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交際費等の損金不算入制度の概略

Q.交際費等は税法上その全部又は一部が損金不算入となるとされていますが、その概略を説明してください。

A.交際費等の損金不算入額は、企業の資本金の額や事業年度の終了日などに基づいて決定されます。平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する事業年度に支出される交際費等に対する損金不算入額は以下の通りです。

– 資本金が1億円以下の法人は、交際費等のうち接待飲食費の50%相当額を超える部分、または定額控除(800万円を基本として算出)を超える部分、のいずれか少ない方の金額。

– 資本金が1億円を超える法人は、接待飲食費の50%相当額を超える部分の金額。

– 大法人(資本金5億円以上、など特定の条件を満たす法人)による完全支配を受ける1億円以下の普通法人に該当する場合や、資本金100億円を超える法人は、特別な規定が適用されます。

ここでいう「接待飲食費」とは、事業に関連する飲食または類似の行為のための費用で、これが帳簿に記載される際には、飲食の日付、参加した人々の氏名や関係、飲食店の名称や所在地など、特定の情報が記されている必要があります。

なお、この規定は、資本金や出資金の額、または事業年度末の総資産や総負債の帳簿価額などによって、その適用が変わる場合があります。外国法人に関しては、国内外の事業に関連する資産の価額を基に計算されます。

国外関連者に対する寄附金

Q.国外関連者に対する寄附金が全額損金不算入とされている理由は何ですか?

A.国外関連者とは、ある企業と特別な関係にある外国の団体を指します。この関係は、企業間で株式や出資の半数以上を保有すること、個人や特定の個人が企業の株式の半数以上を保有していること、あるいは他方の企業の事業方針を実質的に決定できるような状況です。国外関連者との取引が独立企業間の価格と比較して低価格または高価格で行われると、法人の収入が減少する可能性があります。これを防ぐための移転価格税制があり、独立企業間価格で取引が行われたものとして取り扱います。しかし、この制度は価格を通じた所得の移転にのみ適用され、金銭の贈与や債権の放棄による所得の移転には適用されません。そのため、国外関連者への寄附金を全額損金不算入として、この抜け道を塞ぐことになっています。ただし、国外関連者が国内に支店等を持ち、寄附金が国内源泉所得として課税される場合、支出した法人は寄附金を損金に算入できます。また、特定の条件下で海外子会社の再編、災害時の支援などは、国外関連者への寄附金の損金不算入規定の適用外とされています。

公益法人の「みなし寄附金」

Q.当宗教法人が収益事業部門から本部へ金銭の支出をし、その後同額を元入金として受け取ったり、本部が支出した金銭で収益事業部門が使用する固定資産を購入して収益事業部門へ引き渡したりする場合、また収益事業から得た所得を定期預金にした場合、これらは税法上「みなし寄附金」となるのか、またその利息が課税されるかどうか。

A.まず、収益事業部門から本部へ金銭を支出し、その後同額を元入金として本部から収益事業部門が受け取る場合や、本部がその金銭で収益事業部門が使用する固定資産を購入し収益事業部門へ引き渡す場合については、「みなし寄附金」とはみなされません。これは、支出金額に相当する金額の元入れがあるためです。収益事業から生じた所得を定期預金などにした場合、そのような運用は収益事業に付随する行為に該当し、通常必要とされる範囲を超えて収益事業以外の事業に属する資産として区分して管理した場合、その運用から生じる利息や配当は課税されません。公益法人が収益事業から得た所得を定期預金にし、その受取利息が収益事業以外の事業についての収益となる場合、この受取利息は課税されません。ただし、収益事業以外の事業に属する資産として区分経理した金額は「みなし寄附金」となり、元入金の返還とはなりません。公益法人は、収益事業から得られる所得と収益事業以外の事業から得られる所得の経理をしっかりと区分して行う必要があります。もし収益事業に属する資産として経理をしている場合、定期預金の利子は収益事業に付随する行為として課税されます。

寄附金の損金算入限度額 (公益法人等の場合)及びみなし寄附金

Q.公益法人等が支出する寄附金の額の損金算入限度額はどのように規定されていますか。公益法人等に認められているみなし寄附金とはどのようなものですか。

A.公益法人等の寄附金の損金算入限度額は、以下の通りです。公益社団法人や公益財団法人は、自らの所得の50%か、特定の計算式により定められた特別限度額のいずれか少ない方の金額が限度額とされています。特別限度額とは、収益事業に関わる資産から公益目的事業のために使われた金額を指し、確定申告書にはこの計算額と詳細が記載される必要があります。私立学校法人や社会福祉法人などは、所得の50%か200万円のいずれか大きい金額が限度です。その他の公益法人等は、所得の20%が限度額に設定されています。ただし、損金算入前の所得がマイナスの場合は0として計算し、非営利型の一般社団法人や一般財団法人はこの限度額の計算から除外されています。

みなし寄附金については、公益法人等が収益事業に属する資産から公益目的事業のために支出した金額で、収益事業に関わる寄附金とみなされます。しかし、事業間で実質的に資金移動がなかった場合は、みなし寄附金の適用外となります。また、虚偽の記録により経理することで生じる支出については、みなし寄附金とは認められません。この規定は特定の公益法人等に限られ、収益事業資産を別の目的で区分経理しても、みなし寄附金とはならず、返還される元入金等として扱われます。

政党主催のパーティーヘの参加費

Q.政党主催のパーティーや国会議員を励ます会に役員が出席した場合の参加費は、税法上交際費等、寄附金のいずれになりますか。それとも参加者個人が負担すべきものとして、出席した役員の給与になりますか。

A.政党主催のパーティー等への参加費について、その多くが高額であることが一般的です。この高額な参加費は、パーティーを通じて政党の資金集めが目的とされているためであり、そのため支払われた参加費のかなりの部分は政治献金と見なすことができます。具体的には、パーティーへの参加目的が政党との関係強化にあるので、税務処理としては参加費の内、パーティーの実費相当分を交際費として扱い、残りを寄附金とするのが適切です。ただし、政党主催のパーティーで法人から多くの参加費を半強制的に支払わせるケースがあるため、交際費にあたる部分の計算が困難であることから、全額を寄附金として扱うことも一般的です。

次に、法人が支払った参加費が役員の給与となるかについては、通常、政党からの要請は法人に対して行われ、法人が政党との関係を築く目的があるため、参加費を役員が個人的に負担する理由は多くありません。従って、役員の給与として扱うケースは少ないです。

手形で支払った寄附金の取扱い

Q.手形で支払った寄附金が、事業年度終了の日までに支払期日が到来せず決済されていなかった場合、未払寄附金として損金不算入になりますか。

A.寄附金に関しては、寄附金の支払いが実際に行われるまで、支出が行われたものとはみなされません。事業年度の終了日までに、手形で寄附金を支払うことが決定されても、その手形が実際に決済されるまでは、寄附金は支払われたものとは認められません。そのため、未払いの寄附金は申告書別表四で全額を加算しなければならず、この加算は手形を用いての支払いであっても同様です。翌事業年度以降に手形が決済されると、そのとき初めて寄附金が支払われたと認められ、申告書別表四で減算し、寄附金の額を調整します。このように寄附金を未払いとして扱うのは、寄附金の計上を操作して税金の調整を行うことを防ぐためです。

支出済みの寄附金を仮払処理した場合の取扱い

Q.当事業年度に政治献金として100万円支出し、そのうち50万円を寄附金に計上し、残りの50万円を仮払金に計上して翌事業年度に寄附金勘定に振替える場合、各事業年度で50万円ずつの寄附金を損金処理することになりますが、税法上の損金算入限度額との関係はどのように考えればよいですか?

A.法人がある事業年度に寄附金を支出して仮払金等として経理した場合でも、その寄附金は当該支出した事業年度におけるものとみなされ、税法上の寄附金の損金算入限度額との関連で考慮されます。これは、仮払経理による寄附金の繰延べが税法上認められていないため、損金算入限度額を超える分の調整を行うことなく、支出した事業年度で寄附金の額が完全に処理されるべきであるからです。質問のケースでは、当事業年度において仮払いした寄附金50万円については、その年の申告で損金算入限度額との関係において考慮され、翌事業年度で寄附金勘定に振り替えたとしても、その金額は前年度に損金処理されたため、再度損金として計上されません。したがって、翌事業年度では、この振替えによる影響を除いた寄附金額のみが寄附金の損金算入限度額と関連して考察されます。

市に対して公道用の土地を寄附した場合

Q. 当社工場の敷地の一角を市の公道拡張のために寄附しました。この土地の時価は300万円で、帳簿価額は10万円です。税務上、地方公共団体への寄附金として、全額損金算入できるかどうか教えてください。

A. 法人税法では、寄附金には資金的な支出だけでなく、物品や経済的利益の提供も含まれます。寄附物品の場合、その時点での価値が寄附金額とみなされます。従って、市へ300万円分の土地を寄附した場合、それが特定の個人や組織に限定されずに市の公道として使われるなら、全額が損金として認められます。ただし、寄附によって設置された施設を寄附者が専用利用することがあれば、その寄附金は損金とは認められず、帳簿上別途扱われます。また、法人が利用する土地のための私道を寄附した場合、その価額は土地の帳簿価額に振り替えられ、寄附したことによる損失は発生しないとされています。税務申告では、寄附金額を特定の欄に時価で記載し、帳簿価額で記載した場合、欠けた情報を提供しているとみなされる場合があります。しかし、物品を寄附し、その価値を帳簿価額で計算し申告した場合でも、それが価値より低い場合、特別な事情が認められれば、実際の価値に基づいた寄附とみなすことが可能です。

社長の出身高等学校に対する寄附金

Q.同族会社ですが、今般社長の出身高等学校の後援会から校舎増築のための寄附の要請を受けました。同高等学校は市立ですので、校舎は完成後市に帰属します。地方公共団体に対する寄附金として、全額損金の額に算入することができますか。

A.国や地方公共団体に対する寄附金は、原則として全額が損金として認められます。この場合、寄附が国や地方公共団体の施設の建設や拡張のためであり、その施設が完成後にすぐに国や地方公共団体の所有となることが明確な場合は、寄附金が損金に算入されます。ただし、この質問のケースでは、寄附金の受益者が社長の出身校であり、社長の個人的な負担が会社によって行われた疑いがあるため、問題が生じます。法人の役員が個人として負担すべきものを会社が負担した場合は、それが役員に対する給与と見なされます。そのため、このケースでは損金には算入できない可能性が高いです。しかし、この寄附金が社長にとって特定寄附金の支出に該当する場合、社長は所得税の確定申告において、寄附金控除や税額控除の特例を利用できるかもしれません。また、社長の出身校であっても、例えば会社がその学校の卒業生を毎年採用するなど密接な関係がある場合は、会社が寄附を行うことが適切と認められることもあります。

寄附金と福利厚生費、広告宣伝費等との区分

Q.次のような支出金は、税法上寄附金に該当しますか。①労働組合主催の従業員の運動会に、組合の要請によって支出した協賛金 ②台風被災地区の住民のために、会社の製品を配布した費用

A.税法では、法人が金銭や他の資産、経済的利益を無償で贈与あるいは供与する場合、その額や価値は原則として寄附金になります。ただし、広告宣伝費、見本品の費用、交際費、接待費、福利厚生費はこの寄附金の規定からは除外されます。

お問い合わせの第一の事例は、組合主催の従業員運動会への協賛金として、これは実質的に従業員の福利厚生のためのものとみなされ、寄附金には当たりません。ただし、協賛金が具体的に運動会の費用として使われることが確認され、他の目的には使用されていない場合に限ります。労働組合に対して支出が行われる場合、運動会を会社と労働組合で共催することで、不当労働行為の疑いを避けることが望ましいです。

第二の事例は、台風被災地区への製品配布で、これは緊急事態への対応としての人道的・社会的要求に基づいたものです。また、広告宣伝費に類似した性格を持ち、国や地方公共団体、日本赤十字社を通さなくても、不特定多数の被災者に対する緊急の支援として自社製品を提供した費用に関しては、寄附金には算入されません。この自社製品の提供に関連する費用は、交際費にも当たらないとされています。