「所得税」カテゴリーアーカイブ

生命保険契約の契約者名義の中途変更

Q.父の死亡により生命保険金800万円を受け取りました。この契約は、当初父が締結したもので、その後父に資力がなくなり、中途で私が契約者となって保険料の支払を引き継いだものです。この場合でもすべて一時所得になりますか?

A.生命保険金を受け取る際、受取人が保険料を支払っていた場合、その受取金額は一時所得として扱われます。一方で、別の人が保険料を支払っていた場合は、その人から受けた贈与や遺産相続とみなされ、贈与税や相続税がかかりますが、所得税は課税されません。あなたの場合は、生命保険の契約者が父からあなたに途中で変わっており、保険料も支払っています。しかし、当初の契約者であった父が支払った保険料分に関しては相続とみなされ、相続税の対象となります。具体的には、800万円中、父が負担した保険料に相当する部分(650万円)が相続税対象です。残りのあなたが負担した保険料分については一時所得として所得税の対象となり、その計算は150万円から、あなたが支払った保険料超過分(30万円を引いた120万円から父が支払った保険料130万円を引く)を引いた70万円が一時所得の金額となります。

生命保険契約の満期金から控除する保険料

Q.私は生命保険契約が満期を迎え、本年10月に1,000万円を受け取りました。この保険料の800万円は、私と勤務先で折半して負担したものです(私の負担額400万円、勤務先の負担額400万円)。勤務先が負担した保険料については、給与所得として課税されていませんが、課税関係はどのようになりますか。

A.受け取った満期保険金に関しては、一時所得として申告が必要です。一時所得の計算で考慮できる保険料は、あなた自身が負担した400万円だけで、勤務先が負担した部分は控除対象外です。これに基づく一時所得の計算は、以下のようになります。満期保険金1,000万円からあなたの負担分400万円を引いた金額から、さらに特別控除額50万円を引いて、最終的な一時所得の金額は550万円になります。この550万円が、課税される総所得金額の計算において考慮される金額の半分として扱われます。

契約者貸付金がある場合の受取保険金の課税

Q.契約者貸付金がある場合の受取保険金の課税関係はどうなりますか。

A.生命保険契約において、保険料を支払った人が夫で、保険金を受け取るのが妻の場合、満期保険金を妻が受け取るとき、これは夫から妻への贈与と見なされます。もし契約者貸付金がある状況ならば、満期保険金から契約者貸付金を差し引いたものが贈与と見なされます。結果として、奥さんが実際に受け取った350万円に対して贈与税がかかります。また、契約者であるご自身は、貸付金の額200万円が一時所得として課税対象になります。この200万円に対応する保険料の額は、一時所得から控除することができます。

外国保険事業者から受け取った死亡保険金

Q.ドイツ駐在の社員がドイツの保険事業者と生命保険契約を締結し、保険料を負担していましたが、この社員が病気で亡くなり、日本にいる妻が保険金を受け取りました。この保険金は、相続財産とされて所得税は非課税になるのでしょうか?

A.被相続人が亡くなることを条件に相続人やその他の受取人が生命保険金を受け取る場合、その保険料が被相続人によって支払われていた状況では、実質的にはこれを相続財産と同等と見なし、結果として相続税の対象となります。この点に関して、相続税法では、日本の保険業法に則った生命保険会社、外国保険業者、または少額短期保険業者と締結された生命保険契約であれば、その保険金は相続税法上、みなし相続財産とされ、相続税の課税対象になります。だから、そのような場合、所得税が課税されることはありません。

生存給付金付保険に係る一時金

Q.私は、甲生命保険会社の生存給付金付保険に加入しています。この保険は、満期日前に一時金(生存給付金)が受け取れることとされていますが、この一時金に係る課税関係はどうなりますか?なお、この生存給付金付保険は、保険契約期間中に一時金の支払が数回にわたって行われるものですが、年金形式で支払われるものではありません。

A.生存給付金付保険から受け取る一時金については、一時所得として扱われます。具体的には、保険契約期間中に複数回、一時金を受け取るケースでも、年金のように定期的に支払われるものではないため、一時所得に該当します。この一時所得に対する税金を計算する際、既に支払った保険料の総額(ただし、受け取る一時金の額が上限)を差し引くことができます。満期保険金を受け取った際の計算も同様で、受け取った金額から支払った保険料の合計額を差し引いた後の金額が一時所得として課税されます。

生命保険契約の満期返戻金

Q.生命保険契約が満期になり、翌年1月に満期返戻金を受領する場合、この満期返戻金をいつの年分の何所得として申告すべきですか?

A.長期にわたって保険料を支払った生命保険契約が満期を迎え、その結果として受け取る満期返戻金は、利子所得や配当所得には分類されず、一時所得として扱われます。この一時所得は、実際にお金を受け取った日ではなく、満期返戻金を受け取る権利が生じた日を基準に申告する必要があります。質問のケースでは、実際に受領が翌年であっても、受領権利が生じた日が当年中であるため、当年分の一時所得として申告する必要があります。満期返戻金から保険料や既に受け取った剰余金の分配等を差し引いて計算した金額から、さらに特別控除を引いたものが一時所得の金額となります。また、この一時所得を他の所得と合算する際には、その金額の半額を他の所得に加えて総所得金額を計算します。

店舗に係る損害保険契約の満期返戻金

Q.衣料品小売業を営んでいます。店舗に掛けていた損害保険契約が満期となり、満期返戻金を受け取りました。この満期返戻金は、事業所得の金額の計算上総収入金額に算入するのでしょうか。なお、毎月の掛金は、積立部分を除いて事業所得の計算上必要経費に算入しています。

A.受け取った損害保険契約の満期返戻金は、事業用資産に該当しても一時所得として扱われます。したがって、あなたが店舗に掛けていた損害保険契約の満期返戻金は、事業所得の総収入金額ではなく、一時所得の総収入金額に算入されます。また、一時所得の計算に際しては、既に事業所得の計算で必要経費として算入されていた掛金は除外されます。ただし、積立てた保険料の部分だけは、その収入を得るために支出した金額として、一時所得から差し引くことができます。

不動産売買契約の解除に伴う違約金の所得

Q.小売業を営むかたわらアパートの経営をするつもりで、敷地として予定した土地を購入する売買契約を結んでいましたが、売主の都合でその契約が破棄され、先に支払っていた手付金の返還を受けるとともに同額の違約金を受け取りました。これは何所得として課税されますか。

A.手付金は通常、売買契約をより確固たるものにするために、買主から売主に支払われます。もし契約が完了すればこの手付金は購入代金の一部として扱われ、売主に所得として認められないことが一般的です。しかし、契約が解除された場合、買主は手付金を放棄することで契約を解除することができ(手付金放棄)、売主は受け取った手付金と同額を追加で返金することにより(手付金倍返し)、契約を一方的に解除することが認められています。もし契約の履行が開始された後に解除される場合は、手付金に加え、経済的損失の賠償も要求でき、これが違約金として受け取ります。この違約金が契約で定められた金額である場合、これは損害賠償の前提とみなされます。お尋ねの状況では、違約金の具体的な扱いが明確でないものの、もしこれが事業外の活動に関連し受け取られたものであれば、一時所得として課税されます。この場合、小売業とは無関係に受け取られた違約金は、一時所得として取り扱われます。

立退料の収入金額の計上時期

Q.私は、家主から立退きを要求され、立ち退くことを承諾しました。家主との間で立退料について契約を結びました。この立退料はいつの年分の所得として計上すれば良いですか?

A.立退料については、一般的に支払を受けた日を所得の計上日とします。しかし、契約によって立退料の総額と支払日が定められている場合、契約締結日に立退料の支払いを受ける権利が発生します。そのため、あなたが受け取る立退料の200万円(令和5年6月30日に100万円、令和6年1月31日に100万円)は、契約日が属する令和5年度の一時所得として計上します。

店舗併用住宅を譲渡した場合の特別控除

Q.店舗併用住宅とその敷地の譲渡による所得金額は次の通りです。この場合、居住用財産の3,000万円の特別控除はどのように適用されますか?分離課税の長期譲渡所得金額4,000万円、うち住宅部分に対応する金額2,000万円、うち店舗部分に対応する金額2,000万円。

A.店舗併用住宅とその敷地を譲渡した際、特別控除は建物の住宅部分とその敷地の住宅部分に対してのみ適用されます。特別控除は、年間で複数の特別控除を適用できる場合には、合計で5,000万円を限度に、定められた順番で適用されます。具体的には、収用交換の5,000万円控除、居住用財産の3,000万円控除、特定土地区画整理事業等の2,000万円控除、特定住宅地造成事業等の1,500万円控除、平成21年及び平成22年に取得した土地等の1,000万円控除、農地保有合理化等の800万円控除、低未利用土地等の100万円控除の順に適用されます。ご質問のケースでは、まず居住用財産の3,000万円の特別控除を適用し、控除額は居住用財産に関連する譲渡所得の金額か3,000万円のどちらか少ない金額になります。その結果、住宅部分の譲渡所得2,000万円を特別控除として適用し、店舗部分の課税対象となる長期譲渡所得金額は2,000万円となります。