「資産税」カテゴリーアーカイブ

農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用している場合の特定貸付けの特例

Q.農地等についての相続税の納税猶予の特例を適用している場合の特定貸付けの特例の概要について教えてください。

A.農地などに関して、相続税の支払いを後延ばしにする特別措置を利用している場合、その農地の一部または全部を特定の条件下で他人に貸し出したとき、特別な手続きを経ることにより、相続税の特別措置を継続して受けることができます。この特定の条件とは、農地中間管理事業に関する法律に基づいた貸借であり、一定の業務を除外した貸借が対象です。農地を貸し出した日から2ヶ月以内に、貸し出していることを申告すると、当該貸借がなかったものとして扱われ、農業の経営をやめたとみなされずに、納税猶予の特例の適用を受け続けることができます。

また、2009年12月15日以前にこの特例を選んだ場合、特定の法律改正の影響を受けずに、納税猶予の期間、利子税の率などが特定貸付けの特例の規定に従って決定されることになります。

納税猶予の特例の適用を受けている農業相続人が特例農地を貸し付けた場合の条件

Q.相続税の納税猶予の特例の適用を受けている農業相続人が農業経営基盤強化促進法に規定する農用地利用集積計画に定めるところによる賃借権等の設定に基づいて特例農地等を貸し付けた場合で、一定の要件を満たす場合には納税猶予が継続すると聞きましたが、どのような場合ですか。

A.農業相続人が納税猶予の特例を受けている農地を特定の法律に従った計画に基づき貸し出した際、その農地に代わる新たな農地を同じく法律に基づいた計画に従って借りている場合、一定の条件を満たせば納税猶予の特例が続行されます。条件としては、新たに借りた農地(代替農地)が貸し出した農地の80%以上の面積を有していること、代替農地の賃借権設定が特定の要件を全て満たすこと、そして特定の手続きと文書の提出を行うことが必要です。要件には、代替農地の賃借権設定日が貸し出し農地のそれ以前2ヶ月以内であること、代替農地の賃借権存続期間が貸し出し農地のそれより前で満了すること、代替農地が特定の規定に基づいて届け出られたものであることが含まれます。これらの条件を満たし、必要な手続きを踏むことで、納税猶予の特例の続行が可能となります。

相続税の納税猶予の特例適用農地を道路建設事業のために一時的に貸し付ける場合

Q.高速自動車国道の建設に伴い、その事業施行者から、建設機械などの一時的な入路として、私の所有している農地を2年間使用させてほしいとの申出を受けました。この農地は相続税の納税猶予の適用を受けています。貸付期限満了後に元の農地の状態に戻してもらう条件で、この申出に応じても良いかと考えていますが、この場合、引き続き納税猶予の適用を受けることは可能でしょうか。

A.相続税の納税猶予の適用を受けている農地を一時的に貸し付ける場合、特定の条件に従って所轄税務署長の承認を得ることができれば、納税猶予の適用を受け続けることができます。特に、農地の一部を道路事業などで一時的に使用する目的で貸し出す場合、こんな手続が求められます。ただし、これには所定の書類を提出し、貸し付けた後もある期間内に特定の手続きを行う必要があります。貸し付ける事業が道路建設に関連するものである場合、「道路法による道路に関する事業」に該当しますので、主務大臣の特定事業としての認定は不要です。しかし、貸し付けの目的のために代替性のない施設用地としての主務大臣の認定が必要であり、貸し付け期間終了後は速やかに農地を農業の用に再び供すること、また所定の期間ごとに継続貸し付けを届出る必要があります。貸し付け期限が終了した場合、特定の期限までに農業用途への復帰を所轄税務署長に報告する必要があります。

農地等の贈与者が死亡した場合の相続税の課税

Q.私は、3年前に父から農地等の全部について贈与を受け、その贈与に係る贈与税について納税猶予の適用を受けていましたが、本年5月に父が急死しました。この場合、相続税の課税関係はどのようになりますか?

A.父から贈与を受けた農地などに関して、贈与税の納税猶予を利用していた場合、贈与者が亡くなると、それまで猶予されていた贈与税は免除されます。そして、その農地などはまるで贈与者から相続や遺言によって得たものとして扱われ、相続税がかかります。この時、相続税の計算の基準となるのは、贈与を受けた時の価値ではなく、贈与者が亡くなった時点の価値です。さらに、相続税の申告時には、「相続税の納税猶予の特例」の適用を受けられる場合があるため、詳細を確認することが重要です。

農地等についての納税猶予の適用を受けるための担保の提供

Q.農地等についての贈与税及び相続税の納税猶予の適用を受けるための担保の提供について、次の事柄を説明してください。

(1)担保としては、どのような財産を提供すればよいのでしょうか。

(2)担保提供に必要な書類は、どのようなものをいうのでしょうか。

(3)担保財産の担保価額は、どのように算定するのでしょうか。

A.(1)担保として提供できる財産の種類には、以下が含まれます。

– 国債、地方債、社債(特別な法律によって設立された法人が発行した債券も含む)、税務署長が確実と認めるその他の有価証券

– 土地

– 建物、立木、登記される船舶、登録を受けた飛行機、回転翼航空機、自動車、登記を受けた建設機械(保険に附されたもの)

– 鉄道、工場、鉱業、軌道、運河、漁業、港湾運送事業、道路交通事業、観光施設に関する財産

– 税務署長が確実と認める保証人の保証

– 金銭

納税猶予を受ける際は、これらの財産を担保に提供します。また、特例農地等の経営に関する事項を含む届出書を申告書提出期限の翌日から3年ごとに提出する必要があります。

(2)担保提供に必要な主な書類には、担保提供書の他に、担保の種類に応じた以下の書類が必要です。

– 土地、建物、立木で保険に付されたものには、抵当権設定登記承諾書、承諾書に押印した印鑑証明書、登記事項証明書(または不動産番号等を記載した申請書)

– 損害保険証書

– 税務署長が確実と認める保証人の保証の場合、納税保証書、納税保証書に押印した印鑑証明書(法人の場合は、その法人の登記事項証明書も含む)

(3)担保財産の担保価額の算定は、担保の種類によって異なります。例えば、土地の場合は時価の80%以内、建物などの場合は時価の70%以内で、納税猶予期間中の予想される価値の減耗などを考慮した金額とされています。

修正申告等に係る相続税額の納税猶予の適用

Q.2年前、相続税の申告を行い、納税猶予の適用を受けていましたが、今年になって、株式及び預貯金の申告漏れが判明し、修正申告を提出することになりました。この場合、修正申告による増差税額について、納税猶予の適用が受けられるでしょうか。

A.株式や預貯金のような特例適用農地など以外で申告漏れが発生した場合、その修正申告による増額税額については、納税猶予の適用を受けることはできません。相続税や贈与税の納税猶予は、期限内に提出された申告に対する税額にのみ適用されるため、修正申告や更正によって変更される税額には適用されません。ただし、この修正申告が納税猶予適用の対象となる特例農地などの評価間違いや税額計算のミスのみによるものであれば、修正申告による増額税額にも納税猶予が適用される場合があります。

農地等を共有で相続した場合の納税猶予の適用

Q.農地等を複数の相続人で共有して相続する場合、納税猶予の適用はどのようになるのでしょうか?具体的なケースについて教えてください。

A.農地等を共有で相続した場合、納税猶予の適用は以下のようになります。

1. 共有者の中で農業を営む者が1人だけの場合、その人に対してのみ納税猶予が適用されます。農業を営む者の持分に相当する農地などの価値を基に、納税猶予額が計算されます。他の共有者には納税猶予の適用がありません。

2. 共有者の中に未成年者がいて、その未成年者に代わって農業を行っている親族がいる場合には、その未成年者の持分に対して納税猶予が適用されます。ここで、農業を行っている親族は、その未成年者と同じ居住地および生活を共にしている家族に限られます。

3. 共有者全員が農業を行っている場合には、各共有者に対して納税猶予が適用されます。

温室の敷地についての納税猶予の適用

Q.父が亡くなり、農地を相続しましたが、この中に温室の敷地となっている土地があります。この土地は、納税猶予の適用の対象となる農地になりますか。

A.相続が始まった時点で温室として使われている土地があれば、その土地がもともとの農地として引き続き耕作されているなら、その土地は農地とみなされます。

植林用の苗木が植栽されている土地についての納税猶予の適用

Q.私が相続した土地には、米や野菜を作っている通常の農地のほかに、植林用の杉やひのきなどの苗木や盆栽用の植木を植えている土地があります。これらを植えている土地についても、今後も継続して耕作するつもりですが、相続税の納税猶予の適用は受けられるでしょうか。

A.植林用の苗木を植え、その苗木の育成のために肥培管理を行っている土地であれば、特例対象農地に当てはまりますので、相続税の納税猶予の適用が可能です。ただし、販売のために育てた植木を一時的に植えておく場合などは、この納税猶予の適用外となります。「農地」とは、労力や資源を投じて作物を栽培するために使われる土地を指し、この場合の「耕作」とは、作物の栽培のために土地に肥培管理を施す行為を意味します。