「所得税」カテゴリーアーカイブ

事業主の出張の際の 日当

Q.事業主が業務のため出張した場合、従業員の出張に際して支給している程度の日当を事業主についても経費として計上したいと考えております。この日当は、従業員が受けた場合は旅費の範囲として正当なものと認められて非課税とされていますが、事業主に対する日当も必要経費になるのではありませんか。

A.まず、従業員や法人の役員などの出張費用について、税金の扱い(課税されるか非課税か)は事業主が一つ一つの出張内容をチェックして判断するのは困難なため、次の条件を満たしているかで判断します。一つ目の条件は、支給額が全従業員に対して適切な基準に沿って計算されたものであるか、二つ目の条件は、支給額が業界や規模が同じ他の事業者が支給している額と比べて適正かどうかです。従業員に支給する日当が非課税とされても、給与として扱い、経費に計上します。しかし、事業主が自身に日当を支給し、それを必要経費にすることは認められていません。事業主自身が受け取った日当は、具体的に事業上必要な費用として使われた場合に限り、必要経費として扱えます。例えば、出張先で家族への土産を買った場合は、事業主の個人的な使い道なので経費にできません。一方、取引先への接待で使用した場合は、接待交際費として経費に算入できます。したがって、事業主が出張で支払った費用は、事業上実際に使われた分だけを必要経費として算入できることになります。

事業廃止年分の事業税

Q.私の経営する食料品店は本年5月1日から法人成りし、個人営業を廃業しましたが、廃業年分の事業税は翌年に課税されるため金額は確定しておりません。必要経費として見込控除できる特例はないものでしょうか。4月までの事業所得は200万円となっています。

A.事業を廃止した年分の事業税については、必要経費として見込控除が可能です。この見込控除は、国税や地方税がその年の12月31日までに具体的に確定して納付されるべき場合に認められます。また、納期が分割された税額は、各納期開始日または実際に支払った日の属する年分の必要経費として計上できます。廃業年分の事業税の場合、課税見込税額を所得計算上の必要経費として算入でき、計算方法は特定の式に基づきます。その結果、200万円の事業所得に対して、見込控除できる事業税の額は計算されます。もし、この課税見込額を先に控除しなかった場合、事業税が確定した際に廃業年分の事業所得から控除できます。そして、事業税が確定した日の翌日から2か月以内に所得税法に基づき更正の請求を行う必要があります。

追加決定された事業税

Q.所得税に関して税務調査を受けた個人が、事業所得について過去3年分の所得金額の更正処分を受けました。その個人の事業は事業税の課税事業に該当しますので、事業税についても更正処分がありましたが、この事業税の追徴税額については、いつの年分の必要経費に算入されますか。

A.個人の事業税に関しては、都道府県から追加決定処分があった年の必要経費に算入します。一方、法人の場合、直前の事業年度分の事業税については、その事業年度の終了日までに全部または一部が申告、更正または決定されていない場合でも、その事業年度の損金に計上できます。ただし、所得税においては、地方公共団体が所得税の課税標準の変更に伴って事業税を追加で決定するまで、これを必要経費として認識することは原則として行われません。しかし、事業税の追加決定があった場合には、その決定があった年の必要経費に計上することになります。

相続税の必要経費算入の可否

Q.父が営んでいた不動産貸付業から相続した賃貸マンションの相続税は、そのマンションに係る不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入できますか?

A.原則として必要経費には、収入を得るために直接要した費用や、販売費や一般管理費など、その業務に関連して発生した費用が含まれます。不動産に係わる費用であれば、固定資産税などの租税公課も必要経費に算入可能です。しかし、相続税は相続によって受け継がれた財産に対して課税されるものであり、不動産所得とは別の性質を持つため、必要経費には算入できません。したがって、あなたの賃貸マンションに関連する相続税を不動産所得の計算で必要経費として扱うことはできません。

相続により取得した不動産に係る固定資産税

Q.父が所有していたマンションと駐車場を相続しました。市役所から固定資産税の通知書が届き、支払いを行いましたが、この固定資産税は父の不動産所得の計算上の必要経費になるのでしょうか、それとも私の不動産所得の計算上の必要経費になるのでしょうか。

A.固定資産税や登録免許税など、不動産の所得に関連する税金は、その不動産からの所得計算時に必要な経費として計上できます。ただし、どの年の所得計算にこれらの税金を経費として計上できるかは、その年の12月31日までに納付しなければならない税金で、具体的に確定しているものに限られます。固定資産税について言えば、1月1日時点での所有者に対して課される地方税ですが、納税が確定するのは固定資産税の納税通知書が届いたときです。従って、質問のケースでは、相続開始時にはまだ固定資産税の納税通知がなされていなかったため、支払った固定資産税はお父様の不動産所得の計算上ではなく、あなたの不動産所得の計算上必要な経費として扱うことになります。必要経費として計上できる金額は、原則として納税通知書に記載されている固定資産税の金額となりますが、納期ごとの税額をそれぞれの納期の開始日または実際に納付した日の所属する年度の経費として計上することも可能です。

業務用資産を相続により取得した場合の登録免許税

Q.不動産賃貸業を営む父が死亡したため、事業を引き継ぐことになりました。賃貸用建物の相続に際して支払った登録免許税は、不動産所得の計算上必要経費に算入してもよいでしょうか。

A.登録免許税には、異なる取り扱いがあります。特許権や鉱業権のように登録で権利が発生する資産に関連する登録免許税は資産の取得費に算入します。船舶や航空機、自動車など業務で使う資産の登録免許税は、取得価額に入れなくても良いことになっています。そして、これら以外の資産に関する登録免許税も取得価額に算入しません。取得価額に算入しない登録免許税は、所得計算上の必要経費として算入できます。相続や贈与で取得した業務用資産、例えば賃貸用建物に支払う登録免許税は、このルールに従って必要経費として扱うことができるので、あなたが相続で支払った登録免許税も不動産所得の計算で必要経費に算入することができます。

不動産取得税、登録免許税

Q.洋品雑貨商を営んでいます。今度繁華街に支店を出すことになり、店舗を購入しましたが、不動産取得税と登録免許税がかかってきました。これは建物の取得価額に含めるのですか。また、自動車を購入したときの自動車重量税はどうなりますか。

A.業務に使用する資産で発生する固定資産税、登録免許税(登録費用を含む、ただし取得価格に含めるものは除く)、不動産取得税などは、事業に関する各種の所得を計算する上で必要な経費に算入します。また、減価償却資産に関する登録免許税(登録費用を含む)については、次のように取り扱います。(1)特許権、鉱業権など登録で権利が発生する資産は取得価額に算入します。(2)船舶、航空機、自動車など業務に使用するために登録が必要な資産は、取得価額に算入しなくても良いです。(3)(1)と(2)以外の資産は、取得価額に算入しないことになっています。従って、質問の店舗に関する不動産取得税と登録免許税は、必要経費に算入できます。自動車の取得(登録)でかかる自動車重量税も、必要経費に算入可能です。しかし、店舗としても使用し、住宅部分がある場合は、これらの費用の住宅部分に該当する額は経費に算入できず、合理的な基準に基づいて分割した額を算入することになります。

酒税の必要経費算入の時期

Q.酒類製造者ですが、12月分の酒税については、売上げに計上され、その税額の申告は翌月末日になりますので金額は確定しておりませんが、見込額で必要経費に算入してもよろしいでしょうか。

A.経費として認められるものは、収入を得るために直接要した費用や、販売費、管理費などその年に発生した業務に関連する費用です。税金や公共料金も、これらの条件に当てはまる場合は必要経費として扱われます。経費と認められるためには、債務が確定した金額でなければならず、以下の三条件を全て満たしている必要があります。1) その年の12月31日までに債務が成立している。2) その年の12月31日までに具体的な給付すべき原因となる事実が発生している。3) その年の12月31日までにその金額を合理的に算定できる。酒税については、収入金額に税額を含め、総収入金額の計算と共に、必要経費に算入することが可能です。その年の12月31日までに申告期限が来ていない税額であっても、その年の確定申告期限までに申告があった税額に相当する部分は必要経費として計上できます。従って、12月分の酒税に関しては、売り上げに計上され、翌年1月末日にその納付が確定するため、未払いの税額を一旦「未払金」に計上後、必要経費として計上できます。

砂利採取に伴う所得の計算

Q.砂利採取業者が、採取目的で取得した土地は、その取得価額のうち、砂利に係る部分について、生産高比例法に準じた方法で減価償却が認められることになっていますが、その砂利に係る部分の取得価額の計算はどのように計算すればよいのですか。

A.砂利を採取するために購入した土地の減価償却が可能かどうかは、砂利を取った後の土地の価値がどれだけ下がるかによって決まります。もし、砂利を取ることで道路の状況が改善され、土地の価値が上がるような場合は、減価償却は認められません。実際には、砂利採取計画を地方公共団体に報告し、採取後の土地の現在価値を見積もります。もしこの価値が購入価格より大きく下がっていると判断された場合、その減価分を減価償却の対象とし、生産高比例法に基づき毎年の経費に加えます。この償却費は、砂利の棚卸資産の原価として扱われます。

棚卸資産の評価損

Q.台風による雨漏りで商品が損傷したため、棚卸資産の評価損を計上できないか。

A.棚卸資産を評価損として計上することは、通常、物価の変動や過剰生産、建値の変更などの理由では認められません。これらは単なる損失の見積もりに過ぎないからです。しかし、特定の条件下では評価損の計上が認められます。これには、(1) 災害により棚卸資産が著しく損傷した場合、(2) 棚卸資産が明らかに陳腐化した場合、(3) 特別の事情がある場合が含まれます。台風による損傷は、この例外の(1)に該当するため、その年の末日の時価で評価することができます。     

陳腐化については、商品が物理的な欠陥がなくとも、経済的な変化によってその価値が大きく低下し、回復が見込めない状態を指します。例えば、季節商品が売れ残ったり、新製品により既存商品が陳腐化することが例として挙げられます。また、「準ずる特別の事実」としては、商品が長期間売れずに棚にある状態、破損、型崩れ、品質変化などが含まれます。