「資産税」カテゴリーアーカイブ

議決権を有しないこととされる株式がある場合の議決権総数

Q.会社法第308条第1項の規定により、株主のうちに評価会社の株式につき議決権を有しないこととされる会社がある場合、評価会社の議決権総数はどのように計算するのでしょうか。

A.議決権を有しないとされる会社が持っている評価会社の株についての議決権は、0として計算します。したがって、この方法で算出した議決権の数を用いて評価会社の議決権総数を定めます。これは、株式の価値を算定する際に、評価会社の株を持つ同族株主の存在や株式を取得する者が同族株主や中心的な株主に該当するか、また、その人が持つ議決権の割合などを調べる必要があります。その際には、評価会社の議決権総数をベースにこれらの事項を判断しますが、会社法により評価会社の株について議決権を有しないとされる会社がある場合には、その会社が持つ議決権の数を0として計算した数を評価会社の議決権総数とします。同様の計算方法は、株主が同族関係者に該当するかを判断する際にも適用されます。

自己株式を有する場合の議決権総数

Q.評価会社が自己株式を有している場合の評価会社の議決権総数はどのように計算するのでしょうか。

A.自己株式を持っている評価会社の場合、その自己株式に関連する議決権は0とみなして、その結果を評価会社の議決権総数として扱います。この計算法は、評価会社が市場に出回っていない株を評価するときの主要な判断材料として使われます。具体的には、①会社に特定の家族が大株主であるか、②株を買った人がその家族の一員かどうか、③その人が家族の中で中心的な役割を果たしているか、または大株主であるか、④その人が持つ議決権の割合はどれくらいか、といったことを判断する際に重要です。つまり、評価会社が自己株式を持っている場合、その自己株式が示す議決権は計算から除外され、議決権総数の算出に影響を与えます。

同族株主等以外の株主が取得した株式の評価

Q.私が相続により取得した株式は、配当還元方式により評価する株式ですが、直前期の配当金は1株当たり40円 (配当率年8%)、直前期の前期は業績が悪く無配でした。この場合、株式の評価額はいくらになるでしょうか。なお、評価会社は年1回決算で、1株当たりの資本金の額は関0円となっています。

A.ご質問の株式の評価額は、特定の計算式に従って250円と算出されます。この計算は、直前の2年間の利益に基づく配当金額(特別配当、記念配当など将来継続するとは予想されない配当を除外)の合計を2で割り、直前期末の発行済株式数で割った平均配当金額を基にしています。直前期末時点での1株当たりの資本金等の金額が50円と異なる場合は、資本金等の金額を50円で除した数によって計算します。ただし、算出される配当金額が2円50銭未満の場合は、最低2円50銭として計算します。さらに、計算された評価額が財産評価基本通達179に基づく計算額を超える場合には、通達の計算額によって評価します。したがって、このケースでは配当還元方式により、株式の評価額は250円となります。

純資産価額方式の特例

Q.私はこの度、叔父の経営している同族会社の株式1,000株を叔父から贈与され、議決権総数の5%以上を持つことになりました。なお、私の属する同族株主グループ(筆頭株主グループ)の議決権割合は、40%で会社規模の判定は小会社となっています。このような場合、贈与を受けた株式は、どのような評価方法になりますか。

A.贈与で受け取った株式は、主に純資産価額方式で評価されます。ただし、類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせた評価方法(Lの割合は0.5)も選択可能です。純資産価額方式を選んだ場合、議決権の割合が50%以下の同族株主グループに属する株主が取得した株式の価格は、通常の規定によって計算された純資産価額(相続税評価額に基づいた金額)の80%に相当する額で計算されます。これは、議決権割合が50%以下の同族株主グループでは、そのグループのみでは会社を完全に支配できないという現実を反映しており、そのような状況を考慮して、議決権の合計割合が50%以下である同族株主グループに属する株主の取得株式を評価する際には、20%の評価減が適用されます。

非上場株式の相続における配当金の扱い

Q.私は、今年相続により非上場の株式を取得しました。この会社は3月決算で、相続開始の日までに資産や負債に大きな増減がないことから、直前期末の資産及び負債を基に純資産価額方式により株式を評価するつもりです。直前期末の翌日から相続開始の日までに株主総会で株主に対する配当金の交付が決議されましたが、この配当金は直前期末を基に純資産価額を計算する場合でも負債として控除できますか。 A.はい、直前期末の翌日から課税時期までの間に確定した配当金は負債として控除できます。直前期末の翌日から課税時期までの間に配当金の交付が決定した場合、これは「配当落」という現象を引き起こし、株価が下がることが予想されます。これは配当金が含まれていた状態から配当が確定し株価が調整された状態を指します。そのため、純資産価額を計算する際には、課税時期までに確定した配当金を負債に含めて考慮する必要があります。仮に配当金の交付が基準日の翌日から効力が発生する間にある場合、株価の調整が必要となります。仮決算を行う場合もこの処理は同じです。

配当金の取り扱いについての質問

Q.私は、今年相続により非上場の株式を取得しました。大会社なので、類似業種比準方式により評価しますが、直前期末の翌日から相続開始の日までに、株主総会で株主に対する配当金の交付が決議されています。この配当金は評価上どのように取り扱ったらいいですか。

A.この場合、評価する際には類似業種比準価額から配当金の額を差し引く必要があります。理由としては、配当金の交付が決定されると、その分株価が下がると考えられるからです。これは一般に「配当落ち」と呼ばれています。評価基準となる直前期末時点での類似業種比準価額は、配当金を含む前の価値です。従って、株価は配当金を含まない価値に修正する必要があります。この修正計算は次のように行います:類似業種比準価額から1株当たりの受け取った配当金の金額を引きます。もし課税時期が配当金交付の基準日の翌日から効力が発生するまでの間にある場合には、株価の修正を行う必要があります。

直前期末から課税時期までの間に増資があった場合の純資産価額の計算

Q.小会社の同族株主であり、父から会社の株式の贈与を受けました。この会社は直前期末の翌日から課税時期までの間に増資がありました。この場合、課税時期の直前期末における資産及び負債を基として1株当たりの純資産価額を計算する方法を教えてください。

A.課税時期の直前期末においては、増資前の資産と負債をもとに計算を行います。したがって、直前期末での資産と負債を評価した純資産価額に、増資での払込金額を加え、それを増資後の発行済株式数で割ることで、1株当たりの純資産価額を求めます。純資産価額の計算は、課税時期における各資産と負債の金額で行うため、通常は仮決算をして各資産及び負債の価額を計算します。ただし、直前期末から課税時期までの間に資産及び負債の著しい増減がないと認められる場合は、直前期末の資産及び負債を基にし、課税時期に適用される財産評価基準を用いて1株当たりの純資産価額を計算しても問題ありません。この計算方法では、増資での払込金額を加えて、それを増資後の発行済み株式数で割ることで1株当たりの純資産価額を算出します。

純資産価額から控除する法人税額等

Q.会社が課税時期現在で仮決算をしていなくて、直前期末から課税時期までの資産や負債の増減がほとんどない場合、直前期末の帳簿価額を基に純資産価額を計算してもよいですか?このとき、直前期末の利益に対する課税される法人税額等は負債として控除できますか?

A.はい、負債として控除できます。純資産価額を計算する際には、会社の資産と負債を帳簿価額または相続税評価額のいずれかで計算することができます。帳簿価額を基に計算する場合、純資産価額は直前期末の資本金等と利益積立金額の合計から求めます。しかし、純資産価額方式では、無償取得した借地権や特許権、営業権なども財産評価基本通達に従って評価する必要があります。一方で、財産性のない繰延資産などは評価しません。また、税務上損金として扱う引当金や準備金は負債にはならず、帳簿に記載のない確実な債務はすべて負債として扱います。この原則に基づき、評価会社が課税時期に仮決算を行っていない場合でも、直前期末の帳簿価額を基に純資産価額を計算する際、未納の税金や未払いの利息、未払いの固定資産税や都市計画税、確定した剰余金の配当、相続人に支給する退職手当金なども負債として考慮できます。

評価差額に対する法人税額等に相当する金額の控除ができない場合

Q.現物出資により受け入れた資産がある際、その評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除できないケースはどのような場合ですか?

A.現物出資を含む特定の取引により受け入れた資産や株式が「評価会社の有する資産」の一部である場合、その資産や株式の取得価額が著しく低い場合があります。この時、評価会社が資産を計算する上で、これらの低価額で受け入れた資産や株式(現物出資等受入れ資産)について、実際の相続税評価額から帳簿上の価額を差し引いた金額(現物出資等受入れ差額)を資産の帳簿価額に加算します。この結果、純資産価額の計算では、現物出資等受入れ差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないことになります。例えば、A社の株式を現物出資してB社を設立した場合、A社の株式の帳簿価額と相続税評価額との間の大きな差額は、B社の資産評価において直接的に現れないため、評価差額に対する法人税額等相当額の控除は発生しません。ただし、現物出資等受入れ資産の合計価額が評価会社の全資産の相続税評価額の20%以下であれば、その評価差額に対する法人税額等相当額の控除が可能です。

役員の死亡により会社が収受した生命保険金

Q. 役員が死亡したとき、退職金に充てるために会社を保険金の受取人として保険契約を結んだ場合、保険金の受け取りによる会計処理はどのように行うべきですか?

A. 会社が役員の死亡により生命保険金を受け取った場合、その受け取った保険金額を「生命保険金請求権」として資産として記録します。また、役員に支払った死亡退職金の金額と、退職金を差し引いた後の保険差益にかかる法人税額等を負債として計上します。この保険金の受け取りと退職金の支払いによる会計処理を例として説明しますと、もし保険金が10,000,000円、支払う退職手当金が7,000,000円だった場合、資産の部には生命保険金請求権として10,000,000円、負債の部には未払退職手当金として7,000,000円、さらには保険差益に対する法人税等として1,110,000円を計上します。税額は保険金額から退職手当金を差し引いた金額に37%を乗じることで算出されます。したがって、保険金10,000,000円から退職手当金7,000,000円を引いた額に37%を乗じた1,110,000円が保険差益に対する法人税等として計算されます。