「資産税」カテゴリーアーカイブ

特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例

Q.一定の要件を満たすベンチャー企業に出資した場合、寄附金控除を受けると聞きましたが、概要を教えてください。

A.特定新規中小会社が発行した株式を入金して取得した場合、その株式の取得に使った金額について、最大800万円まで所得税から寄附金控除を適用することができます。ただし、この寄附金控除を受けることができるのは、その年の12月31日に持っているその株式に限ります。また、この特例を使った場合、その年の翌年以降、同じ銘柄の株式を買った時の金額は、この特例で控除した金額を差し引いた金額として計算されます。さらに、この特例を受けた年に同じ銘柄の株式を取得した場合、別の特例(特定中小会社が発行した株式の取得に必要な金額の控除)の適用を受けることはできなくなります。

特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等の特例の概要

Q.一定の要件を満たすベンチャー企業への投資額を控除できると聞きましたが、どのような内容でしょうか。

A.平成15年4月1日以降に特定の条件を満たす中小企業(特定中小会社と呼ばれます)が発行する新しい株式(特定株式と呼ばれます)を購入した場合、その購入にかかった金額の一部を税金から差し引くことができる特例があります。ただし、この特例は、特定の関係者を除く一般個人投資家がその年に新たに購入し、その年の年末まで所有している特定株式に対して限られます。投資した金額は、その年の株式等の売却の利益から減算できますが、減算できる額はその年の譲渡所得の合計を上限とします。

この特例は以下の4種類の中小企業が発行する株式に適用されます:

1. 特定の新規中小企業者に該当する株式

2. 設立後10年以内の中小企業者に該当し、特定の投資事業有限責任組合契約に基づき取得される株式

3. 沖縄振興特別措置法に基づいて指定された会社が発行する株式

4. 設立後10年以内の中小企業者に該当し、特定の電子募集取扱業務を通じて取得される株式

例えば、ある年に株式の売却で600万円の収益があった場合、その年に特定中小会社の株式を購入するために500万円使ったとすると、その年の課税対象譲渡所得は100万円(600万円-500万円)になります。

また、特定株式を購入した際には、一定の条件下では購入価格や費用から一定額を差し引かないことも規定されています。この場合の限度額は20億円です。

投資―任 口座 (ラ ップロ座)における株取引の費用の取扱い

Q.投資一任口座(ラップ口座)の契約で支払う報酬等の税務上の取り扱いについて教えてください。

A.投資一任口座から生じる成果は、顧客に属しており、株式等の譲渡から生じた場合には、事業所得、雑所得、または譲渡所得として扱われ、これは分離課税の対象となります。所得の種類は、株式等の譲渡が営利目的で継続的に行われているかに基づいて判定されます。上場株式などの譲渡所得は、高い流動性があるため、事業所得や雑所得に分類されることが多いです。一方で、一般的な株式は流動性が低いため譲渡所得とされ、上場株式であっても、所有期間が1年を超える場合、その利益は保有期間中の価値上がりと見なされ譲渡所得に分類されます。この投資一任口座契約では、1年以下の期間で上場株式の売買を行い、顧客がM証券会社に投資判断と実行を一任し、継続的に売買を行っていると認められる場合、その所得は事業所得または雑所得に該当します。固定報酬や成功報酬は必要経費として扱われ、契約期間が年をまたぐ場合の取り扱いは以下の通りです。固定報酬については、契約当初に支払った金額は契約資産を基に算出され、契約解除時には未経過期間の金額が返還されるため、その年の経費に相当します。成功報酬は、契約期間満了時の純利益に基づき計算され、期間満了年の必要経費となります。契約内容によって取扱いが異なる場合があるので注意が必要です。

従業員持株会を通じて取得した株式の取得費

Q.従業員持株会を通じて取得した株式の譲渡所得の計算時の取得費はどう計算すればよいですか? A.従業員持株会から提供された「退会(引出)精算書」に記載されている1株当たりの取得単価(簿価単価)を基に、取得費を計算することができます。この簿価単価は、持株会からの通知書によく記載されているもので、これを使って取得株式の価額を出すことができます。もし簿価単価が記載されていない場合や、それらの通知書が提供されていない場合は、支出した拠出金額を取得した株式数で割って計算することもできます。もっともない場合は、株券の裏にある名義替えの日の市場価格を基にして計算しても構いません。さらに、同一銘柄の株式を持株会以外でも取得している場合には、持株会を通じて取得した株式と持株会以外で取得した株式の取得費を合わせる形での計算方法、つまり総平均法に準ずる方法を用いて計算することで、売却する株式の取得費を出すことができます。

外国の金融取引市場で上場されている株式を外国法人である金融商品取引業者を通じて譲渡した場合の上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用について

Q.外国の金融商品取引市場に上場されている外国法人の株式を、内閣総理大臣の登録を受けていない外国法人である金融商品取引業者を通じて譲渡しました。この譲渡による損失について、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除を受けられますか?

A.内閣総理大臣の登録を受けていない金融商品取引業者を通じて外国の金融商品取引市場で譲渡した外国法人の株式に関する譲渡損失は、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象外です。これは、租税特別措置法で規定されている損益通算や繰越控除が適用されるのは、内閣総理大臣の登録を受けた金融商品取引業者を通じて行われた譲渡に限られているためです。ただし、同年中に他の株式譲渡から生じた譲渡益との通算は可能です。

譲渡損失及び繰越控除額を配当所得から控除する順序

Q.株取引を行っており、令和2年度以後、4年連続で損失が発生しています。令和5年度に上場株式の配当所得があり、株式の譲渡損失との損益通算を行った上で、翌年度以降への損失繰越を行いたい場合、どのように計算しますか?

A.令和5年度の配当所得と譲渡損失の処理は以下の通りになります。令和3年度の損失額は1,300,000円、令和4年度の損失額は1,400,000円、令和5年度の損失額は0円となります。この計算には次のステップが含まれます。令和5年度における上場株式などからの配当所得1,500,000円から同年度の上場株式などに関する譲渡損失500,000円を差し引き、1,000,000円とします。次に、令和5年度の配当所得1,000,000円から令和2年度の損失1,000,000円を控除し、結果として令和2年度の損失額から残った200,000円は、3年の経過により令和6年度への繰越ができません。配当所得から譲渡損失を控除する順序は、まず本年度分、次に3年前、2年前、そして前年度分の順になります。

源泉徴収選択口座の所得を申告する場合の計算(源泉所得税が還付される場合)

Q.令和5年中にA~D証券のそれぞれの口座で上場株式を売買しました。D証券のみ特定口座ではありません。申告に当たってはどのように計算すればよいでしょうか?

A.株式等に関する譲渡所得の合計金額は300,000円となります。以下が各証券口座の詳細です:

– 源泉徴収選択口座 (A証券)の損益:収入金額7,000,000円、取得費6,000,000円、差引金額1,000,000円、源泉徴収金額150,000円

– 源泉徴収選択口座 (B証券)の損益:収入金額5,000,000円、取得費3,900,000円、差引金額1,100,000円、源泉徴収金額165,000円

– 源泉徴収選択口座以外の特定口座 (C証券)の損益:収入金額1,500,000円、取得費2,000,000円、差引金額▲500,000円

– 特定口座以外 (D証券)の損益:収入金額2,000,000円、取得費3,300,000円、差引金額▲1,300,000円

合計して、譲渡所得等の金額300,000円に対する所得税は45,000円(300,000円 × 15%)です。しかし、すでに315,000円が源泉徴収されているため、確定申告を行うことで270,000円が還付されます。平成25年から令和19年までは、所得税とは別に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が源泉徴収されていました。

確定申告を要しない上場株式等の譲渡による所得の概要

Q.特定口座を設定し、上場株式を譲渡した場合に源泉徴収を通じて税金を納付している場合、確定申告は不要と聞きましたが、どのような制度ですか?

A.特定口座で源泉徴収選択届出書を提出した場合、その年の所得税から特定口座で得た収入や損失を除外して確定申告が可能です。これは、特定口座(選択口座とも言います)を持つ個人が適用できる制度で、この制度を利用することによって、選択口座内での収益や損失は所得税の計算に影響しません。例えば、所得税で考慮される扶養親族の要件や合計所得金額の計算には含まれません。ただし、選択口座に関して確定申告を行う場合は、通常通り所得や損失が合計所得金額に含まれます。また、確定申告の必要性の判断や還付手続きを行う際も、選択口座の所得や損失は考慮されません。

特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得に対する源泉徴収等の特例概要

Q.特定口座内で保管する上場株式を譲渡した場合、源泉徴収により税金を納税することができると聞きましたが、どのようなものでしょうか。

A.この制度では、あなたがA証券会社で特定口座を持ち、その口座から上場株式を売却する場合、証券会社は売却から得た利益に税率を適用して自動的に税金を計算し、源泉徴収します。この手続きを利用するためには、年の初めにあなたがその年の最初の株売却までに証券会社に特定口座の源泉徴収選択を告げる必要があります。この選択は年ごとに行うもので、一度選択するとその年の途中で変更することはできません。源泉徴収口座を使うと、株式の売却の際だけでなく配当や利子なども同じ口座を通じて税金が徴収されます。配当受け入れ開始届出書を提出することで、配当に対しても源泉徴収を選択できるようになります。また、この口座で損失が出た場合には、その損失を利子や配当から差し引くことが可能ですが、損失を他の所得で控除したい場合には、確定申告が必要になります。

特定口座以外の株式等に係る譲渡所得金額との合計方法

Q.令和5年中にA~C証券のそれぞれの口座で上場株式を売買した場合、申告においてはどのように計算すればよいですか?なお、C証券の口座は特定口座ではありません。

A.あなたの状況での株式等に関連する譲渡所得の金額は、15,200,000円になります。具体的な計算方法は次の通りです:

1. 特定口座が複数ある場合、まず証券業者から受け取った「特定口座年間取引報告書」を基に、それぞれの報告書に記載されている年間の取引損益金額を合計します。

2. 次に、上記で合計した金額に特定口座以外での上場株式等に関する譲渡所得金額を加えます。

この手順によって、特定口座内の上場株式等の譲渡から得た所得金額と特定口座以外で得た所得金額を合計することができます。