「所得税」カテゴリーアーカイブ

収支内訳書の添付

Q.確定申告書に収支内訳書を添付しなければならない人はどのような人ですか。また、収支内訳書にはどのような事項を記載すればよいのですか。

A.確定申告書に収支内訳書を添付する必要があるのは、その年に不動産所得、事業所得、または山林所得を得ていた人です(ただし、青色申告者は除く)。提出する収支内訳書には、以下のような情報を所得の種類ごとに分けて記載する必要があります。1) 総収入金額:商品や製品の売上、サービス提供からの収入、農産物の売上と年末時点での農産物の見積価額の合計、賃貸料、山林の伐採や譲渡からの収益、家事消費分など、あらゆる収入の合計。2) 必要経費:商品や製品の売上原価、年始時点の農産物の棚卸評価額、従業員への給与、小作料、外注費、償却費、貸し倒れ損失、不動産の地代や家賃、利息支払い、その他すべての経費分類。さらに、還付を受けるための申告、確定損失の申告、年の途中での死亡や出国に伴う確定申告、非居住者の確定申告においても収支内訳書が求められます。また、雑所得で前々年の収入が1,000万円を超える人は、それに応じた収支内訳書を提出する必要があります。これらは所得税法に基づくルールです。

確定申告書の撤回

Q.私はA社に勤務するサラリーマンですが、貸家が1軒あり、その所得を計算したところ23万円となりましたので確定申告をしましたが、計算違いがあり不動産所得は18万円であることが分かりました。この場合、確定申告義務はないこととなりますので、私が提出した確定申告書をないものとすることはできませんか。

A.確定申告書に誤りがあったとしても、提出済みの申告書は有効です。提出した申告書によると、給与所得以外の所得が20万円を超えるため、確定申告書を提出しなかったことにはできません。そのため、確定申告の期限から5年以内であれば、更正の請求を行って不動産所得の計算誤りによる過大申告を修正し、納めすぎた税金の減額を求めることが可能です。しかし、給与所得以外の所得が20万円以下で確定申告不要な場合は、撤回したい旨の書類を提出することで申告書の撤回が可能で、既に納めた税金は過誤納金として返金されます。ただし、改めて確定申告を行うまでは、申告をしていないものとみなされます。

転居した場合の確定申告書の提出先

Q.昨年12月に住所を移転したが、所得税の予定納税額は旧住所の税務署に納付しております。この場合、確定申告書はどちらの税務署に提出すればよいでしょうか?

A.原則として、確定申告書の提出先は、提出時点でのお住まいの地域を担当する税務署になります。通常、所得税の納税地はお住まいの地域と同じと考えられるため、お住まいを移転すると、納税地も新しい住所地と同じになります。そのため、お住まいを甲市に移転した後は、甲税務署が新しい納税地になるので、甲税務署に確定申告書を提出する必要があります。もし、納税地に変更があった後で間違えて旧納税地の税務署に確定申告書を提出してしまった場合でも、その税務署は提出を受理し、提出された確定申告書を新納税地の税務署に転送し、納税者にその旨を通知する決まりになっています。

法定申告期限内に2通の確定申告書を提出した場合

Q.3月1日に提出した所得税の確定申告書の後、計算誤りを発見し、納付すべき所得税の額が過大であることに気づきました。その後、確定申告書の提出期限である3月15日に再度確定申告書を提出しました。この場合、どちらの申告書に基づいて所得税額を納付すれば良いですか?

A.法定申告期限内に2通以上の申告書が提出された場合、特に声明がない限り、最後に提出された申告書が正式な申告書として扱われます。このルールは、法定申告期限内であれば申告書の差し替えを可能とするためのものですが、先に提出された申告書に還付金が指定されており、既に還付が行われている場合は適用されません。したがって、あなたの場合は3月15日に提出された確定申告書に基づいて所得税額を納付すべきです。

国外転出時課税制度の適用がある場合の申告期限

Q.9月に国外転出することになりましたが、国外転出時課税制度の適用がある場合、いつまでに申告が必要でしょうか。

A.9月に国外転出する場合の申告期限は、納税管理人の届出をしたかどうかで変わります。

1. 納税管理人の届出をして国外転出した場合:

国外転出の年の確定申告期限までに、その年の所得全てと国外転出時課税制度による所得を含めた確定申告と納税を行う必要があります。

2. 納税管理人の届出をしないで国外転出した場合:

国外転出する前の1月1日から国外転出する日までの期間の所得と国外転出時課税制度による所得を含めた準確定申告と納税を、国外転出する9月までに行う必要があります。

国外転出時課税制度における対象資産の価額の判定時期

Q.国外転出時課税制度において、対象資産の価額の合計額が1億円以上となるかどうかは、どの時点の価額で判定するのでしょうか。

A.国外転出時課税制度では、対象資産の価額の合計が1億円以上かどうかを判断する際、以下の(1)または(2)の区分に従って、国外転出する人が持っている対象資産の価額で決定します。

(1)国外転出前に確定申告をする場合

この場合、国外転出予定日から3か月前の日の価額を基に判断します。ただし、その日以後に取得したり契約を結んだりした資産については、取得時や契約締結時の価額を用います。具体的には、有価証券などの価額、またはまだ決済していない信用取引やデリバティブ取引を決済したと見なし、計算される利益や損失の金額を合計した額です。

(2)国外転出後に確定申告をする場合

このケースでは、国外転出時点での有価証券などの価額加えて、まだ決済していない信用取引やデリバティブ取引を決済したと見なした際に算出される利益や損失の金額の合計額を基に判断します。

国外転出時課税制度の概要

Q.多額の有価証券を所有している居住者について、日本を出国する際に所得税の申告が必要になる場合があると聞きましたが、どのような制度ですか?

A.国外転出時課税制度は、日本から海外へ転出する際に、合計1億円以上の有価証券や未決済の信用取引など特定の資産を持っている人が対象になります。この制度は、国外転出の時点でこれらの資産を売却したり、決済したとみなし、その資産から得られる利益に対して所得税を課すものです。この税制は2015年7月1日以降に海外に移住する人に適用されます。国外転出時には、種々の資産に応じて所得税の申告と納税が必要となりますが、特定の条件を満たした場合は税金の免除や納税猶予の特例を受けることができます。対象となる資産は主に有価証券や匿名組合契約の出資、未決済の信用取引やデリバティブ取引などです。対象となる人は、国外転出時に対象資産の合計が1億円以上であること、さらに過去10年以内の国内居住期間が5年以上ある人です。ただし、特定の在留資格での滞在期間は国内居住期間に含まれない場合があります。

1月1日から2月15日までの間に出国する場合の確定申告

Q.私は給与所得、不動産所得や雑所得があり、毎年確定申告をしています。来年2月1日から2年間の予定でフランスの大学へ留学するため出国します。この場合、私の本年分の確定申告書はいつまでに提出すればよいですか。

A.通常、確定申告と所得税の支払いのための申告期間は、その年の翌年の2月16日から3月15日までです。しかし、1月1日から2月15日の間に出国する場合、出国する日までに確定申告書を提出する必要があります。もし申告が損失を伴う場合も、同様に出国する日までに損失申告書を提出できます。納税管理人を指定し、その事実を税務署長に報告していれば、通常の確定申告の期限までに提出しても大丈夫です。さらに、出国の年の1月1日から出国の日までの所得については、出国する日までに準確定申告を行う必要があります。

死亡した場合の確定申告

Q.父が亡くなりました。父の確定申告はどうすれば良いですか?

A.父が今年亡くなった場合、父が生きていた時の1月1日から亡くなった日までの所得について、称して「準確定申告」という確定申告を行なう必要があります。この申告は、父の死を知った日の翌日から4ヶ月以内に、父が亡くなった時の住所地を管轄する税務署に提出する必要があります。もし、相続人が複数いる場合は、法律に基づく相続の割合に応じて税金を分担します。すべての相続人は連名で申告書を提出することになりますが、個々に提出し相互に情報を共有することも可能です。また、限定承認をした場合は、相続によって得た財産の範囲内でのみ税金を支払う義務があります。申告書には相続人の情報や相続した財産などを記載し、必要に応じて「還付を受けるための申告書」や「確定損失申告書」も提出できます。父さんの確定申告は、死亡した翌日から4ヶ月以内に提出し、還付申告書はその際に、確定損失申告書は翌年の2月1日までに提出することができます。

退職所得の確定申告の要否

Q. 年の中途で退職した場合、年末調整を受けていない給与に関連する源泉所得税の還付を受ける目的で確定申告をする際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、源泉徴収されている退職所得も確定申告書に記載する必要がありますか。

A. 確定申告を行う場合、還付申告または損失申告である場合でも、その年に得た総所得金額に加えて退職所得と山林所得も確定申告書に記載しなければなりません。これは、すべての収入に関して報告することが基本原則です。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、退職所得に対して適切に所得税が源泉徴収されているとみなされ、退職所得に関する確定申告は不要となります。ただし、所得控除が他の所得で使い切れずに退職所得から控除する必要がある場合や、他の所得にかかる税金の控除を退職所得で行う必要がある場合は、退職所得を確定申告書に記載し、源泉徴収された所得税の還付を受けることが可能です。