「所得税」カテゴリーアーカイブ

店舗併用住宅を譲渡した場合の特別控除

Q.店舗併用住宅とその敷地を譲渡した際の居住用財産の3,000万円の特別控除の適用はどのようになりますか?

A.店舗併用住宅とその敷地を譲渡した場合、3,000万円の特別控除は、建物の住宅部分とそれに付随する敷地の部分に対してのみ適用されます。もし、一年の間に複数の特別控除を利用することがある場合、最大5,000万円までの特別控除が可能ですが、特定の順番で適用されます。この順番は次のとおりです:1) 収用交換等の5,000万円控除、2) 居住用財産の3,000万円控除、3) 特定土地区画整理事業等の2,000万円控除、4) 特定住宅地造成事業等の1,500万円控除、5) 平成21年及び平成22年に取得した土地等の1,000万円控除、6) 農地保有合理化等の800万円控除、7) 低未利用土地等の100万円控除です。従って、この質問の場合、最初に居住用財産の3,000万円の特別控除が適用されますが、この控除は居住用財産に関連する譲渡所得の金額か3,000万円のどちらか少ない金額とされます。そのため、住宅部分の譲渡所得金額2,000万円が控除され、結果として店舗部分の課税長期譲渡所得金額が2,000万円となります。

一時的に貸し付けた住宅と居宅用財産の特別控除

Q.今年の5月から生活環境の整った郊外に新しい住宅を取得し住んでいます。それまで住んでいた住宅については、適当な買手がないため、勤務先に一時的に貸し付けていますが、2年以内には売却したいと思っています。いったん貸し付けた後に売却した場合でも、居住用財産の3,000万円の特別控除の適用は可能ですか。

A.居住用財産の譲渡所得に対する3,000万円の特別控除は、自己の住宅やその敷地などの譲渡が特定の条件に当てはまる場合に適用されます。譲渡の対象となるのは、自分が住んでいた家やその敷地、または災害で失われた家の敷地等です。この特別控除は、家を居住用途ではなくなった日から3年以内に売った場合、または家を壊した後、その敷地を一定の条件下で売った場合に適用されます。特別控除を受けるには、家を売る契約を家を壊した日から1年以内に結び、さらに、その家が居住用途でなくなってから3年以内にその土地等を売る必要があります。ただし、この控除は、その年の前年または前々年に既にこの特別控除や特定の居住用財産の買い替え・交換の特例等を利用している場合は適用されません。以上から、もし今お住まいでない家を3年以内に売却する場合、一時的に他人に貸していたとしても、3,000万円の特別控除を受けられる可能性があります。

2棟の家屋を居住用に供していた場合の譲渡

Q.15年前に建築した家屋Aにずっと住んできましたが、家が手狭になったため、3年前に同一敷地内に家屋Bを新築して子供たちの勉強部屋及び寝室として使用してきました。今回家屋A及びBを同時に譲渡した場合、双方について「居住用財産の譲渡所得の特別控除」の適用が受けられるかどうか。

A.2棟以上の住居用家屋を所有している場合、主に居住用として使用されている家屋のみが特別控除の対象となります。ただし、物理的に2棟の建物を持っているか否かだけで判断されるわけではなく、2棟以上の建物が隣接しており、一体としての機能を持つ一構えの家屋と認められる場合は、一つの家屋として扱われます。あなたが提供している状況では、家屋Aと家屋Bは一体として機能しているとみなされるので、両方とも「居住用財産の譲渡所得の特別控除」の対象となり得ます。

収用交換等の特別控除の順序

Q.10年前に父から相続により取得した農地とこれに隣接する宅地及びその宅地上の居住用建物が、収用によって市に買収され、補償金を取得した個人が、収用等の場合の譲渡所得に係る5,000万円控除の適用を受ける場合、農地、宅地、居住用建物の各々の譲渡所得からどのような順序で控除されますか(譲渡所得の合計は、7,000万円になります。)。

A.収用等で得た5,000万円の特別控除を受ける場合、複数の資産が対象となる際には、特定の順序に従って計算上、5,000万円までの金額が控除されます。この順番は以下の通りです:

1. 分離課税の短期譲渡所得

2. 総合課税の短期譲渡所得

3. 総合課税の長期譲渡所得

4. 山林所得

5. 分離課税の長期譲渡所得

この中で、分離課税の長期譲渡所得には優良住宅地や居住用財産を譲渡した場合に適用される特例があり、その適用がある場合とない場合が混在する時は、まず適用がないものから控除し、その後特例を受ける譲渡所得から控除します。

ただし、税率に関する特例が異なるため、農地に対する譲渡益から先に控除し、その後の控除が5,000万円に達しない場合は、宅地と居住用建物の譲渡益から控除することが推奨されます。

家屋の所有者と敷地の所有者が異なる場合の居住用財産の特別控除

Q.家屋の所有者と敷地の所有者が異なり、家屋とその土地を一緒に売却した場合、居住用財産の特別控除はどのように適用されますか?

A.この状況では、居住用財産の特別控除は、家屋と敷地(土地や借地権)を両方所有し、そして一体として売却した場合に限って適用されます。しかし、家屋の譲渡益が3,000万円に達しない場合、特定の条件を満たす場合に限り、家屋の所有者以外の者(このケースでは土地の所有者)が所有する土地の譲渡所得から、特別控除の残額を引くことができます。この条件には、次の3つがあります:

1. 家屋とその敷地(土地等)が一緒に売られたこと。

2. 家屋の所有者と土地等の所有者が親族であり、同じ生計を立てていること。

3. 土地等の所有者が家屋に実際に住んでいること。

これらの条件が満たされるかの判断は、家屋の譲渡時の状況によって決定されます。家屋が居住用途でなくなった時点から3年を超える譲渡の場合、家屋が居住用途でなくなった時から譲渡時までの間(親族関係など)、家屋が居住用途でなくなった直前の状況(共に居住していたかなど)で判断されます。

具体的なケースでは、まず家屋の所有者Aの譲渡益500万円に対して3,000万円の特別控除を適用します。Aの譲渡益が3,000万円に満たないため、条件を全て満たすため、残りの特別控除額2,500万円を土地の所有者Bの譲渡益から引くことが可能です。

同一年中における2以上の居住用財産の譲渡

Q.本年に2度居住用財産を譲渡した場合、3,000万円の特別控除の計算はどのようになりますか?

A.居住用財産を譲渡した場合、3,000万円の特別控除を受けることができるのは、譲渡した財産が居住の用に供されていたもので、譲渡した日の属する年の前年または前々年には、3,000万円の特別控除やその他の特定居住用財産関連の特例の適用を受けていない場合に限ります。このルールは一度の譲渡に対してではなく、その年に譲渡された居住用財産全体に適用されるものです。そのため、同一年に2度居住用財産を譲渡した場合でも、それぞれの譲渡にこの特例が適用されます。特別控除の額は最大3,000万円までで、先に発生した短期の譲渡益から控除し、その後に残った控除額を以前に譲渡された居住用財産の長期譲渡益から控除します。

保証債務を履行するための資産の譲渡

Q.友人Aの債務保証をしていたところ、Aが事業に失敗し、借入金の返済が不能となったため、債権者から私に返済請求がありました。急なことでしたので、いったん銀行から借入れをして友人Aの債務を返済し、銀行へは、後日私所有の土地を譲渡して返済しました。この場合、保証債務を履行するための資産の譲渡に該当しますか。

A.はい、該当します。保証債務を履行するために資産を譲渡した場合、通常はその譲渡代金で債務を返済することで資産の譲渡が行われます。ただし、資産を譲渡してもすぐに購入者が見つからないなど、譲渡が保証債務の履行に先行するケースも少なくありません。税法では、債務を返済するための資産の譲渡が保証債務を履行した日から約1年以内に行われ、実質的に保証債務の履行のためであると認められる場合、保証債務を履行するための資産の譲渡として扱われます。従って、あなたのケースでは、友人Aに対する求償権が行使できない状況であれば、保証債務を履行するための資産の譲渡に該当し、譲渡所得の計算では譲渡がなかったものとみなされます。ただし、銀行からの借入金の利息は、資金調達のための費用として保証債務の履行の金額には含まれません。

贈与の際に支出した名義変更手数料

Q.7年前、ゴルフ会員権の贈与を受けた際に名義変更手数料100万円を支払いました。本年、このゴルフ会員権を売却したのですが、この名義変更手数料は取得費になりますか。

A.贈与、相続、または遺贈により譲渡所得のもとになる資産を受け取った場合、その資産を取得するために通常必要と認められる費用を支払っている場合、登録免許税や不動産取得税など一部の例外を除き、その費用を資産の取得費に加えることができます。そのため、贈与で受け取ったゴルフ会員権の名義変更手数料は、通常必要な費用とみなされるので、売却の際の譲渡所得を計算する上での取得費に算入することができます。

贈与の際に支出した名義変更手数料

Q.7年前に受けたゴルフ会員権の贈与の際、支払った名義変更手数料100万円は売却時の取得費になりますか?

A.はい、贈与、相続、または遺贈により資産を取得した場合、その資産を取得するために通常必要とされる費用がかかった場合、その費用は取得費に含めることができます。これには、登録免許税や不動産取得税など、特定の必要経費を除いた全ての費用が含まれます。したがって、ゴルフ会員権の贈与時に支払った名義変更手数料100万円も、その会員権の取得費として計算に含めることが許されます。

タクシー営業権の譲渡 による所得

Q.個人タクシー業者として廃業する際に、自動車と個人タクシーの権利を他人に譲渡する場合、この譲渡による所得は何所得になりますか?自動車は60万円、個人タクシーの権利は150万円で譲渡します。

A.このケースでの譲渡所得は、自動車と個人タクシーの営業に関する権利の譲渡によって得られる所得です。譲渡所得には棚卸し資産、棚卸しに準ずる資産(例えば貯蔵品や作業くずなど)、そして金銭債権を除くあらゆる資産が含まれます。行政機関からの許可や認可によって実質的に得られる権利もこの中に含まれます。個人タクシーの権利は、タクシー営業を行う許可によって実質的に得られた権利であり、これを譲渡することで得られる所得は譲渡所得に含まれます。自動車の譲渡によって得られる所得も同様に譲渡所得に該当しますが、この場合自動車の未償却残額は取得費として譲渡所得から差し引かれます。さらに、どちらの資産も保有期間が5年を超えていれば、総合課税の長期譲渡所得として扱われ、所得税率が半分になります。