「資産税」カテゴリーアーカイブ

生命保険の剰余金に対する課税関係

Q.この度、父の死亡により生命保険金とともに保険契約に基づいて剰余金の支払を受けました。この剰余金についても保険金と同様に相続税法第12条の非課税財産の規定の適用があるでしょうか。

A.はい、剰余金についても保険金と同様に非課税規定の適用があります。保険契約で発生した保険事故により、保険金受取人が保険金とともに受け取る剰余金、割戻金、そして前納保険料は、保険約款に基づき保険金受取人が得るものであり、保険金による経済的なメリットと変わりません。そのため、剰余金などに関しては、相続税法第3条第1項第1号に規定される保険金に含めることとされています。

遺産を国等に贈与した場合の取扱い

Q.故人が生前お世話になったA市に遺産の一部を寄付しましたが、この寄付財産についても相続税が課税されるでしょうか。

A.相続財産を地方公共団体に寄付した場合、その財産については相続税が課税されません。相続や遺贈により財産を得た人が、その財産を相続税の申告期限までに国や地方公共団体、または公益活動に貢献する特定の公益法人や特定公益信託等に贈与した場合、その贈与によって相続税の負担が不当に軽減されると認められない限り、贈与した財産は相続税の対象から外されます。この特例を利用するには、相続税の申告時に、特例の適用を受ける旨を記入し、以下の書類を添付して税務署に提出する必要があります。①贈与した財産の詳細を記した書類、②国や地方公共団体、特定の公益法人が贈与を受けたこと、その日付、財産の詳細、そしてその法人が贈与された財産をどう使うか記載した書類、③贈与を受けた法人が特定の種類に該当する場合、その法人が該当することを証明する公的な書類。

生命保険金の相続税処理

Q.被保険者に支払われるべきであった生命保険金をその相続人が受領した場合、相続税はどのように課税されるのでしょうか。

A.このケースでは、相続人が受け取った金額は「未収の保険金」とみなされ、これが相続財産として課税の対象になります。つまり、通常保険金が相続税の課税対象となる「みなし相続財産」に該当しないので、非課税規定は適用されません。その結果、受け取った保険金3,000万円がそのまま相続税の計算に入ります。一般的に、被相続人(被保険者)が亡くなったことによって支払われる保険金はみなし相続財産とみなされ、相続人が受け取る場合、一定額まで非課税になりますが、この場合は違います。甲が生前に既に得ていた権利(未収の保険金の請求権)を相続人が受け継ぎ、それに基づき保険金を受け取ったため、これは「未収金」としての通常の相続財産であり、相続税の対象となります。

相続を放棄した者等の生命保険金等の非課税規定の適用

Q.相続を放棄したB子が、1,000万円の生命保険金を受け取った場合、相続税法第12条の非課税規定の適用は受けられるでしょうか? A.相続放棄をしたB子には、生命保険金の非課税規定の適用がありません。相続税法第12条第1項第5号及び第6号に記された生命保険金及び退職手当金に関する非課税規定は、相続を放棄した人や相続権を失った人が受け取った生命保険金や退職手当金には適用されません。

受取人が同時死亡した場合の生命保険金の非課税規定の適用

Q.保険契約者と指定受取人が同時に死亡した場合、受け取る生命保険金1,000万円に対する相続税法第12条の非課税財産の規定の適用はどうなりますか?

A.この場合、指定受取人(乙)と保険契約者(甲)が同時に死亡したため、生命保険金1,000万円は乙の相続人である乙の妻(B)と乙の長男(C)がそれぞれ500万円ずつ受け取ります。相続税の非課税財産の適用は、指定受取人である乙の相続人(ここではBとC)に限られるため、Cは非課税財産の規定の適用がありますが、Bは甲の相続人ではないので非課税財産の規定の適用はありません。その結果、Cが受け取る500万円は非課税となりますが、Bが受け取る500万円については、相続税の課税対象となります。

非課税財産の種類

Q.相続税の非課税財産にはどのようなものがありますか。また、その非課税の範囲などを説明してください。

A.相続税の非課税財産は、大きく分けて相続税法に基づく非課税財産と、租税特別措置法に基づく非課税財産の2種類があります。具体的には以下のようになります。

1. 相続税法に基づく非課税財産:

  – 皇室経済法の規定により、皇位に伴って受け継がれる由緒ある物。

  – 墓所、霊廟、祭具およびこれらに準ずる物品。

  – 公益を目的として宗教、慈善、学術等の事業を行う者が相続または遺贈によって取得した財産で、公益事業のために使用されることが確実なもの。

    ただし、公益を目的とする事業を行っていても、個人が特別な利益を享受する場合や、公共性の低い無人格社団や財団の場合などは、公益事業者とは認められません。公益目的での使用が確実であるとは、具体的な計画があり実際に使用される状況にあることを意味し、取得から2年以内に使用されなければ、取得時の市価で評価され相続税の課税財産に含まれます。

2. 租税特別措置法に基づく非課税財産:

  – 国や地方公共団体、特定の公益法人や特定公益信託に相続財産を贈与した場合、これらの財産は非課税とされます。この非課税特例を受けるためには、一定の手続きが必要です。

これらの非課税財産の制度は、相続税の負担を軽減し、公益活動を支援することを目的としています。

受益者連続型信託の受益権の評価

Q.遺言で設定された受益者連続型信託において、私の後に弟の息子が受益者になる定めについて、何か注意すべき点はありますか?

A.受益者連続型信託において、あなたが受け取る権利が何らかの制約、例えば利益を受ける期間に制限がある場合、そのような制約が存在しないかのように権利の評価が行われます。つまり、あなたの受益権の価値はその制約が影響しないと見なされて評価されることを意味します。

受益者連続型信託の課税関係

Q.子供がいないため、財産を亡き後妻に、その後は甥に継いでもらいたい場合、これを可能にする信託の形態とその課税関係について教えてください。

A.あなたがお求めの状況には、「受益者連続型信託」と呼ばれる信託の形式が適しています。これは、受益者の死亡によって受益権が消滅し、他の人が新たな受益権を得るよう定めた信託です。具体的には、まずあなたの妻を受益者とし、その死後に甥が新たな受益者となるよう遺言信託で定めます。課税関係については、あなたが亡くなったとき妻が信託に関する権利を遺贈として取得し、妻の死後は甥がその受益権を遺贈として取得したとみなされます。つまり、受益者の変更が発生する際は、その都度遺贈による権利移転として扱われ、相続税法の規定に従って課税されることになります。

遺言により信託の設定をした場合

Q.私は、遺言で長男を受益者とする信託を設定しようと思いますが、課税関係はどうなりますか。

A.あなたが亡くなった後、長男がその信託に関する権利を遺贈として取得したとみなされ、相続税がかかります。この場合、信託の効果が発生するのは委託者が亡くなった時で、適切な対価を支払わずに受益者になる人は、その信託に関連する権利を委託者から遺贈によって得たと見なされます。さらに、その信託が特定の条件を満たしている場合、信託の権利を取得した人は、信託財産に含まれる資産と負債を引き継いだとみなされます。

受益者の死亡により信託受益権を取得した場合

Q.父が死亡し、私がこの信託の受益者になった場合の課税関係はどうなりますか。

A.お父様がお亡くなりになり、その結果、あなたが信託の受益権を引き継いだ場合、相続税が課税されます。信託の受益者が亡くなった時、その信託の受益権を適正な対価を払わずに新たに獲得する人は、その権利を故人から遺贈によって獲得したと見なされます。さらに、一定の条件を満たす信託の場合、信託財産にある資産や負債を、新たな受益者が獲得または引き継いだと考えられます。従って、あなたの状況では、お父様から土地とその土地に建てられた賃貸ビル、そしてその建設費用のための借入金の責任を遺贈として受け継いだとして、相続税の対象になります。