「消費税法」カテゴリーアーカイブ

源泉所得税がある場合の課税標準

Q.役務の提供として所得税の源泉徴収をされた金額を受け取る時、その役務の提供に関する消費税額の計算は、実際に受け取った金額を基にしてもよいのでしょうか?

A.消費税の課税標準は、課税される資産の譲渡などに関する対価の額を基にされています。源泉徴収される前の金額、つまり所得税が控除される前の金額が消費税の課税標準となります。例えば、弁護士の報酬について源泉徴収を行う際は、報酬料金に加えて消費税と地方消費税の合計額が源泉徴収の対象とされます。請求書等で報酬料金と消費税および地方消費税が明確に分けられている場合は、その分けられた報酬料金が源泉徴収の対象金額になります。

参考:法28①、基通10-1-13、平元130直法6-1「消費税法等の施行に伴う源泉所得税の取扱いについて」(法令解釈通達)

先物取引の現引き、現渡しに関する課税標準等

Q.商品先物取引で現物の受渡しを行った場合、消費税の課税標準及び課税仕入れの額はどのように計算しますか?

A.商品先物取引で現物の受渡しを行った場合、売手の売約定に関する代金と買手の買約定に関する代金は、いずれも消費税を除いた金額として計算されます。売手が受け取るべき金額や買手が支払うべき金額は、約定代金に加えて、受渡代金(最終的な帳入値段に基づく金額)に消費税率を掛けて算出された金額が消費税相当額として、取引所を通じて授受されます。つまり、売手の消費税課税標準は約定代金と受渡代金の合計に消費税率を乗じて計算され、買手の課税仕入れの額は、約定代金と受渡代金を消費税を除いた上で計算された消費税相当額を合算して求められます。商品先物取引の特殊性を考慮して、約定代金に代わり受渡代金を基に消費税の課税標準や支払対価の額を計算することも可能です。ただし、商品先物取引では差金決済が行われるため、売手と買手の約定代金が一致しない場合もあります。

参考:法28①、30①、基通9-1-24

現金主義会計適用者の課税仕入れの時期

Q.所得税法第67条の規定を適用している個人事業者が、消費税での課税資産の譲渡等の時期を現金主義で考える場合、課税期間中の支払い分のみを消費税額の計算に含めてもよいですか?

A.消費税法では、所得税法第67条の規定を適用している個人事業者は、課税資産の譲渡等の時期を実際に譲渡が行われた日ではなく、現金が支払われた日として扱うことができると規定しています。従って、課税仕入れに関わる消費税額の計算は、課税期間中の支払分のみを対象に行うことが可能です。ただし、所得税法第67条の適用を受けている場合でも、実際の譲渡等の日(発生主義会計)を基準にすることも可能です。

参考:法18、基通9-5-1、所法67

販売側、仕入側で計上時期が異なる場合

Q.当社は商品の仕入れを検収基準で計上していますが、相手方は出荷基準を採用しているため、売上の計上時期と仕入税額控除の時期が異なります。この状況は問題ないでしょうか?

A.商品の譲渡や課税仕入れの時期は、引渡しの日を基準とします。この引渡し日の判断基準として、検収日や出荷日など合理的で、一貫して適用される基準を使用している場合、販売側と仕入側で計上時期が異なっていても認められます。従って、貴社が検収基準を採用している場合、その基準に基づいて仕入税額控除の時期を決め、消費税額を計算しても問題ありません。

参考:基通11-3-1

建設仮勘定の税額控除の時期

Q.建設仮勘定により経理している場合、仕入税額控除の時期はいつになるのでしょうか。

A.事業者が建設工事等の目的物が完成する前に、その建設工事等のための課税された仕入れなどの金額を建設仮勘定として経理している場合でも、これらの課税仕入れは、その仕入れを行った日が含まれる課税期間内で仕入税額の控除が可能です。しかし、建設仮勘定では、単なる中間金の支払いなども含まれるため、その期間内の課税仕入れを特定するのが難しい場合があります。そのような場合には、目的物が完成した日が含まれる課税期間の課税仕入れとして、仕入税額の控除を行うことも認められています。

参考:法30、基通11-3-6

仕入税額控除の時期

Q.「仕入税額控除」は、どの時点で行えばよいのでしょうか。

A.仕入税額控除は、商品等を仕入れた日や税貨物を保税地域から引き取った日が属する課税期間内に行うことができます。ここでいう「課税仕入れを行った日」は、原則として資産を譲受け、借り受けた日、またはサービスを受けた日を指します。

参考:法30①、基通11-3-1

延払い基準に関する経理処理

Q.所得税や法人税で延払い基準で売上を計算した場合、消費税も同様の方法で経理処理をしなければいけませんか。また、経理処理をしなかった場合はどうなりますか。

A.所得税や法人税で延払い基準を用いて経理する際、消費税での延払い基準の適用は任意です。延払い基準で経理していた事業者が、ある年または事業年度でそれを採用しないことにした場合は、その年の12月31日や事業年度終了日を含む課税期間で、未申告分の売上に関する対価の総額に加算することになります。

参考:消費税法第16条第1項、令32第1項、基通9-3-1

リース譲渡に係る特例の適用関係

Q.所得税法及び法人税法上でリース譲渡と認められない売上げは、消費税法上どのように扱われますか?

A.所得税法や法人税法でリース譲渡に関する特例の適用を受けている場合のみ、消費税法においてもその特例が適用され、資産の譲渡時期を判断できます。従って、資産の譲渡が所得税法や法人税法に定めるリース譲渡に該当しない場合、または延払基準での経理が初めからされていない場合は、原則としてその引き渡しの日に消費税が課税されます。ただし、延払基準で経理し、所得税法や法人税法で特例の適用を受けていても、消費税法では通常の課税方法が適用されることになります。

参考:医法16①、基通9-3-1、所法65、法法6

対価未確定の販売における資産の譲渡時期

Q.資産の譲渡等にかかる対価が課税期間の末日までに確定しない場合、どのように対応すべきですか?

A.対価が未確定の場合でも、資産の譲渡等の時期は基本的に資産を引き渡した日とされています。そこで、対価が課税期間の末日までに確定していない場合は、仮価格が設定されている場合はその仮価格に基づき、仮価格がない場合は適切に見積もった金額で消費税の確定申告を行います。対価が確定した後は、確定した課税期間で仮価格または見積価格と実際の対価との差額を調整する必要があります。

参考:基通9-1-1、10-1-20

ss消化仕入れの場合の資産の譲渡の時期

Q.相手先が消化仕入れの方法により売上げ、仕入れを計上している場合の当方の資産の譲渡の時期はいつになりますか?

A.棚卸資産の販売については、原則として商品を引き渡した日が資産の譲渡の時期とされます。つまり、消化仕入れの方法で売り上げと仕入れを計上している小売業者に棚卸資産を供給した場合、その小売業者が消費者に商品を販売した日が、卸売業者から小売業者への資産譲渡の時期とみなされます。この場合、卸売業者と小売業者は課税資産の譲渡を同じ時期に行ったと考えられます。

参考:基通9-1-1