「消費税法」カテゴリーアーカイブ

公益法人の申告単位

Q.公益社団法人の収益事業部門と非収益事業部門に関して、消費税及び地方消費税の確定申告はどのように行うべきですか?

A.公益法人は消費税及び地方消費税の申告を、事業者としての全体で行う必要があります。収益事業部門と非収益事業部門を分けて申告することは認められていません。収益事業部門だけでなく、非収益事業部門でも税の対象となる資産の譲渡等があった場合、それらの課税資産の譲渡等に関する情報を合わせて申告する必要があります。これは公益法人であっても例外ではありません。基準期間における課税売上高が1,000万円を超える場合は、その課税期間中に収益事業及び非収益事業部門で行った課税資産の譲渡等について、合算して申告しなければならず、国や地方公共団体の特例は適用されません。

参考:法4①、5①、9①、9の2、45①、60∞、地法72の78、72の88

非居住者の消費税課税事業者選択届出書の適用開始課税期間

Q.日本に住んでいない人が日本で課税される商品の販売等をしていない状態で、日本国内で初めて商品等を課税対象として購入した場合、消費税法における「事業を国内で開始した日が含まれる課税期間」として扱っても良いですか?

A.はい、消費税法の規定によると、海外での取引のみを行っていた法人が日本国内で新たに課税対象の商品の販売等の事業を開始した課税期間も含まれます。したがって、日本国内で課税対象の商品を販売等していない非居住者が国内で初めて課税対象として商品等を購入した課税期間は「国内で課税対象の商品の販売等に係る事業を開始した課税期間」として扱われます。

参考:法9条4項、法令20条1号、基通1-4-7

設立1期目の還付申告について

Q.設立1期目の会社で、開業準備のためにかかった創業費や機械購入などの課税仕入れがありましたが、課税売上げはなかった場合、還付を受けることはできますか?

A.新しく開業した事業や設立された法人は、設立年及びその翌年にかけて課税売上がないため、通常は消費税の納税義務がなく、仕入税額の控除ができません。しかし、「新設法人」として消費税法の対象となる場合や、自ら課税事業者として届け出た場合には、将来の課税売上げに直接必要な機械や設備の課税仕入れに対しては、控除(還付)を受けられます。この場合、設立事業年度の末日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、購入した機械や設備を課税売上げにのみ必要とするものとして扱う必要があります。ただし、非課税売上げのみに必要なものや、課税売上げにも非課税売上げにも必要な創業費のような課税仕入れは、課税売上げがないため還付を受けることはできません。簡易課税制度を選択した場合も、実際の課税仕入れに関わらず還付は受けられません。

参考:法9、12の2、30、37、基通11-1-7

被相続人の事業を承継した場合の納税義務

Q.相続人が被相続人の事業を承継した場合、どのように納税義務を判断すれば良いですか?

A.相続があった年では、相続人の基準期間の課税売上高または被相続人の基準期間の課税売上高のどちらかが1,000万円を超える場合、その年の12月31日までの期間には消費税の納税義務が免除されません。したがって、相続があった令和5年では被相続人の基準期間(令和3年)の課税売上高が1,500万円であったため、納税義務は免除されません。相続の翌年及び翌々年においては、相続人と被相続人の基準期間の課税売上高を合計して、納税義務の有無を判断します。令和6年分は基準期間の令和4年分の課税売上高の合計が1,000万円を超えるため、納税義務が免除されません。令和7年分も、基準期間(令和5年分)の課税売上高の合計によって納税義務の有無を判断します。

参考:法10、基通1-5-4

相続人の申告義務

Q.イ国人事業者としてA市で喫茶店を経営している私が、令和5年5月にB市で薬局を経営していた被相続人から事業を引き継ぎました。相続の開始を知ったのは5月11日です。被相続人は令和3年分の課税売上げが1,000万円を超えていたため、令和5年分の消費税の確定申告及び納税が必要ですが、どこへ、またいつまでに申告と納税をすれば良いですか?

A.課税事業者である個人事業者が亡くなると、その相続人は相続開始を知った翌日から4ヶ月以内に、被相続人の消費税および地方消費税の確定申告をする必要があります。この申告は、相続人の納税地ではなく、被相続人の納税地の税務署に提出します。この場合、令和5年9月11日までにB税務署へ確定申告書を提出する必要があります。確定申告書には「付表6 死亡した事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書」を添付する必要があります。

参考:法45②③、59、地法72の88

個人事業者の確定申告期限

Q.個人事業者の場合、所得税の確定申告期限は翌年3月15日ですが、消費税及び地方消費税の場合はどうなりますか?

A.個人事業者は、課税期間が1月1日から12月31日までの場合、消費税及び地方消費税の確定申告の期限は原則として翌年2月末日です。しかし、特例として12月31日を含む課税期間に関しては、翌年3月31日が期限になります。なお、この特例は個人事業者のみ適用され、法人には適用されません。例えば、12月末日決算の法人の場合、申告期限は翌年2月末日となります。

参考:民法45①、措法86の4①、地法72の88

法人税の確定申告期限延長と消費税に関して

Q.当社は法人税確定申告の申告期限を1か月延長していますが、消費税及び地方消費税の申告期限の延長の特例はありますか。

A.はい、あります。法人税法では、監査などの理由で決算が確定しない企業は、法人税の申告期限の延長を申請できます(法人税法第75条の2)。同様に、この特例の適用を受けている企業が「消費税申告期限延長届出書」を提出した場合、その企業の消費税の確定申告期限も1か月延長することができます。

参考:法45の2、法法75の2

任意の中間申告制度を適用した事業者が中間申告書を期限までに提出しなかった場合の取扱い

Q.中間申告義務のない事業者が、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した後、その申告期限までに中間申告書を提出しなかった場合、どのように取り扱われますか?

A.「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した事業者が、6ヶ月の中間申告期限内に中間申告書を提出しなかった場合、中間申告対象期間の末日に、中間申告書の提出を取りやめたとする「取りやめ届出書」が提出されたものとみなされます。しかし、中間申告義務がある事業者が申告期限までに中間申告書を提出しなかった場合は、中間申告書が提出されたものとみなす規定がありますが、この「みなし規定」は任意の中間申告制度で提出された中間申告書には適用されません。

参考:法42⑪、44、基通15-1-1の2(注)、15-1-7

任意の中間申告制度における納付税額

Q.中間申告義務のない事業者が、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出した場合の中間納付額はどのようになりますか?

A.任意の中間申告制度を適用した場合、中間納付税額は、直前の課税期間が12ヶ月である場合、直前の課税期間の確定消費税額の半額となります。この場合、中間納付税額として消費税のみならず地方消費税の納付も必要になります。ただし、任意の中間申告制度を利用する場合でも、仮決算を行いその結果得られた消費税額および地方消費税額によって中間申告・納付を行うことが可能です。また、6ヶ月の中間申告対象期間の終了翌日から2ヶ月以内に中間申告書を納税地の所轄税務署へ提出した場合、該当する消費税額および地方消費税額を納付する必要があり、期限内に納付されない場合には延滞税が発生する場合があるため注意が必要です。

参考:法42③、基通15-1-2

任意の中間申告制度の概要

Q.任意の中間申告制度について教えてください。

A.確定消費税額(地方消費税を含まない)が48万円以下の事業者で、中間申告の義務がない場合でも、所轄の税務署長に「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出すれば、その届出書を提出した日の後で最初に来る6ヶ月間の期間を中間申告・納税の対象として自分で申告・納税を行うことができます。「6ヶ月中間申告対象期間」とは、課税期間の開始日から続く6ヶ月間で、年に1回この期間に中間申告を行います。例えば、事業年度が1年で3月末決算の法人が任意の中間申告をする場合、その6ヶ月中間申告対象期間の末日までに届出書を提出する必要があります。

参考:法42③