「所得税」カテゴリーアーカイブ

クレジットで支払う医療費

Q.私が受けた歯の治療代が24万円で、これをクレジットで支払った場合、医療費控除を受けるにあたり、本年分の申告で全額を対象にすることは可能ですか?

A.医療費控除では、その年の中で本人や家族が支払った医療費の全額が対象になります。あなたは歯の治療費を分割で支払うため、その年に実際に支払ったのは4万円です。しかし、あなたが利用したクレジット会社があなたに代わって24万円の全額を歯医者に支払ったことになるため、実質的にあなたがその年に医療費として支払った金額は24万円全額とみなされます。結果として、その24万円全額が医療費控除の対象となります。

結婚した娘の医療費

Q. 長女は11月に結婚し他家へ嫁ぎましたが、6月に支払った長女の医療費が15万円あります。扶養控除の対象となる扶養親族に該当するかどうかは、その年の12月31日の現況で判定することとされており、長女の扶養控除は受けられないのですが、長女の医療費も医療費控除の対象とはならないのでしょうか。

A. 医療費控除は、その年にあなたやあなたと生活を共にする家族が支払った医療費が対象となります。また、この「家族」とは、医療費を支払った時点または医療費を支出すべき理由が生じた時点で、一緒に生活をしており、親族であった人々のことを指します(医療費を支出すべき理由には、医師の診療を受けることや薬を買って使うことが含まれます)。したがって、医療費を支出した背景が病気やケガ等であり、その支出が一般的に適切な範囲である場合、6月に支払ったあなたの長女の医療費は、あなたの医療費控除の対象になる可能性があります。

事業専従者のために支出した医療費

Q.酒類販売業を営んでいる私は、長男を青色事業専従者として専従者給与を支払っています。この長男が4月に病気で入院し、その入院費用を私が支払いました。この支払った医療費は、医療費控除の対象となるでしょうか?

A.医療費控除に該当する医療費とは、納税者自身、納税者と同居する配偶者やその他の親族が支払った医療費を指します。この場合の親族には収入の制限はありません。従って、あなたの長男が青色事業専従者として扶養親族には該当しない場合でも、医療費を支払う必要が生じた時点、または実際に医療費を支払った時点で、あなたと生計を一にしているなら、あなたが長男のために支払った医療費は、あなたの医療費控除の対象になります。

未熟児養育医療費弁償金負担金

Q. 妻が出産した女児は未熟児として未熟児センターで養育を受けましたが、その費用である未熟児養育医療費弁償金負担金を府から支払うことになりました。この負担金は医療費控除の対象になりますか?

A. 未熟児の養育について、国や地方公共団体は未熟児を養育する指定医療機関に入院させた場合、患者の自己負担部分を公費で支払い、負担を軽減あるいは免除します。この金額は病院から地方公共団体へ請求され、「未熟児養育医療費弁償金」として一旦立て替えられ、後に世帯の所得に応じて本人から一部または全額が徴収されます。徴収された金額は医療費負担金と見なされ、医療費控除の対象となります。

医療費を補填する保険金等 (高額介護合算療養費等)

Q.昨年、私は病院に入院してかかった医療費と、妻が受けた介護サービスの費用で、合計100万円を自己負担しました。この額に対して、医療保険と介護保険の制度を利用して33万円の支給を受けた場合、医療費控除を申告する際には、この支給額を差し引いた金額を申告しなければいけませんか。

A.はい、そうです。医療費控除とは、実際に自己負担した医療費から、保険などによって補填された分を除外して計算するものです。健康保険や介護保険などの制度では、自己負担額が一定額を超えた場合に限度額を上回る分の補填がありますが、高額医療・高額介護合算療養費制度は、一家の年間自己負担額が限度額を超えた際に、それを超えた部分を補填するために設けられた制度です。このようにして支給を受けた金額は、「医療費を補填する保険金等」とみなされ、医療費控除の申告をする際には、支払った医療費の金額からその支給金額を差し引いた金額を申告する必要があります。

産科医療補償制度を利用した分娩に係る医療費控除

Q.令和5年9月に長女を出産し、産科医療補償費を含む分娩費として、48万円支払いました。分娩費については、医療費控除の対象となるそうですが、一緒に支払った産科医療補償費も医療費控除の対象に含めてもよろしいでしょうか。

A.産科医療補償制度は、出産時に重度の脳性麻痺を発症した子供への補償とその予防を目的としたもので、この制度を利用する際には、出産する家族が12,000円の掛金を負担します。この掛金は分娩費用の一部として扱われるため、分娩にかかった費用全体(産科医療補償費を含む)が医療費控除の対象になります。しかし、令和4年1月以降には、健康保険から支払われる出産育児一時金に産科医療補償費が含まれる形で支払われるため、出産育児一時金(産科医療補償費12,000円を含む)は受け取った後、支払った医療費から差し引く必要があります。分娩での領収書には、産科医療補償制度を利用したことを示す特定のスタンプが押されています。

共働き夫婦の出産費用と出産育児一時金

Q.私は薬局経営、妻は会社勤めの共働き夫婦です。今年の4月、妻の出産に際して、私がその費用を支払いました。出産後、妻の勤務する会社の健康保険組合から、妻に対して出産育児一時金42万円の支給がありました。私は、本年分の確定申告に当たって、私が支払った妻の出産費用を含めて医療費控除の適用を受けたいと思っていますが、その際に妻が会社の健康保険組合から受けた出産育児一時金を控除しなければならないでしょうか。

A.出産育児一時金は、医療費を補填するための保険金として扱われます。これは、出産による費用を補うために支払われるもので、支払った人が誰であるかは問われません。医療費控除においては、自分や配偶者、または一緒に生計を立てる家族の医療費としてその年に支払った金額が対象となります。あなたが妻の出産費用を支払った場合、その費用を医療費控除の計算に含めることができますが、妻が受け取った出産育児一時金42万円はその計算時に差し引かなければなりません。

医療費を補填する保険金等 (出産育児一時金と出産手当金)

Q.本年7月に長男が生まれ、病院に支払った出産費用が35万円あります。これは医療費控除の対象になりますか?また、この出産に関し、勤務先から健康保険法第101条の規定による出産育児一時金の給付を受けていますが、これは健康保険法第102条の出産手当金と同様、出産による祝金と考え、医療費を補填する保険金等にあたらないと思いますが、どうでしょうか?

A.医療費控除の対象となる医療費は、医師や助産師に支払った診療、治療の対価や分娩介助、入院費などで、通常出費する水準を超えない部分です。したがって、質問にある病院に支払った出産費用は、通常水準を超えない限り医療費控除の対象になります。しかし、医療費控除を計算するときは、出産育児一時金のような保険金やその他類似の補填された金額を差し引いた残額が控除対象となる医療費です。あなたが勤務先から健康保険法第101条に基づいて受けた出産育児一時金は、医療費補填のための支給なので、控除対象となる医療費からその給付金額を差し引く必要があります。一方、健康保険法第102条に基づく出産手当金は、出産による給与減少を補うためのもので、医療費を補填する保険金等には該当しないため、医療費控除の対象からは除外されます。出産手当金は非課税所得に分類されます。

要介護者が介護サービス事業者から受ける居宅サービスの費用

Q.私の母は、昨年4月から介護保険制度により、介護支援専門員(ケアマネジャー)の居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいて、訪問介護(ホームヘルプサービス)と訪問看護を受けています。このサービスの利用料金は、医療費控除の対象になりますか。

A.はい、お母様が受けている訪問介護と訪問看護のサービスの自己負担額は、医療費控除の対象になります。これらのサービスは介護保険制度に基づき、利用者ごとに作成された個別の居宅サービス計画に沿って提供されています。医療費控除を受けるためには、サービスの利用料金に関する正式な領収書が必要です。この領収書は、サービスを提供した事業者から交付され、地方自治体への確定申告時に提出する資料として必要になります。

要介護者が指定介護老人福祉施設から受ける施設サービスの費用

Q.私の父は、指定介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所しています。この施設に支払った利用料金は、医療費控除の対象になりますか?なお、要介護度3の認定を受けています。

A.要介護度1~5の認定を受けた方が指定介護老人福祉施設に入所している場合、介護サービスにかかった費用、居住費及び食費の半分が医療費控除の対象になります。これは、介護サービスの提供にあたり、医療との連携の下で看護や療養上の世話などが含まれ、これらに該当するサービスに対する費用が医療費控除の対象とみなされるためです。ただし、費用の内訳が個々には困難であるため、特定の条件下で介護費、居住費、及び食費の50%が医療費控除対象とされます。あなたの父様の場合、要介護度3で指定介護老人福祉施設に入所しているため、該当する費用の半分が医療費控除として適用されます。医療費控除を申請するには、「指定介護老人福祉施設等利用料等領収証」が必要になります。