「資産税」カテゴリーアーカイブ

特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例の概要

Q.特定口座内で保管する上場株式を譲渡した場合、所得計算等について特例があると聞きましたが、どのようなものでしょうか。

A.特定口座を設定し、その口座内で保管する上場株式等を譲渡した際の所得計算における特例は、大まかに次の2点です。1つ目は、特定口座内で保管している上場株式等を譲渡した場合、その譲渡による所得と、その他の株式等の譲渡による所得を、特定口座ごとに区分して計算することです。2つ目は、上場株式等の信用取引や発行日取引を特定口座で行った場合、その取引に関連する上場株式等の譲渡による所得(事業所得または雑所得)を、信用取引に関連しない株式等の譲渡による所得と区分して計算することです。 さらに、金融商品取引業者等は、年間を通じて特定口座で行われた上場株式等の譲渡に関する情報(対価の額、取得費、譲渡にかかった費用、所得の額や差益の額、配当等の額など)を記載した特定口座年間取引報告書を作成し、翌年の1月31日まで(中途で口座廃止等があった場合はその翌月末まで)に所轄の税務署長に提出し、もう1通を口座開設者に交付する規定があります。確定申告をする際は、この報告書を基に計算を行います。

特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例

Q.証券会社の特定口座内で保管していた上場株式の発行会社が破産して、株式が無価値となり相当の損失が生じた場合、その損失と他の株式の譲渡益との通算は可能ですか?

A.あなたが保有する株式が特定管理株式等に当てはまる場合、株式が無価値となったことに起因する損失は上場株式などに関連する譲渡損失として、他の株式売却から得た利益と相殺(損益通算)することが許され、さらにその損失を将来の利益と相殺するために先送り(繰り越し控除)することが可能です。この特例を利用するには、一定の条件が成立し、それに伴う必要書類を確定申告時に提出する必要があります。これには、特定管理口座での取り扱いが含まれ、必要な手続きを通じて適用を受けることができます。

上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

Q. 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除とはどのようなものでしょうか。

A. 上場株式等に係る譲渡損失とは、金融商品取引業者等を通じて上場株式を売却した際に生じた損失のことです。この損失が発生した場合、確定申告をすることによってその年の上場株式の配当に関連する利息所得や配当所得との損益通算が可能になります。ただし、上場株式に関連する配当所得に限り、申告分離課税を選択したものです。損益通算後もまだ控除できていない損失がある場合は、その損失を翌年以降3年間、上場株式に関する譲渡所得や配当所得から繰越控除することができます。ただし、この繰越控除は一般株式等に関する譲渡所得からは控除できません。令和4年分以前に生じた上場株式等に関する譲渡損失は、令和5年分の上場株式等に関する譲渡所得や配当所得から繰越控除が可能ですが、一般株式等に関する譲渡所得からの繰越控除はできません。この特例を適用するためには、確定申告書に損益通算をしようとする旨を記載し、必要な書類を添付して提出することが求められます。また、繰越控除の利用には特定の手続きが必要となります。

株式等の取得に要した借入金の利子

Q.上場株式を令和5年6月に譲渡し、取得価額と譲渡価額が記載されていますが、概算取得費を適用できますか。

A.実際の取得価額に基づく取得費と、概算取得費の両方を計算します。実際の取得価額に基づく取得費は、合計取得価額を合計取得株数で割り、得られた単価に譲渡株数を乗じて計算され、1,100,000円となります。概算取得費は、譲渡価額の5%に相当する金額で、1,650,000円です。実際の取得価額に基づく取得費と概算取得費を比較した結果、概算取得費の方が高いため、1,650,000円を株式等の取得費として適用できます。一般的には、実際の取得価額に基づく取得費と概算取得費のどちらか高い方を取得費として選択することができます。

株式等の取得価額の計算方法

Q.数回にわたって購入した同一銘柄の株式を譲渡した場合には、その株式の取得価額はどのようにして計算するのでしょうか。

A.同一銘柄の株式等を複数回にわたって取得した後、その一部を譲渡する場合、取得価額の計算方法は、その所得が事業所得か譲渡所得または雑所得かによって異なります。事業所得に該当する場合は原則として総平均法により、譲渡された年の1月1日に所有していた株式等の取得価額の総額とその年に取得した株式等の取得価額の合計を、所有する株式等の総数で割って1単位当たりの取得価額を算出します。届出により移動平均法も選択できます。例えば、ある銘柄の株式を令和4年11月に1,000株、令和5年1月に3,000株取得し、その後令和5年4月に2,000株を譲渡、令和5年7月に2,000株をさらに取得し、令和5年10月に3,000株を譲渡した場合、総平均法による取得単価は1株あたり1,400円となります。 譲渡所得または雑所得に該当する場合は、直前の譲渡日(または最初に取得した日)から次に譲渡するまでの期間に取得した株式等に関して総平均法に準じた方法で1単位当たりの取得価額を算出します。この例で譲渡所得に該当する場合、令和5年4月15日に譲渡した株式の1株あたりの取得価額は1,200円、令和5年10月21日に譲渡した株式の1株あたりの取得価額は1,500円と計算されます。

一般株式等に係る譲渡所得等又は上場株式等に係る譲渡所得等の課税の概要

Q.株式等の譲渡所得等の課税はどのようなものでしょうか。

A.日本に住んでいる人や、日本で事業を持つ海外の人が株やその他の有価証券を売ったとき、得た利益に対しては特別な税率が適用されます。この利益には、通常の収入とは分けて考えられる「一般株式等からの事業所得、譲渡所得、または雑所得」や「上場株式等からの事業所得、譲渡所得、または雑所得」があります。これらに対する税率は、所得税が15%、住民税が5%で、合計で20%です。また、一般株式等と上場株式等からの所得は完全に分けて考えられるため、一般株式を売ったときの損失は上場株式の利益から差し引くことはできませんし、その逆も同じです。

株式等に係る譲渡益課税制度

Q.申告分離課税の対象となる株式等は、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

A.申告分離課税の対象となる株式や関連する権利は次のようなものです。これには、一般的な株式や投資口、株式や新株予約権を受ける権利などが含まれます。また、特別な法律で設立された法人の出資者持分、合名会社や合資会社などの企業形態における社員の持分、協同組合の組合員や会員の持分もこれに該当します。さらに、協同組織金融機関優先出資や資産の流動化法に基づく優先出資、投資信託の受益権、特定受益証券発行信託の受益権、社債的受益権、そして一部公社債も対象とされます。ただし、土地等の短期譲渡に該当する場合の株式等は、分離短期譲渡所得の対象となります。

相続財産である非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例

Q.令和4年9月に私の父が亡くなった際、相続した財産として父が経営する同族会社の株式、居住用の土地、家屋、そして少しの預貯金がありました。相続税を支払うため、令和5年6月にその同族会社に株式を売却しました。この場合、株式を売ったことによる私の所得計算はどのようになりますか。

A.その株式を売却した際の所得計算は、株式の譲渡所得として行われます。通常、そのような非上場株式を発行している会社へ売却した場合、販売価格のうち資本金を超える部分は配当と見なされて総合課税の対象となり、最大55%の税率(所得税45%と住民税10%)が適用されます。しかし、ある条件を満たす場合は、配当と見なされる部分に対しても20%の税率(所得税15%と住民税5%)で譲渡所得として計算することができます。この特例が適用される条件は以下の通りです:

1. 非上場株式を相続または遺贈により取得し、相続税が発生していること

2. 株式の譲渡相手が非上場株式を発行している会社であること

3. 相続税の申告期限の翌日から3年以内に株式を譲渡していること

4. 非上場株式の譲渡時までに、この特例の適用を希望する旨を記載した書類を提出していること

さらに、この特例の適用と同時に、相続税額を取得費に加算する特例も利用可能です。

会社法により規定された種類株式を譲渡した場合の課税関係

Q.会社法により規定された種類株式を譲渡した場合の課税関係を教えてください。

A.会社法によって特別な権利や条件が設定された種類株式―例えば株主が特定の条件下で株式を発行会社に売り戻すことができる「取得請求権付株式」、会社が特定の事由でそれを買い戻すことが認められている「取得条項付株式」、会社が株主総会の決議によって全ての株式を買い戻せる「全部取得条項付種類株式」などがあります。これらの株式を会社が取得した際、支払われる代金は現金のみならず、社債や新株予約権、他の株式など様々な形でも可能です。

株式の譲渡に関して、譲渡によって得た財産の評価額のうち、資本金に該当する部分は株式譲渡所得として扱われ、それを超える部分はみなし配当として課税されます。一方、株式の対価としてその会社の株式を受ける特定の場合には、譲渡が行われなかったものとする取扱いがなされます。しかし、受け取った株式の価値が譲渡した株式の価値と大幅に異なる場合は、譲渡があったとみなされ課税の対象となります。

ストックオプション税制の概要

Q.ストックオプション税制の概要について教えてください。

A.ストックオプション税制とは、取締役や従業員、特定の条件を満たす個人などに対して、新株の予約権、新株の引受権、または特定価額で株式を譲渡する権利が与えられた場合に、これを行使して株式を取得するにあたり、一定の要件のもとで生じた経済的利益に関して非課税にする税制のことです。この非課税措置を受けた特定の株式を譲渡したときの所得は、払込価額を元にした譲渡所得の申告分離課税が適用されます。また、一定の条件を満たすストックオプションには特定の要件があり、これらを満たす場合にのみ非課税の適用が可能です。これには、権利行使の時間枠、年間の権利行使価額の制限、権利行使価額の最低基準、譲渡不可の規定、取得株式の条件、取得株式の保管委託、海外転出時の通知義務、中小企業経営強化法に基づく条件などが含まれます。