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直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

Q.今年、祖父から現金300万円、父から定期預金500万円の贈与を受けました。贈与税はどう計算するべきですか?私は今年25歳です。

A.平成27年1月1日以降に直系尊属から贈与を受けた場合、その年の1月1日時点で18歳以上であれば特例税率が適用されます。令和4年4月1日以降は、この年齢要件が20歳から18歳に変更されています。あなたの受けた贈与に関しては、祖父と父からの合計800万円(300万円+500万円)が該当し、基礎控除後690万円の贈与税を特例税率で計算します。この計算は速算表を用いることで、200万円以下で10%、200万円超400万円以下で15%(10万円控除)、400万円超600万円以下で20%(30万円控除)、600万円超1,000万円以下で30%(90万円控除)となります。結果、貴方の場合で690万円に30%を適用して90万円を控除した結果、117万円の贈与税が算出されます。なお、100円未満の端数は切り捨てとなります。贈与税の申告に際しては、贈与税額計算の明細書と受贈者の戸籍謄本等が必要ですが、基礎控除と配偶者控除後の課税価格が300万円以下の場合は戸籍謄本等の提出は要りません。

暦年課税の場合の贈与税額の計算

Q.今年10月に叔父が保険料を負担していた簡易生命保険が満期になり郵便局で300万円を受け取りました。その他に今年6月に叔母から定期預金500万円の贈与を受けています。贈与税をどのように計算すればよいのでしょうか。

A.贈与税の計算は、まず受け取った贈与の合計金額から基礎控除の110万円を差し引いて課税価格を出します。その課税価格に対し、超過累進税率(課税価格が一定額を超えると税率が段階的に上がる仕組み)が適用され、税額は段階ごとの税率をかけて求め、それらを合計して算出します。例えば、今年に受け取った800万円(簡易生命保険300万円と定期預金500万円)から基礎控除110万円を引き、課税価格を690万円とし、この金額に対して税率と累進課税の原則に基づいて計算します。具体的には、200万円までは10%の税率、200万円を超え300万円以下は15%、300万円を超え400万円以下は20%、400万円を超え600万円以下は30%、残りの90万円には40%の税率をそれぞれ乗じ、これらの結果を合わせて贈与税額を求めます。この例では151万円が贈与税額となります。また、贈与税額の計算を簡単にするための速算表もありますが、結果的に同じ税額が求められます。この計算で100円未満の端数がある場合は切り捨てます。

相続時精算課税を適用して賃貸アパートの贈与を受けた場合

Q.今年、父から賃貸アパート(土地と建物)の贈与を受け、相続時精算課税を選択しました。また、父が賃借人から預かった敷金相当の現金200万円も贈与として受けました。この場合、贈与税の申告はどのようにしたらよいでしょうか。

A.賃貸アパートについては、相続税評価額を基にして贈与税の申告を行います。一方で、敷金相当の200万円は債務承継分と相殺されるため、この部分を申告に含める必要はありません。敷金とは、不動産を賃借する際に賃貸人へ提供する金銭であり、賃貸契約終了時に特定の条件が満たされれば賃借人に返却されるものです。この敷金は、賃貸中の建物の所有者が変わった場合でも、新しい所有者が自動的に敷金を引き継ぎます。あなたのケースでは、あなたの父が新しい所有者(あなた)に賃貸アパートを贈与し、同時に敷金返還義務に相当する現金も贈与した場合、通常はこれを贈与者と受贈者の間で敷金返還義務の承継が意図されていないとみなし、実質的に負担付贈与には当たらないと解釈されます。そのため、実質的に負担付贈与に該当しないと考えられるため、あなたの父に対する譲渡所得の課税も生じません。

贈与税の申告内容の開示

Q.相続時精算課税制度の導入に伴い、贈与税の申告内容について開示の請求ができると聞きましたが、どのような場合にできるのですか。

A.相続や遺贈によって財産を受け取った人が、他にも相続人や遺贈を受けた人がいる場合、次のような条件で贈与税の申告内容の開示を請求できます。被相続人から相続開始前3年以内に受け取った贈与、または相続時精算課税の適用を受けた财産に関する贈与税の課税価格の合計について、相続税の申告が必要な時に限られます。また、相続税の申告義務がある人がその申告をする前に亡くなった場合や、相続時精算課税の適用による権利義務を引き継いだ人も、開示を請求できます。この制度は、平成15年1月1日以降に贈与によって取得した財産の贈与税の課税価格に適用されます。ただし、令和6年1月1日以降に相続や遺贈で財産を受け取る人が開示を請求する場合は、税制改正により贈与税の課税価格の取り扱いが変更される点に注意が必要です。

相続時精算課税選択の特例の適用後に贈与を受けた場合の取扱い

Q.私は25歳で、今年父から住宅取得等資金の贈与を受け、相続時精算課税選択の特例を受けようと思っています。3年後に父から住宅取得等資金以外の贈与を受けた場合、父が58歳となり60歳未満であれば相続時精算課税は適用されないのでしょうか。

A.あなたが相続時精算課税選択の特例を利用している場合、特例が適用される贈与を受けた年以降、特例の対象となった特定の贈与者から贈与される財産は全て、贈与者が60歳未満であっても、相続時精算課税が適用されます。これには、住宅取得等資金以外の贈与も含まれます。したがって、あなたのケースでは、3年後に父親から受けるどのような贈与も、相続時精算課税の対象となります。また、特定贈与者から同一年中に住宅取得等資金の贈与とそれ以外の贈与があった場合、後者も相続時精算課税が適用されることになります。この特例の適用は、令和5年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受けた場合に可能です。

相続時精算課税選択の特例の適用手続

Q.相続時精算課税選択の特例を適用するときの贈与税の申告書には、どのような書類を添付すればよいですか。

A.相続時精算課税選択の特例を利用する際には、具体的な書類を贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。大きく分けて、住宅取得等の資金を贈与された方が新築や住宅の取得をした場合、または住宅の増改築を行った場合に必要な書類が異なります。

1. 贈与を受けて新築や住宅取得をした場合は、以下の書類が必要です。

   – 贈与者に関する贈与税の課税価格や贈与税の額などを記載した相続時精算課税の計算明細書。

   – 新築や取得を行った住宅に関する登記事項証明書や、不動産番号等が記載された書類。

   – 住宅と一緒に敷地も取得した場合は、その土地に関する登記事項証明書等も必要です。

   – 住宅取得や新築の事実を明らかにするための書類。

   – 居住開始予定時期を含む様々な書類。

2. 住宅の増改築を行った場合は、以下の書類が要求されます。

   – 増改築等に関わる工事が特定の工事に該当することを証明する書類、例えば、大規模な修繕や模様替えに関する確認済証や検査済証の写し、増改築等工事証明書など。

   – 増改築した住宅に関する登記事項証明書や、不動産番号等が記載された書類。

   – 増改築工事に関する費用やその明細を明らかにする書類。

   – 増改築後に直ちに住宅を居住用に供することができない事情と予定時期の記載がある書類。

上記以外にも、住宅の取得や増改築の状況に応じて、追加で必要な書類があります。提出する書類はケースごとに異なるため、詳細な内容や対象となる書類については、事前に確認することが重要です。

相続時精算課税選択の特例の対象となる住宅用家屋等の範囲

Q.相続時精算課税選択の特例の対象となる住宅用家屋等とは、どのような家屋ですか。

A.相続時精算課税選択の特例の適用を受ける住宅用家屋等の範囲には、新築または使用されたことのない家屋、既存の住宅用家屋(以前に使用されたことのある家屋)、および既存の住宅に対する増改築等が含まれます。この特例を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

1. 新築若しくは建築後使用されたことのない住宅用家屋の場合:

    – 居住用として使われている床面積が家屋全体の半分以上であること。

    – 床面積が40平方メートル以上であること。

2. 既存住宅用家屋の場合:

    – 上記の新築家屋の条件に加え、家屋が昭和57年1月1日以降に建築されたか、特定の耐震基準に合致していること。

3. 居住の用に供されている住宅用の家屋について行う増改築等の場合:

    – 自己所有で居住用として使用される家屋であること。

    – 増改築等の工事費が100万円以上で、そのうち居住部分は全体の半分以上であること。

    – 増改築等後の家屋の床面積も前述の条件を満たすこと。

また、家屋の部分的な修繕、模様替え、耐震性やエネルギー効率の向上、高齢者の自立生活に必要な構造と設備の基準に合わせるための工事も含まれます。具体的な工事例には、床や壁、主要構造部の修繕や模様替え、給水管や排水管の修繕、エネルギーの効率化に寄与する改善などがあります。

住宅用家屋の取得やその敷地に供される土地等の取得にも要件があり、新築または取得した翌年の3月15日までに屋根を含む定着した建造物として認められる状態であることが条件です。加えて、既存の住宅用家屋を取得する場合には、その家屋が昭和57年1月1日以後に建築されたものであるか、一定の耐震基準に適合するものでなければなりません。増改築等の工事も同様に翌年の3月15日までに完了している必要があります。

贈与資金を土地の取得の対価に充てた場合の相続時精算課税選択の特例の適用

Q.駅近くの土地を購入を検討しています。土地を購入後すぐに家を建てる予定で、まず父から2,000万円の贈与を受けて土地を購入し、その後、銀行ローンで家を建てる計画です。父はまだ59歳で、相続時精算課税が適用できないと思っていましたが、住宅取得等資金の贈与の場合は贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できると聞きました。私のように、住宅用の土地購入のための資金の贈与についても、相続時精算課税の適用はできますか。

A.あなたが受け取る贈与である住宅取得等資金を全額土地購入に先に使った場合でも、相続時精算課税の特例を受けることができます。2011年1月1日以降、住宅用家屋を建てるために先行して必要な土地の購入にこれら資金を使った場合も、住宅取得等資金と認められるようになっています。ただし、特定の受贈者が贈与により住宅取得等資金を受けた翌年の3月15日までに新築住宅が建てられないと、この規定は適用されません。住宅取得等資金の贈与税非課税特例でも、新築住宅または購入と同時に取得する土地も、この扱いに該当します。

相続時精算課税選択の特例の概要

Q.贈与した者が60歳未満であっても、相続時精算課税を適用できる特例について知りたいです。

A.平成15年1月1日から令和5年12月31日までの期間内に、60歳未満の人から贈与を受けた場合に住宅取得等資金を利用して特定の条件を満たすと、相続時精算課税選択の特例が適用されることがあります。この特例が適用されるのは以下の3つのケースです。

1. 特定受贈者が住宅取得等資金により新築またはまだ使われていない住宅、またその敷地を取得し、所定の期間内に自分の居住用として使用した場合。

2. 特定受贈者が住宅取得等資金により既存の住宅およびその敷地を取得し、所定の期間内に自分の居住用として使用した場合。

3. 特定受贈者が住宅取得等資金を自己の所有する住宅の増改築やその敷地の取得に使い、所定の期間内に増改築した住宅を自分の居住用として使用した場合。

相続時精算課税選択の特例の適用を受けるには、贈与税の申告書に特例適用の旨を記載し、必要な書類を添付して税務署に提出する必要があります。住宅取得等資金は、新築、取得、または増改築のための金銭を指します。特定受贈者は、贈与を受けた人の直系卑属である推定相続人、18歳以上(令和4年4月1日以降は20歳から18歳に変更)で、居住無制限納税義務者または非居住無制限納税義務者である必要があります。

相続時精算課税における贈与税額の還付

Q.相続時精算課税における贈与税額の還付の申告書について教えてください。

A.相続時精算課税の適用を受ける場合、そこにかかわる贈与税(遅延税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税を除く)を相続税から差し引きます。しかし、相続税からこれらの贈与税を引いてもまだ足りない金額がある場合には、その残りの金額に相当する税額を還付してもらうことができます。還付を受けるためには、相続税の申告書を提出します。この申告書は、特定の贈与者に関する相続が発生した翌日から5年以内に提出することが可能です。