Q.社会保険診療報酬が過大であるとされ、返還した場合、この返還分はどのように処理されるか。
A.社会保険診療報酬の過大請求分を返還した場合、返還した金額はその損失が発生した年度の事業所得計算において必要経費として計上することができます。返還が発生したのは今年であれば、今年度の必要経費に算入します。ただし、もしこの過大請求が昨年度の所得計算に影響を与えていた場合は、昨年度の申告の修正が必要になります。
Q.社会保険診療報酬が過大であるとされ、返還した場合、この返還分はどのように処理されるか。
A.社会保険診療報酬の過大請求分を返還した場合、返還した金額はその損失が発生した年度の事業所得計算において必要経費として計上することができます。返還が発生したのは今年であれば、今年度の必要経費に算入します。ただし、もしこの過大請求が昨年度の所得計算に影響を与えていた場合は、昨年度の申告の修正が必要になります。
Q.本年4月から開店した薬局で、保険薬局として保険の取扱いを行っています。この保険扱い分について社会保険診療報酬支払基金に請求し、支払を受けています。社会保険診療報酬の所得計算の特例の適用は可能でしょうか。
A.社会保険診療報酬の所得計算の特例は、医者や歯科医者が健康保険法に基づく治療で支払いを受けた場合に適用されるものです。この特例は医者や歯科医者の業務に限定されており、薬局の運営など他の医療関連業務には適用されません。そのため、保険薬局としての活動で社会保険診療報酬支払基金からの支払いを受けても、この特例を利用することはできません。同様に、助産師やマッサージ師、鍼師、整体師などの業務も、医者や歯科医者の業務には含まれず、これらの業務を行い社会保険診療報酬支払基金から支払いを受けた場合もこの特例の適用はありません。
Q.私は内科医ですが、老人医療公費負担制度の対象となる老人を診療した場合は、患者の自己負担分相当額についても社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会を通じて、地方公共団体から支払を受けることになっています。また、この診療報酬とは別に老人医療対象患者の診療件数に応じ、老人医療協力事業費補助金が地方公共団体から交付されることとなっています。ところで、この地方公共団体から支払を受ける自己負担相当額及び老人医療協力事業費補助金について、社会保険診療報酬の所得計算の特例を適用して差し支えありませんか。
A.老人医療公費負担制度とは、条件に該当する老人が保険を使って医療を受けた際に、その自己負担分を地方公共団体が支払う制度です。この制度では、患者の自己負担分を地方公共団体が直接医療機関に支払い、医療機関はその金額を患者の窓口負担分に充てることが普通です。そのため、地方公共団体から社会保険診療報酬支払基金を通じて受ける自己負担分相当額は、社会保険診療の患者負担分そのものと見なされます。しかし、老人医療協力事業費補助金は、老人医療の請求事務などへの医療機関の協力に対する補助金であるため、社会保険診療報酬には該当しないので、所得計算の特例を適用することはできません。この補助金は雑収入として処理されます。
Q.内科医として診療所を営む私は、今年の確定申告で租税特別措置法第26条の適用を受けずに事業所得の金額を計算し提出しました。しかし、後から計算し直したところ、租税特別措置法の適用を受けた方が有利だとわかりました。この場合、修正申告や更正の請求によって、租税特別措置法の適用を受けることは可能でしょうか。
A.社会保険診療報酬から得られる事業所得に関して、年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下、且つ、医業または歯科医業からの総収入金額が7,000万円以下の場合、租税特別措置法第26条の特例を適用できます。ただし、確定申告時にこの特例の適用を選択しなかった場合、後から「より有利だから」という理由で特例を適用するための修正申告や更正の請求は認められません。この特例の適用は、原則として、確定申告時に選択する必要があり、後からの変更はできないという規定に基づきます。したがって、お問い合わせのケースにおいては、残念ながら修正申告や更正の請求を通じて租税特別措置法第26条の適用を受けることはできません。
Q.内科医である私とAは診療所を共同で経営していますが、その出資は各々50%ずつで、診療業務には均等に従事し、診療所の収益又は損失の額は出資割合に応じて分配することとしています。この場合、租税特別措置法第26条の規定を適用して所得計算を行うに当たって、その計算の基礎となる収入金額は、その共同経営に係る診療所の社会保険診療報酬の総額によって計算すべきですか、それとも収入金額を分配したところにより計算すべきですか。
A.あなたとAさんが共同で経営する診療所は、それぞれ50%の出資をもとに設立されたもので、これは法律における任意組合に基づく経営形態です。任意組合では、組合員の所得の計算は、その収入と支出、資産、負債などを組合の契約または法律に定められた損益の分配比率に基づいて計算します。この計算方法に従う場合、社会保険診療による報酬は、あなたとAさんの分配比率に応じて各自に分配されます。そのため、租税特別措置法第26条の適用は、あなたとAさんのそれぞれの収入を計算の基礎として使用することが適切です。
Q.私は内科医ですが、本年分の社会保険診療報酬が5,000万円を超えています。この場合、社会保険診療報酬についての特例は5,000万円までの報酬の部分については適用できるのでしょうか。
A.社会保険診療報酬の所得計算の特例制度について、この制度は社会保険診療報酬の年間合計が5,000万円以下でなければ適用できません。また、医業または歯科医業から得る年間の総収入金額が7,000万円以下である必要があります。つまり、社会保険診療報酬が一部でも5,000万円を超える場合、特例の適用は受けられないことになります。しかし、社会保険診療報酬が5,000万円以下でかつ医業又は歯科医業からの年間総収入金額が7,000万円以下である年には、特例の適用を受けることができます。
Q.私が加入している同業者組合では、その組合員が災害に遭った場合、災害見舞金に充てるために組合員からそれぞれ分担金を集めることとしています。この場合の分担金は、必要経費となりますか。
A.通常、同業者への見舞金の拠出は、事業と直接関係が薄いため、必要経費とはみなされません。しかし、組合などが明確な規約を設けており、その規約に則って組合員が災害による事業での損失を支援するために分担金を支出する場合、これは必要経費として認められます。質問の状況にあてはまるかは規約の存在や支援の目的、分担金の算定基準など具体的な条件に依存しますが、これらの条件を満たすならば必要経費になり得ます。相互支援を目的とする規約には、(1)災害見舞金が組合員の事業用資産の損失に基づくこと、(2)見舞金が組合員にのみ交付されること、(3)分担金が規約に基づき合理的な基準で算出されること、が必要です。また、災害後に新たに設けられた規約もこれに含まれます。
Q.集中豪雨によって貸家が床上浸水し、借家人の家財に相当の被害が生じた場合、家主が借家人に支払った見舞金を不動産所得の計算上、必要経費に算入できるか。また、この見舞金は貸家の建築上のミスなど家主の責に帰すべき事由に基づいて支払われた損害賠償的なものではない。
A.一般的に、業務上支払う損害賠償金などで故意や重大な過失により他人の権利を侵害した場合、その支出は必要経費には算入されません。しかし、あなたが述べた見舞金のケースでは、それが集中豪雨という不可抗力による災害によって支払われたものであり、不法建築などの損害賠償請求の原因があって支払われたものではないため、この規定は適用されません。その結果、不動産所得の計算上、この見舞金は必要経費として算入されます。
Q.10年前に営んでいたカバン製造業で特許権を侵害され、収益が激減したため特許権侵害の損害賠償請求訴訟を提起しました。勝訴して800万円の損害賠償金を受け取りましたが、この損害賠償金は非課税になりますか?
A.不法行為によって資産に損害が加えられ、そのために支払われた損害賠償金は通常非課税です。しかし、不動産所得、事業所得、山林所得、または雑所得を生じる業務に関連して、棚卸資産、山林、工業所有権や技術に関する権利等で損失を受け、それによって受け取った損害賠償金や保険金などは、それらの所得の収入として計算されます。質問のケースでは、特許権が侵害されたことによる800万円の損害賠償金は、業務に関連するため、非課税所得ではありません。現在は事業を営んでいないため、この損害賠償金は雑所得として扱われます。また、訴訟に関する弁護士費用は、特許権の争訟にかかった費用であるため、雑所得を計算する際の必要経費として扱われます。
Q.勤続期間3年未満の従業員に退職金を支給しないとされている場合、争いの解決のために退職条件として従業員に支払われる示談金はどのように処理すれば良いですか?
A.勤続期間3年未満で退職金が基本的に支給されない場合でも、従業員Aに対して支払われる示談金は、Aが退職することを条件としているため、退職金と見なされます。この金額は、退職に伴って一時的に支払われ、勤務条件に関する争いを解決するためのものであり、雇用契約を終了させることが条件です。したがって、示談金は雇用関係に基づき支払われたものとして退職金に該当し、事業所得の計算上で必要経費として扱われます。なお、この支払いに際しては、所得税と復興特別所得税の源泉徴収が必要ですので注意が必要です。