「消費税法」カテゴリーアーカイブ

下取りがある場合の課税標準

Q. 自動車の販売時に顧客の中古自動車を下取りした場合、下取り価額を販売代金から差し引いた金額を売上値引きとして扱っても良いですか?

A. 自動車販売時の中古自動車の下取りは、「自動車の販売」と「中古自動車の仕入れ」の二つの取引として扱われます。そのため、自動車を販売した際の課税資産の対価の計算においては、下取り価額を控除する前の金額を基に消費税が課されます。また、下取りした中古自動車は、その事業者の課税仕入れとみなされ、仕入税額控除を適用できます。

参考:基通10-1-17

自動車重量税等の取り扱いについて

Q.自動車のディーラーとして、割賦販売で車両本体価格に自動車重量税等を含めた場合、売上げとして計上しても良いかどうか。

A.自動車重量税等の額を、車両の売上げと明確に区分して経理し、購入者にその内容を明示している場合、自動車重量税等の額は課税対象に含まれないとして取り扱うことができます。

印紙税額と消費税の関係

Q.建築工事請負契約書を2通作成し、施主に印紙税相当額の半額を請求する場合、その請求した印紙税相当額の消費税はどうなるのでしょうか?

A.建築工事の請負契約書に関係する印紙税は、契約当事者が共同で負担する必要があります。そのため、契約書で定めた負担割合に基づいて、片方の当事者がもう一方から印紙税相当額を受け取った場合、それは資産の譲渡等の対価として受け取ったものではないため、消費税の課税対象外となります。

参考:基通10-1-4

別途収受する配送料等の消費税処理

Q.贈答品の販売業で、商品代とは別にお客様から配送料を受け取る場合、この配送料に関する消費税の扱いはどうなりますか?また、経理方法によって異なりますか?

A.販売業者がお客様から商品運送のための配送料を商品代と明確に区別して受け取り、この配送料を預り金や仮受金などとして処理する場合、この配送料は販売業者の課税対象となる資産の販売等の代金には含まれません。しかし、自社で配送サービスを行っているような場合では、たとえ配送料を預り金などとして区分していたとしても、お客様から受け取った全額が課税対象の資産の販売等の代金になります。

参考:基通10-1-16

返品、値引き等の処理後の消費税課税標準額

Q.売上げから返品や値引きを差し引いた金額を消費税の課税標準として計上しても問題ないですか?

A.消費税法によると、返品や値引きにより売上が減った場合、その課税期間の消費税額から、返品や値引きに関する消費税額を差し引くことができます。そして、業者が課税資産の対価から返品や値引きによる減額後の金額を経理上の対価としている場合、その金額を消費税の課税標準として用いることが許されます。ただし、この方法を適用した場合は、返品や値引きに伴う消費税の控除が不可能になる点に注意が必要です。また、仕入税額控除の計算においても、同様に課税仕入れから返品や値引き分を差し引いた金額で計算することが認められています。

参考:法32、38①、基通10-1-15

資産の貸付けに伴う共益費と消費税の取り扱い

Q.貸事務所業を営んでいる企業が、入居者から収受する電気、ガス、水道料金等の共益費も消費税の課税対象になるかどうか。

A.共益費は、貸付けに係る建物などの共用部分で必要なサービスを分担するために入居者から収受するもので、これは資産の貸付けに付随して行われる資産の譲渡等に関連する対価とみなされるため、資産の貸付けに関連する対価に含まれます。ただし、各入居者ごとにメーターを設置し実費で精算していると認められる共益費に関しては、その額を明示していれば、資産の貸付けに関連する収入には含めなくても良いことになっています。なお、住宅の貸付けについては、消費税法で非課税とされているため、その共益費も非課税です。

参考:基通6-13-9、10-1-14

委託販売等における課税関係

Q.他の者から販売の委託を受けて資産の譲渡等を行った場合に、消費税の課税標準は委託販売手数料のみで計算すればいいのでしょうか。

A.他の者から販売の委託を受けて資産を譲渡した際、受託者の販売行為は委託者への役務提供とみなされ、その報酬(販売手数料)が消費税の課税対象となります。委託者にとっては、受託者による販売の全売上が消費税の課税対象です。しかし、受託者に支払う委託販売手数料を差し引いた残額を委託者の売上とする取り扱いもあります。

参考:基通10-1-12 

中古車販売における未経過自動車税

Q.中古車を販売する際に自動車税の未経過分に相当する額を販売価格に含めるとき、契約書でその額を明示した場合、消費税の課税資産の対価に含まれるか?

A.中古車の販売において自動車税の未経過分に相当する額を含めて販売する場合、その額は新所有者によって中古車の購入代金の一部として支払われます。このため、未経過自動車税に相当する額も課税資産の譲渡などの対価に含まれ、消費税の課税対象となります。

参考:基通10-1-1、10-1-6

事業の譲渡をした場合の対価の額

Q.事業の全部を子会社に譲渡する場合、消費税の課税関係はどのようになりますか?

A.事業の譲渡は、資産と負債を一括して譲渡する契約です。この時、課税資産と非課税資産を一緒に譲渡するため、課税資産と非課税資産の対価を合理的に分けて課税します。さらに、事業の譲渡において負債の引き受けがある場合、その負債の引き受け額も譲渡対価に含めます。この例では、譲渡対価の53億円に債務引受額の32億円を加えた合計85億円が譲渡対価となります。この中には非課税資産である土地と売掛金も含まれるため、譲渡対価を課税資産と非課税資産に分けて計算します。

参考:令45③ 、48② 二、基通10-1-5

所有権移転外ファイナンス・リース取引における残価保証額の取扱い

Q.所有権移転外のファイナンス・リース取引における、賃借人が保証する残存価額への消費税の取扱いについて教えてください。

A.「残価保証額」とは、リース期間の終了時に、リース資産が契約に定められた保証額に満たない場合、その差額を賃借人が賃貸人に支払うことが決められている保証金のことです。リース資産の譲渡時の取り扱いでは、リース資産の譲渡対価はリース契約に記載されたリース料総額や月額リース料などから成りますが、残価保証額はこの対価には含まれません。残価保証額の精算金については、リース資産が賃貸人に返還され売却後、精算金額が確定し、それが賃借人から賃貸人へ支払われる際、その金額は資産の譲渡対価に加算されます。

参考:法28①、基通9-3-6の4