「消費税法」カテゴリーアーカイブ

社員の発明等に対する社内報償金の課税対象性

Q.社内で発明、考案、創作をした社員に対して支払われる社内報償金は課税仕入れに該当するのか。

A.事業者が事業のために他の者から資産を受け取ったり、サービスを受けることを課税仕入れと言いますが、給与などの対価として提供されるサービスは除外されます。社内報償金は、社員が業務上役立つ発明などを会社に譲渡した対価として支払われるため、給与等とは見なされず、課税仕入れに該当します。

業務上有益な発明、考案、創作をした従業員から特許権、実用新案権、意匠権またはこれらの権利を継承することにより支払われる報償金

特許権、実用新案権、意匠権を取得した従業員にこれらの実施権の対価として支払われる報償金

事務や作業の合理化、製品品質の改良、経費の節約に貢献する工夫、考案に対して支払われる報償金

参考:法2①十二、30、 基通11-2-4 

マネキン(派遣店員)に対する支出

Q.当社はマネキン紹介所から、当社製品の販売に従事するマネキンを紹介され、あるデパートに派遣しています。この場合、マネキン紹介所に支払っているマネキンの報酬と紹介料はそれぞれ課税仕入れに該当するのでしょうか?

A.マネキンの派遣は職業安定法に基づいて行われ、派遣先とマネキン(派遣店員)の間に直接雇用関係が発生します。そのため、マネキンに対する報酬(便宜的にマネキン紹介所に支払う場合を含む)は給与等として認識され、課税仕入れには該当せず、仕入税額控除の対象とはなりません。一方で、マネキン紹介所に支払う紹介料は、マネキンの紹介という役務の提供の対価であるため、課税仕入れに該当します。

参考:法2①十二、30、基通11-1-2

外部講師の講演に対して支払う謝金

Q.社員研修として外部から講師を招いた時に支払う謝金は、大学教授や医師など事業者でない人に対しても課税仕入れに該当するのでしょうか?

A.謝金を支払った相手が消費税の課税事業者であるかどうかに関わらず、支払いが事業として受けた役務の提供に対するもので、所得税法上の給与所得に該当しなければ、課税仕入れに該当します。したがって、会社が大学教授等に講演の対価として支払う謝金は、課税仕入れに該当します。免税事業者や事業者でない個人からの仕入れも、国内で行われた課税仕入れであれば、その支払いは消費税の課税対象となります。

参考:法2①十二、30、 基通11-1-3

外交員、集金人等に支払う報酬の課税仕入れについて

Q.外交員、集金人、電力量計等の検針人などに支払う報酬や料金が、所得税の観点から給与所得に該当する場合、これらは課税仕入れには該当しないのでしょうか?

A.消費税法の定めにより、給与等を対価として受ける労務の提供は課税仕入れの範囲に含まれません。これには、給与、賞与などが対価となる労務の提供が含まれ、雇用契約またはこれに準ずる契約に基づく労務提供を指します。そのため、外交員や集金人、電力量計検針人などに支払う報酬や料金が、給与所得に該当する部分であれば、それは課税仕入れに該当しません。

参考:法2①十二、基通11-1-2、 11-2-5

手形で受領した場合の課税標準

Q.商品等の販売代金を手形で受け取り、銀行で割り引いた場合、消費税の課税標準は手形の額面金額となるのか、それとも割引後の金額になるのか。

A.消費税の課税標準は、手形で受領した販売代金の額面金額となります。手形を割引で現金化することは、販売代金の回収時期が遅れるという点で掛売りと同じであり、割引後の金額ではなく手形の額面金額が課税標準です。手形の割引自体は非課税取引であり、割引料は消費税の課税仕入れの対象外となります。

参考:法28①、令10③七

現物出資の場合の課税標準

Q.当社は、子会社に土地、建物、借入金を合わせて現物出資しました。消費税の課税標準額はいくらになりますか?

A.金銭以外の資産を出資した場合、取得する株式の時価が資産の譲渡対価になります。ただし、特定の法律で規定されたケースを除きます。貴社が土地(非課税資産)と建物(課税資産)を出資したので、消費税の課税標準となるのは、取得する子会社株式の時価のうち建物に相当する金額です。したがって、建物の時価20,000千円が課税標準となります。

参考:法第28条、令第2条の一、45条の二、三

値引き販売した入場券と課税資産の譲渡等の対価の額

Q.映画や演劇等の主催者が、その入場券の一部を値引き販売した場合、課税資産の譲渡等の対価の額はどうなりますか?

A.入場券を値引き販売した場合、割引後の金額が映画・演劇等の役務提供の対価の額となります。このケースでは、入場券そのものではなく、入場券により提供される映画・演劇の鑑賞というサービスの対価が非課税とされるわけではありません。例えば、会社が得意先の招待用に入場券を1割引で購入した場合、その1割引後の金額が課税仕入れに関わる支払額になります。ただし、入場券を得意先に贈る場合、これは課税仕入れには該当しません。入場券の販売業者が入場券を他者に販売する場合、その取引は非課税となります。

参考:基通6-4-4、6-4-5、10-1-9

旅行業者の消費税の取扱い

Q.旅行業を営む私たちの収入には、他社が主催するパック旅行の代売手数料と、旅行者との手配旅行契約による取次手数料がありますが、これらの消費税の取り扱いを教えてください。

A.他社が主催するパック旅行の販売に関しては、代売契約として扱われ、代売手数料が消費税の課税対象となります。また、手配旅行契約においては、旅行者からの委託による代理や取次業務の手数料も消費税の課税対象になります。

代売契約での代売手数料の消費税課税

手配旅行契約での取次手数料の消費税課税

参考:法28① 、基通10-1-12

パック旅行の対価の額

Q.旅行代理店が主催する国内パック旅行の売上方法として、旅行費の総額を売上とする方法と、運賃と宿泊費を預かり金とみなし、その差額を売上とする方法があるが、消費税の課税標準の計算において、どちらの方法も許されるか。

A.パック旅行は、一般的に顧客から受け取る金額全体がサービスの提供に対する対価になります。ただし、パック旅行でも実質上手配旅行と見なされる場合には、運賃や宿泊費を預かり金として扱い、それらを差し引いた手数料部分のみを課税売上として計上している場合、その手数料部分を消費税の課税標準として問題なく扱うことができます。

確定していない対価の処理

Q.資産の引渡しの日の属する課税期間中にその対価が確定しない場合、どのように申告すればよいのでしょうか?

A.資産を譲渡等した際に、その資産の譲渡等の日が属する課税期間の最終日までに対価が確定していない場合は、その時点での状況に基づき対価を適切に見積もり、見積もった価額を資産譲渡等の対価として申告する必要があります。もし後に対価が確定し、見積額と確定額に差異が生じた場合は、その差額を確定した課税期間にて、その期間の資産譲渡等の対価の合計額に加えるか、または減じる必要があります。

参考:基通10-1-20