「資産税」カテゴリーアーカイブ

個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例における相続人の要件

Q.特定事業用資産を取得した相続人の要件はどのようなものがありますか。

A.相続人が個人の事業用資産に関する相続税の納税猶予と免除の特例を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。これらの条件は以下の通りです:

1. 円滑化法に基づく認定を受けていること。

2. 相続が始まる直前、相続人がその特定事業用資産に関連する事業に従事していたこと(先代が60歳未満で亡くなった場合を除く)。

3. 相続が始まった時から相続税の申告書提出期限までの間に、それらの事業用資産に関連する事業を引き継ぎ、申告書提出期限までそれらの資産を持ち続け、自身の事業で使用していること。

4. 相続税の申告期限時に、事業の開業届出書と青色申告の承認(見込み含む)を提出していること。

5. 特定事業用資産に関連する事業が資産管理事業や性風俗関連特殊営業に該当しないこと。

資産管理事業とは、主に有価証券や使用していない不動産、現金・預金など特定の資産を保有し、それらの資産から得られる運用収入が主な収益源となっている事業のことを指します。

また、相続等で特定事業用宅地等を取得した者が、小規模宅地等の特例の適用を受けていないことも必要です。

個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除の特例

Q.個人の事業用資産について相続した場合、納税が猶予される特例制度があると聞きましたが、その概要について教えてください。

A.青色申告をしていた事業者が亡くなり、その事業を継ぐ者が中小企業経営の円滑な承継を目的とする法律(円滑化法)の認定を受けることによって、特定の事業用資産を相続した際、担保を提供することで相続税の納税を猶予できる制度があります。この制度は、相続または贈与によって特定の事業用資産を受け取り、その事業を引き続き行う際に適用されます。ただし、この特例を受けるためには、円滑化法に基づいて自治体の認定を受け、継承した事業を持続的に運営し、青色申告を続ける必要があります。猶予を受けた税額については、条件を満たさなくなった場合や事業用に供していなくなった場合などに納税する義務が生じます。また、先代事業者の承継者は、継承する具体的な計画を記載した「個人事業承継計画」を作成し、税理士や商工会議所などの見解を添えて自治体の知事に提出し、その確認を受けることが求められます。

非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例を受けるための添付書類

Q.非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例を受けたいのですが、相続税の申告書にどのような書類を添付すればよいか教えてください。

A.非上場株式等に関する相続税の納税猶予及び免除の特例を受けるためには、相続税申告書に、次の書類を添付する必要があります。提出は申告期限内に限ります。

1. 相続の直前および相続時における会社の株主名簿のコピー。ここにはすべての株主や社員の氏名、住所、保有している株式に関する議決権の数が確認できるものが必要です(会社が証明した書類に限ります)。

2. 相続時における会社の定款のコピー。もし定款の変更に関連する法律の規定がある場合は、その事項が書かれた文書も含まれます。

3. 遺言書または遺産分割協議書のコピーと、相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印されたもの)。

4. 中小企業の経営承継をスムーズに行うための法律(「円滑化法」と呼ばれます)に基づく、都道府県知事の認定書のコピーと申請書のコピー。

さらに、担保提供に関する書類が別途必要になります。

注)令和2年3月31日以前に提出する相続税の申告書に関しては、上記1から4に加え、貸借対照表および損益計算書の提出も必要でした。これは会社が、外国会社や特定の法人の株式を保有している場合において、相続開始の日の直前の事業年度、もしくは資産保有型会社や資産運用型会社に該当する場合には、相続開始の日の3年前から直前の事業年度までの各事業年度に関する情報が必要でした。

納税猶予税額の計算方法② (特例措置)

Q. 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例について、納税猶予税額はどのように計算するのでしょうか。

A. 特例措置を受けるための非上場株式などの価値を、その特例を受ける相続人などの相続税の計算基準としてみなします。そして、相続税法の第13条から第19条までの規則に従って計算した結果が、納税猶予のための税額となります。

納税猶予税額の計算方法① (一般措置)

Q.非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例について、納税猶予税額はどのように計算するのでしょうか。

A.非上場株式などに関する相続税の納税猶予や免除の特別な条件を利用する際、納税猶予税額を計算する方法は、以下のステップに従います。まず、非上場株式などの価値をその特例を受ける相続人の相続税の課税基準価格とみなして、相続税法の第13条から第19条までに定められた規則に従って計算した金額(これを①とします)。そこから、特例を受ける非上場株式等の価値の20%をかけた金額を同じく相続人の相続税の課税基準価格とみなし、再度相続税法の第13条から第19条までの規則を適用して計算した金額(これを②とします)を引きます。この計算により、納税猶予される税額を導き出します。なお、相続税法における各条文は、債務控除や基礎控除、相続税総額、各相続人の相続税額など、相続税計算の基本を規定しています。また、相続開始前3年以内の贈与があった場合の相続税額の規定は、令和6年1月1日からは相続開始前7年以内に改正されています。

非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予及び免除の特例

Q.父親から非上場株式等の贈与を受け、その贈与税の納税猶予の特例を受けていましたが、父親が亡くなった場合、納税猶予を受けていた贈与税額はどのようになるのですか。

A.納税を猶予されていた贈与税額は免除されますが、贈与を受けた非上場株式等は、贈与者から相続により取得したものとみなされます。なお、特別な要件を満たせば、これらを相続することで相続税の納税猶予の特例を再度受けることができます。

贈与者が亡くなると、そのときに納税が猶予されていた贈与税額は免除されます。しかし、贈与を受けた方は、贈与された非上場株式を贈与者から直接相続したかのように扱われます。これにより、その株式は他の相続財産と一緒に相続税計算の対象になりますが、一定の条件を満たせば、この相続に関しても特例を使って納税猶予を受けることが可能です。

非上場株式等を兄弟で相続した場合

Q.私と弟が父からA株式会社の株式を相続しました。相続税の納税猶予の特例の適用は受けられますか?

A.特例措置を受ける場合、あなたと弟両方が特例を利用できます。しかし、一般措置の場合は、同一会社の株式に関して2人以上が相続税の納税猶予特例を同時に適用することはできません。これは、あなたか弟のどちらか一方のみが特例を利用できることを意味します。もし、あなたか弟が既にお父さんからA株式会社の株を生前贈与で受け取り、その時に贈与税の納税猶予特例を利用していた場合、その特例を受けていない方のみが相続税の納税猶予特例を利用できます。要するに、特定の条件下で一方のみが特例の適用を受けることが可能ですが、一般的には両方が同時に特例を受けることはできません。

非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例における相続人の要件

Q.非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例を適用するに当たって、株式等を取得した相続人等について要件はあるのでしょうか。

A.はい、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例を適用するためには、特定の要件を満たす必要があります。これらの要件には主に次のようなものがあります:

1. 相続開始の翌日から5ヶ月を経過した時点で、会社の代表権を持っていること。

2. 相続開始時に、後継者自身及び後継者と特別な関係のある者が、総議決権数の50%を超える議決権数を保有していること。

3. 後継者一人の場合は、後継者と特別な関係のある者の中で最も多くの議決権数を保有していること。後継者が2人または3人の場合は、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別な関係のある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有していること。

4. 相続開始直前において会社の役員であったこと。ただし、以下の除外要件に該当する場合を除く:被相続人が70歳未満で死亡した場合、または相続開始直前に特例後継者であることの確認を受けている場合。 なお、令和3年3月31日以前の相続または遺贈により非上場株式等を取得する場合の除外要件は、「被相続人が60歳未満で死亡した場合」となります。

特例承認計画の提出期限の延長

Q.将来の相続に備え、父が代表を務める法人の株式について納税猶予を受けるための特例承認計画を策定していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による業績不振のために計画の策定が遅れています。特例承認計画はいつまでに提出しなければならないのでしょうか。

A.新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、税制改正により特例承継計画の提出期限が1年延長され、令和6年3月31日までとなりました。ただし、非上場株式の納税猶予の特例措置に関する適用期限は延長されていないので注意が必要です。この延長は令和4年4月1日から適用されることになります。

非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例

Q.非上場株式等を相続した場合、納税が猶予される特例制度があると聞きましたが、その概要について教えてください。

A.中小企業を運営している相続人等が、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(円滑化法)に基づく認定を受けた非上場株式や出資を相続または遺贈で受け取った場合、相続税の納税を条件付きで猶予することができる制度です。この猶予は後継者が亡くなった場合など、特定の条件下で納税義務から免除される可能性があります。この特例は、租税特別措置法における特例措置と一般措置の二つの制度があり、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの10年間限定で適用されます。特例措置では、非上場株式や出資の猶予される税額が特定の条件下で免除される場合があり、例えば、後継者が事業を継続し、雇用を平均8割維持するなどの条件を5年間満たし続けた場合です。重要なのは、この制度を利用するには、中小企業の経営承継を円滑に進めることが目的であり、事業の継続や雇用の確保などが求められる点です。