「資産税」カテゴリーアーカイブ

無道路地の評価

Q.次のような道路に接しない宅地の価額はどのように評価するのですか?

A.道路に接していない宅地の価値は、特定の手順に従って算出されます。まず、宅地が形成している想定整形地に基づき、不整形地補正率と間口狭小補正率、あるいは間口狭小補正率と奥行長大補正率の合計により補正を行います。こうして補正した後の評価額から、道路に接していないために必要となる通路開設費用相当額を差し引きます。この通路開設費用は、「不整形地補正後の価額の100分の40まで」と定められています。実質的には、最低限度の通路を設けた場合のその部分に対する価値(路線価に基づく面積の価額)を評価額から差し引くことになります。

地積規模の大きな宅地の評価 (倍率地域に所在する場合)

Q.倍率地域に所在する「地積規模の大きな宅地」はどのように評価するのでしょうか。

A.倍率地域にある「地積規模の大きな宅地」は、以下の2つの方法のうち低い方の価額を用いて評価します。1つ目は「倍率方式」による評価、2つ目はその宅地が一般的な間口距離と奥行距離を持つと仮定し、その土地1㎡あたりの価額を路線価として設定し、さらにその宅地が一般的な住宅地区に位置するものとして「地積規模の大きな宅地の評価」の計算方法に沿って算出した価額です。この際、1㎡あたりの価額は、近くにある一般的なサイズの宅地の価格との均衡を取ることが求められます。具体的には、評価対象の土地の近辺にある固定資産税の評価基準となる標準的な宅地の1㎡あたりの価格をもとに算定します。ただし、この標準宅地が固定資産税の評価でさまざまな補正を受けている場合には、補正がないとした場合の1㎡あたりの価格に基づいて計算を行います。

地積規模の大きな宅地の評価

Q.親の死亡に伴い、三大都市圏に所在する地積900平方メートルの大きな宅地を相続しました。相続税の申告の際、このような大きな宅地の評価はどう行うのでしょうか?

A.地積規模が大きな宅地を評価する場合、まず路線価にさまざまな補正率(奥行価格補正率、不整形地補正率など)を適用し、それに規模格差補正率を乗じた上で、宅地の面積を掛けて価額を算出します。この方法は、課税時期が平成30年1月1日以降に適用され、三大都市圏においては地積が500平方メートル以上、その他の地域では1,000平方メートル以上の宅地が対象です。ただし、特定の条件を満たす宅地はこの評価方法の対象外となります。また、評価方法は路線価地域に所在する場合と倍率地域に所在する場合で異なり、具体的な計算方法や適用条件が定められています。規模格差補正率の計算では、地域ごとに設定された基準を用いて、小数点以下第2位を切り捨てる形で算出します。

不整形地の評価(2の路線に接する場合)

Q.2の路線に接する宅地Bの価額を評価する場合にも、角地に該当するものとして側方路線影響加算率を適用して評価するのでしょうか。

A.はい、宅地が2つの路線に接する場合でも、角地としての効用が実際にはないと判断されるときには、側方路線影響加算率ではなく二方路線影響加算率を適用して評価します。その上で、不整形地補正も加えます。具体的には、宅地全体の奥行価格補正後の価格からA部分の奥行価格補正後の価格を差し引いた後、宅地Bの奥行価格補正後の一平方メートル当たりの価格を求めます。そして、その価格に対して側方路線影響加算(この場合は二方路線影響加算率を適用)および不整形地補正を行い、宅地Bの評価額を算出します。

不整形地の評価(奥行距離が一様でない場合)

Q. 次の図のような宅地の評価額は具体的にはどのように計算するのでしょうか。

A. 不整形地の評価額を計算するには、まず不整形地の地積を間口距離で割り、計算上の奥行距離を求めます。この計算上の奥行距離をもとに奥行価格補正を行い、さらに側方路線影響加算と不整形地補正を施して最終的な評価額を出します。

具体的な計算は以下の手順で行います:

1. 正面路線に沿った奥行距離の補正をします。この例では、地積875平方メートルを間口距離30mで割り、得られる29.2m(正面路線に対する計算上の奥行距離)に基づいて補正します。この場合、正面路線価100,000円に0.95を乗じて95,000円が得られます。

2. 次に側方路線影響加算を行います。この場合、地積875平方メートルを間口距離25mで割り、計算上の奥行距離を35mとして加算します。側方路線価60,000円に特定の計算式を適用し、加算額を1,395円とします。

3. 補正後の正面路線価と側方路線影響加算額を合計して、96,395円を得ます。

4. 最後に、この金額に地積を乗じ、さらに不整形地補正率0.97を適用して最終的な評価額を算出します。この例では、81,815,256円が最終的な評価額になります。

この方法により、不整形地でも坪単価を算出して正確な評価を行うことができます。

不整形地の奥行距離の計算

Q.不整形地の奥行距離は、どのようにして計算するのですか。

A.不整形地の奥行距離を計算するには、不整形地がもし規則的な形(整形地)だったらどれくらいの奥行きがあるかを想定します。そして、その不整形地の総面積をその間口の距離で割ることで、平均的な奥行距離を求めます。例えば、特定の不整形地が600平方メートルで間口が15メートルの場合、600平方メートルを15メートルで割って奥行距離が40メートルであると計算できます。

屈折路に面する宅地の想定整形地のとり方及び間口距離の求め方

Q.屈折路に面する不整形地の場合、想定整形地はどのようにとるのですか。また、間口距離はどのようにして求めるのですか。

A.屈折路に面する不整形地の場合、想定整形地の選び方には特定の方法があります。まず、不整形地に隣接する路線から垂直に線を下ろすか、またはその路線に接している両端を直線で結びます。これにより、評価対象の宅地を完全に囲むことができる正方形または長方形の形を作り、その中で最も小さい面積の形が想定整形地となります。この方法で、不整形な宅地の形状を標準的な形に置き換えることができます。

間口距離の求め方については、顔面している屈折路に実際に面する距離と、想定整形地の間口部分に相当する距離のうち、短い方を間口距離とします。これによって、宅地の価値を決定する際の基礎データとして、より公正な評価が可能になります。

間口距離の求め方

Q.次の図のような形状の宅地の間口距離はいずれによるのですか。

A.間口距離は、原則として宅地が道路に接している部分の長さで決まります。そのため、Aの場合は “a” の長さになります。Bの場合は “a+c” の合計の長さになり、Cの場合は原則として “b” の長さですが、”a” の長さを用いても問題ありません。もしAの場合で私道部分を考慮する場合には、角切りによって拡がった部分は間口距離には含めません。

不整形地の補正率の判定

Q.路線価地域内の宅地を相続しましたが、非常に形が悪く、その全部が宅地としての機能を十分発揮できないような土地です。聞くところによりますと、そのような不整形地は40%以内の評価減ができるそうですが、具体的には、どのようにして補正率を求めればよいのでしょうか?

A.不整形地の補正率は、「地区区分」、「地積区分」及び「かげ地割合」に応じて定められた「不整形地補正率表」を使って計算します。具体的には、まず地区区分と地積の大きさに基づいて地積区分を判定します。次に、不整形地全域を囲む正方形や長方形の土地(想定整形地)の面積を基にして、不整形地の面積を引いて「かげ地割合」を求めます。この地積区分とかげ地割合を「不整形地補正率表」に当てはめて不整形地補正率を求めます。この補正率を使い、不整形地の価格を算出することで、宅地として十分な機能を発揮できない部分について評価を下げることができます。

側方路線影響加算の方法

Q.私が相続した宅地は、一部分しか側方路線に接していません。このような宅地についても、その全体について、側方路線影響加算の計算を行うのですか?

A.宅地が側方路線に一部分しか接していない場合、その宅地全体に対して直接側方路線影響加算を行うのではなく、宅地の側方路線に接している部分のみに影響を受けると考えられます。したがって、側方路線に接する部分が、その宅地を側方路線から見たときに想定される整形地の間口距離より短い場合、側方路線影響加算額を調整して評価されます。具体的には、正面路線価を基礎にした価額を計算し、それに側方路線影響加算額を加えて、最終的な評価額を出します。宅地が正面路線の一部分にしか接していない場合でも、側方路線に接する距離に基づいて加算額を調整する必要があります。