「消費税法」カテゴリーアーカイブ

再ファクタリングの場合の課税売上割合の計算

Q. 当社はクレジット会社ですが、下図のような一連の取引の場合、消費税の課税売上割合の計算上、分母に算入すべき金額はいくらですか。

A. ご質問の取引では、490円(9,800円×5%)を課税売上割合計算の分母に加える必要があります。この計算は、売掛債権を譲渡した場合に該当します。売掛債権の譲渡対価の5%に相当する金額を分母に算入することになるためです。

参考:法30⑥、令48

輸出免税取引がある場合の課税売上割合

Q.日本船籍の船舶を国内以外の地域間で使用する目的で船舶運航事業者に譲渡した場合、その譲渡によって消費税の課税売上割合の計算にどのような影響がありますか?

A.日本船籍の船舶を国際間輸送用として船舶運航事業者に譲渡した場合、この取引は輸出取引として消費税から免除されます。しかし、輸出免税取引であっても、この船舶の譲渡は国内における課税対象資産の譲渡とみなされるため、課税売上割合の計算に際しては、その対価は課税対象売上の総額(分母)と課税売上総額(分子)の両方に含める必要があります。

参考:法7①、30⑥、令17②一イ、48①

売掛債権を譲り受ける場合の課税売上割合

Q.クレジット会社がクレジット加盟店から売掛債権を譲り受けた場合、消費税の課税売上割合を計算する際に、売掛債権の額は非課税取引として算入する必要がありますか?

A.クレジット会社が加盟店から売掛債権を譲り受ける場合、これはクレジット会社にとっての仕入れに当たり、売掛債権の額自体は消費税の課税売上割合に影響しません。ただし、譲り受けた売掛債権の額と実際に支払った金額の差額およびクレジット手数料は、消費税の非課税売上として、課税売上割合の計算で分母に含める必要があります。一方、加盟店はこの債権譲渡において、顧客に対する売上としての対価を取得しており、その対価については課税売上割合の計算の分母には含まれません。しかし、クレジット会社に支払う手数料に関しては、非課税取引のため、課税仕入れには該当しないことになります。

参考:法6、30⑥、法別表第一第3号、令10③八、48②二、④

信用取引による有価証券の譲渡と課税売上割合

Q.資金運用の一環として有価証券の売買を行っている場合、仕入税額控除額を計算するための課税売上割合の算出において有価証券の譲渡に関する特例はどのようなものでしょうか。また、その有価証券の売買が通常の取引と信用取引の場合で取扱いに違いはありますか。

A.消費税の課税売上割合を算出する際、非課税とされる資産の譲渡等の対価全額は通常資産の譲渡等の対価の合計額に含められます。しかし、有価証券の譲渡に関しては、譲渡対価の5%相当の金額だけをその合計額に含めるという特例があります(ゴルフ場利用権等の有価証券は除く)。この特例は、通常の現物取引と同様に、有価証券が信用取引によって譲渡された場合にも適用されます。なお、現先取引に関しては別途特例が設けられています。

参考:法30⑥ 、令48⑤

有価証券の譲渡等がある場合の課税売上割合の計算

Q.有価証券や金銭債権を譲渡した場合の消費税の課税売上割合の計算方法を教えてください。特例などがあればその内容も知りたいです。

A.消費税の課税売上割合は、課税期間中の国内での資産の譲渡などから得られる対価の総額(税抜き)から、課税資産の譲渡などから得られる対価の総額(税抜き)の割合で計算します。ここで言う対価には輸出取引からの返金などを控除した金額が含まれます。有価証券や金銭債権の譲渡については以下の特例があります:

1. 通貨や小切手などの支払手段での譲渡は、対価が二度計算されるのを防ぐため、課税売上割合の計算からは除外されます。

2. 資産の譲渡等で得た金銭債権を譲渡した場合も、同じく二重計算の防止のため、対価は計算に含みません。

3. 国債や社債など特定の債券の現先取引など、資金の借入と同じ効果を持つ取引は、対価を課税売上割合の計算から除外します。

4. 現先取引などで売買が行われ、利子を得る目的の金銭貸付と類似する取引では、対価は売り戻し時の金額から購入時の金額を差し引いた額で計算します。

5. 消費税が非課税の有価証券や金銭債権の譲渡では、対価の5%が課税売上割合の計算に算入されます。

6. 国債などで償還差損がある場合、その損失は課税売上割合の計算から控除されます。

参考:法30⑥、令48⑤

販売奨励金を支払った場合の税額控除

Q.当社は製造業を営んでおり、卸売業者に対し当社製品の売上高に応じて支払う販売奨励金は、課税仕入れに該当しますか。

A.事業者が販売促進を目的として取引先に金銭を支払う販売奨励金は、消費税法に基づき売上げに関連する対価の返還として扱われるため、その税額を控除できます。従って、貴社が支払う販売奨励金も売上げに関連する対価の返還と見なされ、税額控除を行うことができます。

参考:法30⑥ 、令48⑤

永年勤続者を旅行に招待する費用について

Q.勤続20年以上の社員とその配偶者を旅行に招待する場合、その費用は課税仕入れに該当しますか?

A.ご質問の旅行費用は、旅行会社からのサービスに対する対価として支払われるため、課税仕入れに該当します。さらに、社員への旅費宿泊費として一定の金額を支給する場合も、適切な領収書などの提出により、課税仕入れとして扱うことができます。ただし、旅行が海外の場合は輸出免税取引または国外取引とみなされるため、国内の課税仕入れには当てはまらず、仕入税額控除の対象外となります。

参考:法2①十二、基通11-2-1

渡切り交際費

Q.当社では、営業担当の役員及び幹部社員に対して、毎月一定の金額を交際費用として支給しています。この交際費は得意先等の接待や贈答を目的として支給するものですが、その精算は行っていません。このような状況の場合、支給された交際費は課税仕入れとして扱えるでしょうか。

A.御質問の交際費は、精算が行われておらず、その使用目的が明確にされていないため、課税仕入れとはみなされません。また、支給された役員等に対しては、給与として扱われます。課税仕入れとするためには、支給された交際費について精算を実施し、出費の証拠と、その費用が会社の業務に関連するものであることを明確にする必要があります。

参考:所得税法第2条第12項

贈答品等の仕入れ

Q.事業者が得意先に贈る中元や歳暮品、創業記念で社員や株主、得意先に配布する物品を購入した場合、仕入税額控除の対象となるか。

A.事業者が課税対象となる資産を購入して贈与する場合、その購入が課税仕入れに該当すれば、仕入税額控除の対象になります。従って、質問の中元や歳暮品、創業記念で配布する物品も、課税仕入れに該当する場合は仕入税額控除の対象となります。さらに、これらの物品の仕入控除税額の計算を業者が個別対応方式で行う場合は、消費税の課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する費用として扱われます。

参考:法2①十二

祝金、せん別と仕入税額控除

Q.使用人や得意先に祝金やせん別を渡した場合には、それを課税仕入れとすることができますか。

A.得意先への祝金やせん別を支払う場合でも、これらは対価性がないため、資産の譲渡等の対価として支払われるものではなく、消費税の課税対象外となります。そのため、仕入税額控除の対象とはなりません。しかし、使用人や得意先に物品をせん別等として手渡し、その物品の取得が課税仕入れに該当する場合、その課税仕入れに関わる支払対価は仕入税額控除の対象となります。

参考:法2①八、十二