Q.外国為替相場が著しく変動した場合の長期の外貨建債権及び債務の期末換算方法について、以下の点について教えてください。① 円安が進行する状況で、長期の外貨建債権だけを有する場合でも、換算による差益の計上が必須ですか。② 外国為替相場が著しく変動し続けた場合、その事業年度に期末換算をしなかったとき、後の事業年度で期末換算を行うことは許されますか。③ 期末換算は各債権債務ごとに行うのですか、それとも外貨の種類ごとに行うのですか。④ 米ドル相場とユーロ相場が著しく円高に変動した場合、米ドル建て債権には差損計上の規定を適用し、ユーロ建て債務には適用しないことが可能ですか。
A.①について、外国為替相場が大きく変動した場合に、長期外貨建債権債務を事業年度終了時の相場で換算するかは選択可能です。これは、法律に「発生した外貨取引を事業年度終了時に行ったとみなし、特定の税法規定を適用可能」とあるためです。ですので、円安が進んでいても、期末に換算差益を計上する必要はありませんが、計上しても税務上の問題は生じません。
②について、外貨建資産等の期末換算は、その年に外国為替が大きく変動した場合に限定されているように見えますが、基本通達では、帳簿価格と為替換算額の間に15%以上の差があればいつでも換算が可能とされています。したがって、著しい変動が一年に限定されるわけではなく、長期にわたる変動があっても、15%以上の差が生じた年に換算を行うことができます。
③について、期末換算は基本的に各外貨建資産ごとに行いますが、計算が困難な場合は同じ外貨種類の合計額に基づき計算することが許されています。この方法を取ると、個別には15%未満の開差でも、合計として換算の対象になることがあります。
④について、米ドルとユーロの両方が著しく円高に動いた場合でも、法律は外貨の種類ごとに規定を適用するので、米ドル建て資産には規定を適用して換算差損を計上し、ユーロ建て債務には適用せず差益計上を見送ることが可能です。