「法人税」カテゴリーアーカイブ

棚卸資産等の原価に算入された交際費等の取り扱い

Q.交際費等の中に棚卸資産等の取得原価となるものがある場合、その交際費等の全額または一部が損金不算入となると、一時的な二重課税が生じます。この二重課税を避ける方法について、通達で示されている内容を説明してください。

A.ご質問の内容は、租税特別措置法関連の通達において、棚卸資産や固定資産の取得価額や繰延資産の金額に含まれ、その事業年度に費用計上されていない交際費等についての取り扱いが明記されています。この中で、そのような交際費等の一部が損金不算入とされた場合、当該金額に対してその事業年度の終了時の棚卸資産の取得価額等を減額調整することが許されています。この減額調整は、申告調整によるものか、決算調整によるものかのどちらの方法でも行うことができます。

税務上は、これらの減額調整を申告調整または決算調整どちらでもできるとされていますが、適正な会計処理とみなされるためには、申告調整による減算が推奨されます。特に、損金不算入となる費用が製造原価などに含まれる場合、正しい取扱いとして申告調整が求められます。ただし、税務上での申告減算調整は確定申告時にのみ認められており、修正申告や更正の請求を基にした申告減算調整は許されていません。

申告減算調整を行った場合、その次の事業年度には、減算した額を申告加算調整しなければなりません。これは棚卸資産の場合、通常の売上原価に算入されるため、1事業年度限りの加算で問題は生じませんが、固定資産の場合、再度二重課税の問題が起こる可能性があるため、固定資産の帳簿価額を決算上で減額調整する必要があります。

さらに、交際費等の損金不算入額は、「原価算入の交際費等」と「費用計上の交際費等」の割合に応じて計算され、その中から申告減算調整が可能な金額を計算できます。交際費等の損金不算入額が生じた場合には、必ずこの取扱いの適用が可能です。

自社の製品を贈答用に用いて販売価額で交際費に計上した場合

Q.会社の製品を贈答用に使用し、販売価額で交際費または売上高として処理しました。このままだと、この製品の売上利益相当額が交際費に加算されます。申告書別表十五の「交際費等の額から控除される費用の額日」において、売上利益相当額を控除するのは問題ないですか?

A.交際費とは、客先への贈答などで発生した費用のことを指します。質問のように自社の製品を贈答用として使用する場合は、その製品の原価額で交際費を計上するべきです。ですから、販売価額で交際費を計上すると、売上利益相当額は交際費に含まれないことになります。質問の状況では、その製品は贈答用として使用され、販売されたわけではないので、会計処理は次のようにすべきです:販売価額に基づく交際費/売上高の処理ではなく、原価に基づく交際費/製品(または売上原価)の処理を行うべきです。この場合、損益計算書においては、「諸費用等への振替高」を原価で計上します。もし販売価額で交際費を計上してしまった場合は、税務申告時にその内容を明確にし、質問のように申告書別表十五で売上利益相当額を控除しても問題ないと思われますが、次の事業年度からは上記の会計処理に変更するべきです。

自社の製品を贈答用に用いて販売価額で交際費に計上した場合

Q.会社の製品を贈答用に使用し、販売価額で交際費または売上高として処理しました。このままだと、この製品の売上利益相当額が交際費に加算されます。申告書別表十五の「交際費等の額から控除される費用の額日」において、売上利益相当額を控除するのは問題ないですか?

A.交際費とは、客先への贈答などで発生した費用のことを指します。質問のように自社の製品を贈答用として使用する場合は、その製品の原価額で交際費を計上するべきです。ですから、販売価額で交際費を計上すると、売上利益相当額は交際費に含まれないことになります。質問の状況では、その製品は贈答用として使用され、販売されたわけではないので、会計処理は次のようにすべきです:販売価額に基づく交際費/売上高の処理ではなく、原価に基づく交際費/製品(または売上原価)の処理を行うべきです。この場合、損益計算書においては、「諸費用等への振替高」を原価で計上します。もし販売価額で交際費を計上してしまった場合は、税務申告時にその内容を明確にし、質問のように申告書別表十五で売上利益相当額を控除しても問題ないと思われますが、次の事業年度からは上記の会計処理に変更するべきです。

ゴルフクラブ会員権の売却損は交際費等に該当するか

Q.資産に計上していたゴルフクラブの会員権を売却したところ、取得時よりも値下りしていて売却損を計上することになりました。この売却損の金額は、税法上交際費等に該当しますか。

A.法人がゴルフクラブの会員権を資産として計上する場合、それは法人として入会した場合や、個人会員として入会したがそれが業務遂行に必要だと認められる場合があります。このように計上された会員権の入会金は、時間の経過で価値が下がるものではないため、減価償却はできません。ゴルフクラブの年会費やその他直接的なプレー費用は、事業上必要と認められれば交際費に該当することがあります。しかしながら、ゴルフクラブ会員権の売却損は、取引先への接待目的で使われていたとしても、固定資産の売却損やそれに似たものと見なされ、これによって生じた損失は特定の取引先への接待行為によるものではないため、税法上、交際費には該当しません。そのため、ゴルフクラブ会員権の売却損は、売却が行われた事業年度の損金に算入されます。なお、特定の取引先に対し市価より安く会員権を譲渡した場合の差額は、その取引先への贈答と見なされ交際費に該当します。

接待ゴルフの日程を変更した場合のキャンセル料

Q.取引先を接待する目的で企画したゴルフコンペの日程を変更せざるを得なくなり、ゴルフクラブにキャンセル料を支払った場合、当該キャンセル料は交際費等に該当しますか。

A.取引先を接待する目的で行われるゴルフコンペの費用は、交際費等に含まれます。しかし、接待ゴルフの日程変更に伴いゴルフクラブに支払うキャンセル料は、接待活動に直接かかわる費用ではなく、日程変更によるゴルフクラブへの損失補償のための費用ですので、交際費等には含まれません。このルールは、取引先を旅行や観劇に招待して、何らかの事情でキャンセル料を支払った場合にも同様です。

接待用のみに使用する固定資産の購入費用

Q.得意先の接待用にのみ使用する目的でモーターボートを購入した場合、購入した時にその取得価額の全額が交際費になりますか。それとも、各事業年度の減価償却費が交際費になりますか。

A.得意先を接待する目的だけで使用するモーターボートの購入に関しては、モーターボートが接待用の減価償却資産であったとしても、その取得時に発生する費用を接待や贈答などの交際費として扱うことはできません。というのも、資産を購入しただけでは実際に接待行為が行われたわけではなく、購入費用が直接交際費にあたるわけではないからです。ただし、建物の取得時に行われる起工式の後のパーティー費用や、高層ビル、マンション等の建設に際して周辺住民の同意を得るための接待費用など、支出時に接待行為が伴う場合には交際費が固定資産の取得価額に含まれることがありますが、これらは資産購入とは異なるケースです。

モーターボートを実際に接待用途で使用している事業年度においては、租税特別措置法に基づく「支出」が存在せず、その年度に計上される減価償却費も「支出」された費用ではないため、これを交際費とすることはできません。同様に、モーターボートの処分時に生じる損失も同じ扱いになります。

結論として、モーターボートの購入時やその減価償却を計上する際にも、交際費として認識する必要はありません。ただし、モーターボートの維持管理にかかる費用は交際費にあたるので注意が必要です。

自社店舗の開店の景気づけのために花輪等を自ら購入する場合の費用

Q.自社の店舗の開店の景気づけのために、自ら購入した花輪や装飾品に有名芸能人の名前を入れて店頭に飾り、名前を借りた芸能人に若干の謝礼を贈呈する場合の費用は、交際費等、広告宣伝費のいずれに該当しますか。

A.ご質問の花輪や装飾品の購入費用について、これらは接待や供応のためではなく、自社の店舗を開店して盛り上げる目的で使用されるため、広告宣伝費又は消耗品費に分類されます。これは交際費等には含まれません。ただし、装飾品が少額の減価償却資産に当てはまらない場合には、資産として計上する必要がありますので注意が必要です。一方で、有名芸能人の名前を借りるために支払う謝礼は社交の範疇に含まれ、交際費等に該当します。装飾品が減価償却資産であっても、この謝礼はそれを取得するのに必要な費用とはみなされないため、取得価額に加算する必要はありません。

得意先の海外招待旅行に同伴した役員、従業員の海外渡航費

Q.得意先の海外招待旅行に専務と営業部長が同伴した場合、両人の渡航費用は観光目的の海外渡航のため、両人に対する給与になりますか。

A.一般的に、役員や従業員への海外渡航費の支給は、その渡航が会社の業務遂行に必要で、通常必要と認められる範囲内の費用であれば、経費として認められます。しかし、通常、観光を目的とした海外渡航は業務遂行に必要なものとは見なされません。しかしながら、得意先の海外招待旅行に同行する場合は、これが業務遂行上必要であるため、観光目的であっても、同伴者の渡航費は給与ではなく、交際費等に含まれます。要点として、業務で必要な海外渡航は商談や契約締結などに限られず、得意先招待旅行の同伴も含まれるということです。しかし、同伴者の旅費を異なるカテゴリーとして処理することはできず、これらはすべて交際費として扱われます。

得意先から割当てを受けて購入した観劇入場券等の費用

Q.得意先から割当てを受けて購入した観劇入場券等の費用は、税務上どのように取り扱われますか?

A.得意先から割当てを受けた観劇入場券や乗車券の購入費用は、税務上の取り扱いが異なります。まず、電鉄会社から割り当てられて購入した乗車券(①)については、支払われた金額は電鉄会社の収入となり、取引関係を円滑にするための支出とみなされますが、これが直接的に交際費に該当するかは、その乗車券がどのように使用されたかによります。もし他の取引先に無償で提供した場合は交際費になりますが、従業員に無償で提供した場合は福利厚生費や現物給与として扱われ、有償で提供した場合には初期支出から差し引かれます。期限切れで廃棄した場合は雑費として扱います。ただし、最初から無償配布を目的として購入した場合には購入費用が全額交際費となります。

一方で、観劇券の割り当てを受けて購入(②)した場合は、これ自体が得意先に対する供応に類似した行為であるため、使途に関わらず交際費等に該当します。そのため、有償で配布したとしても、それに伴う収入を購入費用から差し引くことはできません。

取引先に対する災害見舞金等

Q.取引先に対する被災前の取引関係の維持、回復を目的とした災害見舞金の支出、事業用資産の供与、または役務の提供のために要した費用が交際費等に該当しないとされていますが、これについて説明してください。

A.震災や風水害などの災害を受けた取引先に対して、被災前の取引関係の維持や回復を目的として支払われる災害見舞金や、事業用資産を供与すること、または役務を提供するためにかかる費用は、災害発生後相当な期間内に行われた場合、一般的な交際費とはみなされないと定められています。このルールは、取引先に対して救援活動などの形で支援を行う場合にも適用されます。具体的には、実質的な取引関係にある取引先への支援、災害発生から通常の営業活動の再開に至る復旧過程の期間内であること、提供される事業用資産の範囲、取引先での受理処理の仕方、そして取引先の個人に対する支援は交際費に該当するといったポイントに注意する必要があります。さらに、特定の状況下では、新型インフルエンザ等に伴う支援についても交際費等に該当しないとされており、新型コロナウイルス感染症がその例に含まれます。