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山林所得の必要経費 (3)

Q.山林所得の必要経費とされる管理費や育成費は、支出した年分の山林所得の金額の計算上必要経費とすることができますか。

A.伐採譲渡しない山林に関して支出した管理費や育成費などは、その年に伐採譲渡した山林の所得の計算上で必要経費として差し引くことはできません。山林所得を計算する際に必要経費として控除できるのは、実際に伐採譲渡された山林ごとに行われます。そのため、伐採譲渡しない山林にかかる費用は、将来その山林を伐採譲渡する際に、必要経費として控除できるようになります。

山林所得の必要経費 (2)

Q.父が植林してくれた山林を伐採して譲渡しましたが、伐木用の機具がなかったため、本年に小型のチェンソー(2個9万円)と大型のチェンソー(3個90万円)を購入して使用しました。これらの購入費は譲渡のための費用として全額控除できるでしょうか。

A.小型のチェンソーについてはその購入費全額が必要経費として控除可能です。一方で、大型のチェンソーに関しては購入費のうち減価償却費相当額のみが必要経費として控除可能です。これは、山林所得において機械器具の減価償却費も必要経費に算入できるためです。小型のチェンソーは1個あたりの価格が10万円未満であり、少額減価償却資産に該当するため全額を必要経費として計上できます。大型のチェンソーは1個あたり30万円で少額減価償却資産に該当しないため、減価償却対象資産として扱われ、減価償却費相当額が必要経費に算入されます。減価償却資産の価額が10万円以上20万円未満の場合、特定の条件のもとで一括償却することが可能です。

山林所得の必要経費 (1)

Q.私は今年山林所得を計算しなければなりませんが、必要経費として、どんなものが控除できるのでしょうか。具体的にご教示ください。

A.山林所得の計算で考慮できる必要経費には、植林費、山林取得費、管理費、伐採費、そしてその山林の育成または売却に関連する費用が含まれます。ただし、償却費やその年においてまだ確定していない債務に関連する費用は除外されます。具体的には、以下のような費用が考えられます。

1. 植林費: 苗木の購入費用や植樹作業に必要な人件費など。

2. 取得費: 山林を購入する際の費用、仲介手数料など。

3. 管理費: 租税、火災保険料、機械器具の減価償却、管理人の給料など。

4. 育成費: 肥料代、防虫費、除草や枝打ちのための人件費など。

5. 伐採費: 立木を伐採する際に必要な人件費など。

6. 譲渡費: 切り倒した木を運び出すための人件費、トラック運賃、木の測定費用、仲介手数料、商談費など。

さらに、必要経費の計算を簡単にするために、租税特別措置法第30条では概算経費控除の制度も提供されています。

山林所得の計算方法

Q.昭和26年に買った山林を立本のまま素材業者に譲渡した場合、その山林所得の計算方法を教えてください。

A.山林所得の金額を計算するには、所得税法に基づく一般的な方法と租税特別措置法の概算経費控除を使う方法の2つがあります。

(1) 一般的な計算方法では、収入から植林費、取得費用、育成費、管理費、伐採費、譲渡費用、青色専従者給与または専従者控除(伐採費や譲渡費用以外の部分)を差し引き、さらに山林所得の特別控除額(最大50万円、特別控除前の金額が50万円未満の場合はその金額)を引いた金額が山林所得となります。なお、山林所得に関連する必要経費の詳細は別の説明があります。また、山林所得に係る森林計画特別控除があれば、それも特別控除前の所得金額から控除されます。

(2) 概算経費控除の方法では、収入から伐採費、譲渡費用、青色専従者給与または専従者控除の中で伐採費や譲渡費用に関する部分を差し引いた金額に、概算経費率(50%)を乗じて得た値と先に差し引いた伐採費、譲渡費用、青色専従者給与や専従者控除の部分を再度加えた金額が必要経費となります。この必要経費を収入から差し引いた金額から、山林所得の特別控除額を引いた金額が山林所得になります。概算経費率の詳細は別の説明があります。

山林の取得の日

Q.山林の取得の日はどのように判定すればよいのでしょうか。

A.山林の保有期間を判定する際に重要となる取得の日は以下の通りです。1)売買による取得の場合、基本的には山林を引き渡し受けた日が取得日となります。ただし、山林譲渡契約の効力が発生した日を取得日としても構いません。2)自分で植林した場合は、植林完了日が取得日です。他人に植林を依頼した場合は、植林完了し引き渡しを受けた日が取得日となります。植林の完了日や引き渡し日は、各林分ごとに判断します。3)相続や遺贈で取得した場合は、一部例外を除き、被相続人がその山林を取得した日が取得日とされます。例外に該当する場合は、所有権が移転した日が取得日となります。4)贈与で取得した場合、贈与者がその山林を取得した日が取得日となります。

立本を委託販売した場合の譲渡時期

Q.昨年2ヘクタールの山林(立木)についてA森林組合と委託販売契約を結んだが、本年中に約7割の立木を伐採し販売し、残り3割は来春に清算することになった。本年中に伐採譲渡した部分は、来年の3月15日までに申告しなければならないと聞いたが、どうなのでしょうか。

A.あなたが本年中に伐採譲渡した部分については、確かに来年の3月15日までに申告する必要があります。契約に基づき、A森林組合が伐採して市場に出し売買が成立するたびにあなたへ売却代金が支払われる形態では、その年に譲渡された立木の対価の合計が、その年の山林所得の収入として計上されます。

山林所得の収入すべき時期

Q.去年11月に樹齢50年の杉を売却し、1,500万円で売買契約を結び、手付金として300万円を受け取りました。残代金の決済は本年3月とし、その日に引渡しをしました。出材の時に材積が多く、200万円の追加払いを含めて3月の引渡しの日に受け取りました。この場合、山林所得についてどのような申告をすればよいのでしょうか。

A.山林を売却した場合には、合計1,700万円の収入を山林所得として申告する必要があります。山林の引渡しが行われた日、つまり今年の場合ですと、来年の3月15日までに所得税(山林所得)として申告すれば良いことになります。山林所得の総収入金額を申告するタイミングは、原則として山林が引き渡された日に基づきます。しかし、売買契約が成立した日に収入があったとして、その総収入金額を申告することも可能です。

山林所得の収入すべき時期 (2)

Q.銘木販売会社の社長が個人所有の立木を販売することになりましたが、立木を伐採していない場合でも山林所得として課税対象になりますか。もしそうなると、どの時点の所得として申告すべきですか?

A.はい、その立木を扱う行為は山林所得として課税対象になります。具体的には、プラスチックの板を巻く作業のために立木の管理を相手方に移した時、すなわち実際に契約が成立した時点の所得として申告する必要があります。山林所得には、立木を伐採せずにそのまま譲渡したことによって生じた所得も含まれるため、ご注意ください。また、プラスチックなどを巻くことによって商品価値が高まった部分については、山林所得ではなく雑所得(または事業所得)に該当することもあります。

森林経営管理制度に基づき経営管理を市町村に委託した場合

Q.今年、植林された山林を相続で取得しましたが、林業未経験であるため適切な林業経営の方法がわかりません。そのため、森林経営管理制度に基づき山林(森林)の経営管理を市町村に委託したいと考えています。この場合、市町村が山林を伐採し木材を販売したことによる収益は、私の山林所得の対象となりますか?

A.はい、森林経営管理制度において市町村(または市町村から再委託された林業経営者)が伐採し木材を販売した場合の収益は、あなたの山林所得に含まれます。この制度は、経営や管理に問題のある森林の改善を図るために市町村が適任の林業経営者と連携し、適切な経営や管理を実現することが目的です。あなたの場合、委託により得られた収益を山林所得として確定申告しなければならず、林業経営者が投じた経費も必要経費として申告できます。

分収育林契約の意義

Q.分収育林契約とはどのようなものですか?

A.分収育林契約とは、山林の所有者と、その所有者以外の人が、山林を育てることについて、得られる収益をあらかじめ決めた割合で分け合う林業の取り決めのことです。この取り決めには、土地の所有者、育てる人、そして必要な費用を負担する人(もしいれば)が含まれることがあり、彼らが契約に基づいて山林を共有します。また、収益の分配割合は、山林の共有持分の割合と一致している必要があります。分収育林は、すでに植樹された後、さらに育てる段階から始める林業を指し、初期の植樹から始める分収造林とは異なります。契約による収益は、山林所得として申告する対象となります。分収育林契約を結ぶ際には、契約書を作成することが重要です。