「法人税」カテゴリーアーカイブ

暗号資産 (仮想通貨)に係る損益等

Q.暗号資産 (仮想通貨)について法人税ではどのように規定されていますか。その概要を説明してください。

A.暗号資産(仮想通貨)の法人税に関する取り扱いには、暗号資産の定義、暗号資産の譲渡損益、期末の評価、そして暗号資産信用取引のみなし決済損益などが含まれます。法人税法では、暗号資産を短期売買商品等に含め、特定の要件を満たすものとして定義しています。法人が暗号資産を譲渡した際の譲渡利益や損失は、特定の例外を除き、当該取引が行われた事業年度の収益や費用に計上されます。また、期末時点で保持している市場暗号資産は時価で評価し、評価益や評価損も同様に事業年度の収益や費用に計上されます。ただし、特定条件を満たす自己発行暗号資産については、期末時価評価の損益を計上しません。さらに、事業年度終了時点で決済されていない暗号資産信用取引については、みなし決済したものとして利益や損失を計上します。これらの処理は次の事業年度で調整されることになります。

逓増定期保険の保険料を法人が負担した場合の税務での取扱い

Q.逓増定期保険の保険料を法人が負担した場合の税務での取扱いを、具体例で説明してください。

A.逓増定期保険は、保険期間が経過するにつれて、最大で5倍まで保険金額が増加する保険です。この保険は、保険期間満了時の被保険者の年齢が45歳超である場合に該当します。逓増定期保険の保険料は、支払期間が進むにつれて、前払金として資産に計上する割合が増加します。具体的には、逓増定期保険を3つの区分に分け、A区分(45歳を超える被保険者)では保険料の一年分、B区分(70歳超の被保険者)では保険料の一定割合、C区分(80歳超の被保険者)では保険料の別の定められた割合が前払金として資産に計上されます。令和元年7月7日以前の契約では、このような処理が行われましたが、令和元年6月の法人税基本通達の改正により契約条件が異なる場合があります。例えば、保険期間が71歳で保険に加入した時の年齢と保険期間の2倍の数が合わせて107となる場合、B区分に該当します。この場合、前払期間21年間に毎年支払う保険料120千円のうち、80千円を前払金として資産に計上し、残りの40千円を損金に算入します。前払期間が終了した後の15年間は、毎年支払う保険料120千円と前払金の累計額の対応する金額を合わせた232千円を損金に算入します。

長期平準定期保険の保険料を法人が負担した場合の取り扱い

Q.長期平準定期保険の保険料を法人が負担した場合、保険期間の開始の時からその60%に相当する期間の支払保険料は、その相当額を前払金として資産に計上しなければならないそうですが、具体例で説明してください。

A.長期平準定期保険は、定期保険の一種で、保険期間の終わりごろに被保険者が70歳を超え、さらに保険加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍を足した数字が105を超える場合に該当します。この保険は、毎年の保険料が一定額で、初期に支払う保険料の中に、将来期間の保険料が内包されており、若い時期に比較的安い保険料を支払い、高齢になった際の高い保険料の一部を事前に支払う形になります。この場合、法人が契約者である長期平準定期保険の保険料を支払ったとき、保険期間の開始からその60%に相当する期間にわたり支払う保険料の相当額を前払金として資産に計上し、残りの金額を経費に算入します。その後、前払期間が終了した後は、各年に支払う保険料と、前払金の累計額のうちその年度分に相当する金額を経費として計上します。

たとえば、保険加入年齢が35歳で保険期間が36年、保険料年額が120,000円の定期保険に加入した場合、この保険は長期平準定期保険に該当します。保険料の前払期間は36年の60%である21年間で、この期間毎年支払う保険料120,000円のうち60,000円を前払金として資産に計上し、残りの60,000円を経費に算入します。結果として、前払期間経過時点での前払金の累計額は1,260,000円となります。前払期間が終了した後の15年間では、毎年支払う保険料120,000円と前払金1,260,000円の中からその年に相当する84,000円を合わせ、毎年の経費として204,000円を計上します。

傷害特約等に係る保険料を法人が負担した場合の取扱い

Q.養老保険、定期保険、または定期付養老保険に傷害特約等の特約が付されていて、解約返戻金等がない場合、その特約に関する保険料を法人が負担すると、税務上どのように扱われますか。

A.その特約の内容によって、法人税基本通達9-3-4、9-3-5、または9-3-5の2に基づいて処理します。一般的に、傷害特約等は掛け捨てとされており、その場合の処理は以下のとおりです。1. 保険金の受取人が法人であれば、支払った保険料は期間が経過するにつれて損金に算入されます。2. 保険金の受取人が被保険者本人であれば、支払った保険料も期間が経過するにつれて損金に算入されます。ただし、役員や特定の使用人(親族も含む)だけを被保険者とした場合、その保険料は役員や使用人に対する給与と見なされ、所得税の源泉徴収が必要になります。

定期付養老保険の保険料を法人が負担した場合の取扱い

Q.役員又は使用人を被保険者とする定期付養老保険の保険料を法人が負担した場合、税務上どのように取り扱われますか。

A.定期付養老保険は、養老保険に定期保険が付けられたもので、税務上の取り扱いは養老保険と定期保険の保険料で異なります。以下のように取り扱われます:

1. 保険料が養老保険と定期保険に分けられている場合、養老保険に対する保険料は法人税基本通達9-3-4に従い、定期保険に対する保険料は同9-3-5または9-3-5の2に従って処理されます。

2. 上記以外の場合には、保険料全額を養老保険の保険料として、同9-3-4の例に従い処理されます。なお、傷害特約などの特約が付いている場合の特約に関する保険料の取り扱いは異なり、別の基準に従い処理されます。

解約返戻金等が多額の定期保険や第三分野保険の保険料の取扱い

Q.定期保険や第三分野保険で、保険料は支払ったときに損金となり、解約時には多額の返戻金があるといった節税型の保険があるとのことですが、これに関する取扱いを説明してください。

A.定期保険や第三分野保険は、通常保険料が支払われた時点で損金になりますが、多額の解約返戻金を持つ節税を目的とした保険商品もあります。このような商品に対して過度の節税行為を抑制するため、2019年6月に法人税関連の規定が更新され、新たな取り扱いが2019年7月8日以降に締結された契約に適用されることになりました。具体的には、法人が自己を契約者とし役員や従業員などを被保険者とする保険期間3年以上の定期保険や第三分野保険で、最高解約返戻率が50%を超える保険に加入し、その保険料を支払った場合、保険料の一部を資産として計上し、その後期間に応じて費用化していきます。ただし、最高解約返戻率が70%以下で年換算の保険料相当額が300,000円以下の場合は、通常の保険料と同様に扱われます。この取り扱いは、解約返戻率が50%を超え70%以下、70%を超え85%以下、85%を超える場合と、特定の条件下で資産計上期間として扱う期間、保険料の取り扱い方法が異なります。

養老保険の保険料を法人が負担した場合の取り扱い

Q.役員又は使用人を被保険者とする養老保険の保険料を法人が負担した場合、税務上どのように取り扱われますか。

A.養老保険の保険料を法人が支払った場合、税務上は、保険金の受取人によって、保険料の取扱い方法が異なります。主に以下の三つのケースがあります。

1. 死亡保険金及び生存保険金の受取人が法人の場合:この場合、支払われた保険料は損金の額に算入されず、「生命保険料積立金」などとして資産計上されます。

2. 死亡保険金及び生存保険金の受取人が被保険者又はその遺族の場合:この場合、保険料は役員や使用人に対する給与と見なされ、所得税や復興特別所得税の源泉徴収が必要になります。ただし、保険料が月額300円以下の場合は、一部例外がありますが、役員や特定の使用人に限り、税金が課されます。

3. 死亡保険金の受取人が遺族で、生存保険金の受取人が法人の場合:この場合、保険料の一部を、「生命保険料積立金」などとして資産に計上し、残りの部分を従業員福利厚生費用として損金に算入します。しかし、役員や特定の使用人のみを被保険者としている場合には、その残額は給与として扱われます。

定期保険や第三分野保険の保険料を法人が負担した場合の取扱い

Q.役員又は使用人を被保険者とする定期保険や第三分野保険の保険料を法人が負担した場合、税務上どのように取り扱われますか。

A.定期保険は一定期間内における被保険者の死亡をカバーする保険で、第三分野保険には医療保険、がん保険、介護保険、傷害保険などが含まれます。法人がこれらの保険料を支払った場合、保険料は費用として計上されます。これは、保険金または給付金の受取人が法人の場合、貯蓄機能のない定期保険の保険料を金融費用的に取り扱い、期間の経過に応じて損金に算入されることを意味します。受取人が被保険者またはその遺族である場合は、原則として福利厚生費として期間の経過に応じて損金に算入されます。ただし、役員や特定の使用人だけが被保険者の場合、これは当該役員や使用人に対する給与とみなされます。役員給与となった場合、定期同額給与、業績連動給与などに該当しない場合は損金に算入されません。保険料が一時払いや相当期間前払いの場合は、支払都度損金に算入することが通常ですが、30万円以下の保険料については期間の経過に関わらずその事業年度の損金とすることができます。

労働保険料の処理方法

Q.労働保険の概算保険料を納付した時に納付額の全額を法定福利費として費用に計上し、使用人から使用人負担の雇用保険料を徴収した時に法定福利費のマイナス処理をしていますが、このような経理処理で税務上問題ありませんか。

A.労働保険の概算保険料には、事業主のみが支払う労災保険料と、事業主と従業員が共に支払う雇用保険料があります。保険年度毎に、全従業員の賃金の総額を基にした概算保険料を計算し、それを申告し6月1日から40日以内に納付する必要があります。概算保険料の中で事業主が負担した部分は、その事業年度に損金として計上することができます。また、従業員が負担する雇用保険料については、従業員から徴収した後に立替金として処理します。もし従業員から徴収した保険料が立替金を超えた場合、その超過分は預り金として扱います。事業年度が終了する前に確定保険料が計算され、不足分が発生した場合、その不足分は事業主の負担としてその年度の損金に計上できます。ただし、事業年度終了前に保険年度が終わっている場合は、未払金として計上することが可能です。従って、ご質問の会計処理方法は、中小企業で実務上採用されることが多い簡易的な方法です。この方法であっても、説明した処理と大きな差異がなければ、税務上の問題はないと考えられます。

社会保険料と企業年金掛金等の損金算入時期の違い

Q.社会保険料と企業年金掛金等の損金算入時期に違いがあるのはなぜですか?

A.社会保険料の法人負担額と企業年金掛金等の法人負担額で損金算入のタイミングが異なる理由は、この二つの負担が法的に異なる処理を受けることに基づいています。健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は、それぞれの保険料がかかる月の終わりに納付義務が確定するため、その月が属する事業年度に損金として計上できます。もし、事業年度末にこれらの社会保険料が未払いであれば、未払費用として計上し、損金に算入することが可能です。一方で、法人が定められた企業年金契約に基づいて支払う企業年金掛金は、実際に支払った日が属する事業年度にのみ損金として認められます。これは、企業年金掛金が納付基準によって損金算入され、社会保険料のように債務確定基準で処理されないためです。この違いは、社会保険料が未払いの場合に国から滞納処分を受ける可能性があるのに対して、企業年金掛金が未払いの場合は契約解除のみで済むという法的な処理の違いによるものです。また、企業会計上は、社会保険料も企業年金掛金も事業年度末に未払計上しますが、税務上は企業年金掛金について追加の調整が必要になります。企業年金の掛金に関しては、納付時に損金算入されるというのが基本原則ですが、厚生年金基金の掛金はこの限りではなく、未払いの状態でも事業年度末に損金として計上できます。