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農地法に基づかない耕作権

Q.私が相続により取得した農地は、相続以前から亡兄の妻が耕作していたもので、相続後も引き続きその義姉が耕作しています。私にはその農地を耕作する意思がありませんので、亡兄の子に贈与したいと思いますが、貸し付けられている農地としての評価ができるのですか。なお、その農地については、従来から農地法上の手続は一切していません。

A.農地法に基づいて耕作する権利が設定されていなければ、その農地は貸し付けられている農地として評価することはできません。そのため、自用農地として評価されます。農地の権利移動には、農地法に従って厳しい制約があります。通常、貸し付けられている農地の価額は、自用地としての評価価額から耕作権や永小作権の価額を差し引いた金額で評価されます。これは、農地法により耕作権が強く保護されており、その権利の消滅時には一定の対価を得られるためです。農地の所有者には、耕作権の存在によって農地の本来の価値が低下する効果があります。しかし、農地法上耕作する権利が設定されていない場合、その農地は貸し付けられている農地として評価されません。耕作権は農地法に基づくもので、民法上の用語ではなく農地の賃借権を指します。

生産緑地の評価

Q.生産緑地に係る主たる従事者が死亡した場合の生産緑地の価額は、どのように評価するのですか。

A.生産緑地でないものとして評価した価額の95%相当額で評価します。生産緑地に指定されている土地には、建物を建てたり宅地を造成するなどの制限が付されていますが、この制限期間中の土地の価額は、その期間に応じて定められた割合を控除した金額で評価されます。例えば、申出基準日まで5年以下の場合は10%、5年超え10年以下では15%、という具合に最高で30年以下の場合は35%の割合が適用されます。特に、その土地の主たる従事者が亡くなった場合には、生産緑地でないとして評価した価額の95%相当額で評価されます。これは、特定生産緑地にも同様に適用され、特定生産緑地は、その周辺の公共空間の整備状況などを考慮し、市町村長が指定するものです。

傾斜度の判定について

Q.市街地山林のような傾斜地を評価する場合に適用する「傾斜地の宅地造成費」は、傾斜度に応じてその金額が定められていますが、この傾斜度は具体的にはどのように判定するのですか。

A.傾斜度の判定は、一般的に、評価対象の土地に最も近い道路の高さを起点として行います。その後、評価を行う土地の最下点、つまり土地の頂点が奥行きが最も長い地点にあるとして傾斜度を計算します。更に、傾斜した地面を整備するための費用は、傾斜度に応じて変わります。傾斜度は、「高さ」と「奥行距離」または「奥行距離」と「斜面の長さ」との関係を用いて、特定の表を参照することで判定することが可能です。

市街地農地 (平坦地)の評価

Q.市街地農地 (平坦地)の評価における宅地造成費の計算方法はどのようになっていますか?

A.市街地農地の宅地造成費の計算方法について述べます。宅地造成費は、国税局が定める工事単価に基づいて計算されます。例えば、大阪国税局の場合、整地費は広さが20m×20mの土地に対して700円をかけて280,000円と計算します。地盤改良が必要な場合は、その面積に対して1,700円をかけて計算し、土盛りが必要な場合は、土盛りにかかる費用を計算します。さらに、土止め(擁壁)が必要となる三面の擁壁の面積に対して、75,500円をかけて計算します。これらの合計が宅地造成費の合計額となります。例えば、整地費280,000円、地盤改良費680,000円、土盛り費2,840,000円、土止め費4,530,000円を合計した8,330,000円が宅地造成費として計算されます。

市街地農地、山林等の評価

Q.私が相続した農地、山林等の一部については、財産評価基準書によると「比準」となっている地域です。この場合の農地、山林等は具体的にはどのように評価するのですか?

A.「比準」と記載されている農地や山林は、市街地内に位置する農地や山林です。これらの土地は、宅地としての可能性を基に評価されます。具体的には、その土地が宅地だった場合の平方メートルあたりの価格を基にし、宅地への転用に必要な造成費用を差し引いて評価額を算出します。この方法は、農地や山林が将来的に宅地として利用される可能性があるため、宅地の価格に影響されることが多いのが特徴です。造成費用は土地の状況に応じて異なり、平坦地、傾斜地など土地の特性に基づいて費用が算出されます。また、造成が困難な市街地山林については、近隣の山林価格と比較して評価が行われます。

市街化区域内にある2以上の地目からなる一団の土地の評価単位

Q.相続の対象となっている土地の中に、地目が異なっている一団の土地がある場合、それぞれを別々に評価して良いのでしょうか?

A.その一団の土地は、すべて一つの評価単位として扱う必要があります。これは、市街化調整区域以外の都市計画区域内で、市街地のような形態を持つ地域において、異なる地目(市街地農地、市街地山林、市街地原野、および宅地やそれに似た雑種地)の土地が隣接している場合、その形状、大きさ、位置などからみて一団として評価することが合理的だと認められます。これらの土地は宅地の価値に強い影響を受けるため、原則として宅地比準方式で評価されます。そのため、地目に関わらず一団として評価します。例えば、小さな土地や形状が特殊な土地、または道路に面していない土地は、単独で評価するよりも一緒に評価する方が適切です。これにより、全体を一つの評価単位として扱うことが推奨されます。

市街地農地及び市街地山林の評価単位

Q.私が相続した田(A)と山林(B)は、市街化区域内にあり、それぞれ次の図のように耕作の単位及び筆の境界が分かれています。この場合は、それぞれ1枚の田ごと、1筆の山林ごとで評価するのですか。なお、A、Bともに、それぞれ全体を同一の利用に供しています。

A.いいえ、AおよびBに関しては、1枚の田や1筆の山林ごとに評価するのではなく、それぞれ全体を一つの評価単位として、評価を行います。市街地農地や市街地山林は、利用の単位となっている一団の土地ごとに評価をします。つまり、田や山林について、全体が一つの利用の単位である場合には、1枚の田や1筆の山林ごとの評価ではなく、全体を一つの評価単位と考えて評価を行います。

農地の評価単位 と評価方法

Q. 農地の評価単位と評価方法について、教えてください。

A. 農地の評価には、その種類に応じて異なる評価単位と方法があります。主に以下の3種類があります。

1. **市街地や市街地周辺の農地**:これらの農地は、利用されている一グループ毎に評価されます。これは「生産緑地」に指定された農地も同じ評価方法になります。

2. **純農田や畑**:これらは、耕作されている一区画毎に評価されます。

評価方法は以下の通りです。

– **市街地農地**:これらの農地は原則として、宅地の価格と比較して評価されます。

– **市街地周辺の農地**:市街地農地と同じ方法で価格を出した上で、その価格の一定のパーセンテージ相当額により評価します。

– **純農田や畑**:これらは倍率方式により評価されます。

このような方法で、農地の種類や特性に応じてその評価単位と評価方法が定められています。

農地の判定

Q.次のような土地は、どのように評価するのですか。なお登記上の地目は農地です。① 休耕農地 ② 数年前から耕作していないため、外見上は付近の宅地と同様な空地 ③ 未許可のまま居住用家屋の敷地の一部として使用している土地

A.①農地として評価します。②雑種地として評価します。③宅地として評価します。土地の価値は、登記された地目に基づき、課税される時期の実情に応じて評価されます。地目は宅地、田、畑、山林、原野、牧場、池沼、鉱泉地、そして雑種地の9種類に分けられています。農地は、作物を栽培するために耕作される土地のことを指します。ここでの例では、次のように評価されます。①休耕しているが、いつでも耕作可能な状態の農地は農地として評価されます。②数年間耕作されず、農地へ容易に戻すことができない場合は雑種地として評価されます。③登記上は農地でも、実際には住宅用地として使用されている場合は宅地として評価されます。

定期借地権等の設定に際し保証金の授受がある場合の債権、債務の評価

Q.私の父は10年前に次のような契約内容で定期借地権を設定して土地を借りました。令和5年3月に父が亡くなったのですが、父が10年前に支払った保証金はどのように評価するのですか?

A.ご質問の保証金の評価について、まず、定期借地権などの設定において保証金などが授受されるケースでは、相続税の計算において借地人は支払った保証金を債権として計上し、地主は受け取った保証金を債務として計上します。この債権及び債務の額は特定の計算式に基づいて算出されます。具体的には、定期借地権の残存期間や基準年利率に基づいた複利現価率を使用して計算します。国税庁のホームページでは、これらの利率や複利現価率に関する詳細情報が提供されています。その結果、該当する保証金の債務の額は5,936,000円となります。