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軽減税率対象資産の取引における記載方法

Q.青果の卸売業を営む当店では、日々の納品書で商品の名称を個別に記載し、一定期間の取引をまとめた請求書を作成しています。この場合、請求書に「軽減対象資産の譲渡である旨」を、例えば「11/1~11/30野菜※ (※は軽減対象資産の譲渡等)」として一定期間分をまとめて記載しても良いでしょうか?

A.はい、課税期間内で一定期間分の取引についてまとめて請求書等を作成する場合、その期間を示して記載することができます。ただし、請求書には「軽減対象資産の譲渡である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」についても記載する必要があります。同一商品を一定期間複数回購入している場合には、取引の明細が請求書に記載または添付されていなければならず、軽減対象資産の譲渡等である旨を同一商品をまとめて記載しても構いません。よって、質問の例である「11/1~11/30野菜※」と記載し、軽減対象資産であることを明らかにしている場合、請求書に取引の明細が添付されていれば、軽減対象資産の譲渡であることの記載として認められます。

「課税仕入れに係る資産又は役務の内容」の記載例

 青果店:野菜、果実、青果

 魚介類の卸売業者

 一般の事業者の文房具類の購入

参考:法30⑨ ―口、平28改 法附34②

軽減税率対象品目の帳簿記載方法

Q.区分記載請求書等保存方式において、帳簿に軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨をどのように記載すればよいですか?

A.軽減税率対象品目を帳簿に記載する場合、その取引が軽減税率の対象であることを客観的にわかるようにする必要があります。具体的には、「10%」や「8%」といった税率を記載する方法の他、「※」や「☆」などの記号を用いて表示し、その記号が軽減税率対象であることを帳簿の別の場所で明示する方法も認められます。また、帳簿に税率区分欄を設けて「8%」と記載する方法や税率コードを記載する方法も可能です。

帳簿への商品やサービスの内容の記載は、その一般的な総称でまとめて記載しても良く、申告時に個々の請求書を確認せずとも、帳簿に基づいた消費税額の計算ができる程度の記載で問題ありません。

一定期間分の取引をまとめる場合の帳簿への記載方法

Q.課税仕入れに関連する請求書等は一定の期間分の取引をまとめて作成しても良いとされていますが、受け取った請求書等を基に帳簿にもまとめて記載しても良いのでしょうか?

A.はい、請求書等がある期間内の取引についてまとめて作成されている場合、例えば電気、ガス、水道水など継続的に供給されたサービスの料金請求など、その期間を基に帳簿に課税仕入れの年月日を記載しても問題ありません。また、一定期間内に同一の商品を複数回購入して、その期間分の請求書等で取引の明細が提供されている場合にも、その期間での記載が認められています。ただし、課税商品と非課税商品が混在している場合は、それぞれ分けて記載する必要があります。また、軽減税率対象の商品を取引した場合は、その旨も記載する必要があります。 

参考:法30C③、平28改 法附34②

取引で複数の商品を購入した場合の帳簿の記載方法

Q. 仕入税額控除の適用を受けるための帳簿の記載事項で、複数の商品を一度に購入した場合(例えば、文房具と医薬品)、総称で「文房具ほか」とか「文房具等」と記載してもいいのでしょうか。

A. はい、経費に属する課税仕入れの場合、複数の商品を購入しても、一般的な総称での記載で問題ありません。ただし、課税商品と非課税商品を同時に購入した場合は、それらを区別して記載する必要があります。また、課税商品の中に軽減税率の対象となる商品がある場合は、「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」を記載する必要があります。

経費に属する課税仕入れの具体的記載例 

一般の事業者の文房具類の購入:文房具

郵便切手の購入:国内郵便料金、国際郵便料金

参考:法30⑦③、平28改 法附34②

請求書と帳簿の記載の対応関係

Q.仕入税額控除を受けるために必要な請求書及び帳簿の保存について、帳簿に請求書等に記載されている取引内容をそのまま記載する必要がありますか?

A.仕入税額控除を受けるために必要な帳簿への記載では、請求書等に記載された資産や役務の詳細内容(例:鮮魚店での仕入れなど)をそのまま記載する必要はありません。申告時に請求書を個々に確認せずに帳簿から仕入控除税額を計算できる程度の記載で十分です。ただし、課税商品と非課税商品が混じる場合や軽減税率対象商品の取引が含まれる場合は、それぞれ適切に区分して記載する必要があります。

参考:法30⑦③、平28改法附34②

3万円未満の請求書等の記載事項変更について

Q.軽減税率制度の実施により、3万円未満の取引の領収書に商品の詳細な内容の記載を追加する必要はありますか?

A.3万円未満の取引では、請求書の保存を求められていませんが、帳簿には取引の詳細とともに「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載が必要です。これまでと同様、顧客に交付する領収書に商品の詳細を追加する必要はありません。ただし、事業者が仕入税額控除を適用するには、帳簿に必要な事項を記載して保存する必要があります。

参考:法30⑦、令49①一、平28改法附34②

請求書等の交付が受けられない場合の取扱い

Q.課税仕入れに関する帳簿と請求書等の保存が必要だと聞きましたが、請求書等の交付を受けられない場合はどうなりますか?

A.支払い総額が3万円未満の課税仕入れでは、帳簿の保存だけで仕入税額控除が可能です。3万円以上の場合でも、請求書の交付を受けられなかったのにやむを得ない理由がある場合、特定の情報(課税仕入れ先の名前や住所、取引内容と日付、支払額、及び請求書がない理由)を帳簿に記載することで、帳簿の保存だけで控除を受けられます。請求書交付が不可能な状況には以下の例が含まれます:自動販売機を使った課税仕入れ、入場券や乗車券などが取引時に回収されるもの、請求書等の交付を要求したが受けられなかった場合、取引期間終了まで支払額が確定していないケース、その他請求書を受けられなかった類似の理由です。ただし、特定の課税仕入れ(一般乗合旅客運送事業者や郵便事業者からのサービス、出張旅費等を支払った場合、再生資源卸売業からの仕入れなど)に関しては、相手方の住所や所在地の記載が不要です。

参考:法30⑦、令49①②、基通11-6-3、11-6-4

少額な課税仕入れと帳簿及び請求書等の保存

Q.課税仕入れに関する仕入税額の控除を実額ベースで受けるには、帳簿と請求書等の保存が必要ですが、少額な課税仕入れでも同様にすべて保存する必要はありますか?

A.課税仕入れに対する仕入税額の控除を実際の金額に基づいて受ける場合、指定された事項が記載された帳簿と請求書等を保存することが求められます。ただし、課税仕入れに関する支払い総額が3万円未満の場合は、帳簿の保存のみで仕入税額の控除を受けることができます。ここでの「3万円未満」とは、一つの商品ごとではなく、一回の取引における税込み総額で判断されます。

参考:法30⑦、令49①一、基通11-6-2

軽減対象資産の議渡等の記載について

Q.仕入先から受け取った請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」の記載がない場合、これらが記載された請求書等の再交付を受けなければ仕入税額控除を行えないのでしょうか?

A.事業者は、請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の対価の額」の記載が欠けている場合でも、取引の事実に基づいてこれらを追記し保存することで、仕入税額控除が認められます。ただし、これら以外の項目を追記や修正することはできません。また、3万円未満の取引の仕入税額控除には、請求書等の保存がなくとも、法律で定める事項が記載された帳簿の保存だけで対応可能ですが、帳簿には「軽減対象資産の譲渡等に関するものである旨」の記載が必要になります。

参考:法30⑦、令49①一、平28改法附34②③、軽減通達19

軽減対象資産の記載方法

Q.区分記載請求書等に「軽減対象資産の譲渡等である旨」をどのように記載したら良いですか?

A.「軽減対象資産の譲渡等である旨」の記載は、その事実が客観的に明らかであれば十分です。以下の方法で軽減税率が適用される商品やサービスを表示することができます。

1. 請求書で、「※」や「☆」のような記号を使って軽減税率の対象商品を表示し、「※は軽減対象」といった形でその意味を明確にする。

2. 請求書内で、軽減税率対象の商品とそれ以外の商品を区分し、軽減税率対象の商品群がそうであることを明示する。

3. 軽減税率対象の商品とそれ以外の商品について別々の請求書を作成し、軽減税率対象の商品の請求書にはその事実を表示する。

参考:軽減通達18