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定期借地権等設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額

Q.定期借地権等設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額はどのように計算するのですか。

A.定期借地権などを設定する時に借地人が得ることができる経済的な利益の全体の額を計算するには、以下に挙げる金額を全部合わせます。

1. 権利金が交わされた場合、その権利金の額。

2. 保証金が交わされた場合、その保証金によって生まれる経済的な利益の額。

3. 地代が市場よりも明らかに安く設定されている場合、それによって毎年得られるべき地代の差額の現在価値。

具体的には、権利金は、借地権設定時に地主へ前払いされる名前の違いに関係なく返還不要とされるお金や財産の提供のことです。保証金の場合の経済的利益の額は、低い利率での利息支払いがある場合や、無利息の場合に特定の計算式により算出されます。毎年得られる地代の差額の現在価値は、実際には贈与と見なされる低額で設定された地代の場合に、同種同等の他の借地権との地代差額を計算式によって出します。この際、権利金や保証金の提供がある場合には算出される地代差額に前払いされた地代に相当する金額を毎年の実際の地代支払いに加えて計算します。

定期借地権等の目的となっている宅地の評価

Q.定期借地権を設定した土地の評価方法はどうなりますか?

A.土地の評価には、まず土地の現在の価値から定期借地権による価値減少分を差し引く方法が取られます。しかし、特定の計算式に基づいて導き出された金額がもし差し引いた後の金額よりも低い場合は、その低い金額を土地の評価額とします。この計算式では、定期借地権の残存期間に応じた割合(5年以下で5%、5年超10年以下で10%、10年超15年以下で15%、15年超で20%)を土地の価値に乗じたものを差し引きます。

ご質問のケースでは、定期借地権の設定時の土地の通常の取引価額が5,000万円、課税時の通常の取引価額が8,000万円、年間の地代が72万円で、残存期間が40年の場合、土地の評価額は定期借地権の価額を差し引いた55,513,803円となります。しかし、残存期間に応じた割合を適用すると、評価額は51,200,000円とさらに低くなります。よって、この土地の評価額は5,120万円となります。

一般定期借地権が設定された場合、普通借地権割合と底地割合を用いた別の計算方式が採用されることがあります。この計算では、土地の価額を評価する際に一般定期借地権の価額に相当する価額を差し引きます。ただし、特殊な関係のある個人間や法人間で設定された一般定期借地権については、この方法は適用されません。基準年利率や複利年金現価率に関する情報は国税庁のウェブサイトで確認できます。

定期借地権等の評価

Q.私は父から定期借地権を相続しました。この定期借地権の価額はどのように評価するのですか?

A.あなたが相続した定期借地権の価額の評価方法は、自用地としての価額に特定の計算方法を用いて求めた金額を掛け合わせることで行います。この場合、自用地の現在の評価額は6,400万円、設定時の通常取引価額は5,000万円、そして定期借地権設定時に借地人に帰属する経済的利益の総額は800万円です。毎年72万円を支払うという条件のもと、税評価額が6,400万円である時点での残存期間は40年です。これらの条件を元に、特定の計算式に基づき定期借地権等の価額を評価します。

具体的には、課税時期における残存期間に応じる基準年利率と複利年金現価率を用いた複雑な計算を行い、最終的な定期借地権の評価額を求めます。この計算では、課税時期の自用地の価額(6,400万円)に、設定時の通常の取引価額(5,000万円)、複利年金現価率を含む式を用いて評価額を求めます。結果として、約8,486,197円が定期借地権の評価額となります。

この計算過程で使用する基準年利率や複利年金現価率は、法的な基準に基づき国税庁のホームページなどで公表されています。このような計算方法を使用することで、より公正かつ適切な資産価額の評価が可能になります。

定期借地権等の概要

Q.定期借地権等の評価は、借地権の評価と同様の方法でよいのですか。

A.財産評価基本通達によると、”借地権”とは別に”定期借地権等”の評価方法が定められています。これは、平成4年8月1日から施行された借地借家法により定期借地権制度が新たに設けられたためです。この制度には三種類の定期借地権があり、それらは契約更新がなく契約終了時に借地関係が確定的に消滅するという共通の特徴を持ちます。従来の借地権の評価方法では適用できないため、定期借地権等専用の評価方法が用意されています。また、一時使用目的の借地権も、法定更新の制度等が適用されないため定期借地権等として扱われます。

借地権の範囲

Q.借地権の価額を控除する際、具体的にどのような借地権を指していますか。

A.相続税や贈与税の財産評価の際に考慮される借地権とは、借地借家法第2条に規定された、建物の所有を目的とする地上権や土地の賃借権を指します。これには、建物以外の構築物の所有を目的とする賃借権や、資材置場や駐車場など特定の目的で使用する賃借権は含まれません。例えば、ゴルフ練習場として賃借した土地に事務所や住宅を建てた場合でも、その建物の所有が社会通念における主要な目的ではない場合、借地権には当てはまらないとされます。建物とは、土地に恒久的に設置され、屋根や壁があり、人が住んだり物を保管するなどの目的で使用される建造物のことです。

土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の借地権及び貸宅地の評価

Q.「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の、借地権及び貸宅地の価額はそれぞれどのように評価すればよいですか。

A.「土地の無償返還に関する届出書」がある場合、借地権は価値がないと見なして0円で評価されます。貸宅地の価値については自用地としての価格の80%で評価されます。このルールは、土地所有者と借地人の間で将来的に無償で返還することに合意された契約に基づいています。そのため、相続などが発生した時に借地権に価値がないこととみなされます。また、貸宅地に関しては、土地が無償で返還されるわけではないことや、制約を受けることなどを考慮して、現在の価値の80%を控除することが適切とされています。しかし、この土地を同族関係者が所有する同族会社に貸している場合は、自用地としての価値の20%をその会社の資産評価に含める必要があります。この方法は、税の公平性を保つために、土地の価値が個人と法人の間で完全に表されることが重視されています。ただし、使用貸借の場合は、貸宅地の価値を自用地としての全額で評価する必要があり、80%での評価はできません。これは、使用貸借による土地は借地借家法などの制約を受けず、その価値を完全に反映させる必要があるためです。

相当の地代が支払われている場合の非上場株式評価上の借地権の価額

Q.所有する土地を同族会社Aに相当の地代を収受して貸し付けている場合、甲の所有するA社の株式を評価する際の借地権の価額はどのように取り扱うべきですか。

A.このケースでは、被相続人が自己の土地を同族会社に相当の地代を受け取って貸し出している場合、その土地の自用地としての価額の20%を同族会社が持つ借地権の価額として扱います。この取り扱いにより、その借地権の価額を純資産価額に加え、株価の計算を行います。これによって、土地の価値が個人と法人を通じて完全に反映され、税務上の公平性が図られるのです。

通常の地代の年額

Q.「相当の地代通達」の算式で使われる「通常の地代の年額」をどのように求めるのですか?

A.「通常の地代の年額」は、その地域で通常に支払われる地代を基準にして求めます。具体的にはその地域で一般的な賃貸借契約に基づく、普通に支払われている地代の年額を指します。この額を出すには、まずその地域で普通に支払われている地代の月額を調べ、それに基づいて土地の通常の地代の年額を計算します。しかし、もし月額が明らかでない場合は、過去3年間のその土地の自用地としての価値(「貸宅地の評価」で定められた自用地)からその地域で一般的な借地権の価値(「借地権の評価」での定義)を差し引いた金額の平均に6%を掛けて計算した額を「通常の地代の年額」として用いることができます。

相当の地代に満たない地代が支払われている場合の借地権及び貸宅地の評価

Q.私の父が生前貸していた土地は、賃貸借契約の当初は、その土地の自用地としての価額の6%相当の地代を収受していましたが、その後地代の改定もなく、父の相続開始があった時点では、地価の上昇により6%にも満たない地代となっていました。この場合私が相続したこの貸宅地はどのように評価しますか。また、借主側の借地権の評価についても併せて説明してください。

A.相当の地代に満たない地代を収受している場合、その貸宅地は土地の自用地としての価額から、特定の計算式に従って計算された借地権の価額を引いた金額で評価します。この計算式で求めた金額が借主側の借地権の価額になります。支払われている地代が通常より低い場合、この特定の計算により求めた借地権の価額でその土地を評価します。具体的な計算例として、土地の自用地としての価額が40,000,000円、その土地の自用地としての過去3年間の平均価額が34,000,000円、相当の地代の年額が2,040,000円、実際に受け取っている地代が1,500,000円の場合、通常の地代の年額は840,000円となり、この条件を計算式に適用すると借地権の価額が12,600,000円となります。したがって、相続した貸宅地の評価額は、収受している地代が相当の地代に満たない場合でも、自用地としての価額から計算された借地権の価額を引いた金額で評価され、その金額が土地の自用地としての価額の80%に相当する金額を超えるときは、その80%の金額で評価されます。計算例では、貸宅地の評価額は27,400,000円ですが、算出された価額が土地の自用地としての価額の80%に相当する32,000,000円を超える場合は、32,000,000円と評価されます。

相当の地代が支払われている場合の借地権及び貸宅地の評価

Q.権利金を支払わないで、相当の地代を支払うこととして、建物の所有を目的とした土地の賃貸借契約があった場合の、借地権及び貸宅地の評価はどのようにしますか。

A.相当の地代が支払われている場合、借地権の評価額は0円とし、貸宅地については、自用地としての価額の80%に相当する金額で評価します。通常、権利金を支払う取引の習慣がある地域で、権利金の代わりに相当の地代を支払って土地を借りている場合、相続などにより借地権を取得した際、その借地権の価値は0円とされます。ここで言う「相当の地代」とは、自用地としての相続税評価額の過去3年間の平均値の約6%の地代のことです。貸宅地(底地)については、自用地としての価額の80%で評価されます。この評価方法は、底地について自用地価額を適用する考え方への調整として、借地権が取引されない地域でも自用地の価額から20%を控除している事実を踏まえ、20%控除することが妥当であるとされています。