「資産税」カテゴリーアーカイブ

分収造林契約者 (土地所有者)の受け取る地代

Q.私が土地所有者、知人Aが費用負担者となって造林をBに任せることで三者間に分収造林契約を結びました。この契約では、山林の伐採又は譲渡したときの利益は、一定の割合で分収することにしていますが、契約を締結するに際して私は土地の使用料として、また知人Aは費用として出資した金額の金利として一定金額の支払を受けました。この場合、私及び知人Aの受け取った金銭は、山林所得に該当しますか。

A.契約により山林の伐採や譲渡から得られる収益を分配する際、土地の使用料や費用の金利などの支払いを受ける場合、これらの支払いは山林所得とはみなされません。その理由は、分収造林契約により分配される金額が山林所得となるのは、山林を伐採または譲渡した場合の収益を定めた割合で分配する場合に限定されるからです。あなたが受け取った土地の使用料は不動産所得に、知人Aが受け取った金利は、Aが金融業を営んでいる場合は事業所得に、そうでない場合は雑所得に該当します。

分収造林契約の権利の取得後5年以内の譲渡

Q.私は分収造林契約をしている造林者の権利を3年前に取得しましたが、今回ある事情により知人に譲渡することになりました。若干の利益を得ましたが、この所得は山林所得になりますか。

A.その分収造林契約の権利の所有者であるあなたが立木・素材の売買を業としている場合は事業所得として、それ以外の場合には雑所得として課税されます。分収造林契約の権利は、所得の種類を判断する際に山林と同じように考えられますので、その所得が山林所得になるかどうかは、その権利を取得してから5年を超えているかどうかにより決まります。したがって、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合の所得は、事業所得または雑所得として課税されます。

分収造林契約の意義

Q.友人から土地を提供され、私が植林し将来山林を伐採したときに、その収益を折半しようという相談を持ち掛けられています。分収造林契約をすれば、土地を提供する友人の収入金も山林所得として申告すればよいそうですが、分収造林契約とはどのようなことをいうのですか。

A.分収造林契約とは、特定の土地の植林について、その土地の持ち主と別の植林者が協力して行い、得られる収益をあらかじめ決められた割合で分け合う林業の形態のことを言います。この契約では、土地の持ち主、植林者、そして植林に必要な費用を負担する者がそれぞれ異なる場合もあります。基本的には、土地の持ち主、植林者、費用負担者は別々であり、収益を分け合う割合に応じて、植えた木は共有されます。その共有の比率は収益分配の比率と同じです。このような合意を「分収造林契約」と呼びます。この契約に基づき、目的とする山林の伐採や譲渡から得られる収益を定められた割合で分配することが、山林所得として認められるのです。ただし、分収造林契約をしていても、主に伐採による収益のみを分配する場合は山林所得と認められますが、間伐による収益は分配しない場合、山林所得には含まれませんので注意が必要です。また、分収造林契約を結ぶ場合は、契約書を作成することが重要です。

製材業者が植林から製材まで行う場合

Q.私は製材業を経営しており、自分で植林した山林が伐採時期に達しました。この山林を伐採して製材し販売した場合、生じる所得の区分はどうなりますか?

A.通常、製材業者が自分で植林したり、若い森林を購入して育てたりして、その山林を伐採後に製材して販売する場合、植林から製品の販売までの全ての所得は、製材業者の事業所得になります。ただし、自分で植林したり若い森林を購入して伐採するまで育てた場合、その森林を取得してから伐採するまでの所得は、伐採した木材を製材業者の通常の木材保管場所などに運んだ時点での価格をもとに計算した所得を山林所得として、そして製材から販売に至るまでの所得は、その製品が販売された時点での事業所得として分けても問題ないとされています。

立木を自家消費した場合

Q.来年の大学受験を控えて子供の勉強部屋を増築することになり、その用材は自分の持ち山を伐採することにしています。このような場合でも所得税(山林所得)が課税されるのでしょうか。

A.はい、自分の持ち山から立木を伐採して自家消費した場合には、所得税が課税されることになります。たとえば、あなたが商店を経営して商品を自分で使ったり、何かのために提供したりする場合と同じように扱います。あなたが所有する山林を家の用事に使用する際、その伐採した木の価値に基づいて所得があるとみなされます。

保有期間が5年超の山林では、売却した場合の想定価格を所得として計上します。保有期間が5年以内の場合は、以下のように扱われます。製材業や素材業を仕事としている人は、使用した木の価値が事業所得として計上されます。製材業者以外の場合は、その使用価値が雑所得として計上されます。また、製材業者が自家消費用に5年以上の山林を伐採し、加工した場合、その価値が事業所得とみなされます。ただし、製材業者が自分で植林や若い林を購入して成長させた木を自家消費に用いた場合は、別の扱いとなります。

松(立木)の枝の譲渡

Q.裏山にある松(立木)の枝を切り、その枝を生花用として某園芸会社へ売却しました。この所得は山林所得となるでしょうか。

A.あなたが売却したのが枝のみであれば、山林所得には該当しません。通常、このように枝だけを売る場合は、譲渡所得(総合課税の対象)になります。しかし、もしこれが毎年続いているような場合は、雑所得または事業所得に該当することがあります。

桐の伐採・譲渡による所得

Q.12年前に裏の畑地に植林していた桐を伐採し、譲渡しました。この場合、畑から生じた所得ですから農業所得ではないかという人もいますが、どんな取り扱いになるのでしょうか。

A.伐採・譲渡した桐が伐期まで集団的に規模を持って育成管理されていた場合は、山林所得として扱われます。通常、山林の育成は林地を利用して行われますが、桐のように成長が早く短期間で伐採期に達する木は、畑地など農耕に適する土地にも植えられることがあります。この桐が伐採期まで相応の規模で集団的に管理・育成されて建築材や家具材として利用される場合、その所得は山林所得として扱われます。一方、屋敷の庭などに数本の桐を植えただけで、それを伐採・譲渡した場合は、山林所得ではなく譲渡所得として取り扱われます。

土地付で立木を譲渡した場合

Q.先祖伝来の植林した山林を、このほど土地付で売却しました。このような場合でも収入金額の全部を山林所得として申告してもよろしいでしょうか。

A.土地と一緒に立木を売った場合、売却額のうち立木の部分は山林所得に、土地の部分は譲渡所得にそれぞれ含まれます。売却時に収入がそれぞれの部分について明確に分けられていない場合、売却時の市価をもとに、総売却額を立木部分と土地部分に区切って計算する必要があります。

区有林を譲渡した場合

Q.この度、区有林を売却し、神社を改築することになりました。区の戸数は50戸で立木代金は、3,000万円程度になるそうです。神社を改築して残ったお金は均等に分配するつもりです。この場合、山林所得は課税されますか。

A.区有林を売却した場合の課税については、その所有形態によって異なります。譲渡した区有林が区の住民の共有であり、各住民がその山林に対する共有持分を持つ場合、その持分に応じて山林所得として課税されます。一方で、区有林が区の住民の共有でなく、いわゆる「総有」の状態である場合、譲渡時には課税されませんが、譲渡代金が実際に住民に分配された時点で一時所得(継続的に分配される場合は雑所得)として課税されます。

山林所得の範囲

Q.山林所得となる「山林」にはどのようなものが含まれますか。

A.山林所得に該当する「山林」とは、建築材料や薪炭材などとして使用される目的で、立木が一定の成長期間を経て集団的に育成・管理されるものを指します。山林所得は、このような「山林」を伐採して売却したり、伐採せずに立木のまま売却することで発生する所得のことをいいます。ただし、所有期間が5年以内の伐採または売却から生じた所得は山林所得とはみなされず、所有者が素材業者などの場合は事業所得、それ以外の場合は雑所得として扱われます。山林所得には該当しないものとして、果樹、桑樹、茶木などの収穫木、主に観賞用として植えられる庭園用植木、販売目的で植えられる苗木などがあります。