「資産税」カテゴリーアーカイブ

特別縁故者が財産の分与を受けた場合の課税関係

Q.私は被相続人Aの内縁の妻ですが、Aには相続人がないため家庭裁判所から特別縁故者としてAの遺産のすべてである土地の分与を受けました。この場合、相続税の申告は必要でしょうか。

A.あなたが受けた土地の価値が、相続が始まった時に定められた基本的な控除額(無料で受けられる金額)を超えている場合、相続税の申告が必要です。被相続人と特別な関係がある人がその財産の全部または一部を受け取った場合、受け取ったその時点での財産の価値に相当する金額が、遺贈(遺言によって定められた遺産の分け方)のように扱われ、相続税がかかることになります。

人格のない社団等が財産の遺贈を受けた場合の課税関係

Q.私が代表をしている社交クラブA(人格のない社団)は、私の友人であった甲から財産の遺贈を受けましたが、その場合の相続税はどのようになりますか。

A.社交クラブAは、遺贈を受けた場合、個人とみなされ相続税が課税されます。通常、相続税の納税義務者は、相続または遺贈により財産を受け取った個人です。しかし、相続税法では、人格のない社団や財団が遺贈により財産を取得した場合など特定の条件下では、これらは個人と扱われ相続税がかかります。また、例外として、人格のない社団や持分のない法人が遺贈で受け取った財産が法人税の計算で益金に算入され、法人税が課された場合は、その額を相続税から控除できます。

胎児がある場合の相続分

Q.私の友人甲は、妊娠6か月の妻乙を残して死亡しました。親族関係は父A、母B、長男甲(死亡し、妻乙が妊娠6か月)、この場合の相続人及び相続分はどうなりますか。

A.この場合、甲の相続人は妻乙と乙のお腹の中の胎児となります。相続分は妻乙が1/2、胎児が1/2になります。胎児は法律によってすでに生まれた子どもと同じように扱われ、相続の権利を持っています。しかし、胎児が生まれてこなかった場合、妻乙の相続分は3/2、甲の父と母はそれぞれ6/1の相続権を持ちます。また、胎児が相続税の申告書を提出する期限までに生まれていない場合、相続人の数にはカウントされません。

内縁の妻・養子・後妻の連れ子等の相続分

Q.間4-31次の人たちに相続権がありますか?また、あるとすればその相続分はどのようになりますか? ①内縁の妻 ②養子 ③後妻の連れ子 ④認知した子 (非嫡出子)

A.①内縁の妻には相続権がありません。②養子は法律により、養親との縁組みから正式な子として認められ、そのため養親から相続権を持ちます。一方で、実の親に対しても相続権があり、養父母と実父母の両方から相続することができます。ただし、相続税を計算する際には法律で養子の数に制限がある場合があります。③後妻の連れ子は、養子縁組または入籍していない限り、再婚した夫の財産に対して相続権を持ちません。④認知された子(非嫡出子)は、認知した時点で認知した人の財産に対する相続権を有し、他の子と同等の相続分を持ちます。嫡出でない子の相続分が、法改正により嫡出子と同等になったことは重要なポイントです。この改正は平成25年9月5日以降に開始された相続に適用されます。

相続分の計算

Q.私は、父が5年前に亡くなった後、2年前に祖父母と養子縁組をしました。最近、祖父が亡くなりました。この場合、祖母や叔母が健在で私が父の唯一の子供である状況下で、私の相続分はどうなりますか?

A.この場合、相続人としてあなた、あなたの祖母、そして叔母がいます。相続分は、祖母が半分(2分の1)、叔母が6分の1、そしてあなたが3分の1を受け取ります。この計算は、あなたが亡くなった父親の代わりに相続する立場と、祖父母との養子縁組により直系子孫としての立場、この二つの権利を持っているためです。

同時死亡の場合の法定相続人の判定

Q.甲と乙が交通事故で同乗していたときに同時に亡くなりました。この状況で甲と乙の法定相続人及びその相続分はどうなりますか。甲と乙の親族構成は、甲には妻(A)と長女が、乙には妻(B)と子(C)がいます。

A.この場合、甲と乙の法定相続人とその相続分は以下の通りです。

甲の法定相続人と相続分:

– 甲の妻Aは相続分が2分の1です。

– 乙の子Cは代襲相続人として相続分が4分の1です。

– 甲の長女は相続分が4分の1です。

乙の法定相続人と相続分:

– 乙の妻Bは相続分が2分の1です。

– 乙の子Cは相続分が2分の1です。

解説として、甲と乙が同時に死亡したと民法の規定により推定されるため、乙は甲の相続人として甲の財産を相続することはできません。しかし、乙の子Cは乙の代わりとして甲の財産を相続することが可能です。

山林所得の金額の計算 と消費税等の関係

Q.私は消費税の課税事業者として林業を専業で行っており、本年11月に山林を伐採・譲渡しました。税抜経理方式を適用しており、簡易課税方式をした場合には消費税等の調整計算が必要だと聞いたのですが、この調整計算は具体的にどのように行うのでしょうか?消費税等の調整計算について教えてください。

A.税抜経理方式を適用している場合、山林所得の計算において譲渡価額や取得費、伐採・譲渡費用などは、消費税を除いた金額で計算します。簡易課税方式を適用すると、仮に簡易課税方式を適用しなかった場合に納付しなければならない消費税額(または還付される消費税額)と、簡易課税方式を適用して実際に納付する消費税額(または還付される消費税額)の差額を、山林所得の計算における総収入金額または必要経費に計上する必要があります。これが消費税等の額に関する調整計算です。例えば、譲渡価額(税抜き)が4,000万円、取得費が2,000万円、伐採・譲渡費用(税抜き)が1,000万円の場合、譲渡価額の消費税等が400万円、伐採・譲渡費用の消費税等が100万円です。その他課税仕入れが800万円で消費税等が80万円の場合、簡易課税方式を適用しなかった場合の納付消費税額は220万円(400万円 – (100万円+80万円))で、簡易課税方式を適用した場合の納付すべき消費税額は120万円(4,000万円×30%×10%)。したがって、山林所得は1,050万円と計算されます。もし「本年のその他の課税仕入れ」が2,400万円(消費税等240万円)だった場合の山林所得は890万円となります。

山林所得の金額の計算と消費税等の関係

Q.消費税の課税事業者である私が相続により取得した杉の山林を伐採・譲渡した際の、山林所得の金額の計算方法はどのようになりますか?譲渡価額は5,500万円、植林費・管理費等は2,000万円、伐採・譲渡費用は1,100万円、そして伐採・譲渡後の植林に要した費用に係る消費税等の額は100万円です。

A.消費税の課税事業者として税込経理方式を採用している場合、山林所得の金額を計算するには、譲渡価額や植林費・管理費、伐採・譲渡費用を税込価額で考慮します。また、その年に伐採・譲渡した山林にかかる消費税の金額は、必要経費に算入できますが、この金額の計上がその年の未払金になされたか否かによって、算入する時期が異なる点に注意が必要です。例えば、伐採・譲渡後の植林に要した費用に係る消費税等の額を加味すると、消費税等の額が未払金に計上された場合とされていない場合で、山林所得の金額が異なってきます。計算例として、譲渡価額5,500万円から植林費・管理費2,000万円と伐採・譲渡費用1,100万円を差し引いた額に対し、消費税等の額を考慮すると、未払金に計上した場合と計上しなかった場合でそれぞれ2,050万円、2,350万円の山林所得が算出されます。未収入金に関しても同様に、計上した場合としなかった場合で山林所得の金額が変わるため、これらを適切に理解して計算に反映させることが重要です。

山林所得計算 と消費税等の関係

Q.山林所得を計算する場合に消費税等はどのように関係してくるのでしょうか?

A.山林所得を計算する際に関わる消費税や地方消費税(以下、「消費税等」と言います)は、課税事業者が立木の伐採や譲渡を行った際にかかります。そして、取得費、管理費、伐採や譲渡にかかった費用にも消費税等が含まれています。山林所得計算では、これらの取得費や費用に含まれる消費税等をどのように扱うかが問題となります。具体的な取り扱い方は、伐採や譲渡を行う課税事業者が税込経理方式を用いるか税抜経理方式を用いるかによって異なります。

税込経理方式を採用する場合、譲渡価額や取得費、管理費、伐採・譲渡費用はすべて消費税等を含む金額で計算されます。また、伐採・譲渡に関する消費税等をその年に支払った場合は山林所得計算の必要経費として、還付を受けた場合は総収入金額として計上します。税抜経理方式を採用する場合は、上記の費用を消費税等を除外した価格で計算し、仮受消費税等と仮払消費税等を清算します。さらに、特例として資産に係る控除対象外の消費税等や簡易課税制度の適用がある場合には、特別な計算が必要になります。

山林の延払条件付譲渡

Q.今年山林を1,000万円で譲渡しましたが、代金は5年の年賦にして毎年200万円ずつ受領することにしており、今年の分は既に受け取っています。代金を年賦で受け取る場合でも山林所得の申告は契約した本年分としてしなければいけないといわれましたが、納税する資金がありません。何か特例がないものでしょうか。

A.山林を延払い条件付で譲渡した場合、一定の条件を満たしていれば、その年の確定申告時に所得税額の全部あるいは一部を5年以内で納付できるように申請することが可能です。この延納申請が可能なのは、次の条件をすべて満たす場合です:1)3回以上の分割払いで山林の代金を受け取ること、2)代金の最終支払い期日までの期間が2年以上であること、3)初期の支払い総額が代金の3分の2以下であること。さらに、延納申請には以下が必要です:1)延払い条件付で譲渡した年の確定申告を期限内に提出すること、2)その税額がその年の所得税の半分を超え、かつ30万円を超えること、3)指定された保証を提供すること(ただし、延納税額が100万円以下で期間が3年以下、または3ヶ月以下の場合は保証が不要)。