算に反映させることができます。