Q.私はこの度、保有していたゴルフ会員権について、預託金の償還期間が到来したため、退会手続きを行った上で預託金の返還請求を行いました。この会員権は10年前に知人から1,000万円で購入しましたが、返還された預託金は500万円でした。ゴルフ会員権の譲渡については、総合課税の譲渡所得となり、譲渡損失については損益通算ができるでしょうか。 A.いいえ、損益通算はできません。預託金の返還は、お金を取り戻す行為であり、ゴルフ会員権の売渡しとはみなされないため、他の所得と損益通算することはできません。このように預託金の返還によって生じる損失は、「家事上の損失」と呼ばれ、所得税の計算には含められません。ただし、ゴルフ会員権を売った場合の損失は、他の収入と相殺することは認められていません。
「資産税」カテゴリーアーカイブ
ゴルフ会員権の譲渡による所得
Q. 私は、本年4月20日にゴルフ会員権を譲渡しました。その会員権は株式形態のものでしたから、申告分離課税の対象となる譲渡として、確定申告をしようと思っています。それでよろしいでしょうか。
A. ゴルフ会員権を譲渡した場合、株式の譲渡所得としてではなく、総合課税による譲渡所得として申告しなければなりません。ゴルフ会員権には、株式形態と預託金形態の二種類があります。株式形態は、ゴルフ場の株式や出資を所有していることで、そのゴルフ場を他の一般利用者よりも有利な条件で使える権利(メンバーとしての権利)を持つものです。預託金形態は、お金を預けてメンバーになる権利を指します。これらのゴルフ会員権の譲渡によって生じる所得は、物を在庫として持っていたり利益を得るために継続的に売買している場合を除いて、総合課税の対象です。また、2014年の税制改正でゴルフ会員権は日常生活に必要ではない資産とされ、2014年4月1日以降の譲渡による損失は他の所得から控除できなくなりました。
受益証券発行信託の課税関係
Q.受益証券発行信託の課税関係を教えてください。
A.受益証券発行信託は主に、特定の法律に基づいて受益証券が発行されるタイプの信託で、特定受益証券発行信託以外のものを指します。この受益証券発行信託では、信託財産からの所得に関して、受託者(信託を管理運用している人や組織)が法人税の対象となります。このように信託段階で法人税がかかる信託を「法人課税信託」と言い、このタイプの信託の受益権は税法上、株式や出資と同様に扱われ、それに伴う譲渡所得なども対象になります。
特定受益証券発行信託の課税関係
Q.特定受益証券発行信託の課税関係を教えてください。
A.特定受益証券発行信託とは、信託が発行した受益証券のうち、一定の条件を満たすものを指します。これらの条件とは、受信者が税務署長の承認を受けた法人であること、各計算期間の終わりと始まりにおける利益留保割合がそれぞれ2.5%以下、25%以下であること、計算期間が1年を超えないこと、そして受益者がいない信託でないことなどです。これらの条件を満たす信託について、信託財産から得られる所得は、受託者の段階では課税されませんが、受益者に利益が分配された時、その分配された受益者に対して課税されます。
この特定受益証券発行信託に個人が投資した場合、受け取った分配金は配当所得(配当控除なし)として分類され、受益証券の譲渡や信託の終了および解約によって得られる所得は、株式等の譲渡所得等として課税されます。
有価証券の譲渡
Q.個人が株式等を譲渡した場合、どのように課税されるのでしょうか。
A.個人が株式やその他の価値がある証券を売るとき、普段は所得税がかかることになります。これは申告分離課税という方法です。具体的には、平成25年12月31日までと平成26年1月1日以降で税率が異なります。平成25年までは、上場株式等の金融商品取引業者を介した譲渡の場合、所得税7%、住民税3%の合計10%の税がかかりました。しかし、平成26年からはそれが20%(所得税15%、住民税5%)に上がっています。一方で、上場されていない株式等の譲渡にも同じく20%(所得税15%、住民税5%)の税率が適用されます。
さらに注目すべき点として、平成25年から令和19年まで毎年の確定申告では、所得税に加えて復興特別所得税が必要です。これは基本の所得税額に対して2.1%を加算するものです。
株式等の譲渡による所得の中には、特定のものが総合課税や分離課税の対象になる場合もあります。例えば、ゴルフ会員権のような株式形態のものは総合課税が、実質的に短期間で保持される土地等に関連する株式等は分離短期譲渡所得が、そして先物取引により譲渡される株式等は分離雑所得として扱われます。
借地権の譲渡に伴う名義書換料
Q.今年、借地権を譲渡することになり、地主に名義書換料として200万円支払いました。この場合に支払った名義書換料は譲渡費用として認められますか。
A.はい、支払った名義書換料は譲渡費用に該当します。資産の譲渡に直接要した費用、この場合でいう名義書換料は、譲渡費用として認められるためです。ただし、名義書換料を支払ったのが借地権を受け取る方であれば、その料金はその方の借地権の取得価額に含まれます。
抵当権抹消登記費用
Q. 土地を売却する際に支払った抵当権抹消登記費用は譲渡に要した費用になりますか。
A. 譲渡費用には該当しません。譲渡に必要な費用とは、土地などの売買で実際に必要とされる経費のことを指しますが、土地を売るために抵当権を消す登記手続きの費用は、その土地を売却するための直接的な経費ではないと考えられます。このため、抵当権抹消の登記手続費用は譲渡費用には含まれません。
譲渡代金の取立てに要した弁護士費用
Q.私は資産を譲渡したが、相手から譲渡代金をなかか回収できなかったため、弁護士を通じて取り立てました。この弁護士費用は譲渡費用に含まれますか?
A.弁護士費用は譲渡費用に該当しません。譲渡費用とは、資産を譲渡するために直接必要となった費用を指します。支払った弁護士費用は、譲渡代金の回収に必要な費用であり、資産の譲渡そのものに必要な費用ではありません。
譲渡契約解除に伴う違約金
Q.先の譲渡契約を解除するために支払った違約金はB信用金庫への譲渡に関する譲渡費用となるのでしょうか。
A.先に結んだ契約を解除するために支払った違約金は、土地の譲渡で得た所得を計算する時の費用として引くことができます。ただし、手付金の返還部分は除きます。つまり、より良い条件で他者に土地を譲渡するために解約した場合、その解約に伴って支払った違約金(ただし手付金返還分を除く)を譲渡費用として考慮することが可能です。違約金には条件があり、実際に譲渡した土地に関連する分だけが譲渡費用として認められます。
譲渡に伴う取壊し費用
Q.土地を売却し、買主の希望で倉庫を取り壊した場合、その取り壊し費用は譲渡所得の計算上、譲渡費用になりますか?
A.はい、取り壊しのための費用は譲渡費用に含まれます。具体的には、倉庫の原価(簿価)と取り壊しにかかった費用を合計し、そこから廃材などの処分費を差し引いた金額を譲渡費用として譲渡所得の計算に用います。土地を譲渡する際に、その土地上の建物を取り壊すか除却する行為が土地の譲渡のために行われた場合、その取り壊しや除却にかかった損失は、譲渡に関連する費用として処理できます。この計算は、資産の取得費や減価償却費、取り壊しにかかった費用、そして取り壊しによって発生した廃材の処分価格を含めて行います。